コリアうめーや!!第183号

コリアうめーや!!第183号

<ごあいさつ>
10月15日になりました。
だいぶ夏の気配も消えて秋まっただ中。
もうそろそろ冬支度のほうも本格化ですね。
韓国であればオンドル(床暖房)がありますが、
日本はそれがないぶん室内が寒い!
特に6月から引っ越した我が家は寒さに弱く、
この冬を乗り切れるかどうかが心配です。
いっぱい重ね着して、頭から毛布もかぶって、
震えながら仕事をする日々が来るような予感。
今後メルマガの文章に誤字や脱字が増えたのなら、
それはキーボードを叩く手が震えていると思ってください。
ええ、決してアルコール中毒ではありません。
さて、今号のコリアうめーや!!ですが、
冬を迎えつつある、地元の話を紹介してみます。
コリアン・フード・コラムニストが暮らす
生活の場とはいったいどんなところなのか。
コリアうめーや!!第183号。
半径1キロ以内の話題で、スタートです。

<便利だバンザイ三河島ライフ!!>

6月に結婚して新居を三河島に構えた。

構えたといっても実際は賃貸なので、
正確には三河島に間借りしているという程度。
ついつい大げさに書いてしまいがちだ。

三河島は東京都荒川区に位置する町のひとつ。
ただし町名としての三河島はすでになく、
JR常磐線の駅名として残るのみである。

ちなみに三河島は上野、日暮里の次に位置し、
山手線からひと駅というたいへん便利な場所にある。

なお、反対方向へ行くと、南千住、北千住と続き、
千葉県の松戸、柏を越えて、やがては茨城県に突入。
果ては福島県を通って宮城県まで行けるという路線である。
停車駅の一覧を見ているだけで夢の広がる町だ。

ただし、そんな便利な場所であるにもかかわらず、
実際は東京の人でも存在を知らない人は多い。

「どちらにお住まいなんです?」
「三河島です」
「……って、どこ?」

という会話をここ4ヶ月で50回ぐらいした。
東京の人に語るのであれば、

「日暮里の隣です」

で事足りるのだが、東京以外の人には、

「上野のちょっと先です」

と答えなければわかってもらえない。
前に住んでいた板橋区を説明するよりは楽だが、
それを聞いた相手が、

「あー、なるほど!」

と相槌を打ちつつも、明らかにピンときておらず、
この人どこに住んでいるんだ、という空気はけっこうつらい。
まして、韓国人に説明するのは困難を極める。

「どちらにお住まいなんです?」
「三河島です」
「……って、どこの島?」

という会話が実際にあった。

どうやら東京湾あたりから船に乗っていくような、
どこぞの島に引っ越したと思われたらしい。
三河島といっても地続きで、別に島ではないのだ、
という説明をするのに12分ほどを要した。

そんな韓国人に説明するのも苦労するような町だが、
意外にも韓国との関係はたいへん深かったりする。

三河島は50年、60年と歴史の続くコリアンタウン。

その多くは済州島から移り住んだ人たちで、
現在もその子孫である、在日の2世、3世が多い。

町を歩くと古い焼肉店やホルモン焼き店が多数点在し、
韓国食材店や、ニューカマー系の韓国料理店も多い。
住宅街の表札を見ても、韓国系の名前が目立つという感じだ。

従って、一部の韓国好きには非常に有名な町。

「どちらにお住まいなんです?」
「三河島です」
「わざわざそんなとこ選んで。好きだねえ」

という答えが返ってくる。

でも違うのだ。

実際は奥さんが山手線の田端にもともと住んでおり、
その近辺、ないし隣駅の西日暮里周辺で新居を探していたのだ。
この2駅は山手線にける、もっとも不人気なエリアで、
便利な場所であるにもかかわらず家賃相場が安い。

便利で安いなら多少不人気でもいいじゃない。

そう思ってあれこれ探し始めたのだが、
築年数や広さに贅沢はいわずとも、やはり駅前は高い。
予算に応じて少しずつ、駅から離れて行った結果、
西日暮里駅徒歩15分のところが、三河島駅徒歩4分だった。

韓国が好きだからコリアンタウンに住んだのではなく、
たまたま住んだところがコリアンタウンだった。

そう力説していたところ、

「八田くん、それは何かに呼ばれたんだよ」

という人があった。

うん、それはそうかもしれない。
事実、暮らし始めてこの4カ月。
三河島という町が楽しくて仕方がない。

僕はいま韓国料理の魅力を語る人だが、
今後は三河島の魅力を語る人でもありたいと思う。

例えば先日、三河島に遊びに来た人がいた。
軽く町を案内して、家の近所にある韓国料理店へ行く。
この韓国料理店がまたいいところにあるのだ。

我が家から徒歩2分。

ちなみに駅までが4分という立地だが、
最寄りのコンビニまでは5分。スーパーは4分かかる。
また、いちばん近い韓国食材店までは3分。
家からの便利度で考えると、

韓国料理店>韓国食材店>駅=スーパー>コンビニ

という図式が出来上がる。

こうなるとコンビニなんて便利でもなんでもない。
必要なものは韓国食材店で購入すればいいし、
コンビニ弁当を買うぐらいなら韓国料理店でいい。
韓国ライフで暮らすほうがよっぽど便利だ。

