コリアうめーや!!第188号

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HPの更新がままならないので、ちょっと場を移します。
月に2度配信している「コリアうめーや!!」という、
メールマガジンのバックナンバー&写真掲載版です。

これまではHPのほうにアップしていたんですけどね。
ブログのほうが写真の掲載など、もろもろの作業が楽なので。
目次はHPにあるので、いずれそちらから飛べるようにも作業します。
アップできなかった、昨年1年間のぶんもなんとかしたいですが、
おいおい作業することとして、まずは最新号をアップです。

ちなみにそれ以前のバックナンバーは以下にあります。

創刊号~第100号
http://www.koparis.com/~hatta/koriume/koriume.htm
第101号~第163号
http://www.koparis.com/~hatta/koriume/koriume_2.htm
第164号~第187号
http://www.melonpan.net/letter/backnumber_all.php?back_rid=600495

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コリアうめーや!!第188号

<ごあいさつ>
明けましておめでとうございます。
2009年1月1日。新年を迎えました。
僕の住む東京は見事なまでの晴天。
気持ちのよい、1年の始まりに浮かれています。
窓越しに澄んだ青空を眺めていると、
今年も頑張らねば、と思えてきますね。
不況ばかりが話題にのぼる今日この頃ですが、
それを吹っ飛ばす元気で臨みたいところです。
1年の計は元旦にあり。
まずはこのメルマガでいい文章を書き、
今年も1年頑張っていきたいと思います!
と狙い通りになりますかどうか。
さて、そんな2009年最初のテーマですが、
昨年秋に行ったあるパーティに定めました。
極めて個人的な話ではあるのですが、
日韓関係の今を感じる、ちょっとした体験。
僕にとってはおおいに衝撃的でした。
コリアうめーや!!第188号。
大吉のおみくじを握って、スタートです。 

<韓国好きが結婚パーティをやってみた!!>

話は年末の築地から始まる。

12月29日に築地市場へ出かけたのだが、
実に年末らしい体験で楽しかった。

一昨年の年末はアメ横の大群衆に混ざったが、
そのときの体験も年末らしくて非常によろしかった。
声をからした店員たちが、

「マグロ1000円、マグロ1000円!」
「いつもの半額以下だ、持ってきな、半額以下!」
「ほら見てってよ、お兄さん!」

と道の両隣から呼びかける。

マグロ、カニ、明太子、イクラ、筋子といった、
基本的にどれも赤いものばかりが、ずらりと並んでいる。
中身ぎっしりのパックが驚くほどに安い値段なので、
食べきれないぐらいの量をつい買ってしまう。

ちなみに我が家には一昨年のアメ横で買った、
ホタテ貝柱(400グラム、4500円)がまだある。
スープを取ったり、お粥の具として最適なのだが、
うっかり使い惜しみしているうちに年を越してしまった。

今年、築地で浮かれながら購入したものも、
気持ちが熱いうちに、ぜひ使い切りたいものだ。

ちなみに、ひとつ豆知識。

築地市場は大きく場内市場と場外市場に分かれており、
場内市場はプロ専用で、一般人は買い物ができない。
だが、年末29日の午前9時頃から30日午前中にかけてのみ、
一般人でも場内市場で買い物が可能になるのだ。

これは大方のプロが29日の朝で買出しを終えるため、
在庫整理という意味で、場内でも小売りを始めるからだ。

普段ならば一般人が行っても邪魔にされるだけだが、
この期間中は、商品に値札まで貼られて大歓迎である。
しかも値段は市価よりも安く、場外よりも空いている。
絶好の穴場なので、興味のある人は来年是非。

商品がなくなったらすべて店じまいなので、
早いもの勝ちの、よい品争奪戦である。
なお、29日も昼頃には店が閉まるので要注意。

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賑わう築地市場の場内。写真はかつて取材時に撮ったもの。

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築地場内の生マグロ競り場。写真はかつて取材時に撮ったもの。

と、いきなり韓国とは無関係の話題から始まったが、
さらに脱線して、その後、正月の話題にも触れておきたい。
そして、やや浮かれた話題になって恐縮なのだが、
第175号で報告した通り、6月20日に入籍をした。

従って、2009年は結婚して初めての正月なのである。

最初ぐらいは気合を入れようではないか。
ということで、年末の築地へ買い出しに出かけたのだ。
だが、僕らは明らかに新米夫婦ということで、
何をどう買い出したら、正月料理になるかわかっていない。

