「卯年に卯(ミョ)ハンマッコリを飲む会」後記。

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昨日、会の雰囲気だけ速報としてお伝えしましたが、
改めまして、個々のマッコリについて報告したいと思います。

と、その前にひとつ重大な訂正。

「卯年に卯(ミョ)ハンマッコリを飲む会」として告知した会ですが、
もろもろの事情があり、飲めるマッコリが変更になってしまいました。
冒頭の写真に写っている左から3番目と、右から3番目のマッコリが、
その「卯ハンマッコリ」なのですが、数が揃わずディスプレイ用。

その他のマッコリを主として飲む会ということになりました。

ご期待頂いていた皆様には、本当に申し訳ありません。
また、告知の時点で写真が出ていた「黒にんにくマッコリ」も、
この日は残念ながら、お目見えしませんでした。

ということで、さまざまなハプニングを冒頭に謝罪。

とはいえ、日本では飲めない希少な銘柄が揃い、
全体としては、皆様に楽しんで頂けたかと思っています。
改めてそのひとつひとつを、ブログでも紹介させて頂きます。

なお、今回の企画を発案、またマッコリのセレクトをしたのは、
ソウルの弘大にあるマッコリバー「親親(チンチン)」の社長。
数多くのマッコリやマッコリ関連プロジェクトをプロデュースしており、
韓国ではマッコリブームの火付け役として有名な方です。
わざわざこの企画のために、1泊2日で来日してくれました。

コネスト/CHIN CHIN
http://www.konest.com/data/gourmet_mise_detail.html?no=3189

ちなみに昨年行った会も、企画は同社長でした。
そのときの様子は下記をご覧ください。

「寅年にホランイマッコリを飲む会」満員御礼。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1091.html

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ホランイマッコリ(惠正ヌルク都家/生酒/700ml)
甘味:3.06P/酸味:3.26P/香り:3.04P

さて、この日は試飲して頂いた皆様にアンケートを取り、
甘味、酸味、香りを比較して、また簡単な感想を書いて頂きました。
2行目の数値は、それを集計して平均化したもの。
5段階評価で5を最大とし、味の感じ方を数値化しました。

※2011年1月29日追記
計算ミスがあったため数値を修正しました。

ホランイマッコリの場合は甘味が「3.06P」なので、
ほとんどの人が平均的な甘味であると判断したイメージ。
対して、酸味はやや強め、香りは平均的という結果です。

ちなみにこのマッコリは昨年の主役でした。

そのとき僕は感想として……。

=========================
惠正ヌルク都家のホランイマッコリはドライな味の本格派。
全体の中でも甘さが少なく、発泡感も楽しめるタイプです。
ただ、独特の香りがあって、それが持ち味かとも思いましたが、
製造年月日を見るに、ちょっと味のピークを越していた気もします。
=========================

ということを書きました。
今回も改めて飲んでみましたが、感想は変わらなかったですね。
同じように酸味を感じたので、発酵の進みが早いのかもしれませんが、
ただ、こういう系統のマッコリはコアなファンを生みます。

みなさんから頂いたアンケートを見ても……。

・酸味のパンチがきいていてバランスがいい
・すっきり爽やか。食事との相性はこれがナンバーワンだと思う
・いちばん好き。すっきりさっぱり
・すっきり爽やか。甘ったるくなくよい。独特なコクもある
・本格的で力強い印象

・劣化? まずい。
・飲んだ後に若干口に味が残る。クセがあるので好き嫌いが多そう
・すっきりしていて後味に何かが残る。ちょっと独特、個性がある
・酸味がある
・酸味が強い。舌がぴりぴりした

と酸味や香りの部分で評価が真っぷたつでした。
技術的には高いクォリティにあるマッコリだと思いますが、
それが一般受けするかというと、まったくの別問題。
ある種、マッコリの未来を象徴するような銘柄だったと思います。

