コリアうめーや!!第188号

コリアうめーや!!第188号

<ごあいさつ>
明けましておめでとうございます。
2009年1月1日。新年を迎えました。
僕の住む東京は見事なまでの晴天。
気持ちのよい、1年の始まりに浮かれています。
窓越しに澄んだ青空を眺めていると、
今年も頑張らねば、と思えてきますね。
不況ばかりが話題にのぼる今日この頃ですが、
それを吹っ飛ばす元気で臨みたいところです。
1年の計は元旦にあり。
まずはこのメルマガでいい文章を書き、
今年も1年頑張っていきたいと思います!
と狙い通りになりますかどうか。
さて、そんな2009年最初のテーマですが、
昨年秋に行ったあるパーティに定めました。
極めて個人的な話ではあるのですが、
日韓関係の今を感じる、ちょっとした体験。
僕にとってはおおいに衝撃的でした。
コリアうめーや!!第188号。
大吉のおみくじを握って、スタートです。 

<韓国好きが結婚パーティをやってみた!!>

話は年末の築地から始まる。

12月29日に築地市場へ出かけたのだが、
実に年末らしい体験で楽しかった。

一昨年の年末はアメ横の大群衆に混ざったが、
そのときの体験も年末らしくて非常によろしかった。
声をからした店員たちが、

「マグロ1000円、マグロ1000円!」
「いつもの半額以下だ、持ってきな、半額以下!」
「ほら見てってよ、お兄さん!」

と道の両隣から呼びかける。

マグロ、カニ、明太子、イクラ、筋子といった、
基本的にどれも赤いものばかりが、ずらりと並んでいる。
中身ぎっしりのパックが驚くほどに安い値段なので、
食べきれないぐらいの量をつい買ってしまう。

ちなみに我が家には一昨年のアメ横で買った、
ホタテ貝柱(400グラム、4500円)がまだある。
スープを取ったり、お粥の具として最適なのだが、
うっかり使い惜しみしているうちに年を越してしまった。

今年、築地で浮かれながら購入したものも、
気持ちが熱いうちに、ぜひ使い切りたいものだ。

ちなみに、ひとつ豆知識。

築地市場は大きく場内市場と場外市場に分かれており、
場内市場はプロ専用で、一般人は買い物ができない。
だが、年末29日の午前9時頃から30日午前中にかけてのみ、
一般人でも場内市場で買い物が可能になるのだ。

これは大方のプロが29日の朝で買出しを終えるため、
在庫整理という意味で、場内でも小売りを始めるからだ。

普段ならば一般人が行っても邪魔にされるだけだが、
この期間中は、商品に値札まで貼られて大歓迎である。
しかも値段は市価よりも安く、場外よりも空いている。
絶好の穴場なので、興味のある人は来年是非。

商品がなくなったらすべて店じまいなので、
早いもの勝ちの、よい品争奪戦である。
なお、29日も昼頃には店が閉まるので要注意。

と、いきなり韓国とは無関係の話題から始まったが、
さらに脱線して、その後、正月の話題にも触れておきたい。
そして、やや浮かれた話題になって恐縮なのだが、
第175号で報告した通り、6月20日に入籍をした。

従って、2009年は結婚して初めての正月なのである。

最初ぐらいは気合を入れようではないか。
ということで、年末の築地へ買い出しに出かけたのだ。
だが、僕らは明らかに新米夫婦ということで、
何をどう買い出したら、正月料理になるかわかっていない。

「伊達巻きと紅白カマボコはいるよね」
「黒豆、田造り、栗きんとん、昆布巻き、数の子、煮物……」
「豪華にするなら伊勢海老とかかなぁ」

という会話を経つつ、買出しの予定を組んだ。
最初は黒豆を2日ぐらいかけて煮る、という案もあったが、
予想以上に手間がかかるらしいとわかって断念した。

また会話をしていくうちに、

「うちは鶏の照り焼きが毎年入ってた(夫談)」
「うちはウナギ入りの卵焼きを作ってた(妻談)」

と、両家のお節料理が、
けっこう自由であったことも判明した。

よってきっぱり方向転換。

未熟なまま形ばかりきちんと揃えるよりも、
まずは好きなものを詰めてお節にすればいいじゃないか。
堕落した意見だが、話は一気にまとまった。

かくして築地まで繰り出した結果。

我が家の初年度お節料理は以下のようになった。
なお重箱は陶器で出来た、頂きものの3段重ねである。

・カマボコ
・伊達巻き
・出汁巻き卵
・鮭のテリーヌ
・カラスミ
・明太子
・数の子
・ボンレスハム
・小松菜のおひたし
・鴨の燻製サラダ

正直、どこがお節料理だというラインナップ。
カマボコ、伊達巻き、数の子あたりは辛うじて用意したが、
黒豆、田造り、昆布巻きなどの黒い料理が軒並み不足。
ほとんど酒の肴を集めただけになった。

そもそもお節料理には色々な意味がある。

健康を意味する黒豆や、豊作を意味する田造りがなく、
金運の象徴である栗きんとんに、よろ昆布、めで鯛もない。
そのくせしっかり子孫繁栄の数の子は食べている。

というよりも、ずいぶん卵の多いお節料理だ。

伊達巻き以外に寿司店でもらった出汁巻き卵があり、
数の子だけでなく、カラスミと明太子まで入っている。
新年早々、カロリー過多が懸念されること、この上ない。

かように新年のお節料理さえ作れない夫婦だが、
日本方面はダメでも、隣の国に関してはとりえがある。
夫である僕はコリアン・フード・コラムニスト。
妻は韓国のエンタメ分野を得意とする編集者。

