コリアうめーや!!第267号

コリアうめーや!!第267号

<ごあいさつ>
4月15日になりました。
先週の雨で、東京の桜は散っています。
ピンク色に染まる4月が過ぎ去り、
新緑の5月が近づいてきました。
ゴールデンウィークはすぐそこですね。
連休の過ごし方なども妄想しつつ、
いまがいちばん楽しい時期かもしれません。
さて、そんな中、今号のテーマですが、
個人的にひとつ大きな節目を迎えました。
大多数の方には無関係な節目ですが、
この場を借りて、それを振り返ってみたいなと。
思いっきり、自己満足な内容ですが、
それもいつものことと、お付き合いください。
コリアうめーや!!第267号。
自らの軌跡をたどる、スタートです。

<食の韓流!この5年半を振り返る!!>

先日、とある連載仕事が終了した。

2006年9月のスタートだったので、
ちょうど5年半に渡って続いた計算になる。
僕の仕事としては相当長期の部類に入る。

その媒体というのがアサヒコム(asahi.com)。

朝日新聞社の運営するインターネットサイトで、
その国際ページに韓国料理のコラムを書いていた。
タイトルはこのメールマガジンから流用し、

「コリアうめーや!!」

である。

アサヒコム/コリアうめーや!!
http://www.asahi.com/international/korea/

ちなみにこのタイトルには伏線があり、
もとは朝日新聞九州版での紙面連載が始まりだった。
2005年の「日韓友情年」記念企画で、
タイトルは、

「コリアうまかー!!」

となっていた。

メルマガからとって、博多弁になったものが、
ネットコラムで標準語になり、結局もとに戻った形。
まさか5年半も続くとは思っていなかったが、
せっかくなので、この5年半を振り返ってみたい。

ちなみにこの連載は最終回までに全77本あるが、
そのすべてがネット上に残っていて閲覧できる。

バックナンバーとしてのリンクは2年分だが、
ページそのものは残っており、それを下記にまとめた。
興味のある方は、つまみ食いで読んで頂きたい。

韓食日記/アサヒコム「コリアうめーや!!」記事一覧。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1373.html

もちろん情報そのものは古くなっているし、
紹介した店舗も閉店してしまったところは多い。
だが、ここ数年の韓国料理事情を追いかける上では、
手前味噌だが、貴重な資料になっていると思う。

さて、まずは企画の背景から振り返ろう。
この企画がスタートした2006年9月というのは、
日本に韓国料理店が少しずつ増え始めてきた頃。

「冬ソナ」に始まった韓流の勢いが多方面に傾き、
文化面への関心としても広がり始めた頃だ。

当時、僕が書いた企画書を見ると……。

=========================
日韓共催サッカーW杯、韓国映画・ドラマブームを経て、
韓国の文化は着実に日本の暮らしに浸透している。
韓国の食文化も日本に溶け込んでおり、巷には韓国料理店が増え、
韓国料理が食卓に並ぶことも珍しくなくなった。
日本に根を生やし始めた韓国食文化の最新事情を追いかけてみたい。
=========================

というようなことが書かれている。
いま見て、時代を感じるのは、

・巷には韓国料理店が増え
・韓国料理が食卓に並ぶことも珍しくなくなった
・日本に根を生やし始めた韓国食文化

といった部分だろう。
書いている僕の感覚からも「走り」の意識が垣間見える。
韓国料理がこれから盛り上がる、という予感を、
最新事情として追いかけたいというのが狙いだった。

すなわち、フィールドは日本である。

韓国料理をテーマとしつつ、本場韓国ではなく、
日本における韓国料理事情を追いかける。
それは2005年末にブログ「韓食日記」を始め、
日本を意識し始めた僕にとって念願の仕事であった。

ちなみにそれがムックの形で実現したのが、
2007年9月刊行の「東京 本気の韓国料理店」。
アサヒコムでのコラム開始から1年後だった。

第1回目のテーマにはスンドゥブチゲを選んだ。

01-スンドゥブチゲ(2006年09月13日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY200609130248.html

その冒頭で僕はこんなことを書いている。

=========================
韓国で生まれ、アメリカで育った韓国料理が、
日本の地で新たに根付こうとしている。
=========================

この時点で、スンドゥブチゲの知名度は、
韓国好きを除くと、一般的にはほぼ皆無だった。

だが、専門店ができ、ドラマとの相乗効果があり、
日本的な食べ方、楽しみ方も登場し始めている。
日本における韓国料理の定着を追いかけるうえで、
第1回は絶対コレ、と意気込んで書いたのを覚えている。

