「みなさん、これは韓国料理ですか!?」の考察。

12042201.jpg

先日、韓国関係のビジネス交流会があり、
そこで、10分ぐらい話をしてくださいと頼まれました。

ここ最近、話をする仕事はだいぶ頂くようになりましたが、
相手がみんな韓国業界のプロ、というのはめったにないことです。
さてどんな話をしたものか、と悩んだあげく選んだテーマが、
タイトルの、

「みなさん、これは韓国料理ですか!?」

という話でした。

けっこうこのテーマはあちこちで使っているのですが、
韓国に詳しい方々には、目先を変えた切り口でいいかなと。
韓国料理業界における最先端の話題も交えてという話だったので、
それなら、ということで選んだテーマでもあります。

その例としてあげた料理をここにも並べますので、
もしよかったら、みなさんも考えてみてください。

まず大前提として……。

・韓国料理は世界を目指した発信に力を入れている
・そのため韓国内では韓国料理の再解釈や新しいアレンジが流行
・韓国に限らず、日本など外国でも新しい韓国料理は生まれている
・韓国料理という枠が広がり、枠自体も曖昧になっている

といった背景を話の始めに伝えました。
これは肯定的にとらえても、否定的にとらえてもかまいません。
むしろ、そこがまさに個々人の解釈であり、

「みなさん、これは韓国料理ですか!?」

という問いかけへの答えとなるはずです。

さて、その第1問目が冒頭の写真。

ソウルの清潭洞にある「L’Atelier Monique」という、
ベーカリーで見つけた焼きネギ入りのクロワッサン(左下)です。
お店では日本語で「ネギワッサン」と呼ばれておりました。

なぜ、日本語かというと開発したシェフが日本人。
韓国野菜の甘さに惚れ込み、それを活かしたパンとして、
クロワッサンに挟む、という形で販売を始めたそうです。

また左上は、ノーマルなタイプのクロワッサンですが、
右にあるのはミスカル(穀物粉)入りの香ばしいクリームパン。
韓国的な素材を、パンの中に取り込むという工夫を行っています。

とりあえず、左上のクロワッサンは置いとくとして、
ネギワッサンと、ミスカル入りのクリームパンを考えてください。

みなさん、これは韓国料理ですか?

12042203.jpg

次にあげたのはコチラ。

昨年、大ヒット商品となった白いスープの「長崎チャンポン」。
韓国でチャンポンというと、真っ赤なスープというのが相場でしたが、
白いスープのブームで、その常識がガラガラと崩れました。
日本的な視点から見ると、もとのスタイルに戻ったとも考えられます。

ポイントとなるのは、白いスープだけども「辛い」という点でしょう。
青唐辛子がたっぷり入って、真っ赤なチャンポンと同じぐらいビリビリきます。

商品名に「長崎」と入っていることからも、イメージは日本でしょうが、
味の方向性を考えると、韓国料理の延長線上に落ち着いています。

みなさん、これは韓国料理ですか?

12042205.jpg

もうひとつ韓国から。

ソウルの新沙洞にある「ジョン食堂」という店の料理で、
ポッサム(茹で豚の葉野菜包み)にアレンジを加えた一品です。
こちらの店は西洋料理の技法を用いた韓国料理を自慢とし、
従来の韓国料理とは一線を画す「ニューコリアン」を名乗っています。

焼き目をつけた豚バラ肉に、刻んだピクルスを載せ、
ジャガイモ、タマネギのピューレと干しブドウのソースで味付け。
下に敷いた行者ニンニクの葉で包んで食べるという趣向です。

この店では「五感満足テジポッサム」と名乗っていましたが、
ポッサムをこのスタイルで出すのは、まあまずここだけ。

みなさん、これは韓国料理ですか?

12042202.jpg

こちらはこのブログでも何度となく紹介している薬膳スイーツ。
東京、広尾にある「薬膳甘味千の花」で作られています。

写真手前から、時計回りに、

・薬膳カップケーキ(高麗人参)
・薬膳カップケーキ(五味子)
・高麗人参モンブラン
・薬膳種タルト

というラインナップ。

いずれも韓国的な素材を使って作った西洋スイーツ。
ただ、いままでの3つと違うのは、「日本で作った」という部分ですね。

みなさん、これは韓国料理ですか?

12042204.jpg

お次はコチラ。

僕自身は東京の有楽町にあった店で食べたのですが、
もともとはロサンゼルスで生まれたタコスの一種です。
「KOGI BBQ」と呼ばれる料理で、「KOGI」というのが韓国語で肉。
メキシカンタコスに韓国式の肉料理を載せてあります。

上の写真では、チーズブルダックが載っておりますが、
ほかにも、プルコギ、サムギョプサルあたりが定番とか。

みなさん、これは韓国料理ですか?

12042206.jpg

最後は大阪名物ともいえる、ちりとり鍋(鉄板鍋)。
大阪の在日文化が作り上げた料理のひとつです。

韓国料理としてはコプチャンジョンゴル(ホルモン鍋)が近いですが、
料理の名称にもなった、ちりとり型の鍋を使っているのが特徴。
炒めながら、煮汁も楽しむという発想から生まれたそうです。

大阪の韓国料理店では、これが看板メニューというところも多く、
また東京など他地域では、ちりとり鍋としての専門店もできています。
ただ、少なくとも僕は、まだ韓国で見かけたことがありません。

みなさん、これは韓国料理ですか?

ということで以上、6つの料理を例にあげました。
もちろんこれ以外にも、あちこちでいろいろな試みが行われており、
同じような形で紹介できる料理はそれこそ無数にあるでしょう。

どうですか、なんとなく頭の中で想像して頂けましたか?

境界線の引き方は人それぞれなので、

「こんなの韓国料理じゃない!」
「いや、これも立派な韓国料理だ!」

という両方の意見が成り立つと思います。
この問題に正解はないですし、立場の違いでも意見が割れて当然です。
もっといえば、無理に答えを出すような問題でもないかもしれません。

ただ、それを踏まえた上で、それでも悩むべきなのが、
僕を含めた、韓国業界で仕事をしている人ではないかなと。
未来に向けて、常に新たな可能性は模索していかねばなりませんが、
それが過度であると、本質を見失う結果にもなりかねません。

僕は他の業界のことをあまり知りませんが、

・日本メーカーが開発した日本限定の韓国コスメ

みたいのもあったりするんですかね。
あるいは、

・全員外国人で韓国人がひとりもいないK-POPアイドル

とかがデビューしたらどうなるんでしょう。
たぶん、各業界で悩まなければならない人がいるように思います。
そういう問題提起としては、少し考えてみてもよいかなと。
そんなことを思って、こういう話をさせて頂きました。

「え、僕ですか?」

ちなみに僕は上の6種類、全部韓国料理でいいと思っています。
少なくとも自分が取材に行く可能性があるなら、それはアンテナを立てておくべき。
自分の守備範囲なら、それは韓国料理として考えておこう、という考え方です。

まあ、こういうのって、定義の問題だったりするんですけどね。

境界線をまたぐ料理に出会ってオモシロ悩むというのも、
現代の韓国料理を味わううえで、ひとつの楽しみではないかと思います。
あとは、それをテーマに、みんなであれこれ悩んでみることも。
なので機会があったら考えてみてください。

みなさん、これは韓国料理ですか?



14 Responses to 「みなさん、これは韓国料理ですか!?」の考察。

 

 
 
previous next