コリアうめーや!!第178号

コリアうめーや!!第178号

<ごあいさつ>
8月になりました。
いよいよ本格的な夏を迎えます。
すでに暑い日々は鬱陶しいほど続いておりますが、
7月の夏と、8月の夏ではやはり印象が違いますよね。
全身をジリジリと焦がす、暑い夏といえば絶対に8月。
1ヶ月間の盛夏を目一杯楽しみたいと思います。
ちなみに僕はといえば、その7月と8月の境目を、
久しぶりに韓国のソウルで飛び越しました。
某ガイドブックの仕事で、ソウルの飲食店を取材中。
このメルマガも明洞という繁華街のネットカフェで書いています。
深夜なので、オンラインゲームに興じる若者たちに囲まれつつ、
ひたすら日本語の文章を打ち込む作業は妙な感じですね。
アクションゲームの爆音と、K-POPが混じる中。
コツコツと韓国での流行について考えてみました。
コリアうめーや!!第178号。
ここ数年を一挙に振り返る、スタートです。

<ソウルで食の流行について考える!!>

流れて行くと書いて流行。

文字通り、それは一過性のものであるのだが、
周囲で話題になっていれば妙に気になるのが人の性。
むしろ知らないことが恥になることすらありうる。

数年前、スープカレーが流行し始めていた頃。

「スープカレーって美味しいよね」
「ああ、子どもの頃に給食で食べてたあれね!」
「給食!?」

という経緯で友人に爆笑されたことがある。

スープカレーは札幌生まれのオシャレな料理。
僕が勘違いしたのは、単なるしゃびしゃびのカレー汁。
あれはあれで美味しかったが、スープカレーとはまるで違う。

いま振り返っても悲しい勘違いだ。

友人から説明を受けて、えらく恥ずかしい思いをしたので、
それ以来、麗しきはずの給食の思い出がちょっとほろ苦い。
揚げパン、ワカメごはん、スパゲティミートソース。
どれももう1度じっくり楽しみたい料理ばかりなのに。

語ろうと思えばこの話題。

おそらく多くの人が熱く語れることだろう。
だが、このメルマガにおいては、どう考えても脱線ルート。
誘惑を振り払って、本題に戻る努力をせねばならない。

しかも給食の話題というのは世代間で異なるのも問題である。
楽しい余談として書いても、世代によって通じなければ意味がない。

例えば、脱脂粉乳とクジラの竜田揚げが思い出の世代もあれば、
たけちゃんマンライスとソフト麺が思い出の世代もあるだろう。
牛乳ですら三角パックか、ビン牛乳かで大きく違う。

あるいは……。

「えー、山田くんの給食費がなくなった」
「持っていった者は、今なら怒らないから名乗り出なさい」
「みんな目をつぶって……。給食費を盗んだ者は手をあげろ」
「よし、わかった。加藤はもう手をおろしていいぞ」

というようなギャグが通じるかも世代によって難しい。

むしろいまの子どもたちが大人になって給食を語るとしたら、
級友の親が典型的なモンスターペアレントだったとかなんとか。
そんな話題に花が咲くのかもしれない。

であるからして、こういう脱線は絶対に阻止……あれ。

いかん。いかん。

話が脱線しないように気をつけるつもりが、
この時点で充分過ぎるほどに語ってしまった。
いつものことだが、余談はほどほどにしないと尻すぼみになる。
語りたいのは、給食ではなく「流行」についての話だ。

流行はそれ自体が瞬間の盛り上がりとわかっていても、
ついつい気にしてしまう、抗えない魔力を持っている。
まして自分が関心を持つ分野なら、なおさらだろう。

例えば、僕の場合は韓国料理。

なおかつ僕はそれが仕事でもあったりするため、
アンテナはできるだけ高く立てておかねばならない。
知らないと恥どころか、沽券に関わることもある。
まあ、往々にして知らずに恥をかいているけれども。

僕が韓国における食の流行を意識し始めたのは、
留学から帰ってきた、2001年頃からだったと思う。

当時、日本にいてなかなか韓国に行けなかった僕は、
韓国の友人から流行料理の話を聞いては地団駄を踏んでいた。
思えばこの時期は流行料理の当たり年。

・安東チムタク
・ワインサムギョプサル
・五十歳酒

といった面々が、話題に上り始めた頃だ。
現代韓国料理におけるひとつのターニングポイントだろう。

少し解説すると、安東チムタクは慶尚北道安東市の郷土料理で、
ぶつ切りにした鶏肉を、野菜とともに醤油煮にしたもの。
ブーム以前は誰も注目することのない田舎料理であった。

それが2000年末からソウルを中心に専門店が増え、
全盛期は繁華街の至るところでチムタクの看板を見るほどに急成長した。
それまで鶏肉といえばタッカルビ(鶏の鉄板焼き)が目玉だったが、
圧倒的な人気でそれを駆逐し、全国的なブームを作った。

また、ワインサムギョプサルが脚光を浴びたのもほぼ同時期。
これも従来のサムギョプサル(豚バラ肉の焼肉)にアレンジを加え、
豚肉をワインに漬け込むという工夫で注目を集めた。

ワインには豚特有のくさみを消すという意味があったが、
それよりも、ワインという西洋的なイメージが流行に拍車をかけたのは事実。
豚を使った庶民的な焼肉が、瞬く間にご馳走料理へと変化した。

