曙橋「慶美」で醤油にこだわるテジカルビ。

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食べる頻度は圧倒的にサムギョプサル(豚バラ肉の焼肉)ですが、
個人的に気持ちが沸き立つのはテジカルビ(豚カルビ焼き)だったりします。

しばらく前までは豚焼肉界における双璧という扱いでしたが、
日本ではいつの間にかサムギョプサルがずいぶん前を行きました。
特にそんな現状を不満に思う訳でもないのですが、
テジカルビを食べるたびに、

「お前ももっと頑張れよ!」

という無責任な激励をしたくはなります。
いえ、それを言うなら立場上、

「お前がもっと頑張れよ!」

とすぐにも言い返されるのでしょうが。

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シンプルに素材を味わうサムギョプサルに対し、
タレに漬け込むテジカルビは店ごとの腕前が全面に出ます。
甘味が強かったり、フルーティな仕上がりだったり、
昔ながらの店ではニンニクをがっつり効かせたり。

そんな意味でここ曙橋「慶美」のテジカルビは、
甘さや刺激を控え、肉のうま味を活かした仕上げといえましょう。

焼いてもらいながらいろいろ話を聞いたところ、
味付けの中でも、醤油がいちばん大事だということ。

「どうしてもコレじゃないと思う味が出ないのよね」

というポイントとなる醤油が……。

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コチラでした。

詳しい方ならご存知かと思いますが、
馬山(マサン)に本社のある蒙古醤油。
ラベルには、

「몽고진간장」

とありますが、
それぞれ単語で分割すると、

・몽고(蒙古)
・진(濃口)
・간장(醤油)

ということになります。
蒙古ブランドの濃口醤油ということですね。

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実際、飲食店の取材をしているとよく耳にするメーカーですが、
単なる地方ブランドでなく、1905年創業という老舗企業でもあります。

日本であれば江戸時代から続くような老舗も多いので、
1905年で老舗とは、ちょっと考えにくいかもしれませんけどね。
韓国の場合、創業から100年を超える企業でもたいへん希少。
蒙古醤油を造る蒙古食品は、韓国で3番目に古い企業なのです。

ちなみに1位は斗山で、2位は同和薬品。

なお、蒙古食品のウェブサイトで社史を見てみると、
日本人の山田信助氏が1905年に山田醤油醸造場を設立とあります。
その後、日本統治時代に工場長を務めたキム・ホング氏が、
1945年の終戦後に社長となって社名も蒙古食品に改称したのだとか。

蒙古の由来は、近隣にあった「蒙古井」という井戸から。

もとは13世紀に元の軍勢がこの地に掘った井戸とされ、
その水を使っていたから蒙古醤油になったそうです。

日韓蒙の歴史が交錯するドラマチックな醤油といえますね。

とはいえ、韓国のスーパーに行けば普通に買えますし、
他社製品よりはやや高いですが、飛び抜けて高級品でもありません。
年配の方を中心に、コアなファンのいる醤油という感じ。
飲食店で見かけることがあったら、

「ん、こだわってるね!」

ぐらいのことは思ってもいいかもしれません。
さらに、この店はほかに砂糖へも大きなこだわりがありましたが、
あまり裏幕ばかり語ってもなんなので控えます。

気になる人はお店に行って聞いてみてください。

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さて、テジカルビから醤油の話が長くなりましたが、
それ以外にも、キムチの盛り合わせや……。

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キムチチーズチヂミ。

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個人的に大好きなタットンチプ(砂肝炒め)を食べました。

韓国料理店におけるニンニクと青唐辛子を効かせた砂肝炒めは、
妙に後を引く魅力があり、やけにお酒の進む料理でもあります。
これをつつきながら……。

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同じく青唐辛子を効かせたチョゲタン(アサリのスープ)をすすります。
まあ、酒飲みにとっては何より幸せな瞬間といえましょう。

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シメには大盛りのビビンバをみんなでシェア。

打ち合わせかたがたの宴会ではありましたが、
本題そっちのけで楽しんでしまった気もしますね。

ちなみにこちらの店を紹介するのは2度目ですが、
前回はレアメニューを中心に楽しみました。

曙橋「慶美」で紅白のポックッ&白プルコギほか。

今回は定番メニュー中心で、これまた大満足。
曙橋という立地は、なかなか用事のないところですが、
土地縁のある方にはぜひオススメしたい1軒です。

店名:慶美
住所:東京都新宿区住吉町2-18ウィン四谷2階
電話:03-6457-7629
営業:11:30~15:00、17:00~23:30
定休:日曜日



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