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小白山黒豆マッコリ(大江醸造場/1700ml)
甘味:3.69P/酸味:2.54P/香り:3.63P

こちらの銘柄は、昨年3月のオフ会でも飲みました。

「FOODEX JAPAN出品マッコリを飲む会」後記。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1104.html

ただ、今回はちょっと趣向が変わり……。

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湯煎にかけて、熱燗にするという飲み方を試しました。
大鍋で湯をわかし、そこに黒豆マッコリ入りのヤカンを投入。
ちょうど熱燗ぐらいの温度まで熱しているところです。

マッコリを温めるというのは、僕も過去にやったのですが、
酸味や苦味が強調されて、あまり美味しいとは感じませんでした。

なので、この飲み方は僕も当初懐疑的だったのですが、
意外なことに、飲んでみるとけっこういけます。
もちろんマッコリの酸味、苦味自体は強調されますが、
それを補う甘さが、黒豆マッコリにはあるんですね。

そこでふと思い出したのが、全州の「母酒(モジュ)」。

マッコリに黒砂糖やシナモンを入れて沸かした飲み物ですが、
これは伝統茶のような飲み口で、酸味をあまり感じません。
飲み方としてはもちろん変則的ですが、冬場の新提案として、
温めて飲むマッコリというのは、開発の余地がありそうですね。

そういえば、過去には柚子茶入りのホットマッコリも飲みましたが、
それも柚子の甘味と酸味がうまく味わいを整えていました。
キーワードはどうやら、甘味の使い方にあるのではと思います。

とはいえ、皆様の反応はアンケートを見る限りいまひとつ。

・いちばん好き。ハマりそう
・日本酒より飲みやすく身体も温まり、冬にはよい
・甘味が倍増。寒い日の1杯目にいいかも

という肯定意見がある一方で……。

・食事と一緒には飲みたくない
・甘味が強すぎて食事と飲むのは厳しい
・甘味を強く感じる。量は飲めない
・冷たいほうがよい
・微妙、甘い。冷たいほうがいいかも。

という否定意見も多数。
斬新な試みではありましたが、一般化まではまだ遠いようです。

なお、この試みに際し、

「韓国語でヤカンはチュジョンジャという」
「チュジョンジャは漢字で酒煎子と書く」
「酒煎子とは酒を温めるための器という意味」
「韓国でも昔はヤカンで熱燗を飲んでいたのだ」

というような解説が「チンチン」の社長から披露されました。

確かに韓国の百科事典などを見るとその説明が出ています。
現在の韓国では、日本式の熱燗を除いて、あまり見ない文化ですが、
どの時代まであったのかなど、興味をそそられるテーマです。 

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トッキマッコリ(惠正ヌルク都家/殺菌/700ml)
甘味:3.39P/酸味:2.88P/香り:2.88P

「卯ハンマッコリ」は飲むことができませんでしたが、
そのかわりに「トッキ(ウサギ)マッコリ」がありました。

このマッコリは、ラベルが2本でセットになっており、
線対称の形で、残りの半月ともう1羽のウサギが描かれています。
横にふたつ並べると、満月と2羽のウサギが見える趣向。
2羽のウサギをつかまえる(2本のマッコリを飲む)と、
同時にふたつの願いがかなう、という設定だそうです。

ただ、これも飲んでの意見が分かれましたね。

・安心する感じ。いつも飲んでいるマッコリ
・日本のどぶろくに近い感じ。和食のお店にも置けそう
・ヨーグルトと同じ味。美味しい。女性向け?
・甘酸っぱいマッコリという感じ
・甘酒に近く、甘味も多くまったり。デザート感覚で飲める

・独特な臭みが気になる
・白酒。飲み口があまり好みではない
・香りは甘かったが思った以上に酸味が強かった
・独特の香り、味。ちょっと土っぽい味が特徴
・濃厚すぎる

