コリアうめーや!!第226号

コリアうめーや!!第226号

<ごあいさつ>
8月になりました。
毎日、うだるような暑さが続きます。
部屋にこもって仕事をしていても、
クーラーなしには過ごせなくなりました。
なるべくエコな28度を堅持しておりますが、
ときおり禁を破って温度を下げることも。
あまり下げても体調を崩すんですけどね。
とかく体調管理の難しい時期ですが、
読者皆様も無理をせず、ご自愛ください。
さて、今号のコリアうめーや!!ですが、
ひとつ仕事が形になりましたのでご報告です。
地域をあちこち回る取材でしたので、
そこで食べた美味しいものをまとめてみました。
今後ますます注目を集めそうなこのエリア。
機会があれば、ぜひ足を運んでみてください。
コリアうめーや!!第226号。
ダイジェストでの、スタートです。

<慶尚南道の郷土美食をずらり紹介!!>

『るるぶ釜山・慶州』が一昨日発売になった。
4月中旬に1週間かけて取材をした成果である。

『るるぶ』から釜山編が出るのは初めてで、
ソウル編、韓国編に続く、3バージョン目となる。
これまでも韓国編の一部に釜山は取り上げられていたが、
そこから独立して、より情報が充実した形だ。

「いよいよ釜山の時代が始まる!」

などと大きなことをつい書きたくもなるが、
そもそも、釜山はこれまでも相当な人気都市。

コリアうめーや!!第220号にも書いたが、
釜山を訪れる日本人観光客は63万人を突破している。
その数字はすでにイタリアや、オーストラリア以上。
ここ最近の旅行業界ではある種、注目の的だ。

ガイドブック業界の足並みもだいぶ揃っており、
今後のさらなる観光客増加が期待される。

今回、僕は釜山エリアのグルメを中心に、
近郊都市の観光地と郷土料理のページを担当。
移動が多く、なかなかハードな取材だったが、
そのぶん、美味しいものにも恵まれた仕事だった。

「これはメルマガでも報告せねば!」

と思いつつ、やはり仕事のほうが優先。
じりじりと原稿を書きつつタイミングを見ていたが、
本が世に出たことで、晴れて解禁である。
今回、語らせて頂くのは慶尚南道の食事情。

飲食店情報などは『るるぶ』を見て頂くとして、
各地域の魅力的な食をダイジェストで紹介したい。

まずは慶尚南道の基礎的な情報から。

慶尚南道は韓国の南東部に位置する道で、
道庁所在地は昌原(チャンウォン)市にある。
イメージ的に釜山を中心としているように思えるが、
釜山と蔚山(ウルサン)は広域市であり行政上は別地域。

個人的にはこのあたりが慶尚南道の悩ましい点で、
有名都市が独立しているため、象徴的な都市がない。

慶尚北道といえば慶州(キョンジュ)!
全羅北道といえば全州(チョンジュ)!
全羅南道といえば木浦(モッポ)!

といった顔役の都市があると、
観光客の受けもよく、足を運ぶ人が増える。

慶尚南道に含まれる自治体は8市10郡。

有名都市といえば、

・晋州城を抱く晋州(チンジュ)市
・李舜臣将軍ゆかりの統営(トンヨン)市
・伽耶の歴史を残す金海(キメ)市

あたりが定番だが、
単体で魅力を放つにはやや弱い。

加えて、

・アンコウ料理を生んだ馬山(マサン)市
・桜で有名な鎮海(チネ)市

といういぶし銀の中堅都市もあったのだが、
2010年7月をもって昌原市と合併してしまった。
現在は昌原市内の区として再編されている。

ひとつ不安なのはこの合併で昌原市の人口が増加し、
広域市としての条件を満たす100万人を突破したこと。
仮に広域市として独立してしまったとすると、
ますます慶尚南道という存在が地味になる気がする。

