第1回「日本国内の韓国・朝鮮を巡る旅(福島編)」後記~出来たてマッコリを片っ端から空に

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 気持ちの熱いうちにすぐ書こう、と思いつつもやっぱり時間が経ってしまいました。

 第1回「日本国内の韓国・朝鮮を巡る旅(福島編)」。

 いやはや、すごい盛り上がりでした。当初の定員25名をはるかに超えるお申し込みをいただき、バスを大型にして定員36名まで拡充。それでも足らず、さらにバスを大きくして、最終的に43名ものみなさまにご参加いただきました。それでもキャンセル待ちのまま、ご参加いただけなかった方もいるそうで、こういった企画が求められていたのか! と僕ら関係者も驚いた次第です。

 だってすごいことですよ。

 韓国好きばかりが集まって国内旅行をしようって。

 数年前だったら「なんだそりゃ?」のひと言でおしまいですよ。

 長らく韓国のディープなツアーばかりを企画してきた、三進トラベルならではの発想でしょうし、それに共鳴できる韓国ファンが、この数年、あるいは10年ちょっとで育ったという考え方もできましょう。みなさまの貪欲な韓国への知識欲(あと食欲とマッコリ欲)が、超・満員御礼へと導いてくれました。たいへん感謝しております。

 そんな盛り上がりの1日を振り返っていきますが、冒頭の写真、ワタクシがしゃべっている姿の後ろに「7:00」という時間表示が。JR新宿駅から徒歩5分ほどの場所に早朝6時50分集合、7時出発という過酷なスケジュールのなか、ひとりも遅刻することなく集合していただいたのは裏方一同大感謝でした。

 車内ではまず、朝食のキムパプ(韓国式海苔巻き、김밥)と、顔ほどのサイズもある福島県産のジャンボどら焼き(松本製菓)を召し上がっていただきつつ、自己紹介をしたり、僕のマッコリトークを聞いていただいたり、さらには質問タイムから、マッコリのディープな情報が参加者の方々からも飛び交ったり。

「なんだか、すごい人たちが集まっているんだな」

 という空気の中、最初に到着したのが福島県白河市のコチラです。

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 手作りキムチの店「こまや」。

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 自慢とするのはキャベツキムチです。

 最初、聞いたときは、白河市がキャベツで有名なのかと思いましたが、説明を聞くと違いましたね。創業者であるハルモニ(おばあさん)が沖縄に移住した際、白菜キムチの代用としてキャベツキムチを思いついたのだとか。当時の沖縄では白菜の入手がしにくく、身近であったキャベツを利用したというのがきっかけだったそうです。

 それを白川に引っ越した後、看板商品としてキムチの店を始めたとのこと。

 食べてみるとキャベツならではの瑞々しさとシャキシャキ感、そして甘みもよく引き出されていました。最初、ガツンと感じたニンニクは青森県の田子産。味見の時点ではちょっと強いかなとも思いましたが、購入して家に持ち帰ったものはよく馴染んでちょうどいい仕上がりでした。少し発酵させてもいい感じ。

 商品一覧を見ると、シジミ入りのキャベツキムチもあるようで、次回はそちらも食べてみたいですね。一緒に買ってきたタコキムチと、チャンジャも美味しかったです。

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 その「こまや」までお越しいただき、移動の車中で白河市の解説をしてくださったのが有賀醸造の有賀義裕社長。日本酒の酒造としてはもっとも早く、1990年からマッコリ造りを続けてきた方です。

「上野のコリアンタウンで飲んだマッコリが美味しくて、ぜひ自分でも造りたいと思った」

 というのがそもそものきっかけ。一連の話は「韓国料理には、ご用心!」の取材でもインタビューをさせていただきましたが、それをよりいっそう深めた貴重なお話でした。

 造ってはみたものの思い通りの味に仕上がらず、酵母の選び方、アルコール度数など研究の末に、ようやくいまの味に落ち着いたというのを語っていらしたのが印象的でした。

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 やがて到着したのは白河鹿島神社

 小雨のパラつく中でしたが、むしろ濡れた木々の緑がより美しく、樹齢1000年のご神木も、苔の生えた灯籠も、池にかかった太鼓橋も、もうすべてが絵になる光景でしたね。

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 敷地内には醸造の神様を祀った松尾神社があり、そこで旅の安全を祈願してみんなで参拝。宮司さんにお祓いをしていただきました。

 本来は宮司さんの後ろに立派な建物があったそうなのですが、震災とその後の大雨によって大木が倒れ込み、すべて壊れてしまったとのことです。ひん曲がった鉄柵などもそのままで、いまだ爪跡が至るところに残っているのを実感しました。

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 そしていよいよ有賀醸造に到着。

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 僕らは有賀醸造というと虎マッコリをまず思い浮かべますが、日本酒「有の川」も由緒ある銘柄です。

 江戸後期から300年の歴史があり、僕らを迎えてくれた有賀義裕社長で10代目。みなさんのお目当てはマッコリだったと思いますが、僕個人としてはぜひ日本酒のほうを飲んでみたいと意気込んでいました。大吟醸やらどぶろく仕立てのお酒やら、あれこれ買って東京まで送ってもらい、いま晩酌用として少しずつ楽しんでいます。

