「国産マッコリを飲む会」後記。

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16日(土)に開催した「国産マッコリを飲む会」。
たくさんの方にご参加頂きましてありがとうございました。
初めての試みだけに、どんな感じになるか不安もありましたが、
皆様のご協力により、たいへん意義深い会となりました。

これまでに開催したマッコリの会とはまた違う、
国産ならではの面白さを、感じられたように思います。
冒頭にご挨拶させて頂いたときに国産のメリットとして、

・生マッコリの場合は輸送の点で有利
・日本酒の繊細な技術をマッコリに応用できる
・地元の米を使うなど、生産地の特性をアピールできる
・フレーバー系の場合は特産品とのコラボも可能
・マッコリを使った新たな地域おこしも考えられる

といった例をあげさせて頂きました。

また、事前募集の段階でも書きましたが、
国産のマッコリは現状、まだまだ手探り状態で造られています。
本場のマッコリに近いもの、どぶろくに近いもの、甘酒に近いもの。
解釈がいろいろなので、銘柄ごとの個性が強く出ています。

もちろん中には、

「これってマッコリ!?」

というような銘柄もあったりするのでしょうが、
それも含めて、振り幅の大きさは大きな魅力だと思います。

そんな国産マッコリを今回は全部で10種類。

どーんと揃えて、みんなで飲み比べをしてみました。
僕が把握しているだけでも、国産銘柄はすでに40種類超。
これだけ集めても、まだ4分の1というのがすごいですね。

そして、ただ飲むだけでは宴会になってしまうということで、
いつものようにアンケート用紙を配布して、感想を書いて頂きました。
せっかくなので、それもまとめて後記としたいと思います。

ただし、あまりに濃密な回答が多く、また掲載にも限界があるため、
感想はそれぞれのアンケートから抜粋となることをご容赦ください。

また、マッコリは発酵の状態によっても味が変化するので、
下記のまとめも、一応の参考程度に見て頂くことをおすすめします。
僕らも真剣に利き酒をしている訳でなく、酔っ払いながら飲んでいるうえ、
飲む順番や、そのとき食べている料理などの影響も受けています。

あくまでも僕らの感想ということで見て頂ければ幸いです。

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うさぎのダンス生マッコリ(吉久保酒造・茨城県/発泡性/720ml)
甘味:3.57P/酸味:2.19P/総合:4.32P

一応、データの見方ですが、上段が銘柄名と醸造元などのデータ。
下段は甘味、酸味、総合という3項目を5段階で評定してもらいました。
甘味、酸味が強いと5、総合は全体のバランスや印象点で最高が5。

ただ、アンケートを見ると、1~5までの5段階評価なのに、
0があったり、6があったりと、みなさんかなり自由につけていました。
全員の平均が、1を割っているような事例もありましたので、
やはり数値にこだわらず、漠然とした印象として見て頂くほうがよいようです。

ちなみに「うさぎのダンス生マッコリ」の場合は……。

甘味が3.57、酸味が2.19ですから、やや甘めで酸味は少なめ。
総合が4.32というのは、かなり高い評価を得たということですね。

感想を見ても、やはり褒め言葉が多いです。

・汎用性高い。食事中に飲みたい。いちばんうまい。
・さっぱりとした後味で飲みやすい。
・ほどよい甘味と酸味で美味しい。ネーミングもかわいい。
・日本酒のような良い香りで、すごく飲みやすい。
・ビンもネーミングもgood。吉久保酒造さん、バンザイ!

ただ、これだけ絶賛ばかりが並んだのには、
吉久保酒造の専務さんが直接来てくれた影響もあるでしょう。
ゲストとして、酒造の立場からマッコリの可能性と、
商品化するまでの苦労などを語って頂きました。

その中には、

・日本酒自体の売り上げが減っている
・マッコリを入口に新しい顧客層の獲得を目指したい
・マッコリから日本酒の魅力に目覚める人もいるはず

といった話もあって印象的でした。

これこそまさに酒造側から見る国産マッコリの可能性。
日本でマッコリに参入する酒造が増えているのは、
このあたりの戦略性も、大きなキーワードだと思います。

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うさぎのダンス国産マッコリ缶(吉久保酒造・茨城県/180ml)
甘味:3.68P/酸味:1.27P/総合:3.10P

こちらは缶入りで発売された「うさぎのダンス」。
生マッコリのほうは扱いが難しいので業務用のみの販売ですが、
火入れをしたものは、缶入り、ビン入りともに市販されています。

