慶尚南道グルメツアー下見報告(1)~祝・世界遺産登録「伽耶古墳群」

 済州島の「まんぷくツアー」を終えた後、2024年3月に向けた下見として慶尚南道を巡りました。ミステリーツアーなので詳細な行程は内緒ですが、あまりに楽しかったので一部をご報告。

 慶尚南道を訪れた大きな理由のひとつが、昨年9月「伽耶古墳群(가야고분군)」がユネスコの世界文化遺産として登録されたこと。慶尚南道に5ヶ所、慶尚北道全羅北道に各1ヶ所と、計7ヶ所にまたがっており、これらの地域を巡る旅が今後盛り上がりそうです。写真は咸安 (ハマン)郡の末伊山(マリサン)古墳群(말이산고분군)。

 そもそも伽耶とは、三国時代に新羅、百済、高句麗と並んで、朝鮮半島南部に勢力を誇った小国家群のこと。伽耶古墳群とひとまとめになってはいますが、それぞれ国が異なるため、現在の地域間でも「我が町の伽耶」が大事にされているようです。咸安の古墳群は阿羅伽耶(アラガヤ、아라가야)の歴史を伝えるもの。

 現地で何度となく聞いたのが、

「前期伽耶の代表は金官伽耶と阿羅伽耶。後期の代表は大伽耶と阿羅伽耶。前期と後期にまたがって伽耶を代表するのは阿羅伽耶だけ!」

 とのセリフ。他地域には違った解釈があるかもしれませんが、そんなお国自慢を聴くのも楽しいものです。ちなみに地元マッコリもアラ。

  末伊山古墳群と隣接する咸安博物館は、昨年10月に第2展示館が開館して拡張するなど充実の内容。

 この博物館で、火焔型透窓土器(불꽃무늬토기)や……。

 鬼面瓦(귀신얼굴모양막새)、馬鎧(말갑옷)、700年前の種子が花を咲かせた阿羅紅蓮(ハスの花、아라홍련)などを見学しておくと、それらが咸安の象徴として地域の食文化とも密接につながっているのを発見できます。

 また、咸安はかつて慶尚南道の中心だった晋州(チンジュ)の隣町。晋州にユッケビビンバ晋州冷麺(牛チヂミの細切りが載る)が名物としてあるように、咸安も牛肉料理が充実していました。そのひとつがこちらのカルビチム(牛カルビの蒸し煮)。ニンニクがガツンと効いた直後に、脂がとろける絶品の味わいでした。

 もうひとつ。個人的に今回の下見でいちばんヒットだったのが、咸安名物のハヌクッパプ(韓牛のクッパ/한우국밥)。入口脇に調理場がある昔ながらの店で、冒頭の写真がごはんの器にスープをかけているところです。ごろんと大きな牛肉も、そのエキスを吸った大根も、甘味の溶け出たスープも全部が最高です。

 ごはん入り、麺入り、両方入りを選べるのですが、面白いのは両方入りを、

チャンポン(짬뽕)

 と呼ぶこと。韓国語でもなにか混ぜることをチャンポンと言いますが、こういう用法もあるんですね。それなら「咸安チャンポン」と呼んでも面白いかも。具のソンジ(牛血、선지)は苦手であれば抜けます。

 といった感じで下見報告は続きますが、現在ツアーは現在仮予約を受付中です。金額などは近いうちに三進トラベルサービスのホームページで発表される予定です。ミステリーツアーなので詳細な行程は直前まで秘密ですが、今後の下見報告をご参考ください。

慶尚南道グルメツアー下見報告(1)~祝・世界遺産登録「伽耶古墳群」
慶尚南道グルメツアー下見報告(2)~咸安の高麗韓菓と落花遊び
慶尚南道グルメツアー下見報告(3)~河東の始培地茶と蟾津江グルメ
慶尚南道グルメツアー下見報告(4)~固城の海の幸とレインボーな橋

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