肯定的意見の中には、飲みやすいという意見と、
女性に受けそう、という意見が多く見られました。

・かわいいウサギのラベルにピッタリの味

といった感じにラベルも好評価だった様子。
2羽のウサギで願いがかなう、というストーリーも含め、
そのイメージをより追求するとよいのかもしれません。

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白蓮マッコリ(新平醸造場/生酒/375ml)
甘味:3.61P/酸味:3.31P/香り:3.10P

こちらも昨年3月に飲んだマッコリのひとつ。
名前の通り、「白蓮」のエキスが入っているのが特徴です。
昨年飲んだときも思いましたが、これは万人受けする味ですね。
特に「白蓮」の味や香りを強く感じる訳ではないのですが、
マッコリとしての完成度が、バランスよく保たれている印象です。

アンケートを見ても……。

・味がいちばん濃い。バランスよく美味しい
・甘味、コク、すっきり感のバランスがよい
・いちばん好き。バランスがよい
・香りは薄いけどバランスのとれた万人受けする感じ
・香りはアルコールを感じるがいちばんバランスの整った味

バランスという単語がいちばん目立ちました。
会場での反応を見ても、かなりの高評価。

その一方で、

・フレッシュ。ちょっと甘すぎる
・爽やかだけど自分には甘い

という意見もありました。

確かにアンケートの甘味を示すポイントを見ると、
黒豆マッコリに次いで、2番目に甘いマッコリとなっています。
その甘さが苦手、という方もいらしたようです。

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サミインジュ(青山緑水/生酒/700ml)
甘味:2.67P/酸味:2.84P/香り:2.42P

こちらは発酵が専門という大学の先生がプロデュース。
原材料に有機米や蜂蜜を使って造ったという点で、
高級感を演出したプレミアムマッコリです。

その「蜂蜜」という情報も影響したのかもしれませんが、
アンケートを見る限り、多くの方が甘さを指摘しています。
僕自身としても、ひと口目に感じる突出した甘さが印象的でした。
ただし、数値にも見えるように全体としては甘さ控えめ。
飲んだ瞬間の甘さが、さらっと消えていくキレがあります。

それとともにちょっと独特なコクと風味がありましたね。
マッコリというよりも、飲み口としては伝統酒に近い感じですが、
伝統酒のように重くなく、むしろ微発泡感とともに軽い。

評価としては圧倒的に「すっきり」という言葉が多かったです。

・甘味が少し強いけどすっきり飲める
・最初に甘味。しかしすっきりした飲み心地
・すっきりしていて飲みやすい
・酸味が強いがすっきりしていて後を引かない
・うっすら発泡が感じられさっぱりすっきりした感じ

ただ、その一方で、その軽さに戸惑った人も多かった様子。

・味がとっても微妙。甘くもなく酸っぱくもなくわからない
・あまり特徴が感じられない
・うすい? ボトルのデザインは好き
・飲みやすいが普通の味
・個性がないのが個性。飲みやすいが

アンケートを取ったマッコリの中で、このマッコリが唯一、
甘味、酸味、香りの3項目で中間値の3ポイントを下回りました。
すっきり感のぶんだけ、突出した個性が感じられず、
その部分で評価が分かれたのではないかと思います。

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周王山マッコリ(GREEN ROAD/生酒/750ml)
甘味:2.07P/酸味:3.27P/香り:2.23P

最後はちょっとオマケで僕が個人的に加えました。
韓国から銘酒が揃うということで、日本産をひとつ混ぜ、
どのような反応が得られるか興味があったためです。

「周王山マッコリ」は東京都荒川区で生産されるマッコリ。

むしろ三河島の「ママチキン」で造っているマッコリ、
といったほうが、ブログでは通りがいいかもしれませんね。
昨年9月に酒造免許が下りて、正式に醸造を開始。
つい最近になって店だけでなく小売も始まりました。

三河島「ママチキン」で自家製マッコリ&松茸。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1206.html
asahi.com/マッコリの免許
http://www.asahi.com/international/korea/TKY201009240141.html

