コリアうめーや!!第45号

コリアうめーや!!第45号

<ごあいさつ>
1月8日から韓国に来ています。
しばらくソウルに滞在していましたが、
今は春川という所に来ています。
ソウルから汽車に乗って東へ約2時間。
最近は日本でもだいぶ知られてきた、
タッカルビという料理で有名な所です。
ここで名物のタッカルビを堪能し、
次は東海岸のあたりまで出ようと思っています。
韓国をぐるぐる回るうまいもの探しの旅。
まだまだ続く予定です。
さて、コリアうめーや第45号。
現在旅行中ということで、
このメルマガは旅先のネットカフェで書かれています。
隣では韓国の若者がゲームに興じており、
あたりは爆音混じりの機械音とタバコの煙でいっぱい。
少しよどんだ空気とは裏腹に、
おいしい韓国料理の話がスタートです。

<新堂洞で食べるご馳走トッポッキ!!>

日本人が「ちゃんぽん」と聞いて長崎を思い浮かべるように。
あるいは「きりたんぽ」と聞いて秋田を思い浮かべるように。
はたまた「うなぎぱい」と聞いて浜松を思い浮かべるように。

韓国にもご当地料理というものが存在する。
その地方を代表する料理。地方の名前を冠した料理がたくさんある。
すでに全国区料理として知られる石焼きビビンバや冷麺も、
ルーツをたどればそれぞれ地方の名物料理である。

ソウルではこれらの地方料理をすべて食べることができる。
東京でも同じことだが、首都には各地方から料理が集まってくる。
それはさながら韓国料理の全国大会を見ているようだ。

しかし、どうだろう。

全国大会出場は確かにレベルの高い争いではあるが、
地方から全国を目指して火花を散らす戦いはよりスリリングだ。

甲子園での試合を見るよりも、
甲子園出場を賭けた地方予選にドラマがあるように。
地方で出会う真剣勝負は純粋な感動がある。

全国大会出場を夢見て流す、血と汗と涙。
無心に白球を追いかける高校球児。
たっちゃん、南を甲子園に連れてって。

今回八田氏が韓国に来た目的こそが、
地方大会というドラマを見に行くことなのである。

今までソウルで食べていた料理をその地元で食べる。
石焼きビビンバは全羅道の全州で! 冷麺は北朝鮮の平壌で!(無理)
そこにはまた違った感動があるはずである。

現在はまだ旅行中なので地方の名物まで手が届かないが、
次回の第46号ではある程度まとまった報告ができると思う。

そこで今号は旅の話の手始めとして、ソウルにある名物通りの話を書いてみたい。
地方都市の名物ではなく、さらに細分化されたおらが町の名物料理。
地方大会よりも、そのまた下の地区予選レベルの話だ。

前置きが長くなった。

ソウルに限ったことではないが、韓国には名物通りの類が多い。

チョッパル(豚足)を食べるのなら奨忠洞。
アグチム(アンコウの蒸し煮)を食べるのなら方背洞。
スンデボックム(腸詰めの炒めもの)を食べるのなら新林洞。
これら、みーんな名物通りである。

今回はその中から新堂洞というところでトッポッキを食べて来た。

トッポッキとは韓国の餅を甘辛いソースで炒めた料理。
若い女の子たちを中心に人気が高く、屋台料理のひとつとして知られる。
小腹が空いたときに軽くつまんで食べる韓国のおやつである。

餅炒めといっても、トッポッキの餅は日本の餅とは違い、
うるち米を使っているので、うにゅーんと伸びたりはしない。
ねっちりとした歯触りとともに、心地よくぷっつりと切れる。

具に野菜や、おでんの練りものなどを加えるが、
あくまでもメインは白く細長いうるち米の餅。
ほのかな米の甘みと、歯触り、舌触りを楽しむ料理である。

ところが、新堂洞に来ると話がまったく変わる。

普段おやつとして認識されているトッポッキが、
新堂洞ではご馳走のひとつとして地位を築いているのである。
もちろん屋台で軽くつまむなんてもってのほか。
きちんと座って、エプロンまでして厳かに食べる。