今回、取材時期が合併前だったこともあって、

「昌原はどうなるんですかねぇ」

という話を世間話としてよく聞いた。

新たに就任した市長もその可能性を示唆しているので、
いずれ広域市として、独立するのかもしれない。
ただ、京畿道水原(スウォン)市のように100万人を超えても、
広域市にならず、市として留まっている例もある。

みんながみんな、

「どうなるのかなぁ……」

と思っているのが現状のようだ。

そんな事情もあって、僕は地味さがさらに気にるのだが、
食方面に目を向けると、魅力的な土地は充分多い。

僕が取材前に足を運んでいた地域だけでも、

・金海市
・晋州市
・統営市
・巨済(コジェ)市
・南海(ナメ)郡

と5ヶ所あった。
これに今回、

・昌原市
・梁山(ヤンサン)市

を加えたので5市1郡を制覇……。

というか、ぜんぜん回っていないのが一目瞭然。
大規模な市はともかく、郡エリアをまるで攻めていない。
ここ最近、全羅北道ばかり足を運んでいたので、
他地域がずいぶんおろそかになっている。

反省の念も込めつつ、慶尚南道の魅力を順に語ろう。

まず金海市。

釜山に隣接するベッドタウンとして栄え、
週末に繰り出すような郊外型の大規模飲食店が多い。
中でも、進永(チニョン)エリアの牛焼肉と、
仏岩(プラム)エリアのウナギ焼きが有名だ。

いずれも、釜山や金海に住む人たちが、

「今日は外食!」

というときに足を運ぶ場所である。

特に、金海市は畜産業が盛んな町なので、
地元で育てた韓牛はひとつのステータスになっている。
中でも「天下一品韓牛」という名前の牛肉が自慢で、
これを進永エリアでは焼肉、ユッケなどで食べさせてくれる。

仏岩のウナギは食べ方が少し変わっている。

チャンアチ(野菜の醤油漬け)をたくさん用意し、
焼けたウナギを、包んだり、添えたりして一緒に味わう。
チャンアチは醤油味だけでなく、甘酢につけたものもあり、
脂の強いウナギをさっぱり味わえるのが魅力だ。

昌原は都市部なので、郷土料理の魅力にはやや欠けるが、
馬山と合併したことで、アンコウ料理を手に入れた。

かつて韓国ではアンコウを食べる習慣がなかったが、
馬山のとある居酒屋がアグチム(アンコウの蒸し煮)を開発。
これが人気を得て、現在は全国で親しまれている。

馬山エリアにはアグチムの専門店通りがあり、
もともとの姿である、乾燥アンコウのアグチムが食べられる。
生のアンコウで作ったものよりも食感はやや堅いが、
そのぶん、干すことで凝縮した旨味を楽しめる。

また、もともとの昌原エリアではソクセプルコギが有名。

下味をつけた牛肉を、網焼きにしたもので、
柔らかな食感と、炭火の香ばしい風味が持ち味だ。

梁山市は韓国三大名刹にひとつ通度寺が有名。

境内にはお釈迦様の仏舎利が祀られており、
日々、それを拝みに多くの信者が足を運んでいる。

仏舎利が奉安されている金剛戒壇と、
それを臨む位置に建つ大雄殿は国宝にも指定。
これらを見に行くだけでも充分価値のある地域だ。

そして食の魅力も忘れてはいけない。

通度寺の入口には飲食店が数多く並んでおり、
そこで食べられる山菜ビビンバはなかなかの逸品。
通度寺裏で取れるチィナムル(シラヤマギク)を中心に、
素朴ならがらも、豊かな味のビビンバが味わえる。

ほかにもトドックイ(ツルニンジン焼き)定食や、
ミンムルメウンタン(淡水魚の辛い鍋)なども地域の名物。
少し離れたところでは鯉料理なども味わえる。

港町として栄える統営は郷土料理の宝庫。
ざっと箇条書きにしても、

・トダリスックク(カレイとヨモギのスープ)
・チュンムキムパプ(ひと口大の具なし海苔巻き)
・ウッチャ(ウドンの汁を注いだチャジャンミョン)
・クルパン(蜜を絡めた丸いアンドーナツ)
・ペッテギジュク(サツマイモの粥)
・カキ料理(カキ飯、カキ粥など)
・チョルボックク(ヒガンフグのスープ)

