コリアうめーや!!第281号

コリアうめーや!!第281号

<ごあいさつ>
11月15日になりました。
ふと気付けば、今年も残り少なくなっています。
あと半月もすれば、大忙しの12月を迎え
忘年会だ、大掃除だ、年賀状だとドタバタ必至。
11月の間に、多少でもこなせればよいのですが、
ちょうど下旬から、またも韓国出張だったりします。
ひと月に2度韓国というのは珍しいんですけどね。
とりあえず、今月上旬に出かけた江原道ツアーから、
印象的なネタをひとつ紹介させて頂きましょう。
もういい加減、江原道ネタは満腹かもしれませんが、
2012年のメインテーマとご容赦ください。
コリアうめーや!!第281号。
東南に足を向けての、スタートです。

<僕とヨン様と江陵のモッパプ!!>

ちょっと長い自己紹介として、
自分の経歴を簡単に語ることがある。

・1999年秋から韓国に留学
・韓国語を学びつつ韓国料理の魅力にハマる
・帰国後に新大久保の韓国料理店でアルバイト
・2001年3月よりメールマガジンを創刊
・編集者の目に止まってライターデビュー

だいたいここまでがライターになる過程。
ちなみに2001年創刊のメールマガジンというのが、
まさしくこの「コリアうめーや!!」である。

そこから偶然デビューできたのも運がよかったが、
さらによかったのは、何よりもタイミング。

ライターデビューを果たした翌年というのが、
2002年の日韓共催サッカーW杯である。
駆け出しライターとして歩み始めた僕は、

「まあ、それまでは仕事があるかも!」

と楽観的に構え、就職は一切考えなかった。
とはいっても、ライターだけで食べていける訳でなく、
むしろフリーターとしての生活が主であった。

ところが、そんな浮草人生に突風が吹く。

W杯でひと盛り上がりし、落ち着くかと思いきや、
もっと大きなブームとして「韓流」が到来。
駆け出しライターでも、一応韓国語ができた僕は、
それを活かしてちらほら仕事を頂けるようになった。

いまではドラマもK-POPもまるでダメだが、
当時はまだ情報が少なく、僕でもなんとかなった。

・韓国芸能人年齢チェック
~あの俳優とこの俳優はどっちが年上!?~

・地方出身の芸能人&それ、どんな町?
~人気スターの故郷を読み解く!~

・冬のソナタに見る韓国のお酒文化!
~韓国でよく飲まれているお酒は?~

といった記事をセコセコ書いていたのを覚えている。

中でも「冬のソナタ」関連の仕事は多く、
出てくる料理を、すべて一覧にまとめたりもした。
解説文を書くだけでも、けっこうな仕事になったので、
そのおかげでいまがあるといっても過言ではない。

「ヨン様には足を向けて寝られない!」

というのは偽らざる本音である、

そんな恩人ともいうべきヨン様を、
たった1度だけだが、生で見た経験がある。
といっても、会って直接話をした訳ではなく、
あくまでも遠くから「見た」だけの経験だ。

それが、2006年7月23日。

白金高輪「高矢禮」のオープン日である。
マスコミ向けのレセプションに招待して頂いたため、
記者席からヨン様の登場と挨拶を眺めた。

恩人ではあるものの、別にファンではないので、
さして興奮することもなく、

「ヨン様はすらっとして細いなぁ」

などと冷静に眺めていた。

その後、「高矢禮」には取材でも何度か出かけ、
また、プライベートでも食事に行くことがあった。
あるいは「高矢禮」で開かれたヨン様ファンの集いに、
ゲストで招かれ、ミニ韓国語講座をしたこともある。

ソウルの町を歩いていたら、誰かにぶつかり、
はっと顔を上げると、それがヨン様だったという設定。
謝罪の言葉とともに、ファンであることを伝え、

「握手して頂いてもいいですか!?」
「サインもいいですか!?」
「お時間あったら、一緒にお食事でも!」

という会話にまでつなげる。

実際にはまずありえないシミュレーションだが、
こういう妄想こそが、語学の習得には何よりの早道。
ファンの皆様にも、熱心に取り組んで頂いた。

エンタメとは無縁の仕事をしているようでありつつ、
ヨン様関連の仕事はさりげなくけっこう多い。

つい先日も、江原道のツアーに出かけたが、
郷土料理ツアーのはずが、なぜかヨン様ツアーでもあった。
詳しくは「リビングWeb」の記事にも書いたので、
そちらのほうも、ぜひ読んでみて欲しい。

美びっと韓国/ふと気付けば江原道ヨン様ツアー。
http://mrs.living.jp/entame/korea/2012/11/12/post-239.html

江原道はロケ地などにも多く使われているため、
主要な地域を巡ると、ヨン様の足跡にぶつかるのである。
意外な発見であったが、それはそれで縁ともいえる。

中でも個人的にたいへん印象的だったのが、
江陵の「ソジチョガットゥル」という韓定食店。
ツアーで行く店は、ほぼ僕の経験から店を選ぶのだが、
この店だけは僕も初めて足を運ぶ店だった。

