新大久保に新たな韓国家庭料理店が誕生。
店名にもあるように、美名さんという方が開いた店ですが、
僕にとっては公私ともにお世話になっている姉のような存在です。
彼女は僕を「オトウト」と呼び、僕は「ヌナ(姉)」と呼ぶ。
そんな関係もありまして、開店パーティに駆けつけてきました。
場所は大久保通り沿い。「豚菜」の2階にあった、
中華料理店「東方食府」と入れ替わりで「美名家」が出来ました。
新大久保駅からは10分弱。サンクスのちょっと先です。
中はこんな感じ。
50人は入る、ということで話を聞いていましたが、
この手前にテーブルがもう2つ、さらに個室もありますので、
着席で60人は充分に入るのではないかと思います。
なお個室には円卓があり、10人ぐらいまでがベストですかね。
頑張れば15人は、なんとか入れるそうです。
開店日ということで、韓国式に告祀(コサ)の儀式を行います。
果物、餅、魚、ジョン(衣焼き)とともに、豚の頭を供えるのがポイント。
韓国語では「豚(トン)」と「お金(トン)」の発音が共通するため、
豚は富の象徴として、商売繁盛には欠かせない縁起物です。
豚の口にお金を挟みつつ(場合によっては鼻の穴や耳の穴まで)、
「クンジョル」という最大級のお辞儀で商売繁盛を願います。
なお告祀膳の左側に載っている巨大な餅はパッシルトクといい、
アズキをふんだんに使って作る、蒸し餅の一種です。
こういう儀式の場には欠かせない餅のひとつですが、
アズキには雑鬼を追い払う力があると考えられているため。
いわばお祓いの効果を期待して、用意される餅ですね。
ほかにも燃え盛る火のごとき勢いを期待してろうそくが飾られたり、
商売が長く続くよう糸が置かれていたり、いろいろな意味があります。
こういう儀式を、生で見られるというのもいい経験でしたね。
ちなみに餅は職安通り裏の「鐘路福餅家」からの配達。
パッシルトクのほかに、彩り豊かな餅の詰め合わせも振舞われました。
帰り際には、小さなパックのお持ちもお土産で頂きましたね。
和やかな雰囲気の中、登場した料理はこんな感じ。
キムチ盛り合わせは、定番の大根、キュウリとともに、
白菜の外葉で具を包み込む、ポッサムキムチが加わっていました。
ナムル盛り合わせは、ホウレンソウ、緑豆モヤシに加え、
中央は韓国から持ってきたシラヤマギク(チィナムル)のナムル。
シラヤマギク以外にも、他の山菜を混ぜてあると聞きました。
シラヤマギクのナムルは、独特のひなびた風味がいいんですよね。
日本ではなかなか見ないので、久しぶりに食べられて嬉しかったです。
これまためでたい宴席に欠かせないチャプチェ(春雨炒め)。
長い春雨が、先の糸と同様に、末永い幸せや長寿を象徴します。
こちらは告祀膳に捧げられていたジョンの盛り合わせ。
エホバク(カボチャの未熟果)、白身魚、牡蠣の3種類を、
小麦粉、卵の衣につけて焼いたものです。
柔らかく煮込んだソカルビチム(牛カルビの煮込み)は、
今後、要予約でグランドメニューにも載せるとのこと。
骨から出る牛の旨味が、一緒に煮込んだ大根に染み込んで美味。
骨まわりの肉に、かぶりつきながら味わうのも醍醐味です。
ポッサム(茹で豚の葉野菜包み)も定番料理にするとのこと。
ほかにも看板となる料理としては、タットリタン(鶏と野菜の鍋)や、
カムジャタン(豚の背骨とジャガイモの鍋)といった鍋料理がまず中心。
そこへ基本的な家庭料理を加えていくオーソドックススタイルですが、
これからの冬場は牡蠣メニューを充実させる予定があるようです。
牡蠣入りのコッチョリ(浅漬けキムチ)や、クルジョン(牡蠣チヂミ)など、
季節を意識したメニューを出していきたい、という話でしたね。
ナクチボックム(テナガダコ炒め)が出てくる頃には宴会も最高潮。
冷蔵庫いっぱいのマッコリが、次々に消費されておりました。
僕の見た感じ、先日朝日新聞でも紹介された済州マッコリが、
やはり生だけあって、大きな支持を得ていたように思いました。
僕は11時過ぎに帰ってきてしまいましたが、
あのぶんだと、夜遅くまで宴会は続いたのではないかと思います。
集まった面々を見ても、美名さんを通じてお会いした人ばかり。
開店早々から、これだけの常連客がついている店も珍しいでしょう。
「美名家いちばんの売りはアタシ!」
とおっしゃっておりましたが、あながち間違いではありません。
韓国家庭料理を名乗りつつも、そこに家庭の姿が見える店は極めて稀。
たいていは中のスタッフがどんどん入れ替わっちゃうんですよね。
僕はいつも、
「韓国料理は人に会いに行く料理」
といいますが、いつ行っても同じお母さんや、お父さんがいてこそ、
本当の家庭料理であり、家庭の雰囲気が伝わると思っています。
オープンからしばらくは、まだ店もバタバタしているでしょうが、
機会があったら、ぜひ足を運んでみてください。
やけに賑やかな姉が、常に大声でガハガハ笑っており、
なんだか元気をもらった気になること請け合いです。
店名:美名家
住所:東京都新宿区大久保1-9-17寿ビル2階
電話:03-3203-4088
営業:11:30~24:00
定休:月曜日(祝日の場合は翌日)
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