マッコルリはいつ「マッコリ」になったのか(前編)。

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先日の記事で、これまで「マッコルリ」と書いてきた表記を、
時代の変化を理由に「マッコリ」と改めることを宣言しました。
個人的にもずいぶん悩みましたが、反響が意外に大きく驚きました。

マッコルリ、マッコリ、マッカリなど呼び名はさまざまですが、
現状を見る限り、ほぼ「マッコリ」で統一されてきた様子。
世間的な人気の獲得とともに、呼び名の定着が生まれています。

では、それがいつ頃から「マッコリ」となったのか。

韓国語を少しかじった人であれば、「コ」と「リ」の間に、
子音のリウル(小文字のエル)が含まれているのをご存知だと思います。
正しくは「マッコリ」でも、「マッコルリ」でもなく、「マッコ〔l〕リ」。
一応、カッコでくくってみましたが読みにくいですね。

まあ、ともかく日本語にはない音なので、
それを「lu=ル」にするか、省略するかで表記していた訳です。
僕の場合は他の子音も含めてすべて表記する方針だったため、
「マッコルリ」と表記する立場を取っておりました。

でも、それが時代とだんだんずれてきたのが変更理由。
「日本に定着した=日本語化した」という解釈から、
「ビビンバ」のような日本語として「マッコリ」にしたということです。

という前提を踏まえ。

タイトルを、いつ「マッコリ」になったのか? としましたが、
これはいつ頃から、日本に定着し、日本語として通じるようになったのか。
という考察であることを、まずお伝えしておきたいと思います。

史料とするのは、韓食日記の過去記事。

2005年末にスタートしたこのブログはこの記事で960本目。
そのうち「マッコルリ」について述べたものだけで117本ありました。
もちろんただ、飲んでいるだけ、というものがほとんどですけどね。
その中から、うまく時代を象徴しているものを抜粋し、
ここ数年のマッコリ事情として、まとめてみたいと思います。

なお、冒頭の写真は、先日全州で飲んだマッコリ。
これから語ることは日本でのこと、そして主に東京でのことなので、
韓国におけるマッコリ事情とは、あまり関係がありません。
本国に対する敬意という意味から、イメージ写真として掲載しました。

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<2006年05月06日>
西新宿「てじまぅる新宿店」で角煮ほか。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-119.html

さて、まず紹介するのは2006年5月の記事。
画像の色合いがずいぶんあせておりますが、
これは時間が経過して劣化した……わけではありません。

昔は質のあまりよくないデジカメで撮影していたので、
室内での料理写真は、あまり色が鮮明に出なかったのです。
このあたりは、ブログそのものの歴史としてご理解ください。

記事の内容は西新宿にオープンしたマッコリバーの話。
ご存知「てじまぅる」グループの2号店として誕生しました。
記事は5月のものですが、オープンは4月28日でした。

この記事における見所は……。

「マッコルリの種類が豊富で、10種類以上の銘柄が揃っています」

とお店の紹介をしていることでしょう。
「てじまぅる」の金在浩社長とも、以前この話をしたのですが、
当時は10種類という数で充分画期的だったんですね。

いまは50種類以上あるそうですから、実に5分の1。

いまのご時勢なら、10種類というのは珍しくありません。
気の利いた韓国料理店なら、マッコリ主体でなくとも用意している数字です。
でも、その当時は「10種類も!」と衝撃的でした。

このあたりがマッコリブームの黎明期といえるでしょう。

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<2006年07月14日>
マッコルリは銘柄を選んで飲む時代に。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-191.html

前の記事から2ヶ月が経過。
それにしてもひどい写真ですが、我慢して話を進めます。
僕はブログでこの時代のマッコリ事情を分析しました。
以下がその記事からの抜粋。

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かつて日本酒は「日本酒」として売られていました。
あるのは冷や、常温、熱燗という飲み方の区別くらい。
それが最近は、何県で作られた何という銘柄で、
日本酒度はどのくらいで、どの料理に合うかまでを細かく分類。
ずいぶんと楽しみ方が増えて喜ばしい限りです。
そして韓国料理店では今、まさにマッコルリが生まれ変わりの真っ最中。
ただ「マッコルリ」として売られていたマッコルリが、
銘柄によって分類され、選択肢を着実に増やしつつあります。
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その実例として、マッコリをたくさん揃えている店を2軒紹介し、
また新たなマッコリ専門店が銀座に出来ることを伝えています。
「どぶろくバー」という名前で15種類のマッコリを用意。
「焼肉トラジ」の系列店で、オープン日は2006年7月25日です。

僕が知る限り、マッコリを店の主軸として掲げたのは、
「てじまぅる新宿店」に続いて、この店が2軒目でした。

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<2006年09月13日>
銀座「どぶろくバーTORAJI」でマッコルリ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-259.html