ただ、どうしても生マッコリと飲み比べると、
印象の弱さというのが、見えてしまう部分もあるようです。

・すっきりして飲みやすい。
・甘味が強い。甘酒に似ている。
・甘酒のくせのない感じ
・ややアルコールっぽさを感じるが、缶のほうが好き。
・ビンに比べて大きな違いは香り、旨味。

という肯定的な意見がある一方……。

・飲みやすいが爽快感に欠ける。少し薄い印象。
・薄い。あっさり。発泡感ない。
・生には劣る。
・生のあとだからか、パンチが弱い気がする。
・水っぽい。ただの乳酸飲料。

といった意見も見られました。

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虎マッコリ(有賀醸造・福島/発泡性/700ml)
甘味:1.02P/酸味:2.68P/総合:3.08P

さて、どんどん紹介していきましょう。
国産マッコリといえば、この虎マッコリは外せません。
発泡感が強く、ドライな味わいから、脂の強い料理と相性がよく、
特に焼肉店などで、重宝されている国産マッコリです。

甘味が1.02Pというあたりがよく示していますよね。
ほとんど甘さを感じない、辛党向けのマッコリです。
こういったマッコリはたいてい好みが真っぷたつ。

・日本酒みたいで好きですね。
・辛口で飲みやすい。
・甘いお酒が嫌いな人向き。男性が好きな味では。後味スッキリ。
・これぞTHE辛口。食事とはこの位の味わいがベスト。
・辛い。日本酒が好きな者として好きな味。

・そっけない。冷たい人みたいな印象。
・私にはちょっと無理。
・きつい。男性向け。
・甘さが足らない。ツーンとくる感じ。ちょっと苦い。
・どんな料理と合わせればいいのか……。

日本酒好きな人には喜ばれますが、
そうでない人にはまったくダメ。
男性向けという単語も多く見られました。

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虎ドンドンジュ(大坪酒造店・岐阜/発泡性/700ml)
甘味:0.91P/酸味:3.52P/総合:3.41P

こちらは虎マッコリの兄弟分ですが酒造元違っています。
虎マッコリに比べて発泡感がより強く、またより粗濾しなので、
米などのもろもろとした感じが残っております。

そして、この銘柄こそが掟破りの、甘味0.91P!

5段階評価という前提が見事に破綻しておりますが、
飲んだ皆様のストレートな感想をよく表しております。

・マッコリの枠を超えた味。
・手作りに近い。発酵が素晴らしい。玄人向け。
・虎マッコリの上をいくドライ! 酒飲みにはよし。
・辛口でさっぱりしてどんどんいける。
・虎マッコリが少し歩みよってくれた感じ。辛味はより強いけど優しい。

企画自体が「国産マッコリを飲む会」だったため、
普段以上に、日本酒好き、酒好きな方が集まっていた気がします。

甘味が1以下で、酸味も全銘柄でいちばん高かったにもかかわらず、
総合では「うさぎのダンス生マッコリ」に次ぐ2番手の高得点。
この強烈な個性が、大きなインパクトを与えたようですね。

ただ、その一方で……。

・ウヴ~、男性向け。
・女性には……。

という感想も当然のごとくありました。
ダメな人には、まったくダメというタイプのマッコリです。

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東京マッコリ(千代むすび酒造・鳥取/発泡性/500ml)
甘味:1.83P/酸味:3.00P/総合:3.08P

こちらも辛口で知られるタイプの生マッコリ。
これまでにも、何度かマッコリの会で使わせて頂きましたが、
やはりこれも評価が真っぷたつに割れるタイプです。

今回は日本酒好きが多かったこともあり、

・トータルでいちばんバランス良いかも!
・バランス最高。辛味は感じないが、旨味は残る。
・バランスがいい。飲み飽きない。無難さをもっている。

仕上がりのバランスを褒める声が多かったですね。
個人的には吉久保酒造の専務が褒めていたのも印象的でした。
通好みという単語がもっとも似合うマッコリかもしれません。

またバランス型だけに……。

・他に比べて味が薄い感じがする。あまりパンチがない。

という個性を問うような意見も見られました。
あとは定番ですが、

・鳥取産なのに何故「東京」なのでしょうか?

