新大久保「姉妹や」でハーブサムギョプサル&塩辛。

13021201.jpg

新大久保のオススメ店といえばいくつもありますが、
東京全体、日本全体まで広がると、逆にずいぶん悩みます。
しばらく前のことですが、

「日本でいちばんのオススメを教えてください!」

という問い合わせが韓国のメディアからありました。
あまりにも範囲が広すぎて絶句したのを覚えています。

いわゆる超高級店を紹介すればよいのかとも思いましたが、
詳しく話を聞いてみると、むしろ身近な韓国料理店を希望の様子。
ますます悩んで、いろいろな方向から切り口を模索した結果、
出てきたのが、こちらの「姉妹や」という答えでした。

もちろんお店のよさというのはいろいろなので、
単純にこの店が日本一と褒め称えたい訳ではありません。

紹介を求めているのが韓国のメディアであるため、

・韓国人が韓国的と判断できる店であること
・韓国にはない要素を備えていること

という2点を重視した結果です。

「姉妹や」の看板料理はサムギョプサル(豚バラ肉の焼肉)ですが、
それを独自配合のハーブと組み合わせて出すのが大きな特徴。
冒頭の写真は、ハーブサムギョプサル3種類の盛り合わせです。

韓国にもハーブサムギョプサル自体は存在しますが、
この店のオリジナリティは、料理の選択肢を効能に置いたこと。
味や香りの違いではなく、

・エステ
・ヘルシー肌
・ストレス解消
・スタミナ
・スマート
・ヤングライフ

という単語から、自分の好みを選んでいきます。
これらは医学的な効果を保証するものではありませんが、
該当する作用のハーブを、複数組み合わせているそうです。

これ実際にメニューを選ぶとなると盛り上がるんですよね。

使っているハーブの種類も100種類超と本格的ですし、
お店のママさんも、真剣にハーブを研究していらっしゃいます。
この店が日本一であるかどうかはともかく、

「世界レベルで個性を誇れる韓国料理!」

であるとは個人的に思っています。
まあ、その場合の世界って要するに日韓なのですが。

13021202.jpg

豚肉と一緒に焼き野菜をチョイス。

・トマト
・白菜キムチ
・エノキダケ

を注文しました。
豆モヤシ、シメジあたりもお気に入りです。

13021203.jpg

焼き上がったハーブサムギョプサル。

シンプルにハーブ塩で味わってみてもいいですし、
焼き野菜と一緒でも、またサンチュに包んでもOKです。

ただし、焼く過程でどれがどの効能か混乱するので、
しっかり確認しながら食べるのを忘れないでください。

13021204.jpg

もうひとつ行ったら必ず頼むのが豆モヤシのチヂミ。

たっぷり豆モヤシが目を引きますが、ベースが緑豆の生地なので、
いわゆるピンデトク(緑豆チヂミ)のアレンジ版ともいえます。
香ばしい風味と、カリカリの食感がたまりません。

ただし、

「2415円!」

という値段だけはきちんとお伝えしておこうと思います。

全体的に居心地もいいし、たいへんいいお店ですが、
新大久保の他店に比べると、値段は少々お高めですね。
まあ、そのぶん素材にはこだわっているということですが。

13021205.jpg

「全羅道式のキムチ食べる?」

という提案を頂いたので、ぜひにと即答。
いかにも全羅道らしい、塩辛の風味が鼻をくすぐるキムチでした。

しかも、使ったのが自家製のファンセギジョッ。

普通はイシモチとしてひとくくりに語られる魚ですが、
その中でも高級なキグチ(キングチ)を塩辛にしたものです。
現地では「黄石魚(ファンソゴ)ジョッ」とも呼んでいましたが、
お店の方曰く、

「ファンセギジョッ!」

ということなので、それで表記しましょう。
このキムチがあまりに美味しかったので……。

13021206.jpg

ワガママをいって、塩辛そのものも出して頂きました。
右がちょっと味付けを施した塩辛。左は色が飛んでいますがごはん。

韓国の塩辛は、そのまま食べるとかなりしょっぱいですが、
少量をごはんに乗っけて食べると至福の味になります。
ええ、もう悶絶するほど美味しかったのはいうまでもありません。

13021207.jpg

新タマネギのチャンアチ(醤油漬け)や……。

13021208.jpg

辛くない青唐辛子のチャンアチなどもつまみつつ。
ごはんに合い、そして酒に合うおかずのオンパレードでした。

なお、キムチから青唐辛子まで、メニューにない料理なので、
実際に注文できるかどうかは、確認しておりません。
塩辛のほうは、

「メニューにすべし!」

と熱く語ったような記憶もありますが。

13021209.jpg

お酒のほうは、生ビールから生マッコリを経て、
なぜか試験管に入って出てくる、お試しセットへと移行。

・米マッコリ
・黒豆マッコリ
・おこげマッコリ

という3種を少しずつ飲み比べることができます。

ただ、ここまで面白い出し方をするのであれば、
マッコリそのものに、もっとこだわりがあってもいいですね。
米、黒豆、おこげの飲み比べは、新大久保だともう古い。

ほかのクオリティが異常に高いお店だからこそ、

「もっとマッコリにも愛情を!」

とはいつも思います。

13021210.jpg

シメは黒米のサムゲタン(ひな鶏のスープ)。

「韓国の漢方も東洋的な意味でのハーブ!」

というのがこの店の主張。
甘草、キバナオウギなどいろいろな漢方が使われています。
黒米や甘草の甘さが全体をやさしく包んでいい感じです。

ということで、美味しいものばかりを頂いた夜ですが、
この日は某出版社の社長と、編集者の方との作戦会議。
昨年の夏から企画が動き出し、僕の怠慢で年を越えましたが、
ようやく一定のメドがついて来月には新刊が出そうです。

しかも、今度は久しぶりに韓国料理関連の本!

コリアン・フード・コラムニストの本業ということで、
頑張って最後のひとふんばりをしているところです。
詳細が固まったら、またお知らせさせて頂きますね。

乞うご期待!

店名:姉妹や
住所:東京都新宿区百人町2-20-25
電話:03-6908-6930
営業:11:30~23:30(月~土)、11:30~22:30(日)
定休:なし



Comments are closed.

 

 
 
previous next