日本の伝統行事には疎くても、隣の国には詳しい。

来たる、1月26日(旧暦1月1日)の旧正月には、
韓国式の雑煮であるトッククを作ろうかとも考えている。
ちなみにもっと凝るなら、前日である1月25日には、
ビビンバを作って冷蔵庫整理をするとより完璧だ。

つらつらと書いてきて、ここからが本題なのだが、
そんな2人が、昨年11月22日に結婚パーティを行った。
6月20日に入籍し、結婚式は10月18日に挙げた。

結婚式は両家の家族だけが集まって行い、
そのかわりに、お披露目を兼ねたパーティを行った。

韓国好きの2人が出会って結婚したということで、
韓国関連友達、仕事関係の方々、韓国料理店の方々に声かけ。
韓国にこだわったパーティというのを演出してみたのだ。

まず考えたのは、場所である。

韓国にこだわるのなら、料理は韓国料理にしたい。
しかもできれば、結婚式ならではの料理を提供したい。
となると、都内でそれをするには店が限られる。
しっかりした韓国料理を作れて、かつパーティ向きの店。

考えた挙句、候補に残ったのは銀座の高級韓国料理店。
薬膳料理を自慢とする「韓国薬膳はいやく」にお願いした。
立食で90人まで入るキャパシティも魅力であった。

ちなみに店の看板料理はサムゲタンである。
ひな鶏の腹にもち米、高麗人参などを詰めて煮込む料理だが、
この店では、そこに紅麹を加えて独特の風味をつけている。
これをメイン料理に据え、パーティ形式のメニューを組んでもらった。

そして韓国の結婚式を象徴するカルビタンも特注。

牛のカルビ(あばら肉)を長時間煮込んだ濃厚なスープで、
韓国では結婚式に必ず出される料理として知られる。
これを作ってもらえるかが、場所探しの大きなポイントでもあった。
わがままを聞いてくれた店の方々に心から感謝したい。

次にこだわったのは、韓国の婚礼衣装である。

僕らは結婚式の場でウェディングドレスとタキシードを着つつ、
式の前日には近隣の神社において、和装での写真撮影も行った。
残るは韓国の衣装である。韓服(ハンボク)もぜひ着ておきたい。

だが韓国で購入するとなると、和服同様に高価なので、
なんとかレンタル出来ないものかと考えた。

探してみると、やはりあった。

聞けば、都内近郊だけで10店舗ほどあるとのこと。
もともとは在日の人たちが主として利用していた店だが、
近年は韓国人気で日本人需要も増えているという。

いろいろ調べ、また店も実際に回った結果、
豊島区の大塚にある「彩」という店にお願いをした。
オリジナルデザインの古典衣装が充実しており、
朝鮮時代に王様が着たような衣装をレンタルできる。

また、当日はそれを着付けしてもらわねばならないが、
これも専門のヘアメイクアーティストさんをご紹介頂いた。
韓服向けのヘアメイクと着付けの両方が出来る人は、
人数が少なく、貴重な存在であるそうだ。

始めてみると、意外に必要なものがトントン揃う。

当日の総合司会は、毎月一緒にトークイベントを行っている、
韓国語も話せるお笑い芸人、チングの2人に依頼した。

入退場など音響関連はK-POPのCDを準備。
パーティに欠かせない、ゲーム大会の景品も韓国で購入。
ケーキ入刀の代わりには、ケーキ型をした伝統餅をカット。
伝統餅は専門店からわざわざ店まで配達してもらった。

余興を依頼した友人らは、韓国アイドルの歌をコスプレ付きで熱唱し、
飛び入りでアリランを歌い始める人たちまで登場した。
考えていたよりも、はるかに韓国的なパーティに仕上がった。

自分でいうのもなんだが、盛り上がったのである。

そのパーティがすべて終わって思った。
これって、けっこうスゴイことじゃないのか?

僕ら夫婦は韓国という国を通じて出会った。

だからこその、韓国尽くしパーティだったのだが、
僕らは日本人であり、韓国はあくまでも外国である。
その外国文化を、さらに外国である日本において、
外国人である僕らが、これだけ凝ったものに仕上げられる。

僕ら夫婦が韓国に留学していたのは、
1999年から2000年にかけての時期であった。
多少のズレがあって、その頃には出会ってもいなかったが、
同じ時代の韓国を経験していたのには違いない。

その頃はまだ、韓流のブームなど影も形も存在しなかった。

2002年のサッカーW杯共催を目前にしつつも、
互いの国に対する理解は低く、誤解の多い時代であった。
その頃に比べると、もはや隔世の感があるといえよう。

韓流を経て、韓国という国はずいぶん身近になった。

もちろんその身近さはこれまでも充分に体感していたが、
それを含めても、今回のパーティは衝撃的であった。
僕ら韓国好き夫婦が、韓国的なお披露目パーティをしたいと考え、
実行に移すだけの材料が、今の日本には揃っている。

なんとも不思議な時代になったものだ。

でたらめなお節料理を肴に日本酒をぐびぐび飲み、
寝正月よりも、だらけきった正月を送りつつではあるが。

新年の冒頭。

日韓の「近さ」を改めて反芻し、メルマガにしてみた。
今後はその近さをステップに、より深い理解へと。
その素地はもはや充分にあるはずだ。

深さに向けた、いい仕事をしたい。

2009年1月1日。
酔った頭に言い聞かせてみる。

<お知らせ>
仕事が忙しくHPの更新ができません。
落ち着いたら、まとめて更新したいと思います。
http://www.koparis.com/~hatta/

<八田氏の独り言>
お節料理は適当でも雑煮はしっかり作りました。
築地で買った上質の削り節がいい仕事をしています。

コリアうめーや!!第188号
2009年1月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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