新大久保にチーズタッカルビの店が増えすぎていませんかギャラリー。

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 職安通りに本日(3月31日)12時オープンとの横断幕が出ていた「グッネチキン歌舞伎町店」。大久保通りの1号店に続く、2軒目となります。韓国から進出してきたオーブン焼きチキンの専門店ですが、むしろチーズタッカルビ(チーズにつけて食べる鶏肉の鉄板炒め、치즈닭갈비)を目立たせているのに驚きました。本国の公式サイトではメニューに見当たらないので、日本でのオリジナルメニューということなのでしょう。

 本場を掲げて進出して来た店でも昨今のチーズタッカルビブームには逆らえない。

 そんな空気がいまの新大久保にはあります。ひとつ流行したら、全力で乗っかって2匹目、3匹目のドジョウを狙っていくのが韓国式ですが、いまの新大久保がまさにその典型ですね。すでに本国を超えるブームとして定着した感があります。

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 同じく韓国から進出しているチキン専門店「bb.q新大久保エクスプレス店」もチーズタッカルビを導入。韓国のチキン業界としては最大手で、世界56ヶ国に進出し、3000店舗以上を運営する巨大フランチャイズです。

 そんな店でも昨今のチーズタッカルビブームには逆らえません。

 というより、この店の場合は日本での経営元が……。

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 ここと同じだからですね。

 大久保通りにあって、すっかりチーズタッカルビブームの顔となった「市場タッカルビ」。すでに行列ではさばききれず、順番がきたら携帯に連絡をくれる方式になっています。混雑していると最大で240分待ちになるとも。4時間ですよ。4時間。

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 ということで姉妹店である「韓サラン」でもチーズタッカルビを導入し、行列の分散を図っている模様です。

 ちなみに1階の韓国スーパー「ソウル市場」がすべての母体ですが、かつて話題を集めた冷凍サムゲタン(ひな鶏のスープ、삼계탕)以来のメガヒットではないかと思います。フライドチキンの「bb.q」も含めて、さすが鶏料理にはめっぽう強いですね。

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 ちなみにこのチーズタッカルビブームがどこからやってきたのかというと、韓国で2014年に大ブームとなったチーズトゥンカルビ(チーズをつけて食べる豚バックリブ焼き、치즈등갈비)がもともとのルーツです。

 このヒット以降、韓国ではチーズに絡めて食べるいろいろな料理が誕生するのですが、その中のひとつがチーズタッカルビ。これが2015年に入って新大久保に渡ってくるのですが、その前段階としてチーズトゥンカルビも2014年から新大久保に来ていました。

 僕の知る限り、2014年9月にオープンした「オッパ屋」という店が初めてでしたが、僕が食べに行った12月の段階ではすでに豚と鶏のハーフアンドハーフなるメニューがありましたね。タッカルビではないものの、とろけるチーズと鶏肉の組み合わせはこのへんの時期が始まりということになるでしょう。

 ただ、その「オッパ屋」はもう閉店。

 ほかに古くからチーズトゥンカルビを出していた店となると、水晶板で焼くサムギョプサル(豚バラ肉の焼肉、삼겹살)が有名な「ヘラン」があります。これまた僕の知る限り2014年12月には始めていましたので、現在まで残っている店としてはここがいちばん古いはず。新大久保のチーズタッカルビブームを語るうえでは草分けの1軒と言えましょう。

 2015年に入ると「ドヤジ」「プングム」あたりから続々とチーズタッカルビを新メニューとして投入。このあたりからじわじわと増えだして、話題になるのが2016年に入ってから。2016年の下半期あたりから、メディアでも取り上げられるようになって一気にブームが加速し、いまに至るという流れです。

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 チキン専門店だけでなく、カルメギサル(豚ハラミ焼き、갈매기살)の専門店として進出してきた「ソレカルメギ」や……。

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 オリジナルロースターでの串焼きを掲げる「焼肉製作所チョルドゥンノム」など、韓国からの進出店も続々とチーズタッカルビを投入しております。

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 また、韓国からの進出店というと、こんなお店も有名ですね。韓国のさまざまな名店とコラボすることで本場の味をひとまとめに楽しめる「KollaBo」。ここにはもともとタッカルビの店が入っていたので、伝統をアピールしつつチーズタッカルビブームに参戦しています。

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 韓国の熟成豚ブームをいち早く新大久保に持ち込んだ「ヨプの王豚焼肉」もチーズタッカルビを開始。写真は2号店ですが、イケメン通りの本店にもチーズタッカルビののぼりが出ていました。

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 新店ばかりでなく、新大久保では古株と言えるようなお店も続々とチーズタッカルビを投入しています。大久保通りの「オムニ食堂」に……。

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 こちらは「トンマッコル」。

 いま新大久保に来ている若い子たちは、この店名を見て映画のタイトルを想像することもないでしょうね。『トンマッコルへようこそ』の公開は2005年と12年も前です。

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 そして、キムパプ(海苔巻き、김밥)専門店の「明洞のり巻き」など、そうそうたる顔ぶれがいずれもチーズタッカルビを始めました。

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 となると、次に楽しみなのが他店との差別化。

 これまでにもサムギョプサルの厚切り具合とか、サムパプ(焼肉の葉野菜包み、쌈밥)における葉野菜の種類とか、マッコリバーにおけるマッコリカクテルの数とか、あっちの店がそうなら、こっちはもっと上を行こうと、加速度的にエスカレートしていくのが常でした。

 現在のところチーズはモッツァレラとチェダーの2種というのが主流ですが、大久保通り沿いのイケメン通り入口にある「でじにらんど」はひとつ上を行って3種類。こうなると4種類、5種類と増やしていく店が、当然のように出てくるはずです。

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 あるいはチーズサムギョプサルを掲げる「ジョンノ」。

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 チーズタッカルビに、チーズトゥンカルビと、さらにチーズチムタク(鶏の醤油煮、찜닭)を加えた「プングム」。

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 チーズオサムプルコギ(イカと豚バラ肉の炒め物、치즈오삼불고기)を投入した「おんどる」など。他の店にない、新しいチーズ系料理の開発も先を争うように行われています。

 これが始まるとあっという間に本場を超えるんですよね。

 すでに現時点でチーズタッカルビのブームは韓国を置き去りにして、日本でもっと過熱している状態ですが、こうした狭い範囲での熾烈な競争が新しい韓食文化を生むことはこれまでも多々ありました。韓国にはないホットク(蜜入りのお焼き、호떡)の具とか、韓国にはないチヂミや、チャプチェ(春雨炒め、잡채)のバリエーションとか、新大久保は斬新なアレンジが生まれやすい環境にあります。

 どんなチーズ系料理が新たに生まれてくるのか非常に楽しみ。

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 あとはこっちの方面のエスカレートもあるかと。

 新大久保駅前の「Oh!キッチンN」は溶けたチーズを滝のように流すパフォーマンスがウリですが、チーズの種類、料理のアレンジに加えて、チーズの量! で勝負する店が出てくるとなると、それもまた苛烈な争いになるでしょうね。

 いま現在、新大久保の各店舗は春休みの学生特需に沸いておりますが、それが過ぎても4月末から5月にかけてゴールデンウィークが控えています。書き入れ時を超える、荒稼ぎ時であるのは間違いなく、この1ヶ月ぐらいで何ができるかがお店としては勝負となります。

 数年ぶりに新大久保がすごいことになりますよ。ええ、ホントに。

 

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