「伊達巻きと紅白カマボコはいるよね」
「黒豆、田造り、栗きんとん、昆布巻き、数の子、煮物……」
「豪華にするなら伊勢海老とかかなぁ」

という会話を経つつ、買出しの予定を組んだ。
最初は黒豆を2日ぐらいかけて煮る、という案もあったが、
予想以上に手間がかかるらしいとわかって断念した。

また会話をしていくうちに、

「うちは鶏の照り焼きが毎年入ってた(夫談)」
「うちはウナギ入りの卵焼きを作ってた(妻談)」

と、両家のお節料理が、
けっこう自由であったことも判明した。

よってきっぱり方向転換。

未熟なまま形ばかりきちんと揃えるよりも、
まずは好きなものを詰めてお節にすればいいじゃないか。
堕落した意見だが、話は一気にまとまった。

かくして築地まで繰り出した結果。

我が家の初年度お節料理は以下のようになった。
なお重箱は陶器で出来た、頂きものの3段重ねである。

・カマボコ
・伊達巻き
・出汁巻き卵
・鮭のテリーヌ
・カラスミ
・明太子
・数の子
・ボンレスハム
・小松菜のおひたし
・鴨の燻製サラダ

正直、どこがお節料理だというラインナップ。
カマボコ、伊達巻き、数の子あたりは辛うじて用意したが、
黒豆、田造り、昆布巻きなどの黒い料理が軒並み不足。
ほとんど酒の肴を集めただけになった。

そもそもお節料理には色々な意味がある。

健康を意味する黒豆や、豊作を意味する田造りがなく、
金運の象徴である栗きんとんに、よろ昆布、めで鯛もない。
そのくせしっかり子孫繁栄の数の子は食べている。

というよりも、ずいぶん卵の多いお節料理だ。

伊達巻き以外に寿司店でもらった出汁巻き卵があり、
数の子だけでなく、カラスミと明太子まで入っている。
新年早々、カロリー過多が懸念されること、この上ない。

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新年1月1日の食卓。気持ちだけはお節料理。

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新年1月2日の食卓。実家(八田家)のお節料理。

かように新年のお節料理さえ作れない夫婦だが、
日本方面はダメでも、隣の国に関してはとりえがある。
夫である僕はコリアン・フード・コラムニスト。
妻は韓国のエンタメ分野を得意とする編集者。

日本の伝統行事には疎くても、隣の国には詳しい。

来たる、1月26日(旧暦1月1日)の旧正月には、
韓国式の雑煮であるトッククを作ろうかとも考えている。
ちなみにもっと凝るなら、前日である1月25日には、
ビビンバを作って冷蔵庫整理をするとより完璧だ。

つらつらと書いてきて、ここからが本題なのだが、
そんな2人が、昨年11月22日に結婚パーティを行った。
6月20日に入籍し、結婚式は10月18日に挙げた。

結婚式は両家の家族だけが集まって行い、
そのかわりに、お披露目を兼ねたパーティを行った。

韓国好きの2人が出会って結婚したということで、
韓国関連友達、仕事関係の方々、韓国料理店の方々に声かけ。
韓国にこだわったパーティというのを演出してみたのだ。

まず考えたのは、場所である。

韓国にこだわるのなら、料理は韓国料理にしたい。
しかもできれば、結婚式ならではの料理を提供したい。
となると、都内でそれをするには店が限られる。
しっかりした韓国料理を作れて、かつパーティ向きの店。

考えた挙句、候補に残ったのは銀座の高級韓国料理店。
薬膳料理を自慢とする「韓国薬膳はいやく」にお願いした。
立食で90人まで入るキャパシティも魅力であった。

ちなみに店の看板料理はサムゲタンである。
ひな鶏の腹にもち米、高麗人参などを詰めて煮込む料理だが、
この店では、そこに紅麹を加えて独特の風味をつけている。
これをメイン料理に据え、パーティ形式のメニューを組んでもらった。

そして韓国の結婚式を象徴するカルビタンも特注。

牛のカルビ(あばら肉)を長時間煮込んだ濃厚なスープで、
韓国では結婚式に必ず出される料理として知られる。
これを作ってもらえるかが、場所探しの大きなポイントでもあった。
わがままを聞いてくれた店の方々に心から感謝したい。

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銀座「韓国薬膳はいやく」のサムゲタン。

次にこだわったのは、韓国の婚礼衣装である。

僕らは結婚式の場でウェディングドレスとタキシードを着つつ、
式の前日には近隣の神社において、和装での写真撮影も行った。
残るは韓国の衣装である。韓服(ハンボク)もぜひ着ておきたい。

