コリアうめーや!!第34号

コリアうめーや!!第34号

<ごあいさつ>
8月になりました。
お天道様にじりじりと焦がされ、汗だらだらの毎日です。
素麺、かき氷、スイカのおいしい季節ですが、
反面ちょっぴり胃腸に負担をかけている気もします。
夏バテ、夏カゼ、クーラー病。
体調を崩しがちな季節でもあります。
みなさまくれぐれもご健康にはお気を付けて。
さて、八田氏は8月生まれの夏男。
真夏生まれのしし座ボーイなのです。
毎年この時期になると誕生日、誕生日とうるさい八田氏ですが、
あろうことかメルマガの題材も誕生日にしてしまいました。
八田氏の誕生日話はもうたくさん。
という方もいらっしゃるかとは思いますが、
内容は「八田氏の誕生日」ではないのでご安心ください。
ちょっと魅力的な韓国の誕生日文化。
ハッピーでバースデイなスタートです。

<ホプで迎えるエキサイティング誕生日!!>

明日8月2日は八田氏の誕生日。
やれめでたやということで、若干公私混同のニオイがしないでもないが、
せっかくの機会と韓国の誕生日文化を紹介させて頂く。
韓国の誕生日はユニークで面白いのだ。

日本において、誕生日をどのように過ごすのかと聞かれた場合、
「えーとパーティをしてですね、プレゼントをあげて、あのその……。」
と、歯切れが悪いことこの上ないが、韓国の誕生日であれば、
「うむ。キミそれはね。」
と、身を乗り出して語る自信がある。
そんな魅力的な誕生日文化を余すことなく紹介してみたい。

韓国における誕生日パーティの舞台は「ホプ」がよい。
お酒を飲む店の中でも特にビールを専門に出す店のことをホプといい、
つまりはビヤホールのことである。

これはドイツ語の中庭という単語からきており、
ドイツ語ではホフと発音されるようだが、韓国語では「F」の音が軒並み「P」に変化す
るためホプと呼ばれている。

フットボールはプットボール、パフォーマンスはパポーマンス。
FIFAワールドカップは「ピパ」ウォルドゥコップ。
このあたりの外来語に関する笑い話は腐るほどあるが、
今回は誕生日がテーマなので涙を飲んで割愛する。

ホプで生ビールをぐいぐいやりながら誕生日パーティ。
これはなかなかにいい気分なのだ。

実際にホプで飲んでいると、誕生日の一団に出くわすことが多い。
それまで白々と静かに流れていた有線のBGMがプツンと切れ、
大音響のけたたましいド派手誕生日ソングにうってかわる。
店に誕生日祝いを行っているグループがいることを知らせる音楽だ。

前奏が流れ始めた段階で、その店で飲んでいる全員に、

「来た!!」

という瞬間的な緊張が走る。

音楽に反応し、ビールを飲む手を止めて周囲を見まわす。
するとケーキにろうそくの火など灯し、手拍子に歌という一団が目に入るのだ。

このグループは友人の誕生日を祝うためにホプにやって来た。
そしてケーキを囲み、ろうそくの火を吹き消すという最も盛り上がる瞬間。
その瞬間をさらなるものとするために、店員に頼んでBGMを変えてもらったのである。

この定番のBGMに店中から奇声のような合いの手が入り、手拍子が響き渡る。
別のグループだとか、見知らぬ他人だとか、そういう概念は全くない。
同じ店でいるというだけで、祝いの気持ちを込め手拍子を贈るのだ。

見ていて非常に心温まる光景であるが、実はこの裏にはまた別の目的がある。

店中のテーブルから注目を浴びつつ、今日の主役はろうそくの火を吹き消す。
炎がゆらめき細く白い煙に変わると、同時に店中の手拍子も盛大な拍手へと変わる。
主役は右手をあげて、360度ぐるりと声援に応えるのだ。

