東京で本格的なプデチゲ(ハムやソーセージの鍋)を食べるなら、
どこよりもまず、湯島まで足を運ぶことをオススメします。
去年、取材ではお邪魔しましたが、ブログでは書けなかったお店。
ようやく紹介できました。湯島の「元祖ブデチゲ」です。
韓国でプデチゲの元祖とされているのは京畿道の議政府市。
発祥には諸説ありますが、米軍基地に近いこの町で、
基地から流出した缶詰類をチゲ風に仕立てたという説が有力です。
現在も議政府市にはプデチゲの専門店通りがあり、
元祖の誇りから、ここでは「議政府チゲ」の名でも呼んでいます。
その専門店通りの中でも、元祖格とされるのが「オデン食堂」。
創業当時はオデンを売る店だったので、名前がそのまま残っています。
「元祖ブデチゲ」は、その「オデン食堂」創業者の親戚(確か姪)が経営。
味の決め手となるタデギ(合わせ調味料)も同じものを使っています。
店のお母さんが言うには、議政府にはタデギ作りの達人がおり、
専門店通りのほとんどの店が同じタデギを使っているのだとか。
この配合は誰にも明かされておらず、店の人に聞いてもわかりません。
グツグツ煮込まれてくると、独特のクセのある香りがふわーん。
チョングッチャン(発酵味噌)系の発酵した香りがするのですが、
それが何なのかは、一切わからないというジレンマです。
タデギが同じなので、味の決め手となるのはハムやソーセージの質と、
ベースとなる牛骨スープをどう作るかにかかっているそうです。
この店では、具を盛り付けた鍋をテーブルにセッティングした後、
ヤカンから白濁したスープを注ぎ込むところが見られます。
ちなみにハム、ソーセージ類は韓国からアメリカ産のものを輸入。
もともとが米軍基地からの流出品だけに、アメリカ産が合うようです。
またプデチゲに欠かせないチーズは日本の専門店に特別注文し、
この店のためにスライスしてもらっているものだそうです。
それだけのこだわりを持って作ったプデチゲはやはり絶品。
特に秘伝のタデギが溶けたスープは、独特のコクがあって美味です。
そんなプデチゲを食べつつ、サイドメニューもいくつか。
カムジャジョン(ジャガイモのチヂミ)や、ケランマリ(卵焼き)、
チェユッポックム(豚肉炒め)などを食べました。
これだけでも充分に満足ですが、この店の魅力はさらにここから。
本場、議政府にもない、特別なシメが残っています。
韓国の鍋料理というと、残った汁にごはんを入れるのが定番。
といっても日本の雑炊のように汁がたっぷりではなく、
雑炊とチャーハンの中間程度で、炒めるようにごはんを加えます。
ところがこの店では普通の店よりも汁を少なめにし、
ごはんも冷凍して極力水分を飛ばしたパラパラのものを使用。
ごはんにスープを吸わせ、具にエゴマの葉と刻み海苔を加え、
溶き卵をかけ回したら、そこに驚くほど大量のゴマ油。
そんなにたっぷり入れて大丈夫なのか? というくらい入れます。
この日はバイトのお姉さんだったせいか、ちょっと少なめでしたが、
店のお母さんがやると、本当にかなりの量が入ります。
ゴマ油を全体に馴染ませるとともに、ごはんを鍋全体に広げます。
浅く広い鍋なので、むしろ鉄板に貼り付けていくような感じ。
ゴマ油がプチプチと弾け、ごはんが揚げられているようにも見えます。
その後、火を止めたら、そのまましばらく放置。
ここでうっかり食べ始めると、店の人に怒られます。
店の人も付きっ切りではないので、じっと眺めることになりますが、
いくら不安になっても、じっくり我慢するのが肝要。
どうやらある程度、冷まして落ち着かせる必要があるようです。
しばらくすると店の人が戻ってきてスプーンでガリガリ。
中央にはパラパラ、カリッカリのチャーハンが出来あがり。
ゴマ油の香りが香ばしい、喜びのシメとなります。
店ではこれを「炒めメシ」と呼んでいるようですが、
これはこの店のお母さんが独自に開発したオリジナルの食べ方。
韓国料理としては独特ですが、一見、一食の価値ありです。
なお、プデチゲのサイズは小、中、大と選ぶことができますが、
店の目安よりも、ボリュームは少ないと考えたほうが無難です。
2人で中サイズ、3~4人で大サイズくらいでいい感じ。
僕らは5人だったので、大サイズがあっという間になくなりました。
麺の追加や、トッピングなどで調節をするのがよさそうです。
店名:元祖ブデチゲ
住所:東京都文京区湯島3-38-11第2みよしビル1階
電話:03-3834-4563
営業:11:30~14:30、17:00~翌2:00(月~金)、12:00~14:30、17:00~翌2:00(土)
定休:日曜日、祝日
http://www.budechige.jp
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