7月5日(土)に新大久保の「イーストアジアン新宿」にて、
「第1回食の異文化交流会」が開催されました。
全体のプロデュース、講師役には僕の師匠でもある佐野良一さん。
70年代から韓国と携わり、韓国の食文化に精通している方です。
この日の設定されたテーマは「韓国食に根付く豚肉文化」。
以前までは「韓国といえば焼肉(牛)」という認識が主流でしたが、
最近は「韓国では牛よりも豚」との事実も広まってきています。
それをさらに一歩すすめ、なぜ韓国で豚肉料理が定着したか。
その経緯や背景なども含めつつ、佐野さんに語って頂きました。
ちょうどこの日の会場である「イーストアジアン新宿」は、
新大久保を代表する豚焼肉店「てじまぅる」グループと同系列。
上質の豚肉が揃う、という意味でもぴったりのテーマでした。
料理の話を聞くとともに、料理を味わうのもこの日の目的。
その準備として、前日から「てじまぅる」でベーススープを作りました。
山形県平田牧場産の三元豚をブロックのまま煮込み、
ぐつぐつ時間をかけて、うまみをじっくり引き出していきます。
開会とともに、参加者皆様のテーブルにカセットコンロが置かれ、
ベーススープを火にかけ、目の前で調理していくという趣向。
佐野さんの話に添って、少しずつ材料が加えられていきます。
写真はスープに優しい甘味を加える切干大根。
この切干大根を戻した水も加え、最大限に大根の味を利用します。
水気を絞った白菜キムチも加えて、さらに煮込みつつ、
最後にメインの食材である「おから」を投入。
現在は北朝鮮に属する平安道の郷土料理。
ピジチゲ(おからのチゲ)がこの日の1品目として完成します。
ちなみに、このピジチゲには一切の味付けをせず、
食べる人が好みで、ヤンニョムジャン(薬味醤油)を加えます。
でも、食べてみたら、そのままでも充分美味しかったですね。
おからのふわっとした食感と、豆や大根のほのかな甘味。
そこにベーススープのこってりとしたうまみ重なり合って絶品。
白菜キムチから出た、わずかな塩気で充分美味しいです。
ピジチゲとタイミングを合わせてキムチパプも完成。
業務用の巨大な炊飯器で炊いたため、フタを開けると同時に、
ぶわわわわーっと、食欲をわしづかみにする香りが流れ出ました。
ごはんに豚肉と水気を絞った古漬けの白菜キムチ。
これをザク切りにして炊き込んだ、同じく平安道の郷土料理です。
スープだけでなく、煮込んだ塊の豚肉もしっかり賞味。
今度は韓国の南端に位置する済州島式で味わいます。
ポイントはまな板に乗って出てくるというその1点。
茹で豚をまな板に乗せて供する、トムベゴギという郷土料理です。
トムベというのが、済州島方言でまな板のこと、ゴギが肉ですね。
通常は塊の豚バラ肉を煮込んで、適当な大きさに切るだけですが、
今回はそれを1歩進め、骨付きの状態で提供することにしました。
きれいに盛り付けた状態がこちら。
よく煮込まれているので、骨が肉からするんと抜けます。
骨ごとの茹で肉で手づかみで味わう快感、というのは初体験でした。
韓国でもあまり見たことがないですが、楽しい食べ方ですよね。
ちなみに肉の奥にあるのはアミの塩辛とイワシの塩辛。
肉を塩辛につけて味わう、というのも済州島の重要な食文化です。
シメはブログでも、少し事前に公開していたモムクク。
済州島方言でモム(和名はホンダワラ)と呼ばれる海藻を、
豚ベースのスープで煮込んだ、済州島の慶祝料理です。
かつて済州島では祝い事があると、豚1頭をつぶし、
家族、親戚、ご近所さんなどで豚肉料理を味わったといいます。
貴重なご馳走である豚肉を、余すことなく茹で汁まで味わうため、
作られたのが、このモムククであったのだとか。
シャキシャキと軽快な食感と、磯の香りが魅力のスープ。
刻んだニンニク、少量の味噌、塩だけでシンプルに味付けつつ、
小麦粉を溶いて、若干のとろみを加えるのがポイントです。
ということで、この日作った料理は以上の4品。
飲みながら、食べながら、話を聞きながら、写真も撮りながら。
みんなでワイワイと楽しめたのではないかと思います。
料理や全体のプロデュースを含め、貴重な体験をさせて頂いた、
佐野さんには心から感謝したいと思います。
ご参加くださった皆様もありがとうございました。
また機会があれば、このような会を開催できればと思います。
会場では気の早いことに、日程まで確定していましたけどね。
いずれまた、正式にお伝えしたいと思います。
店名:イーストアジアン新宿
住所:東京都新宿区百人町1-12-2セイザ新宿301号
電話:03-6413-7104
営業:応相談
定休:なし
http://r.gnavi.co.jp/a359600/custom1.htm
9 Responses to 「第1回食の異文化交流会」後記。