だが韓国で購入するとなると、和服同様に高価なので、
なんとかレンタル出来ないものかと考えた。

探してみると、やはりあった。

聞けば、都内近郊だけで10店舗ほどあるとのこと。
もともとは在日の人たちが主として利用していた店だが、
近年は韓国人気で日本人需要も増えているという。

いろいろ調べ、また店も実際に回った結果、
豊島区の大塚にある「彩」という店にお願いをした。
オリジナルデザインの古典衣装が充実しており、
朝鮮時代に王様が着たような衣装をレンタルできる。

また、当日はそれを着付けしてもらわねばならないが、
これも専門のヘアメイクアーティストさんをご紹介頂いた。
韓服向けのヘアメイクと着付けの両方が出来る人は、
人数が少なく、貴重な存在であるそうだ。

始めてみると、意外に必要なものがトントン揃う。

当日の総合司会は、毎月一緒にトークイベントを行っている、
韓国語も話せるお笑い芸人、チングの2人に依頼した。

入退場など音響関連はK-POPのCDを準備。
パーティに欠かせない、ゲーム大会の景品も韓国で購入。
ケーキ入刀の代わりには、ケーキ型をした伝統餅をカット。
伝統餅は専門店からわざわざ店まで配達してもらった。

余興を依頼した友人らは、韓国アイドルの歌をコスプレ付きで熱唱し、
飛び入りでアリランを歌い始める人たちまで登場した。
考えていたよりも、はるかに韓国的なパーティに仕上がった。

自分でいうのもなんだが、盛り上がったのである。

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大塚「彩」でレンタルした結婚式用の古典衣装。

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新大久保「鐘路福餅家」から配達してもらった伝統餅ケーキ。

そのパーティがすべて終わって思った。
これって、けっこうスゴイことじゃないのか?

僕ら夫婦は韓国という国を通じて出会った。

だからこその、韓国尽くしパーティだったのだが、
僕らは日本人であり、韓国はあくまでも外国である。
その外国文化を、さらに外国である日本において、
外国人である僕らが、これだけ凝ったものに仕上げられる。

僕ら夫婦が韓国に留学していたのは、
1999年から2000年にかけての時期であった。
多少のズレがあって、その頃には出会ってもいなかったが、
同じ時代の韓国を経験していたのには違いない。

その頃はまだ、韓流のブームなど影も形も存在しなかった。

2002年のサッカーW杯共催を目前にしつつも、
互いの国に対する理解は低く、誤解の多い時代であった。
その頃に比べると、もはや隔世の感があるといえよう。

韓流を経て、韓国という国はずいぶん身近になった。

もちろんその身近さはこれまでも充分に体感していたが、
それを含めても、今回のパーティは衝撃的であった。
僕ら韓国好き夫婦が、韓国的なお披露目パーティをしたいと考え、
実行に移すだけの材料が、今の日本には揃っている。

なんとも不思議な時代になったものだ。

でたらめなお節料理を肴に日本酒をぐびぐび飲み、
寝正月よりも、だらけきった正月を送りつつではあるが。

新年の冒頭。

日韓の「近さ」を改めて反芻し、メルマガにしてみた。
今後はその近さをステップに、より深い理解へと。
その素地はもはや充分にあるはずだ。

深さに向けた、いい仕事をしたい。

2009年1月1日。
酔った頭に言い聞かせてみる。

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八田家の雑煮はかつお出汁に餅、カマボコ、小松菜とシンプル。

<店舗情報>
店名:韓国薬膳はいやく
住所:東京都中央区銀座4-10-10銀座山王ビル地下1階
電話:03-3547-3526
営業:11:30~15:00、17:30~23:00
定休:日曜日
http://www.yakuzenhaiyaku.com/

店名:彩(さい)
住所:東京都豊島区南大塚3-35-2南大ビル2階
電話:03-5950-2309
営業:11:00~19:00
定休:不定休
http://www.k5.dion.ne.jp/~sai.2/

店名:ヘアーメインクhyang
住所:神奈川県横浜市神奈川区泉町17-11
電話:045-309-9978
http://www.k4.dion.ne.jp/~hyang

店名:鐘路福餅家
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-41-3
電話:03-3232-6680
営業:0:00~21:00
定休:なし

<お知らせ>
仕事が忙しくHPの更新ができません。
落ち着いたら、まとめて更新したいと思います。
http://www.koparis.com/~hatta/

<八田氏の独り言>
お節料理は適当でも雑煮はしっかり作りました。
築地で買った上質の削り節がいい仕事をしています。

コリアうめーや!!第188号
2009年1月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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