こうした既存料理の現代化は、いまにも続くキーワードである。

そして、五十歳酒の登場も非常に興味深い。

これは「百歳酒」という薬酒を用いた宴席での即席カクテル。
百歳酒を焼酎で半分に割るから五十歳酒という、
冗談のようなネーミングが受けて、全国的に大ヒットした。

また、この五十歳酒が受けたのは健康ブームも背景にある。

「焼酎ばかりたくさん飲むのは健康によくないよね」
「一緒に薬酒も飲めば健康にもいいんじゃない?」
「んじゃ、両方一緒に混ぜちゃえ!」

という経緯から生まれた間抜けなチャンポン酒だが、
そこには韓国人の健康好きがよく反映されている。
何を食べていてもふた言目には、

「モメチョッタ(身体にいい)」

という言葉が飛び交うのが韓国人の食卓風景。
このキーワードは後にウェルビン(Well being)と名を変え、
全国的な健康ブームとして駆け巡ることになる。

これらを見ると、現代韓国料理におけるブームの系譜は、
2001年の段階である程度、方向性が固まっているように思う。
さらに付け加えるべきは、外国料理の急増ぐらいだろうか。

せっかくなので、2001年以降の流行もまとめてみよう。
現代韓国料理の流行がよく見えるようになるかもしれない。

ただし、ここでのまとめはあくまでも僕の知る限り。
僕の把握していないブームや、プチブームは含まれていない。

「あのブームが抜けているじゃないか!」

という指摘は後でこそっと教えて欲しい。
また、年代の微妙な違いも同様である。

<2001年>
・安東チムタク
・ワインサムギョプサル
・五十歳酒
・キムチバーガー

<2002年>
・マグロビュッフェ
・緑茶関連商品
・生フルーツジュース

<2003年>
・ドラマ『大長今』人気(宮中料理、宮中トッポッキ)
・ロングソフトクリーム
・ハウスビール
・マンゴー関連商品

<2004年>
・ウェルビン(豆乳、チョングッチャン、ポリパプ)
・激辛料理(プルタク、タッパル、赤いオデン)
・低脂肪ヨーグルト
・ロール寿司

<2005年>
・古漬けキムチ料理(3年熟成キムチチゲ、キムチチム)
・変り種サムギョプサル(餅サムギョプサル、チーズサムギョプサル)
・トースト専門チェーン
・日本料理(讃岐うどん、回転寿司、おでんバー)
・テントバー&フルーツ焼酎

<2006年>
・低アルコール焼酎
・本格ワインバー
・コーヒーショップチェーン
・日本居酒屋&生ラーメン
・オムライス
・ザクロジュース

<2007年>
・氷結マッコルリ
・ドーナツチェーン
・トウモロコシのヒゲ根茶
・トルネードポテト

<2008年>
……。

さて、そろそろ本題に入ろうか。

これら一連の内容を踏まえて僕は悩んでいた。
韓国料理の流行について分析し、年ごとの一覧表を作り、
ある程度の傾向をにらみつつ、激しく思案中であった。

懸案事項は2008年の流行料理。
そして、それはメルマガのためではない。

実は配信日の数日前からソウルに来ているのだが、
取材仕事の中で、流行料理についての記事が必要だった。
だが、2008年は目立った動きが少なく、どうも決め手に欠ける。
これといった大ヒット料理がなく、以前からの継続ブームが多い。

ソウル入りした当初からその流行料理に悩み、
あれこれ考えられるすべての手法で調べていった。

インターネットで調べ、ソウルに住む友人に尋ね、
街歩きをしながら店の看板にも目を走らせる。
それでも足りず、結局過去の流行から紐解いてみることにした。

上に掲げたリストは、そうやってできたものである。

「え、じゃあこの内容って仕事のついで?」

という声もあろうが、いやいやいや!
ついでではなく、内容が面白かったからメルマガにもしたのだ。

2001年以降なので、期間的には限られるが、
その時期、韓国に出かけた人には懐かしく感じられるはず。
流行は過ぎ去ってしまうものだが、思い出になれば人の心に残る。
その意味では、過去の流行も普遍の輝きになるのだ。

そして、僕の取材仕事も分析のおかげでなんとかまとまった。

以上の内容からいったいどんな記事ができたのか。
それは11月に発売される、某ガイドブックを楽しみにして欲しい。
発売になったら、またしっかり宣伝させて頂きたいと思う。

乞う、ご期待。

「ってやっぱり仕事のついでじゃん!」

という正しい突っ込みはぜひ自粛の方向で。

<お知らせ>
仕事が忙しくHPの更新ができません。
落ち着いたら、まとめて更新したいと思います。
http://www.koparis.com/~hatta/

<お知らせ2>
全州でビビンバを食べるツアーは絶賛募集中です。
美味しいビビンバを食べ、コチュジャンの里を巡り、
飲んで食べて遊んで、酔っ払ったりもするツアーです。

僕も案内人兼、参加者として全日程に同行します。
一緒に全州で飲み食いしたいという方、ぜひご参加ください。
詳細な日程、要項などは下記ページにまとめてあります。

全州ビビンバと韓食の魅力を探る旅4日間
http://sanshin-travel.com/original/experience/entry/000398.html

<八田氏の独り言>
食の流行年表をもっと真剣に作ったら面白いかも。
時事ネタも混ぜると、よりくっきり……いや、泥沼にはまるだけかな。

コリアうめーや!!第178号
2008年8月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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