ちなみに遊びに来た友人とは終電近くまで飲んだ。

友人はそれから電車で帰らなければならないが、
僕らは店を出てから2分で自宅に到着する。

これこそが夢のコリアンタウンライフ。

それまでに通っていた新大久保であれば、
板橋区の家まで1時間弱はかかる計算であった。

飲んだ後のその距離が嫌で、よくタクシーを利用した。
散財もいいところで、いま考えてももったいない。
三河島に住むメリットは経済的なことでもある。

またある日は、駅前にある居酒屋に入ってみた。

カウンター主体の小ぎれいな家庭料理居酒屋。
ホッピーを飲みながら煮込みでも食べようと思ったら、
メニューに韓国系の料理がさりげなく多い。

・蒸し鶏
・キムチポッカ
・牛テール蒸し

これらはいわゆる在日系料理の代表格だ。

蒸し鶏は鶏を丸ごと豪快に蒸した料理。
韓国でいえば、丸鶏を茹でるタッペクスクに似ている。
茹でるか蒸すかの違いはあれど、味はほとんど同じ。
鶏本来のうまさを味わえる豪快さが魅力だ。

キムチポッカは豚肉と白菜キムチの融合。
その両者を炒めた、豚キムチ炒めがほとんどだが、
場合によって煮込む場合もあるようだ。

三河島のその店では少なめの煮汁で煮込んでいた。

一般的な鍋料理であるキムチチゲとも違うし、
豚肉とキムチを蒸し煮にするキムチチムとも違う。
韓国料理の範囲内では微妙に定義のしにくい、
在日家庭ならではの料理が、しっかり伝わっている。

今年は大阪に出かけて在日料理を探索しているが、
三河島も丹念に調べると面白い結果が出せるかもしれない。

牛テール蒸しは、牛の尻尾部分を蒸したもの。
これも韓国でならコリチムと呼ぶ料理だ。

飲み物の欄にもマッコルリ(どぶろく)と韓国焼酎があり、
常連客らしき人の会話も、韓国系の話題が多い。

意図せずとも自然に韓国料理が食べられる町。
それもまた三河島の大きな魅力である。

家で自炊する場合もたいへんに便利だ。

最近は外食を控え、できるだけ家で作るようにしている。
徒歩6~7分のところに昔ながらの商店街があるので、
最寄りのスーパーよりもそちらを多く利用している。

この商店街というのが、また混ざっていて面白い。

青果店、精肉店、韓国食材店、鮮魚店、生花店、和菓子店、
韓国ビデオ店、大型スーパー、果物店、雑貨店、衣料品店。

ほとんどは日本の店だが、途中に韓国店が混ざっている。
あまりに溶け込んでいるので、急いでいたら気付かないほど。
つい見逃して慌てて戻り、辛ラーメンを買ったりしている。

鮮魚店に入ってもアマダイやイシモチを売っているなど、
韓国人の好む魚が、ごく当たり前に流通しているのも面白い。
道行く買い物客を見ても、確かに韓国の人たちは多いようだ。

そんな環境であるからして、我が家の食卓も、
いつの間にか韓国料理の頻度が高くなっている。

先日、2ヶ所の韓国料理店からキムチを頂く機会があった。
ひとつは漬けたて、もうひとつは発酵の進んだもの。
せっかくなのでこれを生かした料理を作ることにした。

駅からの道すがらで、豚バラ肉のブロックを購入。
これをニンニク、ネギ、ショウガと一緒に塊のまま茹で、
臭み消しの目的でテンジャン(味噌)を少量加える。

その状態で、コトコト煮れば美味しいポッサムのできあがり。

包丁で食べやすい大きさにカットし、
漬けたてキムチに包んでガブッと食べるのだ。
キムチの味と豚肉のうまみが折り重なってまさに絶品。
韓国ライフに心から感動する瞬間である。

ちなみに残った茹で汁はさらにテンジャンを加え、
白菜の外葉を煮込んでウゴジタン(菜っ葉のスープ)にした。
この活用法は、赤坂の某韓国料理店で教えてもらったもの。
白菜の甘味が豚のスープに溶け出てたまらないうまさだ。

それでもまだ半分余っていたので翌日はピジチゲ。
茹で汁におからを投入し、発酵の進んだ白菜キムチも入れる。
大豆の風味がふんわりと柔らかく滋味深いスープになる。

茹で豚も半分余ったので、こちらはキムチチム。
発酵の進んだキムチと塊の豚肉をぐつぐつと煮込む。
前日のポッサムとはまた違った味で楽しめる。

豚バラ肉のブロックを買っただけでこの幸せ。

しかも、この豚肉を買った店がまたすごいのだ。
すぐ近所にある精肉店だが、その家の息子が金メダリスト。
アテネ、北京で大活躍した北島康介選手の実家だ。

その店で購入した豚肉なのだから、
それはどんな料理を作っても最初から金メダル級。
僕はこの2日間で作ったすべての料理を……。

・金メダルポッサム
・金メダルウゴジタン
・金メダルピジチゲ
・金メダルキムチチム

と名付けたいと思う。

どんな名店の料理よりも輝かしい一品!
いずれこれを三河島の新たな名物に育てられないだろうか。

などと夢が膨らむ三河島ライフ。

韓国好きのみなさん、ぜひ一緒に住みません?
少しずつ仲間を増やそうと目論む日々です。

<お知らせ>
仕事が忙しくHPの更新ができません。
落ち着いたら、まとめて更新したいと思います。
http://www.koparis.com/~hatta/

<八田氏の独り言>
新たな名物どころかどう考えても便乗。
ただの冗談として受け止めてください。

コリアうめーや!!第183号
2008年10月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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