このマッコリへの評価は、とにかく「辛口」と「ドライ」。
アンケートの甘味ポイントは、限りなく2に近づいています。

・いちばん好き。甘味がなくいつまでも飲みたい
・口の中が爽快になり個人的には好み
・甘味があまりなく生ゆえのサワーな感じが爽やか
・辛口でとても飲みやすい。どの料理とも合いそう
・超ドライ。スッキリ

ただ、そのドライな部分を評価する声とはまた別に、
キレの部分や、香りの物足りなさを指摘する声もありました。

・味が重い
・あっさり。ちょっと粉っぽい
・もったりしている感じ。あまり印象に残らない半面、飽きない
・少し酸味が強い。生ならもう少しすっきりさっぱりがいい
・酸味が強い。甘くないのはよいが香りがないので清涼感にならない

このほか、薄いという意見や、軽いという意見もありました。
その一方で「スタンダードなマッコリ」という声もあり、
このマッコリに関しては、かなり意見がバラついた印象です。

醸造元の方も、試飲会での反応を気にしてらしたので、
みなさんの意見をそっくりフィードバックしてみたいですね。

以上が、今回試飲した6種類のまとめと報告。

このほかにも普段から「美名家」で飲めるマッコリを、
飲み放題ということで、いくつか味わって頂きました。

・韓さん生マッコリ(ソウル酒造/生酒/1000ml)
・済州マッコリ(済州合同醸造、かめに商事/生酒/750ml)
・不老どんどん酒(大邱濁酒、いせそう/生酒/750ml)
・天地水純生マッコリ(大韓酒造、信商事/生酒/750ml)
・済州みかんマッコリ(ウリスル、東亜トレーディング/殺菌/750ml)

実際に出ていたのはこんな感じかな?
ほかにももしかしたら、もっとあったかもしれません。

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料理は「美名家」特製の大鍋オデンを筆頭に……。

・オジンオグイ(イカ焼き)
・チャプチェ(春雨炒め)
・キムパプ2種(海苔巻き)
・ポッサム(茹で豚の葉野菜包み)
・トトリチヂミ(ドングリのチヂミ)
・ミナリチヂミ(セリのチヂミ)
・生高麗人参の蜂蜜添え
・トンチミ(大根の水キムチ)
・ナムル盛り合わせ
・牡蠣入りの白菜キムチ
・ミッパンチャン(副菜3種盛り合わせ)

といった感じで、たっぷり出して頂きました。
マッコリに加えて、その他のアルコール類も飲み放題だったので、
たぶん「美名家」にとっては出血大サービスでしょうね。
中締めの後も、なんだかんだ閉店時間までいましたし。

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ちなみに最後まで残った方には、こんなサービスも。
みなさんに出したトンチミに、素麺を入れたトンチミグクスです。
これをさっぱり頂いて、本日の会はお開きとなりました。

これだけ大規模なオフ会を組むのは久しぶりだったので、
正直、不安でしたが、なんとか無事終わってホッとしています。
不備などもたくさんありましたが、ご参加頂いた皆様、
お店の方々、そして関係者の皆様に、ずいぶんと助けて頂きました。
本当に感謝しております。ありがとうございました!

今年もマッコリの輪がさらに大きく広がるといいですね。

新しいマッコリも日韓でどんどん誕生していますので、
さらなる盛り上がりを期待し、またオフ会なども開催したいと思います。

ちなみに2月19日(土)に開催する第6回の「韓食ナラ」も、
スピンオフ企画として、みんなでマッコリを飲む予定です。
こちらも近日中に告知をさせて頂きますので、
ご興味ある方は、ぜひご参加ください。

店名:美名家
住所:東京都新宿区大久保1-9-17寿ビル2階
電話:03-3203-4088
営業:11:30~24:00
定休:月曜日(祝日の場合は翌日)



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