池袋「KollaBo」でスンドゥブチゲ&生マッコリほか。

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「すごい店が出来たぁぁぁぁぁ!!」

と思わず興奮してしまうような大事件です。

池袋の東口、三越跡に先月末オープンしたヤマダ電機。
「LABI1日本総本店池袋」の7階レストランフロアに、
とんでもないコンセプトの韓国料理店が入っておりました。

「KollaBo(コラボ)」という店名が示す通り、
いろいろな店がコラボレーションしてできたのがこのお店。
と書けばシンプルですが、そこに参画した面子が尋常じゃありません。

日韓の7ブランドが単一店舗になっているのですが、
まず、その筆頭として掲げられているのが……。

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1962年創業の「ソゴンドントゥッペギチプ」。

スンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋)をはじめとした、
トゥッペギ(素焼きのチゲ用鍋)料理の専門店。
スンドゥブチゲの歴史を作った老舗のひとつですね。

もともとは明洞エリアの小公洞(ソゴンドン)で生まれ、
現在はチェーン展開して、ソウル各地で見かける有名店。
芸能人が多く訪れることで有名な「三成店」をはじめ、
狎鴎亭洞、ノニョン洞など、現在は約30店舗があるようです。

お店の方からも少し話を聞きましたが、
現在は韓国から現オーナーの2代目が直々に来ているとのこと。
日本進出に際し、日本人向けの改良も提案されたそうですが、

「味付けは絶対に変えない!」

という強いポリシーで却下したとか。
豆腐こそ、日本の有名豆腐店から豆乳を仕入れ、
店で自家製しておりますが、後の味付け、作り方は韓国と同じ。
アサリの味わいを強調した、懐かしい味のするスンドゥブチゲでしたね。
近年流行のLA式とは違う、韓国本土の味付けです。

ただ、味付けは変えない、といっても元が比較的穏やかな味なので、
変えなくても大丈夫、との判断もあったのかもしれません。
辛さが控えめであるかわり、ニンニクはしっかり効かせてありました。

写真では僕がスプーン使いを誤って卵をつぶしてしまいました。
アサリだけでなく、右上には牡蠣も見えるかと思います。

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韓国での味付けを変えない代わりに開発されたのが、
鶏ベースのスープで味わう、サムゲタン風のスンドゥブチゲ。
2日かけてじっくり煮込んだ鶏スープに、豆腐を入れて煮込んでいます。
日本で定着しつつある、白スンドゥブの一種という感じでしょう。

また、この日は食べておりませんが、直火の炒め物もこの店の自慢。

韓国ではチカグイ(直火焼き)と呼ばれているそうですが、
底の深いフライパンで、火を立てながら炒めるスタイルの料理です。
通路に面してキッチンがガラス張りになっているので、
そこから作っているところだけ見学させて頂きました。

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「ソゴンドントゥッペギチプ」だけでも充分なニュースですが、
それに輪をかけて驚いたのが、「トゥクタ」の進出でしょう。

日本での知名度はまだほとんどないにも等しい状態ですが、
韓国では絶賛売り出し中の生マッコリ専門居酒屋。
学生街を中心に、急速度で店舗数を伸ばしているお店です。

今年6月にMBCの取材を受けてマッコリ行脚をした際、
若者のマッコリ回帰を象徴する店、として訪れたのが「トゥクタ」でした。
その直後にも、「るるぶ」の取材で再度訪れているので、
もし手元に「るるぶソウル’10」がある人はぜひ確認してみてください。

この店がすごいのは、京畿道から無形文化財の指定を受けた、
伝統酒造りの名人がマッコリを作っているということ。
無農薬の京畿米を100%使用しているというのも大きなウリです。

いわばこれも、酒蔵と外食産業のコラボなんでしょうね。

そんな名人が造るマッコリが、生の状態で韓国から空輸され、
いつでも東京で飲める、というのは本当にすごいこと。
唯一、賞味期限だけが心配でしたが、やはり長くは持たないようですね。
特別な冷蔵庫で発酵を緩やかにしても、3~4週間が限度とか。

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そして「トゥクタ」のウリは生マッコリだけでなく、
むしろ、新鮮な生フルーツを使用したマッコリカクテルにあります。
学生街で若い世代に受けているのが、まさにこのポイント。
贅沢に生マッコリを使って作る、というのはもったいない気もしますけどね。

感覚としてはジュースっぽさに傾くので、お酒の強くない人向け。
口当たりがよく、飲みやすいので女性の受けもいいでしょうね。

写真はキウイマッコリですが、そのほかにもフルーツ各種。
モモ、巨峰、覆盆子(山イチゴ)、パイナップル&シークァーサー、
マンゴー、ブルーベリー&ヨーグルトといろいろ揃っています。