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 試飲の後は醸造場の見学もさせていただき、酒米を見たり……。

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 虎マッコリのタンクをのぞいてみたり。

 ちょっとおちゃらけた感じで写っているのは、マッコリの中に飛び込んで飲みまくりたい、との意気込みを表したものです(実際に飛び込んだら死にます)。

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 酒造見学の後は、「きつねうち温泉」に移動して昼食。

 といっても温泉に入ったのではなく、温泉の宴会場を借りまして、マッコリ飲み放題の宴会を行ったということです。普段韓国の食卓ばかり見慣れているので、お椀やおひつの並んだ光景はなにか新鮮でしたね。

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 こちら有賀醸造の酒粕を使った、きつねみそっかす鍋

 昔からこの地域で食べられていた味噌汁をモチーフに、地域の新名物として2年前に開発された料理だそうです。きつねうち温泉にちなんだ餅巾着と、味噌仕立ての酒粕鍋できつねみそっかす鍋。鶏肉に加え、芋がらなどの野菜を入れるのがポイントだとか。

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 そしてこちらは本邦初公開のマッコリ鍋。

 今回のために「きつねうち温泉」の料理長さんが開発してくれたものです。こちらはマッコリをベースとしたスープに、豚肉と各種野菜、エビ、ホタテなどの魚介が入りました。

 これらを肴としつつ……。

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 お待ちかねのマッコリ飲み放題。

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 銘柄は「霧の華」でしたが、中身は「虎マッコリ」とほぼ同じだそうです。

 有賀醸造で生産されるマッコリは「霧の華」「虎マッコリ」「マッコルリの華」とあって、厳密には多少異なるのだそうですが、普通に飲んだらまずわからないぐらいの微細な差という説明でした。

 確かに飲んでみても、やたら新鮮な虎マッコリという感じでしたね。

 ぷちぷちと弾けるような喉越しに、みなさんもグビグビ飲んでいらっしゃっいました。発売前の貴重な試作品(猫マッコリと勝手に命名)なども飲ませていただきつつ、いったい何本の空瓶が生じたのかわからないほど、ド派手で楽しい宴会と相成りました。

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 昼食後に訪れる予定だった「山口こうじ店」のずんだ味噌(青大豆入り)と、後ろに冷やして美味しい甘酒。

 甘酒もよかったですが、無添加のずんだ味噌もうま味が深くていい味でしたね。

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 こちらは「坂本屋総本店」のあんこずっしり、我が家で大好評だったきつねうち温泉まんじゅう。

 大勢でやってきたということで、両店舗の方がわざわざ「きつねうち温泉」まで商品を運んでくれました。あんこ部、ずんだ部という謎の単語も飛び交う中、みんなでお土産として買い求めました。

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 最後は県産品を扱うJAしらかわの「り菜あん」でお買い物。

 ここで買ったJAしらかわオリジナルの「トマトドレッシング・キムチ風」というのが意外にヒットで、我が家ではサラダにかけたり豆腐にかけたりと楽しんでおります。

 それともうひとつ、「しじみ汁」という濃縮タイプのしじみ汁の素も酒飲みにはたいへんありがたく、少しずつ楽しんでいるのですが、よくよく見たらこれは白河とは関係なく香川県で作られたものでした。県産品以外も扱っている模様です。

 あとは気持ちよく爆睡しながら東京へ。

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 赤羽での解散でしたが、そのまま有志での2次会を「パンガパンガ」で行いました。20名ちょっとも入ればいっぱいというこじんまりとした韓国料理店ですが、この店のポッサム(茹で豚の葉野菜包み、보쌈)はサラダ風の爽やかな仕立てでおすすめなのです。

 写真のサムギョプサル(豚バラ肉の焼肉、삼겹살)から、豚&豚でポッサムを食べ、その後に変化球としてホタルイカの塩辛。生ビールもうまかったし、焼酎も飲んじゃって、これまた楽しい2次会でした。

 ひとつ私信。

 お土産を持ってきていただいた「Grille 口福」の若社長、わざわざありがとうございました。また家族でうまい肉を食べに参ります!

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 結局、2次会でも終わらなかったんですけどね。

 三々五々、3次会まで繰り出したメンバーもちらほらと。早朝から本当に盛りだくさんの旅でしたが、よく飲み、よく食べ、そしてよく語った1日でした。

 んー、楽しかったぁ。

 さて、本ツアーは第2回「日本国内の韓国・朝鮮を巡る旅(埼玉編)」を7月18日(土)に予定(当初20日と発表しましたが18日に変更となりました)。すでに申し込みも始まっていますので、国内の韓国を楽しんでみたい方はぜひご参加ください。

 そして、最後に重要なインフォメーション。

 今回の記事に使った写真はすべて、「Photo fix梨大店(僕のプロフィール写真を撮ってくれた写真館)」の奈穂さんからご提供いただきました。今回、遠方からの参加者さんも多かったですが、ソウルからわざわざ帰国して参加、という熱意には本当に頭が下がりました。ここに改めまして感謝申し上げたいと思います。

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