全羅北道を巡るFAMツアー後記(後編)。

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前編から続きます。

全羅北道を巡る3泊4日のFAMツアー。
3日目の朝は扶安名物のアサリ粥から始まりました。
このあたりの海岸は干潟に囲まれており、
アサリ、ハマグリなどの貝類が多くとれることで有名です。

運ばれてきたアサリ粥を、箸でほじくり返し、
アサリのむき身を、中央に並べて演出を施します。
ブログを長くやっていると、こうした小細工も身に付きますね。
ほかにも緑豆、ニンジン、ネギなどが具に入っています。

で、写真を撮り終えて、食べ始めたのですが、

「あ、あれ!?」

先ほどの小細工がある意味無駄であることに気付きました。
器の中から、出るわ、出るわ、あまりに大量のアサリ。
事前に撒かれた潮干狩りぐらいに、アサリが掘り出されてきます。

その量たるや、冗談抜きにスプーンひと口につき1匹。

1人前に3~40匹は入っていたと思います。
いくら小さい貝とはいえ、ここまでの大盤振る舞いは産地ならでは。
もちろんそれだけの量を入れて煮込んだおかげで、
ごはんにもアサリの旨味が染み込んでたいへん美味でした。

同行した方々の多くも、

「アサリ粥がいちばん美味しかった」

とツアーの最後に言っておられましたね。
僕自身にとっても、たいへん印象的な料理でした。

前述の通り扶安郡はハマグリも有名なので、
店によってはアサリ粥だけでなく、ハマグリ粥も置いています。
アサリ入りのカルグクス(手打ちうどん)なども見かけましたし、
いずれまた行く機会があれば、他の貝料理にもチャレンジしたいです。

ひとつ気がかりなのは干拓工事が進んでいることですかね。

全羅北道の経済を支える大規模な工事が進行中で、
一部、干潟も埋め立てられていると聞いています。
地域経済の活性化ももちろん大事なことではありますが、
ぜひ地元の郷土料理も大切にして欲しいと思います。

店名:元祖パジラッチュク
住所:全羅北道扶安郡辺山面大項里90-12
電話:063-583-9763
http://www.wonjo1.com

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同じく扶安郡からもうひとつ。

扶安郡のコムソという地域は塩辛で有名な場所。
もともと天日塩を作る塩田事業で栄えた町で、
その塩と豊富な魚介類を使った塩辛が名物となりました。

「コムソ塩辛団地」と呼ばれるエリアには販売店が林立。
季節ごとに内容を入れ替えつつ、40種類ほどの塩辛を扱っています。

明太子やチャンジャ(スケトウダラの内臓の塩辛)といった、
メジャーどころから、聞いたことのないようなマイナー塩辛まで。
店の中にはずらりと塩辛ばかりが並べられています。

ざっと思い返すだけで……。

イカ、サザエ、タチウオの内臓、ホタテのヒモ、ベイカ、
牡蠣、テナガダコ、カズノコ、イシモチ、ヌマエビ……。

といった感じ。

この中から、チャンジャ、ベイカの塩辛、
塩辛入りサムジャン(包み味噌)の3種を購入してきました。
いま自宅でいろいろな料理にアレンジしながら楽しんでおります。

ちなみに購入の最低単位は500グラムから。
7000~1万ウォンぐらいの価格帯がもっとも多かったです。

店名:鎭西ジョッカル食品(チンソジョッカルシクプム)
住所:全羅北道扶安郡鎭西面鎭西里熊淵1215-46
電話:063-582-7418

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さて、扶安を観光した後、高敞に移動。
高敞は世界遺産であるコインドル遺跡のある町です。
一昨日の記事で、その一部を紹介しました。

時間がなくて、じっくり見ることはできませんでしたが、
資料館も充実していて、なかなか勉強になりました。
いつか時間をかけてゆっくり見て周りたい場所ですね。

ちなみにその高敞、名物料理はウナギです。

その名を「プンチョンチャンオ(風川ウナギ)」といい、
海水と淡水の入り混じる汽水域で育ったウナギを指します。
ただ、近年は日本と同様に天然物が激減しており、
そのほとんどが養殖、または半養殖となっています。

半養殖というのはウナギの稚魚を川や干潟に放流し、
限りなく自然に近い環境で飼育したウナギのこと。
現地では「天然化ウナギ」とも呼ばれておりました。
日本でいえば「天然仕立て」という感じですかね。