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「トゥクタ」提供おつまみの、チヂミ盛り合わせ。

おそらく日によって食材の構成はかわると思いますが、
この日は、カボチャ、サツマイモ、エホバク(カボチャの未熟果)、
剥きエビ、トングランテン(ひき肉)の5種類でした。

マッコリに合うおつまみを担当店が用意している、
というのもまた嬉しい心配りのひとつですね。

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そして、もう1店舗。

こちらも韓国で200店舗以上を展開する有名チェーン。
日本では「元祖燻製サムギョプサル」の名前をつけておりますが、
もともと韓国では「ポルチプ」という名前で呼ばれています。

「ポルチプ」というのは韓国語で「ハチノス(牛の第2胃)」のこと。
ブロックの豚バラ肉に包丁目をたくさん入れてハチノス風の見た目にし、
肉質が柔らかくなるように工夫したサムギョプサルの専門店です。
日本ではまだ稀ですが、韓国ではこのスタイルのサムギョプサルは、
ポルチプサムギョプサルとしてだいぶ認知されてきたようですね。

また、この料理は下焼きの段階で、薫香を染み込ませるのも特徴。
包丁目は肉質を柔らかくするとともに、香りも染み込ませる工夫でもあります。
日本では店名からも、その燻製部分をよりアピールしていくようですね。

ちなみにこの店、韓国ではイ・スンファンさんという、
お笑い芸人(同名の歌手ではなく)が経営する店としても有名。
ソウルでは新村、弘大、大学路、江南などに店があるようですね。
僕は新月洞本店を、昨年版の「るるぶソウル」で取材しました。
この店も、まさか日本で出会えるとは! というお店ですね。

といった感じで、まず3店舗の店を紹介してみましたが、
これ以外にも韓国からはサムパプ(ごはんの葉野菜包み)店が1軒。
仁寺洞のカフェが1軒、「KollaBo」に参加しております。

残り2軒は大阪からの東京進出店で、まず炭火焼肉の「高麗屋」。
イ・ビョンホンさんが来店して絶賛したという触れ込みのお店です。
最高級黒毛和牛をリーズナブルな価格で提供しているのが特徴です。

もう1軒は心斎橋で営業する「グラスゴー」という喫茶店。
仁寺洞カフェとともに、ランチタイムからカフェタイムに活躍します。
昼、午後、夜と主役の店が変化していくのも面白いですね。

といった感じに、冒頭から興奮気味に語ってみましたが、
いやはや、本当に話題が盛りだくさんの店で書くのに時間がかかりました。
ただ、内容の大半をどんな店舗かという説明に費やしたように、
このコラボ、本当にすごいことなのですが、ブランドの名前だけを見て、

「すごい!」

と思える人はそこまで多くないと思います。
そこそこのリピーターで、「ソゴンドントゥッペギチプ」を知っているぐらい。
「トゥクタ」、「ポルチプ」は在住者であれば、という程度かと思います。

まだ、オープンして2週間ばかりの新しい店ですが、
今後いちばんの課題は、何がすごいのかを伝えることでしょうね。
特に店の中でブースが分かれているという訳でもないので、
見た目上は、単にメニューの豊富な韓国料理店に過ぎません。

もちろん普通の韓国料理店として行ってもいい店ですが、
これだけの店を集めて、それはあまりにももったいない話。
たくさんの店の思いとこだわりが結集して出来ている店ですから、
それを余すところなく発信し、多くの人に伝えて欲しいと思います。

僕もぐるなびで偶然見つけ、「なんだこれ!?」と慌てて行ったのですが、
これだけ目立つ場所にあって、まだ取材もほとんど入っていないとか。
ネットにもほとんど情報がなく、おかげで僕個人は特ダネ気分ですが、
それ以上に、もったいない! という思いでいっぱいです。

あと、もうひとつ。

ぐるなびを見て頂ければ、わかるかと思いますが、
これだけの店を揃えておいて、心配になるほど安いです。

もちろん激安! という訳ではなく、標準価格より少し下程度ですが、
スンドゥブチゲは単品980円。ランチは石釜ごはんなどがついて1000円。
生マッコリはひと甕(500ml)900円。サイズが小さいので少なく思えますが、
倍の1リットルにしても1800円なら、充分お得なお値段かと。

池袋という立地条件も影響しているのかもしれませんけどね。
韓国好きな方には、ぜひ1度足を運んで頂きたいと思います。

店名:KollaBo(コラボ)
住所:東京都豊島区東池袋1-5-7LABI1日本総本店池袋7階
電話:03-5944-9211
営業:11:00~17:00、18:00~23:00
定休:なし



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