という声も。

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元祖源一郎さんの生マッコリ(錦灘酒造・鹿児島県/発泡性/900ml)
甘味:1.79P/酸味:3.20P/総合:3.18P

近代焼酎の父と呼ばれる河内源一郎さんの名前を冠したマッコリ。
河内源一郎さんは本格焼酎用などに使われる白麹菌を発見し、
それを広く普及させたことで、高く評価されている方です。

ラベルの裏には、そんな白麹菌(河内菌)の話や、
河内源一郎さんとマッコリとの関係が書かれておりました。
昭和20年代、当時一緒に働いていた韓国人従業員に、

「君なあ、もうこの菌を持って韓国に帰りなさい。
 韓国で河内菌を広めてや」

と手土産に渡したことがあったとか。
それが現在も、韓国の焼酎、マッコリに広く使われており、
それと同じ菌で作ったのがこのマッコリとのことです。
いわば、現代韓国マッコリの原点ともいうべき銘柄ですね。

飲んでみると、こちらも甘味が少なく酸味を強く感じました。
麹だけでなく、マッコリとしても原点の味に近い印象です。

・お酒本来の旨味が出ていてとても好き。一般向けには難しいかも。
・どぶろくのようでした。麹が強くて個性的です。
・お米が追いかけてくる。面白くて好き。
・想像以上に酸っぱい。でも飲みやすい。とても油っこい料理には合う。
・バランスがよく、口当たりもいい。酸味がいい。本来の味に近い。

本当に今回はお酒好きな方が多かったですね。
甘味が少なく、酸味の強いマッコリは玄人向けといえましょう。
僕にとっても、非常に印象的な銘柄でした。

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長崎まっこり(杵の川酒造・長崎/発泡性/330ml)
甘味:3.12P/酸味:2.60P/総合:3.07P

こちらは長崎県で造られているマッコリ。
キャップが王冠になっているのは珍しいですね。
ラベルもかわいらしく、

・ラベルもオランダの香りがしてステキ。
・飲み○、ラベルは女性受け◎。
・ビンのデザインはレトロ調で長崎っぽい感じ。
・デザインがかわいい。

とデザインを褒める声が多かったのは印象的でした。
なんでも「こどもびいる」と同じデザイン会社が担当したとか。
味のほうはすっきりさっぱりとしていて、

・サイダーを飲んでいるような感じ。

という意見がたくさん見られました。
沈殿物が少なく、上澄み部分が多いのも特徴的でしたね。

・上澄みは特に飲みやすいです。
・上澄みが美味しすぎる。

と上澄みを評価する声も多かったです。
上澄みをまず飲んで、その後、全体をよく振ってから飲んでと、
2度楽しめるタイプですが……。

・上澄みより混ぜたもののほうが甘味が増す。
・味は混ぜると普通になった。
・上澄みの後に混ぜると少しがっかり。

と混ぜた後は、やや感想が割れた感じです。

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博多まっこり(浜地酒造・福岡/720ml)
甘味:4.24P/酸味:1.52P/総合:3.28P

告知段階では「博多まっこりぃ(磯の澤)」を想定していましたが、
同じ福岡産マッコリでも、浜地酒造が造っているほうでした。
甘く濃厚な「唐草まっこり」、「いとしマッコリ」で有名な蔵です。

この「博多まっこり」という銘柄は僕も初めてでしたが、
飲んでみると、やはり唐草まっこりなどと同じく甘い濃厚系統。
みなさんのアンケートを見ても、4.24Pが示す通り、

・いちばん甘かった!
・超甘~い。

という声が多かったですね。
とはいえ、飲みにくい甘さでは決してなく、

・まろやかで飲みやすい。
・飲み口柔らかく、甘味も強い。マッコリ初心者にはオススメ。
・甘さが一番でした。飲みにくい甘さではありません。
・甘~い。女の子にはいいかも。
・一般的。飲みやすくくせがない。

女性受けするまろやかなマッコリという印象。
こういった甘こってり系も国産マッコリの1ジャンルですね。
もちろんのことながら辛党の方には向かない甘さです。

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金魚マッコリ(秋田清酒・秋田/発泡性/500ml)
甘味:2.98P/酸味:2.46P/総合:3.29P

ラベルに日本語がまったくないのが大胆ですが、
ハングルで「金魚マッコリ」と書かれております。
描かれているのも、それに合わせて2尾の金魚。
秋田県で造られている、ちょっと風流なマッコリですね。

