時代の2歩先「男の韓流スープごはん」の考察。

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先日、ネットでこんな新聞記事を読みました。

ブーム到来!?「スープごはん」 相次いで商品化 レシピ本出版へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091011-00000021-san-soci

詳細は記事を読んで頂くほうがよいかと思いますが、
ざっと要約すると、以下のような内容を伝えています。

不況による内食傾向、ヘルシーなスープブーム、
小麦の高騰によるごはん回帰などから、スープごはんブームが到来。
食品メーカーが相次いで商品化に着手しており、
スープごはんのレシピ本も出版される予定。

この記事を読んでピンと来ました。

このスープごはんブームが本格化して、さらに多様化すれば、
いずれスープごはん天国である韓国料理にも注目が集まるはず。
時代の先の先を読んで、もしかしたら明後日の方向を見ているかもですが、
さりげなく韓国式スープごはんのアピールに力を注ごうと思います。

そして、もう1点。

スープごはんの主なターゲットは女性であろうと思いますが、
韓国式スープごはんの場合は、男性にも喜ばれる要素が充分。
そもそも韓国式スープごはんって、いわゆるクッパプですからね。
飲んだ翌日に食べるヘジャンクク(酔い覚ましのスープ)とほぼ同じ。
お酒好きのお父さん世代にも愛されるスープごはんを提案できます。
先日記事にした、「男の韓流」企画の一環にもなるかもですね。

ということで、韓国の魅力的なスープごはんをまとめ、
いずれの需要に、前もって備えてみたいと思います。
韓国好きの方であれば、ほぼ定番の料理ばかりですけどね。
まとめておけば、いつか何かで役に立つかもしれませんので。

まず冒頭の写真はソルロンタン。

牛骨や内臓などを大釜でぐつぐつ煮込んだ白濁のスープです。
一緒に頬肉なども煮込んでおき、具として加えればできあがり。
味付けはあっさり塩味。コショウと刻みネギを薬味として加えます。
写真のスープにはごはんとともに、素麺も沈んでいたりします。

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ヘジャンククの中でも超定番のソンジクク。
牛の血をにこごりのように固め、具として加えてあります。
ポコポコと小さな穴の開いた、どす黒い塊が牛の血ですね。

聞くとグロテスクな感じですが、味は意外なほどにあっさり。
ほとんど無味に近く、プリプリとした食感を楽しむ食材です。
牛ベースのスープに味噌、唐辛子などで味付けを施し、
具には牛の血のほか、菜っ葉、長ネギなどの野菜も入ります。

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プゴクク。またはプゴヘジャンククとも呼ばれます。
乾燥させたスケトウダラを、牛スープと煮込んだ料理。
いま韓国業界では美肌に効果のあるスープということで、
現在進行形で爆発的なブームが巻き起こっています。

香ばしく、あっさりとした味わいは朝食に最適。
豆腐、ネギ、溶き卵とともに、乾燥スケトウダラも具として味わいます。
好みでアミの塩辛や、ニラキムチを入れても美味しいです。
ごはんは別盛りで出てきていますが、汁にぶち込むのが韓国式。

なお、ソルロンタン、ソンジククはソウルが本場の料理ですが、
このプゴククはスケトウダラの産地である江原道の料理。
韓国も地方ごとにたくさんの個性的な郷土料理がありますが、
その中でもスープごはんは、多様な姿が見られて面白いです。

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こちらは京畿道を中心に親しまれているヘジャンクク。
牛の内臓をどっさり入れたネジャンタン(内臓汁)という料理です。
この写真自体は、日本の店で撮影したものですけどね。
牛の4つの胃袋に加え、ホルモン(小腸)、スジなどが入っています。

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次は忠清道のスープごはんを紹介しようと思ったのですが、
あいにく代表的な料理であるオルゲンイクッパプの写真がありません。
いつかはと思いつつ、まだ食べたことがないんですよね。
カワニナという淡水貝を煮込んだ、滋味深い味のスープごはんです。

ということで上の写真は、さらに下って全羅北道の郷土料理。
大豆モヤシのスープにごはんを入れたコンナムルクッパプです。
スープのベースは昆布、煮干、大根などであっさりと作り、
少量のイカと、アミの塩辛を加えて旨みを引き出します。

モヤシのシャキシャキとした食感と柔らかなごはんの愛称は抜群。
生卵をポトンと落として食べても、美味しく味わえます。

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さらに南下して全羅南道羅州市からコムタンを紹介。
コムタンは牛骨、牛の内臓などを煮込んだスープ料理で、
冒頭で紹介したソルロンタンともよく似ています。
羅州のコムタンは、粉唐辛子を振って仕上げるのが特徴。
ほんのり赤みがかったスープの下に、ごはんが沈んでいます。

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西から東に移って、慶尚北道の慶州市のヘジャンクク。
煮干、昆布のスープをベースに、たっぷりの豆モヤシと酸っぱいキムチ、
海藻のホンダワラとメミルムク(ソバ粉のでんぷんを固めたもの)が入ります。
慶州地域でしか食べられないという、珍しいスタイルのスープごはんです。

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大邱にはタロクッパプという別盛りのスープごはんがあります。
タロクッパプという料理名自体が「別盛りのスープごはん」という意味。
もともとはスープの中にごはんが沈んでいる形式でしたが、
飲食店で別盛りを希望するお客さんがいたことから定着しました。

ソンジククにも似た牛ベースのスープで、牛肉または牛の血が入ります。
とろとろになるまで煮込んだ長ネギも大きな持ち味のひとつですね。
粉唐辛子がたっぷり入ってピリ辛の味わいが食欲をそそります。

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港町の釜山は海産物で有名ですが、豚肉料理も充実しています。
豚骨を24時間かけてじっくり煮込んだスープにごはんを入れた、
テジクッパプは釜山を代表する郷土料理として知られています。

具には薄切りにした茹で肉に加え、スンデ(腸詰め)が入ることも。
好みでアミの塩辛や、タデギと呼ばれる唐辛子ペースト、
ニラのキムチなどを加えると、さらに味わいが引き立ちます。

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慶尚南道は……ずいぶんいろいろな候補があって悩みましたが、
ちょっと豪華にポックク(フグのスープ)などを紹介してみましょうか。

日本も韓国でも、フグといえば高級食材の代名詞ですが、
トラフグのような高いフグだけでなく、値段の安いフグもあります。
韓国ではサバフグやヒガンフグなどをセリと一緒に煮込み、
朝からでも気軽に食べられるようなスープを提供しています。

すっきりとした味わいと、安くてもフグを食べたという贅沢感。
セリの清涼感あふれる香りも含め、南部地域ではおすすめの一品です。

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済州島はモムククと呼ばれる海藻入りのスープごはんが有名。
慶州式のヘジャンククにも入っていた、ホンダワラという海藻が主役です。
豚骨や豚の頭、あるいは内臓などを煮込んだ濃厚なスープに、
ホンダワラのほか、煮込んだ豚肉、内臓などを加えることもあります。

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もうひとつ。済州島といえばミヨックク(ワカメスープ)が有名。
写真は特産品であるウニを入れた贅沢なミヨッククですが、
ウニだけでなく、アマダイ入りのミヨッククなども美味しいです。
魚介類が豊富にとれる、島ならではの贅沢なスープごはんですね。

といった感じに駆け足ですが、いろいろ紹介してみました。
今回は地方のスープごはんを主軸としましたが、
これ以外にも、魅力的なスープごはんがたくさんあります。

スープごはんブームというのが、どれだけ加熱するかわかりませんが、
じっくり情勢を見つつ、韓国方面からもアピールしたいと思います。



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