次にこのグループは店員から小皿をもらい、大きなバースデイケーキを切り分ける。

さて、このバースデイケーキが重要だ。
よほど大勢のパーティでない限り、ビヤホールでこれだけのケーキは多すぎる。
「生ビールのつまみにはやっぱりケーキが最高だねえ」という奇特な人も稀にいるかもし
れないが、たいていはイベントの一部であって、一口か二口食べられればそれでいいとい
う人の方が多いだろう。

従ってグループ内で消費しきれない大きなケーキは、小皿に乗って少しずつ他テーブルに
おすそわけに出される。そう、先ほど手拍子で盛り上がったギャラリーの方々に分配して
いくのである。店中を一体化させた大いなる祝福は、なんとケーキの配分をかけた積極的
なアピールでもあったのだ。

場合によってはおすそわけを待たず、自らもらいに出るグループすらある。
たいていは罰ゲーム的に若手がこの役目を言い渡されるのだが……。

「すいません、僕らにもケーキ頂けませんか?」
「ケーキ? 我々も人数多いですからねえ。」
「そんなあ、イジワル言わないでくださいよ。」
「じゃあ、芸でも見せてもらおうかな。」
「うー……。で、ではモノマネいきます!!」

というようなやり取りは韓国のホプでは日常茶飯事である。

またケーキがおすそわけに出されない局面というのもある。

「誕生日おめでとー!!」

の声と同時に悪魔の手が伸びて、ケーキを主役の顔面にぶつけた場合である。

顔中生クリームだらけ。
せっかくの誕生日なのにケーキは完全におしゃか。
おすそわけはおろか誰も食べられないという惨憺たる事態である。

この「誕生日ケーキ顔面炸裂」は韓国の誕生日文化において重要な位置を占めており、
八田氏の個人的な体験によると、だいたい5回に1回はこの憂き目に遭う。
当然ぶつけられた本人も仕返しに出るため、ドロドロのグチャグチャ。
悲鳴と怒号が飛び交う「もっと盛り上がった誕生日会」になるのだ。

誕生日ケーキは食べるものではなく、ぶつけるもの。
韓国にはそういった常識も存在するということを心の片隅に止めておきたい。

歌を歌い、ろうそくの火を吹き消し、
ケーキを食べたら、とりあえず一通りのイベントが終了。
あとはビールを飲んで酔っ払うもよし、プレゼントなどやり取りするもよし。
平和で幸せな時間がグループを包む。

再度修羅場となるのは最後に会計をするときだ。

韓国における誕生日の常識。

「誕生日の人が金を払う。」

日本人としては「何いっ!!」と大騒ぎする場面だが韓国ではそれが常識。
プレゼントをもらった「お礼としておごる」という理屈がその背景にある。
誕生日の主役は感謝の気持ちを込めて支払いを引き受けるのだ。

とは言え、日本人にとってこの常識はかなりショックがでかい。
もし、あなたが誕生日の立場であったなら、

「ここはひとつ日本式で。」

という韓国語を覚えておいた方がよいだろう。
日本式ならば誕生日の人がおごってもらえるはずだ。(責任は持たないが)

以上、韓国の誕生日文化である。
日本の誕生日とはだいぶ違うが、
イベント好きで盛り上がりを大切にする韓国人らしい雰囲気ではないだろうか。

自分の誕生日や友人の誕生日にホプで1杯。
ケーキを準備して音楽をかけてもらい、生クリームの恐怖に怯える。
それはエキサイティングでスリリングでドラマティックな誕生日になるだろう。

隣の国、韓国の若者はこんな魅力的な誕生日を過ごしている。

<お知らせ>
ホプの写真がホームページで見られます。
よかったらのぞいてみてください。
http://www.koparis.com/~hatta/

<お知らせ2>
メルマガ発行スタンドのめろんぱんが8月14(水)0時~15(木)24時までの2日間、サーバメ
ンテナンスの為、全機能を停止いたします。コリアうめーや!!は毎月1日、15日の配
信ですが、上記の事情により次号の配信を8月16日に変更致します。あしからずご了承
ください。

<八田氏の独り言>
明日の誕生日会は日本式で行われます。

コリアうめーや!!第34号
2002年8月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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