第2回「食の異文化交流~粉食のすべて」後記。

08101101.jpg

えーと、ビビンバツアーに出る前日の話ですね。
予告のまま更新を放置し、後記を書いておりませんでした。
たいへん遅くなりましたが報告をさせて頂きます。

「食の異文化交流」は師匠こと佐野良一さんプロデュース。
韓国料理の話を聞きながら、韓国料理を味わうイベントです。
今年の7月に第1回として豚肉をテーマに開催し、
それに続く今回は、「粉食(プンシク)のすべて」としました。

会場となったのは、いつもの「イーストアジアン新宿」。
ご参加頂いた方々は、25人超というくらいでしたか。
お忙しい中、ご参加頂きありがとうございました。

冒頭の写真は、会場の様子を後ろから撮影したもの。
一部、みなさんの顔が写っているのでボカシを入れてあります。

08101102.jpg

こちらは話をする師匠側からの1枚。
盛況な様子がよく伝わるかと思います。
師匠がこの日、お話しされたのは……。

・粉食とは何か
・粉食店(プンシクチプ)とは
 →誕生の背景
 →宮中料理との関連性
・インスタントラーメンの誕生
・中華文化圏粉食の歴史
・韓国に伝わった中国風粉食
 →クジョルパンなど
・粉食店の現状

といった感じ。
粉食と聞くと、チープなイメージがあるものですが、
中国料理や宮中料理などから普及の理由を解き明かし、
時代の変遷を踏まえつつ、語って頂きました。

08101103.jpg

そんな話の合間に料理も続々と登場。
事前打ち合わせのときにも、この写真をアップしましたが、
宮中料理のひとつで、ピョンス(片水)といいます。

水餃子に見える、という指摘がコメントにありましたが、
当たらずとも遠からず、といったところでしょうか。

ピョンスの特徴は、冷やした牛スープに浮かべる点。
冷やすと牛スープは脂が固まるのでそれをよく取り除き、
澄んだ味わいに仕上げるのがポイントだそうです。
具には刻んだシイタケ、野菜、牛肉などが入っています。

朝鮮時代の宮中で食べられていた真夏の涼味。
宮中料理の先生である師匠の妹さんが指導に当たり、
スタッフの皆さんが前日に夜鍋して作ったそうです。

08101104.jpg

ピョンスの後に、ピンデトク(緑豆のお焼き)が出たのですが、
裏方作業をしているうちに、写真を撮り逃しました。

上の写真は、3品目として出てきたチェムルカルグクス。
チェムルというのが茹で汁を表し、カルグクスは手打ちうどん。
茹で汁ごと提供し、薬味醤油で味付けるシンプルなカルグクスです。
いうなれば韓国式の釜揚げうどんといったところでしょうか。

もともと韓国のカルグクスはスープで煮る場合が多く、
粉が溶け出して、とろとろになるのが特徴のひとつでもあります。
このチェムルカルグクスは、シンプルな煮干ダシのスープで作成。
その煮干も捨てずに、具として一緒に味わいました。

薬味醤油を足さなければ、ダシの旨みと、麺に練り込んだ塩味、
そして小麦粉の味だけなのですが、それでも充分美味しいです。
小麦粉の味をストレートに楽しむ料理とでも表現しましょうか。
もちろん薬味醤油を足し、好みでニラのキムチを加えても美味です。

08101105.jpg

そして、ここからがバトンタッチで僕の出番。
以前の記事にも書きましたが、打ち合わせをしていたときに、

「宮中の粉食は育ちのいいワシがやる!」
「顔がB級のお前はB級粉食をやるように!」
「ガハハハハハハ!」

という会話がありました。

そのB級粉食というのが、こちらの一品。
辛ラーメンに卵とチーズをトッピングしたシンゲッチ。
といいつつ、説明と料理に忙しかったので写真がないのです。
ソウルの新村で撮った本物でご容赦ください。

なんでこの料理を披露したのかは裏話があるんですけどね。
ここではちょっと書きにくいので割愛させて頂きます。

08101106.jpg

もう1品。

チャパゲティに卵とチーズをトッピングしたチャゲッチ。
シンゲッチとともに、隠れた新村名物として人気の一品です。
これも予定にはありませんでしたが、おまけで作りました。

08100802.jpg

デザートはこれまた宮中菓子の梅雀菓(メジャッカ)です。
見た目が梅にとまった雀のように見えることから梅雀菓なのですが、
説明している師匠も、

「いくら頑張ってもうそう見えん。見えた人はぜひ教えて欲しい!」

とおっしゃっておりました。
まあ、確かに宮中菓子と知らずに見たら、
ねじりコンニャクを模した揚げ菓子ですもんね。
小麦粉の生地を薄く成型し、長方形に切って中央に切れ目。
くるんと内側にねじって、写真の形に仕上げます。

それを油で揚げて蜜につけて食べるのが正式。
この日は柚子茶につけて味わいました。
生地に練り込んだショウガの風味が効いていましたね。

この梅雀菓とともに40年もののプーアル茶を飲んで終了。
第2回の「異文化交流」も無事終了となりました。

主催をしたアジアハウスと師匠の間では、
第3回を行うとの話も、少しずつ進行している様子。
今度はどんなテーマになるのか一切聞かされていませんが、
次回も楽しみにしたいと思います。

ていうか、僕にももっといい役を欲しいですね。

師匠が宮中料理で、僕がシンゲッチってあまりに露骨。
弟子を踏み台にしてでも目立とうという師匠ならではの組み立てです。
にもかかわらず、終わった後の師匠は……。

「シンゲッチのせいで宮中料理の話がかすんだ」
「料理の順番をもっと考えるんだった」
「美味しいところはみんな八田が持っていった」

とぶちぶちいっておられました。
作れっていったのは師匠じゃないですか! とのセリフを飲み込み、
翌日からの韓国出張に向けて、この日は早々に帰宅した次第。
次回、師匠と弟子の不協和音も、もしかしたら見所かもしれません(笑)。

<過去の関連日記>
(07月07日)「第1回食の異文化交流会」後記。



3 Responses to 第2回「食の異文化交流~粉食のすべて」後記。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

 

 
 
previous next