といった名物料理の名前があがる。

もちろん新鮮な魚介が豊富な地域なので、
新鮮な刺身が美味しいのはもちろんのこと。
タッチチプという、焼酎に料理がどっさりついてくる、
統営ならではの居酒屋スタイルも定着している。

そして、今回の取材でもっとも印象的だったのが、
李舜臣将軍の食べた料理を再現した韓定食。

李舜臣将軍は筆まめな人だったようで、
食べたものを、日記に細かく残していた。
それをもとに統営市、慶尚南道がプロジェクトを立ち上げ、
李舜臣将軍の料理を地域起こしに活用したのだ。

日記の料理を専門家がレシピに起こし、
地元から希望者を募って飲食店をオープン。
李舜臣将軍の愛した料理が味わえるということで、
観光の目玉にしようと頑張っている。

キジ肉スープの麺や、粟粥、牛焼肉などに加え、
地元、統営でとれた魚料理がコースに含まれる。
値段はそこそこするが、話のタネには悪くない。

最後は釜山の南西部に浮かぶ巨済市。

現在も統営経由で橋がかかっているが、
今年11月には釜山と結ぶ巨加大橋が完工予定。
釜山から陸路でもダイレクトアクセスが可能になり、
観光地としての利便性がぐっと高まった。

日本人には『冬のソナタ』のロケ地となった、
外島(ウェド)があることでも有名な場所。

島だけあって、ここも海産物の旨い土地だが、
中でも近年注目を集めているのがホヤ料理である。
春先の旬にはホヤの刺身が大皿にどっさり並び、
またその一部を塩辛にして、年間を通して楽しむ。

そしてこのホヤの塩辛を使ったビビンバが絶品。

ごはんに海苔を加えたぐらいのシンプルなビビンバだが、
鮮烈な磯の香りが、身体中に巡るようでたまらない。
塩辛にすることで特有の生ぐささも消えるため、
ホヤが苦手なひとでも、ぺろっと食べることができる。

といった感じに、ざっとではあるが、
5地域で食べた郷土料理を綴ってみた。

いずれもその土地ならではの美食があり、
慌ただしい取材日程だったが、発見は多かった。
短い文章では、伝わりきらない点もあるかとは思うが、
後は『るるぶ』の情報などでもぜひ補って欲しい。

個人的にはこの慶尚南道取材に向けて、
下調べをした、残りが頭にひっかかっている。

行きたい町はほかにもたくさんあったのだが、
誌面の都合もあり、いくつかは泣く泣く割愛した。
いずれの宿題としつつ、再訪したいと思う。

この『るるぶ釜山・慶州』がうまいこと売れ、
また、釜山の周辺地域にも注目が集まれば。
おそらく次の取材機会も自動的にやってくるだろう。

その幸せな日々を夢想しつつ。

慶尚南道の美食下調べを続けねばならない。

いまのところもっとも行きたいのは、
内陸地域の宜寧郡、咸安郡あたり。
あと、固城郡では恐竜の足跡が見られるらしいので、
そこは個人的にも行ってみたかったりする。

なんでも恐竜パンという便乗商品もあるとのこと。

そのあたりを企画の中心にしつつ、
なんとか出張できないものか思案中である。

<お知らせ>
仕事が忙しくHPの更新ができません。
落ち着いたら、まとめて更新したいと思います。
http://www.koparis.com/~hatta/

<八田氏の独り言>
韓国ももっと便乗商品が増えるといいのになあ。
そんなことを取材していて思ったりします。

コリアうめーや!!第226号
2010年8月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



Comments are closed.

 

 
 
previous next