その新堂洞が誇るご馳走トッポッキを食べに行ってきた。

ソウルの地下鉄2、6号線に乗り、新堂駅で下車。
徒歩5~10分ほどで新堂洞トッポッキタウンに到着する。
入口のゲートをくぐると道路の両脇にトッポッキ専門店がずらり。
あちらもこちらもトッポッキ専門店である。

ちなみにこうした名物通りは、
有名店がひとつ誕生したことに端を発することが多い。

韓国ではひとつあたると、どんどん類似品が出てくるのが常で、
2匹目のドジョウはおろか、3匹、4匹、5匹と徹底的に捕まえ倒して、
やがては雨後のタケノコ化する。

似たような店が林立し、名物通りとして認知されていくのだ。

新堂洞トッポッキタウンの場合は通りの1番手前にある店が元祖。
休日ともなれば各地から人が押し寄せ、店の前に行列ができる。

20分並んで店に入った。
中は超満員。人とトッポッキを焼く鉄板の熱気でむんむんしている。
屋台のトッポッキの場合は調理された状態で出てくるが、
この店では丸い鉄板を囲んで焼肉のように調理しながら食べる。

座るとほぼ同時に人数分のトッポッキが運ばれてきた。
鉄板には調理前のトッポッキが山盛りになっている。

ここのトッポッキは餅以外の具がものすごい。
ラーメン、揚げギョウザ、ゆでたまご、おでん、チョルミョンという麺。
キャベツ、長ネギ、ニンジン、サツマイモ、そしてメインの餅。

見るものを圧倒する迫力。
まさにご馳走トッポッキだ。

この大量の具を目の前の鉄板でこね混ぜながら炒めていく。
真っ赤なソースを全体にからめ、味の均一化を図りながら炒める。
最初は少な目にダシ汁がはられており、炒めるよりむしろ煮る感覚に近いが、
そのうち麺などに吸収され、徐々に炒め物に変化していく。

ラーメンが煮えたあたりでフォークを突っ込んで食べ始める。
やれラーメンだ。やれ揚げギョウザだ。キャベツだ、ネギだ。
餅ではなく他の具ばかりがフォークに突き刺さって口に運ばれていく。
餅が主役の料理だが、新堂洞では餅以外の具が大きな顔をしている。

食べ始めると、トッポッキ特有の甘さが舌に広がる。
ソースが奏でる、蜜を思わせるような濃厚な甘さ。
餅を噛みしめると米の甘みも感じられる。
キャベツやサツマイモなどの甘み系野菜も多く入っている。

その甘みを唐辛子ベースのソースがぎゅっと引きしめる。
始めは甘く感じるトッポッキも、段々と辛さ方面へと導かれていく。

おいしい。甘い。
でも辛い。汗が出る。舌がはあはあ。

おいしい。甘い。もっと食べたい。
やっぱり辛い。一口水飲んで、舌がはらひれ。

唐辛子の刺激的な辛さが次第に甘さを阻んでいく。
甘いけれども辛い。辛いけれども甘い。
まさに食べるアメとムチ。舌の上の1人SM。
背反する2種類の味覚が襲う希有な料理である。

汗だくだくでトッポッキを食べ終わる。
舌の上ではやはり辛さの方が少し勝ったようだ。
少しじんじんしているのがわかる。

よってトッポッキを食べた後は、
絶対的にソフトクリームを食べることになっている。

トッポッキを食べた後はソフトクリーム。
辛さが勝ったところをさらなる甘さで静めるのだ。

甘さと辛さの行ったり来たり。
味覚が織り成す、舌上のスクランブル交差点。

新堂洞トッポッキの真実がここにある。

<お知らせ>
旅行中につきホームページの更新ができません。
写真のアップは帰国後の2月上旬になります。
http://www.koparis.com/~hatta/

<八田氏の独り言>
寒波が近付いて来ているそうです。
冬の江原道といったら寒さの代名詞のような場所。
恐怖におののく八田氏です。

コリアうめーや!!第45号
2003年1月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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