出張報告(7)釜山・蔚山・慶尚南道を大移動で訪問。

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2013年は釜山・蔚山・慶尚南道訪問の年。

毎年、この訪問の年シリーズには積極的に参加しています。
むしろその前年からフライングで足を運んで食べ歩き、
発信に努めているぐらい、熱心に応援しているぐらいです。

「今年は○○訪問の年だから、あのエリアに行こう!」

という、いいきっかけになるんですよね。
地方を目指すリピーターには、ちょうどいい企画でしょう。

ということで、昨夜泊まった釜山を早朝に発ち、
まず向かったのは慶尚南道の宜寧(ウィリョン)郡。
この地域を代表する名物が、冒頭のソバです。

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蕎麦粉を使った温かい麺料理で、韓国語でもソバ。
古い時代の日本語がそのまま残って定着した例でしょうが、
実際に食べてみると、日本の蕎麦とはずいぶん違いました。

煮干しをベースとしたあっさり味のスープに、
澱粉を混ぜたとおぼしき、つるつるの麺が浸っています。
コショウと粉唐辛子が入って味わいはなかなかスパイシー。

具には細切りのチャンジョリム(牛肉の醤油煮)と、
ホウレンソウ、キャベツ、緑豆モヤシが入っています。
あとは刻みネギが少々。付け合せに大根キムチ。

名前こそソバですが、日本料理の気配はほとんど皆無ですね。

ルーツをたどれば、日本とも関係がきっとあるのでしょうが、
食べれば食べるほど韓国料理であり、韓国料理として美味しい。
そんな感想が意外でもあり、また納得できるものでした。

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ソバを食べた後は、もうひとつの宜寧名物であるマンゲトク。
マンゲというのが慶尚道方言でサルトリイバラという植物を意味し、
その葉っぱで包んだトク(餅)ということになります。

と言いつつ、写真を見て頂ければ一目瞭然なのですが、
これって、どう見ても日本でお馴染みのカシワ餅ですよね。

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1個のサイズは小さいですが、中にはアンコも入っています。

カシワの葉でなく、サルトリイバラを使っただけの違いですが、
実は日本でもサルトリイバラの葉で代用する地域があるとのこと。
カシワ餅でなく、イバラ餅という名前で呼ぶそうですが、
それとほとんど同じものが、宜寧でも親しまれています。

小さな町ですが、ソバの店も、マンゲトクの店もたくさん。
日本人にとっては、どうにも親近感を覚える町でした。

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目的を達成したら、再びバスで移動し今度は馬山(マサン)。
市町村合併でいまは昌原(チャンウォン)市の一部になりました。

以前もここで名物のアグチム(アンコウの蒸し煮)を食べましたが、
今回目指したのは、やはり名物であるポックッ(フグのスープ)。
アグチム通りから、目と鼻の先にポックッ通りがあります。

豆モヤシとセリを煮込んださっぱりスープにフグを入れるのですが、
どんな種類のフグを入れるかで、値段が細かく分かれています。

・ウンボク(シロサバフグ)
・チョルボク(クサフグ)
・カチボク(シマフグ)
・チャムボク(トラフグ)

の4種類があって、下にいくほど値段が高いです。
普段であれば、いちばん安いウンボクしか食べませんが、
せっかく馬山まで来たので……。

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1人前2万ウォンのトラフグをチョイス!

やや小ぶりではありますが、しっかり2尾が入っており、
その上品な旨さを、骨の隙間までしゃぶって堪能しました。

いやぁ、これは美味しかったですねぇ。

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あんまり美味しかったので、もう1杯いっちゃいました。

1人前1万5000ウォンのシマフグは黄色いラインが美しい見た目。
先のトラフグに比べて、身が大きく、食べごたえは充分でしたが、
やっぱり身の味わいでは、1枚格が下がるとの印象でした。

おそらく多分に値段の影響を受けた感想とも思われますが、
逆にスープのほうはどちらも大差なく美味しかったですね。

どのみちポックッを食べるときは2日酔いの朝が多いので、
スープをメインにすするなら、安いフグで充分と確信しました。
そのうえで旨いフグを食べたいときは値段を惜しむべからず。
5000ウォンを余計に払ってもトラフグに軍配を上げたいと思います。

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その後、市場などを見学しつつ、馬山→釜山→慶州と移動。
今夜の宿は慶州の市外バスターミナル近くに確保し、
この記事も、そこのモーテルでせっせと書いています。

ここまで来たのは、明日の予定を考えてということなのですが、
到着してまず悩んだのが、夕食に何を食べるかということ。

慶州は昔から何度も来ていて大好きな町のひとつですが、
とかく食の魅力に欠けるところで、いつ来ても頭を抱えます。
今回もガイドブック片手に、悩みに悩んだのですが……。

「発想の転換!」

という素晴らしい着想を得て窮地を脱しました。
まあ、自画自賛するほどたいした着想ではないのですが、
慶州でダメなら、慶州を出ようというのが今日の結論。

地図を見ていて気付いたのですが、慶州は蔚山に隣接しており、
その蔚山には、慶州とはまた違った名物がたくさんあります。
ということで、颯爽と慶州を飛び出して向かったのが、
蔚山市蔚州郡に属する鳳渓(ポンゲ)という町。

ここには大規模な牛焼肉の専門店通りがあります。
上の写真、霜降りのトゥンシム(ロース)をつつきながら……。

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いつか食べたいとリストアップしていたコチラも制覇。

新鮮な牛赤身肉をひと口大にカットして生で味わう、
その名もカクトゥギユッケ(角切りユッケ)です。

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カクトゥギ(大根の角切りキムチ)状に切ることからの命名ですが、
思ったほど真四角ではなく、むしろペラッとした感じでしたね。
大邱あたりでムンティギと呼ばれる牛刺身の亜種といった雰囲気。
標準語ではユクサシミ(肉刺身)と呼ばれるアレに近いです。

ただ、コチュジャンとゴマ油を混ぜたタレで食べるとなかなかいい感じ。
ネーミングの面白さと、この地域だけの特別なユッケなので、
話のネタとしては、けっこう使い勝手がよさそうで嬉しい限りです。

なお、慶州から鳳渓までのアクセスですが、
行きは市外バスターミナルからタクシーで20分、約2万ウォン。
帰りは500番の市内バスで30分、1500ウォンの距離でした。

ただ、バスは30分に1本と少なく、降りるところもわかりにくいので、
慣れた人以外は、タクシーを利用したほうが無難かと思います。

といったところで、以上が本日食べた料理の報告。
明日以降も精力的に頑張って食べ歩きたいと思います。

そして、最後にひとつお知らせ。

おかげさまで新刊「韓国料理には、ご用心!」は好評発売中ですが、
その内容をぎゅっとまとめた講座を来月に大阪で行います。
昨年も地方料理を語ったリーガロイヤルホテルが会場。
大阪近辺の方でお時間ある方は、ぜひご参加頂ければと思います。

日本で進化する韓国料理~食の韓流10年を振り返る~
http://www.rihga.co.jp/osaka/culture/single/detail/korean.html

<新刊情報>
韓国料理には、ご用心!
http://www.amazon.co.jp/dp/4883205800/
http://books.rakuten.co.jp/rb/12257440/

<紹介記事>
スポーツソウルジャパン
http://www.sportsseoul.jp/article/read.php?sa_idx=4447



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