食客トークのこぼれ話(明太七変化編)。

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昨日一昨日と食客トークのこぼれ話を続けました。
こぼれ話というか、ほぼトークの焼き直し記事でもありますけどね。
せっかく調べたことなので、ブログでも披露させて頂きます。

冒頭の写真は束草の中央市場で撮影したスケトウダラ。

スケトウダラは食客の第1話に登場するのですが、
ずいぶんと印象的な扱われ方をしておりました。

主人公ソンチャンと、その師匠であるオ・ソングン総料理長が、
東海岸まで「釣り物のスケトウダラ」を探しに行くシーン。
スケトウダラなんて大衆魚なんだから、産地まで来る必要ないじゃん、
とぶつぶついうソンチャンを、総料理長がこんなセリフで叱ります。

「食材を探すことも料理人の義務だ!」

ある意味、ドラマの方向性を明確に示したセリフですよね。
ズワイガニのような高級食材ではなく、身近なスケトウダラをまず扱うことで、
食客は素材にこだわるんだ! という主張がより明確になります。

また、不平をいうソンチャンはドラマが進行していく中で、
自ら最高の素材を求め、全国を駆け巡ることになります。
第1話との比較においていえば、それは明らかな成長ですよね。
なかなかに考えられた第1話だったのではないかと思いました。

そして面白いのがセリフに登場するスケトウダラの呼び名。

韓国語でスケトウダラは「ミョンテ(明太)」といいますが、
生のスケトウダラを指して「センテ(生太)」と呼ぶこともあります。

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ちなみにこれは今年2月にソウルで食べたセンテチゲ。
鍋に左上に頭、左下に尻尾がかすかに見え隠れしています。

総料理長が探しているのも、もちろん新鮮なセンテです。

また、それに加えて「釣り物の」という条件が加わります。
釣り物というのは、網でとったものでない、ということとイコール。
網でとると魚同士がぶつかって魚体が傷みやすくなるうえ、
魚自身に与えるストレスも大きくなってよくないとか。

その釣り物を表現して劇中では「ナクシテ」と呼ばれるのですが、
「ナクシ」という部分が「釣り」という単語に相当します。
「ミョンテ(明太)」が「センテ(生太)」に変わっていくように、
「テ(太)」を残し、前をどんどん入れ替えて呼び分けるんですね。

ちなみに網でとったスケトウダラは「クムルテ」。
「クムル」というのが網を意味します。

そして、もうひとつ印象的なセリフがありました。

ソンチャンと総料理長は苦労の末、釣り物を見つけるのですが、
シーズンからちょっと早いため、ずいぶんな値段になります。
それを指して周囲にいた漁業関係者のひとりが、

「こいつはミョンテじゃなくてクムテだ!」

という訳です。
クムテというのは「金太」と書いて値段が高いスケトウダラの意。
これだけの異名が、短い時間にどんどん出てくるのは見ものです。

ちなみに「金~」というのはスケトウダラだけでなく、
他の商品でも値段が高いことを指して使うことがあります。
先日紹介した三千浦の煮干も、

「これはミョルチ(煮干)じゃなくクムチ(金の煮干)だ!」

というセリフが劇中にありました。
個人的にも白菜の値段が高いシーズンに、

「これはキムチじゃなくクムチだ!」

というセリフを聞いたことがあります。
自分でもちょっと使ってみたい言い回しですよね。

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ドラマの中には出てきませんが、
スケトウダラの別称はまだまだあります。

上の写真はスケトウダラを乾燥させた「プゴ(北魚)」。
スケトウダラが北方の海でよくとれることからの別名ですが、
場合によっては「乾太(コンテ)」という言い方もします。

乾燥させることによって保存が可能になるとともに、
熟成された旨味を楽しむことができます。

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代表的な料理がプゴクク(プゴのスープ)ですね。
乾燥させて固くなった身を、棒で叩いて柔らかくし、
じっくり煮込むことでダシにもなり、また具にもなります。
2枚の写真はソウル、市庁裏の有名店にて撮影。

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そのプゴを野外で自然乾燥すれば「ファンテ(黄太)」。
風が強く寒暖差の激しい、江原道の山奥で生産されます。
この写真は江原道鱗蹄郡龍垈里のファンテ村。

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その近辺にあるファンテ専門店にも入りました。
プゴと同じくスープにするほか、薬味ダレを塗って焼いたりもします。
写真中央上にあるのがファンテグイ(黄太焼き)です。

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乾燥だけでなく、冷凍も保存、流通のためには便利ですよね。
こちらは冷凍した明太、「トンテ(凍太)」と呼ばれています。

写真は済州島の西帰浦中央市場で撮影したもの。
おばちゃんがものすごい音を立てながら、年季の入った包丁で、
ガチガチのトンテを、ほとんど割るように切り分けておりました。

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トンテはチゲにして食べることがほとんどですね。
こちらのトンテチゲは東新宿「南陽屋」で食べたもの。
韓国でも何度か食べていると思うのですが、
写真がうまく見つかりませんでした。

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そのほか、スケトウダラの卵は明太子。
韓国語ではミョンナンジョッと呼ばれます。

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チャンジャはスケトウダラの内臓の塩辛。
韓国語ではチャンナンジョッと名前が違うので注意。

ほかにも、

生干しにしたスケトウダラはコダリ。
スケトウダラの幼魚を干したものはノガリ。

など、呼び分け方は本当に多彩。
とれた季節や、産地などを呼び分ける表現もあり、
それだけ食文化に根付いた魚であることがわかります。

ちなみにこの第1話、3~4分ほどの短い時間の中に、
スケトウダラの呼び名が全部で5種類も出てきていました。
それぞれが字幕に表れるものではありませんが、
韓国語を勉強している人はぜひ探してみてください。

とりあえず食客トークのこぼれ話はこれにて終了。
ほかにも面白い話題がわんさか詰まっているのですが、
それはドラマを見ながら、ご自身で楽しんでください。
韓国料理好きな方なら、きっとハマれると思います。



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