コリアうめーや!!第33号

コリアうめーや!!第33号

<ごあいさつ>
今年は台風が猛威を振るっています。
日本も韓国も直撃を受け、各地で被害を出したようです。
重なるときは重なるらしいので、この夏台風がちょっと心配です。
さてコリアうめーや!!第33号。
蒸し暑い日が続き、ちょっとバテ気味の方も多いことと思われます。
そんなときに食べる夏向けの韓国料理を紹介してみました。
ここ2回ほど紙ナプキン、おかずと地味なテーマを続けたところ、
「ひょっとしてネタに苦しんでる?」というメールを頂きました。
いーえ、そんなことはありません!!
韓国にはまだまだ魅力的な料理がたくさんあるんです。
韓国料理の中でも比較的メジャーな位置にあるこの料理。
決してネタ切れじゃないぞと鼻息荒く、
どうだどうだとスタートです。

<暑さに負けるなサムゲタン!!>

突っ立っているだけで汗がにじみ出てくる真夏日。
韓国ではあちこちで熱いスープをすする我慢大会が繰り広げられる。
韓国人は汗だくになりながらも「涼しいぜ!!」と強がりを言い、
むしろ「健康になった」と喜びあったりもする。

下手をするとまるで狂信的な集団にも見えるが、実際はそうでもない。
韓国には「以熱治熱(イヨルチヨル)」という言葉があり、
酷暑に熱いものを食べることによって、健康を保つとされている。

そんな暑い夏に食べる熱い料理の代表格がサムゲタンだ。

サムゲタンとは若鶏の内臓を抜き、中にモチ米・ナツメ・栗・高麗人参などを詰めて煮込
んだ料理。漢字では「参鶏湯」と書き、文字通り高麗人「参」と、「鶏」のスープという
意味だ。

この料理は基本的に1人がひとつの鍋を食べる。
鍋というよりは大きな器のようなものが供され、中には若鶏が1匹。
小さい若鶏とはいえ1人で1匹食べるボリュームたっぷりの料理だ。

見ると1人用の鍋にスープが満たされ、若鶏がザブンとつかっている。鍋にぎちぎちに入
っている若鶏は「柔道における寝技をかけられないようにがんばってますスタイル」でう
ずくまり、白濁したスープの中から背中だけをのぞかせている。
真っ白な若鶏の背中がちょっと色っぽい。

サムゲタンのスープは基本的に薄味なので、自分で粗塩を振って好みの味に仕立てる。
粗塩を振ってスープを一口すすり、柔らかそうな背中部分にスプーンを突きたてよう。
よく煮込まれた若鶏はほとんど抵抗感なしにホロホロと崩れ、中からはモチ米やナツメ、
栗などが姿を現す。隠れていた具が登場する、少し嬉しい瞬間である。

中身が露出して肉と具が混じりあったあたりをスプーンですくう。
ほのかな塩味。もち米のねっとり感。柔らかい鶏肉。
さっぱりとしていて上品な味。滋味深いおいしさがある。

ナツメ、栗、高麗人参などはたいていひとつずつしか入っていないので、
中盤、終盤のアクセントとして食べるとよろしい。
ホコホコとした栗、甘味が広がるナツメ、ほろ苦く独特の香りを持つ高麗人参。
そのほかにもニンニクや松の実、キバナオウギの根など、
さまざまな漢方薬が入ることもある。

それぞれ強壮効果があったり、内臓の調子を整える働きをしたりする。
おいしい上に健康にもよい。体調を崩しがちな夏には最適と言われる所以である。

ところで韓国人は「健康によい」という言葉に非常に弱い。
国をあげての健康マニアと言えるほど、あちこち「健康によい」だらけだ。
そんなにがんばったら身体を壊すんじゃないかというほどの熱心さである。

緑茶成分が入っていて二日酔いにならない焼酎というのが発売されるかと思えば、
高麗人参のエキスを水に混ぜて育てたイチゴというのが開発されたりもする。
また、一緒にごはんを食べていると、突然妙なものを薦められることがある。
ウナギの尻尾の部分であったり、焼肉の横で焼いているマッシュルームだったり。
マッシュルームは中から水分が染み出てシュワシュワ沸騰している。
曰く、これが「健康によい」のだそうだ。

