コリアうめーや!!第14号

コリアうめーや!!第14号

<ごあいさつ>
10月になりました。
暑かった夏がどこへやら。
すっかり涼しくなって、一面秋の装いとなってしまいました。
Tシャツ、短パンで寝て、朝起きたら風邪をひいていたり、
いい天気なので薄着で外に出て、涼しさにあわてて家に戻りもう1枚着こんだり、
とかく体温調整がむずかしい今日この頃です。
韓国はちょうどお盆の連休に入りました。
ソウルにいる人達がいっせいに故郷に帰る民族大移動の期間です。
ソウルからプサンまで渋滞の車が連なり、
飛行機、電車、高速バスのチケット難民が登場するほどです。
渋滞でまったく動かなくなった高速道路上で、
昼食がわりの焼肉を始めてしまう風景は今年も見られるのでしょうか?
さて今回のコリアうめーや!!第14号はそんな焼肉の話。
きれいにまとまったところでスタートです。

<牛肉がなかったら豚肉を食べればいいじゃない!!>

飢えに苦しむ民衆に向かって、
「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」と抜かしたのは
かの有名なマリー・アントワネットである。

この狂牛病騒ぎの中、
「牛肉がなければ豚肉を食べればいいじゃない」
と言ってのける施政者はいないだろうか? 

今の時代にそんな事を言ったら確実に暴動モノであるが、
自ら望んで「牛肉がないなら豚肉を食べよう」と傾向と対策を練っていくのは悪いこと
ではない。もちろん牛肉がなくとも豚肉がある時代だからこそ言えるセリフであるが、
豚肉の実力を再確認するよい機会として今回は韓国の豚肉料理を紹介してみたい。

「韓国=焼肉」 の公式を持っている人は結構いるだろうが、
「韓国=豚肉の焼肉」 の公式を持っている人は、
コアな韓国ファンか、あるいは少なくとも韓国経験者だと思う。

第8号では鶏肉の優位性を高らかにぶち上げたが、鶏だけに3歩あるいてすっかり忘れ、
方針を大転換して豚肉信奉者として熱く語ってみたいと思う。

さて、豚肉料理の中でも東の正横綱の位置にあるのが「サムギョプサル」である。

サムギョプサル。日本語に訳すと「豚バラ肉」。
肉そのもののことも表すが、普通サムギョプサルといえば
その豚バラ肉を使った焼肉のことを指す。

えー、豚バラ肉で焼肉? と侮ってはいけない。
豚肉のジューシーな脂を鉄板で焼くことによって適度に落し、
絶妙の焼加減で食べるサムギョプサルの味はけして牛肉に劣ることはない。
それでいて価格は牛肉に比べ各段に安い。

最近の焼肉ブームは、やれハラミだ中落ちカルビだ、A5級だ、1頭の牛から何百グラム
しか取れない貴重な部分だなんだと、やたら高級指向だが、鼻でせせら笑って豚バラ肉を
目の前にどーんと積んでやりたい。一皿に4切れしかない高級肉をありがたがって食べる
より、みんなでワイワイ言いながら食べたいだけ好きに食べるほうがいいじゃないか。

そもそもうまい豚肉料理はみんなバラ肉を使用している。
豚の角煮、沖縄のラフテー、中国のトンポーロー。
みんな豚バラ肉が主役だ。バラ肉こそが最高の豚肉なのである。

トンカツや生姜焼き方面から、不平不満、罵詈雑言、7割方ヤジの入り混じったブーイン
グなどが雨あられと飛んできそうだが、巧みなフットワークでひらりと交わし電光石火で
料理紹介のほうに移る。

料理紹介といってもこの料理は焼肉であるからさほどの説明はいらない。
少し厚めのベーコン状にスライスされた豚バラ肉を、よく脂が落ちるように工夫された鉄
板にのせ、ハサミで食べやすい大きさにジャキジャキとカット。さらに火を通し、脂がプ
チプチ弾けてきたところを見計らって素早くサンチュにのせる。味噌やニンニク、青唐辛
子などを加え、ロールキャベツのようになった巨大な塊を大口開けてあーん。

豚肉の旨みと味噌の味。
キムチ、ニンニクが刺激を与え、サンチュが肉の脂を適度に緩和している。
幸せ絶頂のまま、さりげなくおしぼりで手をふき、焼酎をキュッ。

うまい。うますぎる。
肉を焼く手が止まらない。
肉をほおばる口の制止がきかない。
いかん、このままでは腹にサムギョプサルが大量についてしまう。
しかし、しかし、しかし……。

サンチュに包んで食べるだけでなく、塩とごま油のタレにつけて食べるのもうまい。
韓国味噌をのせて、ごはんといっしょに食べてもうまい。
そのごはんをさらにサンチュで包むのもアリだ。

なんでもアリだが、飲む酒は必ず焼酎。
ビールなんか飲もうとしたら韓国人の罵声がとぶ。
ビールを飲んだら腹がふくれて肉が食べられなくなる。
さらにサムギョプサルの強い脂気を洗い流し、さっぱりとさせるのは焼酎なのだ。

焼肉とビール。日本では黄金の組み合わせだが韓国では邪道。
そう、例えていえば、湯豆腐にワインくらいの違和感と理解したい。

<おまけ>
家庭でサムギョプサルをやる時はカセットコンロにフライパン。
フライパンにアルミホイルをしいて焼くのが賢いやり方です。
店だと頼めば鉄板をかえてくれますが、家だとそれは困難。
美味しく食べるためのちょっとしたコツです。

<宣伝>
株式会社アルクというところから
「2002年度版韓国語をモノにするためのカタログ」という本が出ています。
韓国の食についての話を八田氏が書きました。是非読んでみてください。

<八田氏の独り言>
アメリカ人に「ハンバーガー」と言ったら通じませんでした。
仕方なく韓国語で「ヘムボゴ」と言ってみましたが、やっぱり通じませんでした。

コリアうめーや!!第14号
2001年10月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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