さて、その次がまさにその「どぶろくバー」。
銀座までわざわざひとりで飲みに行ったのを覚えています。

僕はここでマッコリのパインジュース割りを飲みました。
15種類のマッコリといっても、マッコリの種類が多いのではなく、
むしろマッコリカクテルに力を入れた店だったと記憶しています。
マッコリでカクテルを作る、というのも新鮮な時代でしたね。

またこの日、僕は店に行ったその足で取材を申し込みました。
ちょうどアサヒコムで連載を始めた頃だったんですよね。

<2006年09月27日>
アサヒコム:マッコルリ/種類豊富に、専門店も登場
http://www.asahi.com/international/korea/TKY200609270193.html

7月に書いた考察を、取材を元に再構築して発表。
マッコリブーム到来を知らせるオフィシャルな記事としては、
我ながらかなり早かったのでは、と自己満足に浸っています。

まあ、取材をした「どぶろくバー」は2007年2月28日を持って、
わずか1年足らずで閉店してしまうんですけどね……。

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<2006年10月04日>
自宅で二東マッコルリ(黒豆味)。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-283.html

友人と野外でのバーベキューに繰り出した際、
僕らは新大久保で食材、酒などを買出して行きました。
そのとき発見したのが二東の黒豆マッコリ。

二東といえば、日本でいちばんのシェアを誇る大手です。
その二東が黒豆のマッコリを出したというのが記事の趣旨。
もちろん僕が発見したのがこのとき、というだけなので、
もっと前から出ていたのかもしれませんけどね。

それまでは他社の黒豆マッコリを飲んでいましたが、
大手の二東からも出るなら、メーカーでも区別しなければならない。
同じ黒豆でも、どこの黒豆かが大事になってくる訳です。
それを踏まえて僕はこんな感想を書きました。

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こうして大手メーカーまで参入してくるというのは驚きでした。
マッコルリの多銘柄化は、さらに加熱していくのかもしれません。
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<2006年11月20日>
百歳酒の麹醇堂からマッコルリが新発売。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-330.html

他銘柄化を予感した、その1ヶ月半後。
自宅にマッコリを梱包したクール宅配便が届きました。
百歳酒で有名な麹醇堂から出る新しいマッコリ。
二東に続く、また大きなメーカーの参入が判明しました。

大手企業が絡めば、ブームはいっそう加熱します。
しかも、このマッコリは純米にこだわった高級化路線。
他銘柄化に加え、ブランド化にも展開した瞬間でした。

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<2006年11月29日>
西新宿「てじまぅる新宿店」でマッコルリ飲み比べ(前編)。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-340.html
<2006年11月30日>
西新宿「てじまぅる新宿店」でマッコルリ飲み比べ(後編)。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-341.html

さて、いろいろな銘柄のマッコリが出てくるとなると、
今度はその違いを、どう見極めるかが重要となります。

というより、自分の中でも混乱してくるんですね。

「どのマッコリが、どんな味なのかさっぱりわからん!」
「飲んでわかったつもりになっても、次のときに忘れている!」
「というより飲むと酔っ払うから、忘れて当然!」

といった葛藤が生まれてきます。

「マッコリの個性をそれぞれ明確にする必要があるのではないか」

そんな話を「てじまぅる」の金在浩社長として、
ひとつひとつ飲み比べ、ブログにアップしたのがこの頃です。
このとき「てじまぅる」の品揃えは25種類以上に増えていました。
なお、僕らがこの日飲んだのは約半分に相当する13種類。

最後は結局泥酔して終わるオチなんですけどね。
多様化に対する対応、というのを考え始めた頃でした。

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ちなみに、この日飲んだ中に「虎マッコリ」も入っていました。
従来の甘い口当たりのものとは、正反対のドライな味わい。
これをボトルで頼んでぐいぐい空にするのを「虎退治」と称し、
泥酔街道をひた走っていたのはこの頃からです。

「虎マッコリ」がいつ頃の発売かは情報がないのですが、
他サイトも含め、ネットでたどれる初出は、2006年10月が最初。
おそらくこの年の上半期から夏場にかけてぐらいでしょうか。

後のマッコリ事情に大きな影響を与えた銘柄のひとつ。
いずれ、正式に発売の時期なども調べてみたいと思います。

※追記
問い合わせたところ2003年の発売だそうです。
予想していたよりも、ずいぶん前からあったんですね。
追記として、情報を加えておきます。

といったあたりで2006年に印象的な記事は以上。

ブログで書いた記事だけの情報ではありますが、
印象的な出来事がいくつも重なった革命的な年だったと思います。
まずはここまでを踏まえ、次の記事で2007年以降をまとめます。

……ていうか、次だけで終わらないかもですね。

場合によっては3部作ぐらいになるかもしれません。
長くなりそうですが、宜しくお付き合いください。



5 Responses to マッコルリはいつ「マッコリ」になったのか(前編)。

 

 
 
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