焼き方は塩、醤油ダレ、辛い薬味ダレの3種がありますが、
この日はすべて塩焼きにしたものを頂きました。

以前に食べたときは、やや泥臭さを感じたものですが、
この日食べたウナギは、そういう風味がありませんでしたね。
八角入りの醤油ダレや、サムジャン(包み味噌)につけて食べるほか、
サンチュに包んだり、豆の葉の醤油漬けに包んだりもします。
薬味として細切りにしたショウガを加えるのも韓国式ですね。

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そのウナギともっとも相性がよいとされるのが覆盆子酒。
昨日も書きましたが、トックリイチゴなどの山イチゴを漬けたものです。
口当たりのよい甘味と、ほのかな渋み、酸味を楽しめる果実酒。
高敞の地酒として有名ですが、この店では自家製も提供していました。

市販品も悪くありませんが、自家製はやっぱり濃さが違う。

全羅道に住む方も、大事な人を接待する場合は、
自家製で作っている人のところに行って分けてもらうのだとか。
どんなお酒でもそうですが、地元の人が飲んでいる昔ながらのものが、
いちばん美味しい、というのは揺るがしがたい事実です。

「この店も手作りだけど、客に出さないやつがうまいんだ」

なんて話を地元の方から聞いて、いそうヨダレが流れたり。
僕にとってはこの手作りも充分衝撃的でしたけどね。

なお、通常は1.8リットル、3万ウォンで出しているとのこと。
ただ必ずその量でなければならないということはなく、
1万ウォン分、2万ウォン分なども、対応してくれるようです。

店名:ウジョン
住所:全羅北道高敞郡高敞邑月谷里283-1
電話:063-563-3242

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夜は再び全州に戻って2度目の韓定食。
この日は、韓屋村の中にあるお店を訪れました。

伝統文化の息づく町並みの中にある1軒にふさわしく、
こちらのご主人はチャンゴという打楽器の名手です。
地元のお偉いさんと食事をご一緒させて頂いたために、
ご主人がわざわざ、チャンゴとパンソリを披露してくれました。

それだけでも充分に贅沢な体験ですが、
テーブルいっぱいに並んだ料理も贅沢でした。

上の写真にあるのは、

クジョルパン(肉と野菜の蕎麦粉クレープ包み)
カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け)
・サマプ(エイの刺身、豚肉、キムチの盛り合わせ)
・ヘパリネンチェ(クラゲの冷製)
・ジョン(海苔、カボチャ、白身魚の衣焼き)
・セウプライ(エビフライ)
・ケランサム(野菜やキノコの薄焼き卵包み)
・サラダ2種
・白菜キムチ
・10品の副菜

といったラインナップですが、
これが着席時に並んでいる、いわゆる前菜扱い。

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全部を語るとキリがないので詳細は割愛しますが……。

神仙炉(宮中式鍋料理)
・チョギグイ(イシモチ焼き)
トドックイ(ツルニンジン焼き)
ヤクシク(甘い韓国式のおこわ)
ユッケ(韓国式の牛刺身)
・フンジェオリ(アヒルの燻製)
カルビチム(牛カルビの煮込み)
・セウメウンタン(エビの辛い鍋料理)

といった料理が続々と出てきます。
料理は日によって少しずつ違うでしょうけどね。
これだけ出てくれば、さすがというものです。

ちなみに上の写真は神仙炉。
野菜やキノコの衣焼き、薄切りにした茹で肉などが、
彩り豊かに並べられている宮中の宴会用鍋料理です。

店名:芸家(イェガ)
住所:全羅北道全州市完山区豊南洞3街76-49
電話:063-288-8005

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韓定食を食べて腹を作ったら、次は飲みに出ます。
この流れは1日目とまったく同じですね。
1日目はカメクという妙な居酒屋を楽しみましたが、
この日は、全州が誇るマッコルリタウンを訪問。
たっぷり食べた直後に、またも料理がどっさり並びます。

全州では巨大ヤカン入りのマッコルリを注文すると、
料理はすべてタダで出てくるという脅威のシステム。
また、そのヤカンを追加すればするほど、
料理がよりゴージャスになっていったりもします。

そのため次は何の料理が出てくるのか気になって、
ついついマッコルリをぐいぐい飲んでしまうんですね。
飲んべえ泣かせの、よく出来たシステムだと思います。

ただ、この日は地元のお偉いさんと一緒だったせいか、
最初からずらりとご馳走が並べられている状況でした。

中央にある鍋料理はチョギメウンタン(イシモチの鍋)。

ほかにも刺身があったり、エイの蒸し煮があったり。
茹でたカニのハサミだけとか、モチトウモロコシとか、
少し変わった料理が細々と並んでおりました。

店名:全州生マッコルリ
住所:全羅北道全州市完山区三川洞1街621-11
電話:063-237-1170

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そして、出ました。これぞテバサキ!