飲んでみると、きめ細かな飲み口でミルキー。

・きめ細やか。うまい。
・飲んだ瞬間のトロみが特徴的。甘く飲みやすい。
・甘酒っぽい感じ。
・まったりとした味。
・濃い~感じ。

感想も独特の口当たりに注目が集まっていました。
もちろんその濃さゆえに、

・ちょっと濃くて喉と舌に残る。二杯で充分。

という意見もありましたね。

・少しひね香がある。日本酒に近い。好きな味。
・バランスよし! 秋田産らしく秋田の酒を思わせる。
・若干酸味もあるがバランスはいい。飲めば飲むほど美味しくなる。

全体的には好評価で、総合のポイントはこれが3番目。
マッコリ好きにも、日本酒好きにも受ける仕上がりだったようです。

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スターマッコリ(秋田清酒・秋田/発泡性/500ml)
甘味:3.33P/酸味:2.35P/総合:2.74P

こちらも秋田県の秋田清酒が造っているマッコリ。
金魚マッコリのほか、マッコリデラックスという銘柄もあり、
いろいろユニークなマッコリを造っているようです。

仕上がりは金魚マッコリと似ていましたが……。

・飲みやすく女性向き。
・飲みやすいです。あっさりしてコクもあります。

という意見がある一方で、

・ちょっとダメでした。薄い印象。
・印象に残らないなぁ……。
・発泡感あるが弱い。
・金魚のが美味しい。ちょっと残念……。
・薄い。酸味も少なく水っぽい。輝いてない。

とパンチの弱さを指摘する声も多数。
同じ醸造元が造るマッコリでも、出来はやっぱり違いますね。
そのあたりも面白い部分ではないかと思います。

というところで、以上10銘柄。

事前の予想通り、どの銘柄もずいぶん個性が強く、
それぞれのよさがあるので、飲み比べる楽しさを満喫できました。
甘いもの、辛いもの、まろやかなもの、発泡感の強いもの。
好みによって選べるのも、国産マッコリのよさです。

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なお、一緒に食べた料理はこんな感じ。

いきなりアイリッシュカレーが出てきて驚きましたが、
会場となった「炙りbar」の新商品ということだそうです。
これを見た瞬間……。

「マッコリってラッシーのかわりにならないかな」

と閃いたのですが、僕が飲んだ限りでは、
見た目のイメージほどには合うとはいえない印象。
とはいえ、タイミング的に甘味の強い、

「うさぎのダンス国産マッコリ(缶)」

が出ていたこともあり、

・カレーの辛さといい具合でマッチ。
・カレーとよく合う。

という感想もありました。

僕がそのとき飲んでいたのが生マッコリだったので、
もしかすると生ではない甘こってり系だったら合ったのかも。
いずれまた機会を改めて試してみたいと思いました。

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あとは、「炙りbar」名物の七輪焼き。

イワシやホッケなどを目の前で炙りつつ、
それを肴に国産マッコリを飲むという感じでした。
普通、マッコリといえば韓国料理と飲むものですが、

・国産マッコリは日本料理に合う

という可能性も導けないかなと思ったり。
これまでの経験でも、日本的な総菜に合う国産マッコリは多く、
組み合わせの面白さは研究の余地がありそうです。

とはいえ、ほかにもキムチの盛り合わせがあったり、
霧島産のサムギョプサル(豚バラ肉)を焼いたりもしました。
国産マッコリでも、韓国料理とよく合うのは大前提です。

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解散後も有志が残って、マッコリを飲み続けました。
ふと気付けば、テーブルの上には空きビンが散乱。
よく飲み、よく食べ、そしてよく語った1日でした。

今後、国産マッコリの世界がどう進化していくか楽しみですが、
この日、参加頂いた皆様は間違いなく国産マッコリを語るパイオニア。

日本酒や焼酎、ワインを何百種類と飲んだ人は世に多くとも、
国産マッコリを10種類飲んだ人は、まだまだそうそういません。
ぜひ、その魅力をあちこちで語って頂きたいと思います。

これからますます拡大するであろう国産マッコリ事情。
その華やかな未来を期待し、今回の後記まとめとさせて頂きます。

ご参加頂いた皆様、吉久保酒造をはじめとする各酒造の皆様、
そして「炙りbar」スタッフの皆様、本当にありがとうございました!

住所:東京都文京区本郷7-2-9SCALA GRIGIA地下1階
電話:03-5842-3829
営業:11:30~14:00、17:30~24:00(月~木)、11:30~14:00、17:30~翌2:00(金)、17:30~24:00(土)
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