現在、スンドゥブチゲは韓国料理の新定番として、
確固たる地位を築き、知名度も格段に高めた。
その出発点を第1回で取り上げたと思うと感慨深い。

そして、この後も特定料理の専門店を取材し、
定着の兆しを見つける記事はコラムの主軸となった。
以下に印象的な回をいくつか列挙しておく。

10-タッカンマリ(2007年01月31日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY200701310225.html
29-キムパプ(2008年3月14日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY200803130315.html
51-家庭で楽しむ韓国料理(2010年1月19日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY201001190204.html
68-Market O(マーケットオー)(2011年6月29日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY201106290275.html
77-ケランパン(2012年3月28日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY201203280190.html

追い求めたのが定着の兆しであるため、
必ずしもすべてが日本で定着したとはいえない。
長い目で見た、定着過程の途中といえるものもあるが、
それでも、その瞬間の時代性は見えるかと思う。

そして、第2回はマッコリを取り上げた。

02-マッコルリ(2006年09月27日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY200609270193.html

マッコリの銘柄が増え、マッコリバーも登場。
それを踏まえて、僕はこんなことを書いた。

=========================
銘柄を選んで自分好みのマッコルリを飲む。
マッコルリの新しい楽しみ方が、少しずつ日本に定着しつつある。
=========================

まだ、マッコリではなく「マッコルリ」と表記している。
僕がこれを「マッコリ」に変えたのは2009年5月。
そういったことを踏まえても、時代を感じさせる記事だ。

日本におけるマッコリブームの起点を探るのは難しいが、
少なくとも僕が意識し始めたのはこの頃だった。
以来、このコラムでも何度となくマッコリの話題を扱った。

34-生マッコルリ(2008年8月25日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY200808250114.html
46-韓国の地方マッコリ(2009年9月1日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY200909010158.html
57-ジョンとマッコリ(2010年7月27日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY201007270331.html
59-マッコリの免許(2010年9月24日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY201009240141.html
76-日本でマッコリを造る理由(2012年2月24日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY201202240329.html

マッコリの多銘柄化から、生マッコリの普及、
韓国の地方マッコリと国産マッコリの増加。
日本におけるマッコリの歩みがここに凝縮されている。

もちろん、こうした定着から進化という流れは、
マッコリに限った話ではなく、ほかにも例がある。
例えば、サムギョプサル、サムゲタンという料理は、
初期に取り上げた後、アレンジ版もテーマにした。

04-サムギョプサル(2006年10月27日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY200610270172.html
52-サムギョプサルの個性(2010年2月26日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY201002260143.html

14-サムゲタン(2007年04月15日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY200704150063.html
70-サムゲタンのアレンジ(2011年8月30日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY201108300208.html

このあたりからも時代性が見えてくる。

そして、第3回……を語ろうと思ったが、
このままひとつずつ取り上げては話が長すぎる。
いくら自己満足の振り返り企画とはいえ、
ものには限度というものがあるだろう。

次の振り返りを最後としよう。

このコラムでやりたかったひとつが地方取材。
僕が東京にいるため、どうしても東京の取材が多かったが、
出来る限りで地方の話題も取り上げるようにした。

15-各務原キムチ(2007年05月03日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY200705030067.html
32-大阪のスンドゥブチゲ事情(2008年6月26日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY200806260138.html
33-ちりとり鍋(2008年7月28日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY200807280145.html
62-鶴橋のB級グルメ(2010年12月29日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY201012290114.html
65-韓国料理と郷土の食(2011年3月29日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY201103290223.html
72-済州島のテールスープ(2011年10月31日)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY201110310201.html

やはりというか地域は大阪が多かったが、
その土地ごとに、違った韓国料理の姿が見えて面白かった。
日韓というよりも、地域と異文化の融合だろう。

このテーマはむしろこれからが重要である。

東京、大阪以外の地域でも韓国料理が普及し、
土台ができたことで、新たな試みも増えてきている。
アサヒコムでの連載は終わってしまったが、
今後の課題として、さらに追いかけてみたい。

そして、それはもちろん地方の話題だけではない。

日本における韓国料理の定着は現在進行中であり、
日本だからこそできる韓国料理の取材はまだまだ多い。
コラムとは関係なく、これは自分の仕事。
アンテナを立てて、しっかり追いかけたいと思う。

今回、連載が終わったことで初期の原稿を読み返し、
文章の拙さに悶絶しながらも、いろいろ感慨があった。
おそらくいまこの2012年に振り返ったことも、
数年後に見れば、また違った発見があるだろう。

そのときのために。

いま現在の発信を頑張らねばならない。
新たな道を模索しつつ、まずはこれでひと区切り。
貴重な場を与えて頂いた関係者の方々と、
お付き合い頂いた読者皆様に深く感謝致します。

<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
Twitter
http://twitter.com/kansyoku_nikki
FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki

<八田氏の独り言>
見ていくと懐かしい人の写真もあります。
取材させて頂いた方々にも深く感謝ですね。

コリアうめーや!!第267号
2012年4月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com

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