出張報告(12)最後はソルロンタンとサムゲタン。

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出張報告はこれで最後。

前日に望遠洞で3次会まで楽しんだ翌朝は、
2度目のヘジャン(酔い覚まし)からスタートしました。
宿の近くでソルロンタン(牛スープ)です。

一応、ソルロンタンはソウル発祥とされているので、
見方によっては、これも郷土料理のひとつといえます。

これで胃を整えた後、カフェで仕事などもしつつ、
知人の紹介で取材に向かったのは……。

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皇后サムゲタン、改め「皇后名家(ファンフミョンガ)」。

すでにガイドブックなどでも常連格のお店ですが、
今年2月に仁寺洞から、景福宮へと移転したそうです。
まだそれを知らない人も多いらしく、

「ぜひ大々的に移転を伝えてください!」

というたいそうなリクエストを頂きました。
大々的かどうかはともかく、まずその情報をお伝えします。

店名:皇后明家光化門本店
住所:ソウル市鍾路区通義洞35-12
電話:02-739-0145
http://www.hwanghusamgyetang.com/

ちなみに場所は有名店「土俗村」のすぐ近く。

なんでそんな場所にわざわざ、とも思ったのですが、
話を聞いたところ、いろいろな戦略があるみたいですね。

有名店との比較で、自店の個性を浮き彫りにするのがひとつ。
また界隈をサムゲタンで盛り上げようというのがもうひとつ。
そして後で詳しく書きますが、土地縁との関係もあるそうです。

自治体とも連携をしつつ、

「いずれはここをサムゲタン通りにしたい!」

という計画もある様子。
まあ、確かに話題性はありますよね。

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そんな「皇后名家」の目玉がコチラ。

・長脳山参(天然環境で栽培した特別な高麗人参)
・莞島産の活アワビ
・冬虫夏草(ハナサナギタケ)、
・三枝九葉草(キバナイカリソウ)

といった特別な素材を加えた豪華サムゲタン。
なんとお値段……。

「3万8000ウォン!」

というからけっこうな迫力です。
一応、これ以外にももう少し値段の安いものもあり、

・仁寺洞サムゲタン(1万4000ウォン)
・逸品サムゲタン(1万7000ウォン)
・名家サムゲタン(2万8000ウォン)
・皇后サムゲタン(3万8000ウォン)

といった感じのラインナップになっています。

いちばん安い仁寺洞サムゲタンがベースとなっており、
そこに希少な食材を足していくことで値段がアップします。

逸品サムゲタンには山参培養根(天然物を培養栽培した高麗人参)と、
漢方薬の蓮子肉(ハスの種)、魚腥草(ドクダミ)を加えたもの。
名家サムゲタンは山参培養根に冬虫夏草が入るそうです。

このあたりのコンセプトから見えてくるように、
「皇后名家」が目指しているのは高級志向のサムゲタン。
店内もモダンにまとめ、伝統的な韓屋スタイルの「土俗村」と、
料理の面でも、雰囲気の面でも差別化を図ったようです。

「伝統VSモダン 景福宮サムゲタン対決!」

とアオリ文句でもつけたくなりますね。

ただ個人的には「土俗村」のサムゲタンも大好きなので、
対決の構図よりも、相乗効果で盛り上がって欲しいところ。

食べての感想としても、味のベースがしっかりしているのを前提に、
いろいろな希少食材を味わえるという部分が楽しかったです。
御馳走になったので、自腹を切った訳ではありませんが、
この店で食べるなら、高いメニューを選ぶべきかなとは思いました。

シンプルなサムゲタンなら、それこそ「土俗村」でいいですし。
そのあたりでうまく噛み合えば、サムゲタン通りも夢ではないかと。
後発店がさらに出てくるか、という兼ね合いもありますけどね。

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そして、もうひとつの目玉料理がコチラ。

やや異色のアレンジですが、チョゲタン(鶏の冷製スープ麺)です。
もともとは北朝鮮の平壌近辺、平安道で夏に食べた郷土料理で、
ソウルでも老舗の冷麺店に行くとたまに扱っています。