韓定食、マッコルリタウンを終えての3次会で、
ようやく念願かなって、テバサキを食べられました。
名古屋式のスパイシーな味付けを生かしつつ、
中に具を詰めて餃子風にしてしまうのが全州式。

詳細についてはメルマガの最新号をごらんください。

コリアうめーや!!第197号
http://www.melonpan.net/letter/backnumber.php?back_rid=618047

店名:Debasaki牙中店
住所:全羅北道全州市徳津区牛牙洞2街915-13
電話:063-247-9898
http://www.debasaki.co.kr/

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さて、さんざん飲んだ翌朝。

当然のごとく、胃腸は2日酔いでへたっています。
そこに喝! を入れて呼び覚ますのがコンナムルクッパプ
モヤシスープにごはんを入れた全州を代表する朝ごはんです。

本来は目的としていた店が別にあったのですが、
時間の都合上、ホテルの周辺で解決することにしました。

通りすがりの人に何人も声をかけつつ、
教えてもらったのが、店名も、メニューも、電話すらない店。

店の中には10人ほどが座れる巨大なテーブルがひとつ。
テーブルの向こうでは、お母さんが超スピードで調理を続けており、
出来上がったところから、コンナムルクッパプを提供します。

客は席に着くと注文することすらせず、ひたすらじっと待つのみ。
料理が出てくる直前にお母さんが、

「あんたたちはどうする!?」

と聞くのに答えるのが唯一の発話。
どうする!? というのは辛さのレベルに関する質問で、

「メプケ(辛く)」
「アン メプケ(辛くなく)」
「ポトン(普通)」

から選ぶことになります。
ちなみにその辛さは、刻んだ青唐辛子の量で調整。
あとは一応、具であるイカの追加というオプションもあり、
辛さを選択すると同時に、

「オジンオ チュセヨ(イカください)」

という選択肢が生まれます。
なんだか二郎でラーメンを食べるような店ですね。
店の貼り紙には、

「残したら罰金500ウォン」

などとも書かれており、妙な緊張感が走ります。
その間、横で作業しているお父さんは、ひたすらに黙々と、
海苔を切ったり、わずか1皿の副菜を出したり、洗い物をしたり。
妙に気を消した超スピードで、同じく作業を進めています。

そんなスタイルが気に入られてか、早朝から行列ができる人気店。

韓国人が並んで朝食を食べているというのはすごいですね。
普通でもけっこう辛いコンナムルクッパプでしたが、なかなかの美味。
雰囲気のディープさも手伝って、朝から大満足でした。

店名:不詳
住所:全羅北道全州市完山区太平洞(以下不明)
電話:なし

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全州での最後の食事は「盛味堂」のビビンバでした。

全州エリアでは名の通った有名ビビンバ店のひとつ。
ごはんがコチュジャンベースのタレと馴染むようフライパンで炒め、
オレンジ色になったところに、具を乗せていくスタイルが特徴です。

すでにごはんに味がついているので念入りに混ぜる必要がなく、
スプーンで米をつぶしてしまわないメリットがあります。

全州に行き始めた頃から、何度も通っている店ですが、
3年前に支店がオープンしていたのを、初めて知りました。
車で到着して最初は……。

「あれ、改装したのかな」

と思いましたが、そもそも違う場所でした。
市内にある本店(中央店)のほか、若者に人気のエリアである、
西新洞に新たな支店(西新店)を構えたということです。

本店と違って、支店はキャパシティも多く、内装もきれい。
団体での利用には便利かもしれませんね。
個人的には古びた本店のほうが、味があって好きですが。

店名:盛味堂西新店
住所:全羅北道全州市西新洞261
電話:063-273-0029
http://www.sungmidang.com/

といった感じで、今回のFAMツアーは終了。

この後、全州から車で約3時間。
仁川空港に到着して、日本に戻ってきました。

短い間でしたが、貴重な体験をさせて頂きましたね。
初めて食べるものも多く、全羅北道のまた新たな魅力を知りました。
そしていつものごとく、新たな宿題もやまほど残してきたので、
今後、さらに通い詰めつつ、その魅力を探求したいと思います。

以上、駆け足でしたがFAMツアーの後記。

全羅北道の魅力が少しでも伝われば幸いです。
また、この中のいくつかは、さらに深く、細かく切り込みつつ、
エピソードも交えて、メルマガで紹介したいと思います。



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