板橋「アーラリ」でレタス入りサムゲタン。

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細々としたパンチャンとともにこの皿が出てきたとき。
この店に対する、予感のようなものが何かありました。

サンマの水煮缶を開けて、刻みネギを散らしたもの。
シンプル極まりないおつまみですが、これはこれで魅力的。
缶詰さえあれば、自宅でも30秒程度で作れる料理ですが、
缶詰はあくまでも韓国製でなければなりません。

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JR板橋駅から徒歩5分程度。

つい1年前まで板橋区民だった僕にとっては、
乗り換え駅でもあったため、一時は毎日利用していました。
この店の前もよく通り、存在だけは確認していた店。

たまたまこの近所に住む方と仲良くなり、

「うちの親戚がやっているんだよ」

ということで足を運んでみました。
地元密着型のアットホームな韓国家庭料理店。
小規模ながら、常連さんが次々にやってくる店でしたね。
こういう店は経験上、アタリが多いです。

と思っていたところへ出てきたのがカムジャジョン
すりおろしたジャガイモを、チヂミ状に焼いた料理ですが、
運ばれてきた瞬間からバターの香りがふわーん。

バターを効かせるということ自体が個性的ですが、
内側がモチッ、外側がカリッ、と食感に差があるのもいい感じ。
この店では店名からとって、アーラリチヂミと呼ぶそうです。

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厨房を取り仕切っているのは若い男性のオーナーさん。
ホール担当のアルバイトさんもいらっしゃいましたが、
基本的にはひとりで切り盛りしているタイプのお店です。

韓国家庭料理店で、厨房がおばちゃんではない、
というあたりが、この店いちばんの特徴かもしれません。

上の写真はポテトチップにチャンジャを乗せたもの。

これまた手軽極まりない一品ですが、
なかなかよい相性で、家で真似をしたくなります。
料理と料理のつなぎに、ちょっと出してくれた風の料理ですが、
実はレギュラーメニューに載っている、というのがこの店の魅力。

このあたりからそろそろわかりかけてきました。

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塩ダレの牛焼肉と、奥は醤油ダレの牛焼肉。
部位はどちらもハラミだったと記憶しておりますが、
もしかしたら違ったかもしれません。

なにしろ部位以上に目立った特徴があり、
なんと焼肉は……。

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石焼きビビンバの器を用いて調理します。

鉄板ではなく、あえて石焼きビビンバの器を使うのは、
中央に肉汁が溜まって、それをまとわせながら焼くため。
しっかり意味があるところが素晴らしいですね。

そして、また肉を焼いた後は……。

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刻んだカクトゥギ(大根の角切りキムチ)をつゆだくで加え、
ごはんと一緒に炒めて食べる、というオプションもあります。
奥にちらっと見えているのが、ごはんの器です。

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サムゲタン(ひな鶏のスープ)も自慢料理のひとつとか。

普通に頼めば、トゥッペギ(チゲ用の器)で出てきますが、
ちょっとした裏メニューを頼むと、鍋で出てくるとのこと。

その裏メニューというのが……。

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レタス。

韓国料理に詳しい人ほど困惑するオプション。
サムゲタンの鶏肉を、レタスで包むのかと思いましたが、
いえいえ、まったく違いました。

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サムゲタンの中に投入して食べます。

濃厚な鶏のスープとシャキシャキレタス。
中華料理には、こういう組み合わせがありますよね。
なんとも不思議な組み合わせですが、
意外な爽やかさが生まれて、妙に美味しかったり。

「韓国にもこういうことをする店があるんですか?」
「いえ、これはうちのオリジナルです」

とオーナーさん。

どの料理も韓国料理の本筋からは外れておりますが、
板橋という町の雰囲気からも、裏路線が妙に似合っています。
独自の工夫を重ねる姿勢も、評価されていいですよね。

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冷麺には自家製のチョッパル(豚足)が乗っていました。

麺は当初、韓国式の細麺を使っていたものの、
日本人客の嗜好にあわせ、太麺に切り替えたとのこと。
トウモロコシを原料とした麺とのことですが、
盛岡冷麺や、延辺料理店の冷麺に似ている気がしました。

といった感じに料理を楽しんだ訳ですが、
最初から最後まで、一味違った韓国料理でした。

本場の韓国料理とは少し印象が違いますし、
近年人気の進化系韓国料理とも、系統が違う気がします。
地元の人に愛されつつ、そのニーズに応えながら、
少しずつ店独自の色を強めていった店、という感じです。

韓国料理ビギナーの方にあえて勧めることはないですが、
韓国料理を食べすぎて、1周してしまった人にはお勧め。

たぶんこういう店でいちばん喜ぶのが、僕だと思います。

店名:韓国家庭料理アーラリ
住所:東京都板橋区板橋1-20-2島原第2ビル1階
電話:03-3963-8889
営業:11:30~14:00、17:30~翌1:00(月~金)、17:30~翌1:00(土、日、祝)
定休:第1~3日曜日



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