見た目にも凝っているのは高級志向の現れでしょうが、
全体のレシピを作ったのが、金秀珍(キム・スジン)先生と聞いて納得。
韓国料理研究院「フード&カルチャーアカデミー」の院長であり、
ドラマ「食客」の料理監修を担当した方としても有名です。

なお、チョゲタンのほうは値段が1万4000ウォンと比較的お手頃なので、
これと皇后サムゲタンを2人で頼み、シェアする人も多いそうです。

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ちなみにチョゲタンと聞いて僕がイメージするのはこんな感じ。
乙支路3街の「平来屋(ピョンネオク)」で食べたものです。

鶏スープ、裂いた鶏肉、生野菜、蕎麦麺というのが構成要素ですが、
「皇后名家」ではスープをシャーベット状にして爽快感をアップ。
さらには麺も小麦粉の生麺にかえるなど、大胆にアレンジしています。

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高麗人参酒のかわりに柿エキスというのもシャレた部分。
アルコール度数が1%程度ということなので弱い方でも大丈夫です。

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そして、これが土地縁の関係にかかわる松の木。
店のすぐ隣にあって、窓からも眺めることができます。

この松がある場所は、かつて彰義宮という邸宅があり、
後に朝鮮王朝の第21代王となる英祖が住んでいたそうです。
残念ながら建物自体は1908年に取り壊されていますが、
そこに立っていた松だけは現代まで象徴として残りました……。

が、1990年の台風で倒れてしまったそうですね。

いま見えているのは、その倒れた松の新芽が育ったもの。
現在は4本の松として成長し、中央には原木の切り株が残っています。

そういった逸話も含めつつ。

朝鮮時代に王様が眺めた(だろう)松がすぐ隣にあるのは、
店名に「皇后」を掲げているだけに、ひとつの縁といえましょう。

「西村(ソチョン)エリアの観光も兼ねて立ち寄って欲しい」

というのが社長の弁です。

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出張報告はこれで以上。

いつもなら空港のロッテリアで最後の1食を楽しむのですが、
今回はさほど目新しいメニューもなかったのでパスしました。

なので、かわりに済州島土産を紹介して締めくくりとします。

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新商品の済州島土産として店に人に薦められたのですが、
名産品のミカンをスライスして、そのまま乾燥させたもの。
カリカリ食感と、甘酸っぱい味わいがなかなかいけます。

今度から済州島のお土産はコレだな、と心に決めたほど。
個包装なのでバラマキ用としてもちょうどいいですね。
家用に買ってきたものを、少しずつ楽しみに食べています。

さて、11泊12日に渡った出張報告はこれでいったんおしまい。

出張報告というタイトルとは別に、小ネタをまとめたり、
メルマガとして書いたり、別の形では登場しますけどね。
あちこちコラムのネタにも活用していく予定です。

最後にこれまでの出張報告を一覧でまとめます。

お店情報もようやく整理しましたので一緒に掲載しました。
なかなか気軽に行くのは難しい地域ばかりですが、
もし行くチャンスがあるようならぜひ参考にしてください。

ただ、毎回ツアーのお店だけはいつも非公開にしています。
それも含めて参加した人だけの特典! ということなのですが、
今回ばかりは「るるぶ済州島」を見るとほとんどモロバレですね。
どうしても食べたい人は「るるぶ済州島」を見てください。

出張報告(1)済州島にやってきました。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1505.html

出張報告(2)ツアー前の自主食べ歩き。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1506.html
<チャドルバギ、チェビチュリ>
・チャドルチプ(済州道済州市蓮洞291-7/064-747-8976)
<ケクチュリジョリム>
・トゥルドゥル食堂(済州道済州市蓮洞291-10/064-744-9711)
<コギグクス>
・オルレグクス(済州道済州市蓮洞261-16/064-742-7355)
<パンオフェ、ティギム>
・蓮洞馬羅島フェッチプ(済州道済州市蓮洞262-10/064-746-2286)

出張報告(3)済州島まるごと食べつくしの旅開始。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1507.html

出張報告(4)グルメツアー2日目に食べたもの。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1508.html

出張報告(5)グルメツアー3日目に食べたもの。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1509.html