サムゲタンは「健康によい」料理だが、
最近はそれに留まらず、さらなる「健康によい」が追い求められている。
サムゲタンが進化しているのだ。

漢方薬である冬虫夏草を使用した冬虫夏草サムゲタン。
エサにコオロギだけを食べさせた、コオロギ鶏のサムゲタン。
どれもこれも「健康によい」のふれこみで売られている。

烏骨鶏を用いたサムゲタンというのもある。
烏骨鶏とは皮、肉、骨に至るまですべて真っ黒という珍妙な鶏で、
かつては不老不死の薬効を持つとして歴代の中国皇帝に愛されたともいう。
この烏骨鶏(韓国語ではオゴルゲ)で作ったサムゲタンはオゴルゲタンと呼ばれ、
普通のサムゲタンに比べ、より「健康によい」とされ、その分値段も高い。

しかし、このオゴルゲタン。重大な弱点がある。
全身真っ黒いため、見た目がいかにも気色悪いのだ。

鶏肉は白いものという固定観念が邪魔するせいか、
鍋の中の鶏が、いくらがんばってもカラスにしか見えない。
不吉の象徴であるカラスが入った鍋。
どんなに栄養価が高かろうが、健康によかろうが箸はすすまない。

オゴルゲタンの名誉のためにも言っておくが、味は悪くない。
要は食べ手の問題なのだが、この料理は絶対に見た目で損をしていると思う。
薬膳料理でありながらむしろキワモノっぽい。

そう、韓国には「健康によい」と言われる料理がたくさんあるが、
その中には少なからずキワモノのたぐいも含まれているのだ。
豚の胎児の刺身、牛の頭をつぶしたスープ、犬肉料理などなど。
確かに「健康によい」かもしれないが、これらはちょっと遠慮したい。

そんなキワモノ料理を「健康によい」という理由で薦められると非常に困る。
親切心から言われているので、これはなかなか断りにくい。
どうしよう、どうしようとさんざん心の中で悩んだ挙句、
仕方なしに我慢して頂くことになる。

そんなとき、八田氏はいつも思う。
健康のためにキワモノ料理を食べるくらいなら、
「ほどほどに健康によい」料理を食べ、少し不健康に暮らしたい。

<おまけ>
韓国には三伏と言ってサムゲタンを食べる日があります。犬肉の鍋料理、ポシンタンを食
べる日と同じです。三伏とは夏至から数えて3度目の庚の日である「初伏」と、4度目の
庚の日である「中伏」、立秋後初めての庚の日である「末伏」の総称であり、1年中で最
も暑い時期だとされます。年によって違いますが、今年は7月11日、7月20日、8月
10日となっており、暑い時期というのがわかるかと思います。ちょうど日本でいう土用
の丑の日にウナギを食べるような感覚。11日は過ぎてしまいましたが、チャンスがあっ
たらサムゲタンを食べてみてください。

<お知らせ>
サムゲタンの写真がホームページで見られます。
よかったらのぞいてみてください。
http://www.koparis.com/~hatta/

<告知>
8月2日(金)に飲みます。
ヒマな人はおいでください。

場所:東京新大久保の某店。
時間:7時ごろスタート。
目的:ホームページ1周年記念&八田氏の誕生日会
会費:4000円くらいを予定。

冗談のつもりが本当になってしまいました。
掲示板の常連さんは朝までを覚悟している模様です。
きちんと帰る方は確固たる意志を持ってご参加ください。
とりあえず韓国料理を食べながらドンチャンするだけですが、
なにかイベントも用意できればと思っています。
行ったろやないかい!!という方はメール下さい。
hachimax@hotmail.com

<八田氏の独り言>
キワモノも食ってしまえばうまいんだけどね。
11日の初伏は犬を食べてきました。

コリアうめーや!!第33号
2002年7月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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