ここをヨン様が著書「韓国の美をたどる旅」で紹介している。

この店の看板料理はモッパプとチルサン。
代々伝わる両班家庭の料理を定食形式にしたもので、
田植えの時期に働き手をもてなす意味で作られた。

田植えの途中に、昼ごはんとして食べたのがモッパプ。
田植えの後に、それぞれ自宅へ持ち帰ったご馳走がチルサン。
山菜料理や、祭祀料理、餅などが組み合わされている。

見方によっては、ごくごく平凡なお惣菜だが、
昔ながらの江原道料理を現代に伝えている。

せっかくなので、食べたものを一覧にしてみよう。
他地域ではまず見られない、珍しいものが多い。

・スンニュン(おこげ湯)
★シジョンジトク(種籾の蒸し餅)
・ヒョンミバプ(玄米ごはん)
★セミヨクティガク(スジメの揚げ物)
・カジナムル(乾燥させたナスのナムル)
・エホバクナムル(乾燥させた韓国カボチャのナムル)
・チィナムル(シラヤマギクのナムル)
・コドゥンオグイ(サバの焼き魚)
・カムジャジョリム(ジャガイモの煮物)
・チャプチェ(春雨炒め)
★ポシッケ(祭祀用の干魚を裂いて発酵させたもの)
・トゥブジョリム(豆腐の煮物)
・クァリコチュチム(シシトウの蒸し煮)
・メミルジョン(蕎麦粉のチヂミ)
・サムヤチェ&テンジャン(包み野菜と味噌)
・ムグンジ(熟成させた白菜キムチ)
・ケンニプチャンアチ(エゴマの葉の醤油漬け)
・マヌルチョンチャンアチ(ニンニクの芽の醤油漬け)
・トトリムク(ドングリのでんぷんを固めたもの)
・シレギテンジャンチゲ(菜っ葉の味噌チゲ)
・シッケ(甘い米の飲料)

並べてみると、すごい量で大御馳走のようだが、
素材をよく見ると、さほど華美なものはない。

珍しい素材を使っているのは「★」をつけた3種。

シジョンジトクは、田植えで余った種籾を、
蒸し餅に仕立て、ヨモギやカボチャを加えたもの。
シルトクの一種だが、ふんわり柔らかな食感と、
さりげない控えめな甘さが後を引いた。

セミヨクティガクは、コンブのような海草を、
油で揚げて、砂糖をパラパラと振った料理。
カリカリとした食感と磯の風味を楽しむ。

ポシッケはマダラや、スケトウダラといった、
祭祀用に乾燥させた魚を、まず手作業で細かく裂く。
それを大根や粟などと一緒に発酵させたもので、
江原道では一般的なシッケ(馴れ寿司)の一種である。

個人的には干し野菜のナムルが気に入った。

いったん干すことでほどよい食感が生まれ、
その食感がまた、素材の甘味、風味を強調していく。
どうにも箸が止まらなくなるナムルであった。

また、これらを受け止める玄米ごはんも秀逸。

「ウチの自慢はなによりもごはん!」
「一般的な有機栽培よりももっと手をかけているからね!」
「現在の世の中では不可能といえる味だよ!」

と女将さんが胸を張っていたのが印象深い。

そして、もうひとつ。

この店でしか飲めない伝統酒も貴重な品だ。
松竹杜鵑酒(ソンジュクトゥギョンジュ)といって、
名前の通り、

・松の葉
・竹の葉
・杜鵑の花(ツツジ)

という3種の素材が入る。
ベースとなるのはもち米、うるち米、もち粟など。
飲んでみると、かすかな酸味と渋味が口の中で入り混じり、
最後にふんわりと独特の香りが鼻をくすぐる。

これもまた祭祀用に捧げる手造りの酒で、
両班家庭ならではの歴史を感じさせるものだった。

ひと通りの料理を食べて、酒も飲み干し、
余韻に浸ってみると、これがなんともいい気分。

さすがにヨン様は、いい店を紹介しているのであった。

以前もヨン様お気に入りという蔚山にある、
ビビンバ専門店を訪れて大満足だったのを思い出した。
彼の足跡をたどると、美味しい思いができる。

「美味しい店を教えてくれませんか?」

いつか町で偶然ヨン様にぶつかったときのため、
僕も韓国語の練習をしておくとしよう。

<店舗情報>
店名:ソジチョガットゥル
住所:江原道江陵市蘭谷洞259
電話:033-646-4430

<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
Twitter
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FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki

<八田氏の独り言>
「韓国の美をたどる旅」を読んでいて、
いちばんぐっと来るのは皇龍寺址の写真です。

コリアうめーや!!第281号
2012年11月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com

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