出張報告(6)グルメツアー最終日に食べたもの。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1510.html
<コギグクス>
・姉妹グクス(済州道済州市一徒2洞1034-10/064-727-1112)

出張報告(7)釜山・蔚山・慶尚南道を大移動で訪問。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1511.html
<宜寧ソバ>
・タシ食堂(慶尚南道宜寧郡宜寧村西洞里491-7/055-573-2514)
<マンゲトク>
・宜寧マンゲトク(慶尚南道宜寧郡宜寧村西洞里485-16/055-573-2422)
<ポックッ(トラフグ)>
・ナムソン食堂(慶尚南道昌原市馬山合浦区午東洞251-8/055-246-1856)
<ポックッ(シマフグ)>
・クァンポポッチプ(慶尚南道昌原市馬山合浦区午東洞251-158/055-242-3308)
<トゥンシム、カクトゥギユッケ>
・マンボンネスップルグイ(蔚山市蔚州郡斗東面鳳渓里871-7/052-262-7255)

出張報告(8)プレミアムテンジャンの生産地を訪ねる。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1512.html
<プレミアムテンジャン>
・竹長然(慶尚北道浦項市南区虎洞573/054-283-1530)
<クァメギ>
・ミド水産(慶尚北道浦項市北区竹島洞68-24/054-247-9594)
<ムルフェ>
・ピョルミボクピョルミフェ(慶尚北道浦項市北区港口洞17-162/054-247-3727)
<マンドゥ>
・永生徳(大邱市中区鍾路2街20/053-255-5777)
<テント屋台>
・北城路一帯

出張報告(9)盈徳ズワイガニ祭りでカニ三昧。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1513.html
<盈徳テゲ>
・サゲジョルテゲ直販場(慶尚北道盈徳郡江口面江口里256-61/054-734-2777)
<ムルフェグクス>
・ファンヨフェッチプ(慶尚北道浦項市北区斗湖洞190-9/054-251-8847)
<エビ、チョゲグイ>
・パダイヤギ(慶尚北道浦項市北区斗湖洞611/054-255-9995)

出張報告(10)大邱の謎中華と水原カルビに舌鼓。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1514.html
<ソモリコムタン>
・ハルメソモリコムタン(慶尚北道浦項市北区南浜洞989-28/054-247-8660)
<カキウドン、ケランパン>
・永生徳(大邱市中区鍾路2街20/053-255-5777)
<水原カルビ>
・佳甫亭カルビ(京畿道水原市八達区仁渓洞958-1/031-232-3883)

出張報告(11)チャンポンとハンバーガーと望遠洞。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1516.html
<チャンポン>
・迎賓楼(京畿道平沢市新場洞212-10/031-666-2258)
<ハンバーガー>
・Miss Leeハンバーガー(京畿道平沢市新場2洞298-88/031-667-7171)
<ハンバーガー>
・Miss JINハンバーガー(京畿道平沢市新場洞302-94/031-667-0656)
<太白タッカルビ>
・太白タッカルビ(ソウル市麻浦区望遠洞418-24/02-322-3177)
<ヌルンジトンダク>
・ケリムウォン望遠店(ソウル市麻浦区望遠洞416-49/02-336-2977)
<スンデクッ>
・カマソッスンデ(ソウル市麻浦区城山洞279-17/02-333-8390)

出張報告(12)最後はソルロンタンとサムゲタン。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1517.html
<ソルロンタン>
・新村ソルロンタン新村店(ソウル市西大門区滄川洞29-72/02-313-7555)
<サムゲタン、チョゲタン>
・皇后明家光化門本店(ソウル市鍾路区通義洞35-12/02-739-0145)

<お知らせ>
日本で進化する韓国料理~食の韓流10年を振り返る~
http://www.rihga.co.jp/osaka/culture/single/detail/korean.html

<新刊情報>
韓国料理には、ご用心!
http://www.amazon.co.jp/dp/4883205800/
http://books.rakuten.co.jp/rb/12257440/

<紹介記事>
スポーツソウルジャパン
http://www.sportsseoul.jp/article/read.php?sa_idx=4447



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