コリアうめーや!!第253号

コリアうめーや!!第253号

<ごあいさつ>
9月15日になりました。
ようやく厳しい残暑も和らいできて、
いくらか秋の気配が見えています。
ここからは薄皮を1枚1枚剥ぐように、
夏の姿が消えていくのでしょうね。
それはそれで寂しい話でもありますが、
当面は猛暑からの開放を喜びたいところです。
そんな夏の名残を噛みしめつつ。
今号では南の島の話題を取り上げます。
韓国が誇る南海のリゾート地、済州島。
その済州島からさらに足を伸ばした体験談は、
韓国内でも相当マニアックな部類に入るでしょう。
でも、このメルマガを読んでいる皆様になら、
きっとそれもストライクで届くはず。
コリアうめーや!!第253号。
果ての果てを目指す、スタートです。

<済州島、離島グルメのススメ!!>

メルマガを書きつつ周囲に目をやると、
机の上が散らかり放題で我ながら萎える。

資料は山積みだし、本は散乱しているし、
文房具のたぐいも好き勝手に散らばり放題。
昔から片付け、整理整頓は苦手分野だったが、
大人になってもまるで変化はないようだ。

だが、そんな散乱し放題のデスクまわりで、
なぜか唯一、きちんと整頓された場所がある。

それはパソコン内の仕事用フォルダ。

どういう区別があるのか自分でも不思議だが、
パソコン内は整理されていないと落ち着かない。
仕事別、企画別に細かく分類して階層を分け、
必要なファイルは瞬時に探し出せるようにしておく。

むしろ、忙しいさなかに、さらなる整理を始め、
より使いやすいように工夫をしたりもする。

「それって、当たり前じゃね!?」

という指摘は光速でスルーをしつつ、
そんなタイミングがつい先ほどもあった。

どんな片付け、整理でもそうだが、
途中で不必要な発見をし、脱線することがある。
捨てようと思った雑誌に読み入ってしまうとか、
頂いたお菓子が出てきて休憩してしまうとか。

僕の場合は過去のファイルを開けて、
昔に書いた文章を読み返すことが多い。

「うわー、文章ヒドイな!」
「よくこんな原稿で入稿していたもんだ!」
「てか、誤字まであるじゃん!」

といった楽しさを味わえる。

もちろんいまもたいした文章を書いてはいないが、
それでもいくらかマシになったとは思いたい。

そんな中で、先ほど発見したのがこの原稿。

むしろネット上に記事がそのまま残っているので、
そちらのリンクを貼ってみよう。

KFCの済州島旅行記 出発編
http://www.seoulnavi.com/special/5003931
KFCの済州島旅行記 牛島編
http://www.seoulnavi.com/special/5003932
KFCの済州島旅行記 本島編
http://www.seoulnavi.com/special/5003933
KFCの済州島旅行記 美食編
http://www.seoulnavi.com/special/5003934
KFCの済州島旅行記 完結編
http://www.seoulnavi.com/special/5003935

2002年にプサンナビで書いた済州島の旅行記で、
留学時代の友人3人と一緒に出かけたものだ。
まだ、ライターとしては駆け出しもいいとこであり、
毎日ヒマなものだから、無駄にダラダラと長い。

これを読みながら僕は思う。

文章は拙いけれど楽しさは伝わってくるな。
済州島もいいけど、牛島のような離島は本当にいいよな。
また、離島でのんびり旅をしたいな。

離島、離島、離島……。

散らかったパソコン前から思考は離れ、
済州島、そしてそのまた離島へと飛んでいく。
美しき離島への軽やかな現実逃避。

そう、済州島の離島は素晴らしいのだ。

朝鮮半島の南に浮かぶ島を済州島と呼び、
その面積は香川県とほぼ同程度である。
済州島の周囲には63個の島があり、
これらを含めて済州特別自治道(済州道)と称する。

このうち有人島は全部で8個。

・牛島(ウド)……1585名
・飛揚島(ピヤンド)……167名
・上楸子島(サンチュジャド)……1714名
・下楸子島(ハチュジャド)……804名
・橫看島(フェンガンド)……12名
・秋浦島(チュポド)……5名
・加波島(カパド)……281名
・馬羅島(マラド)……108名

といったラインナップ。

せっかくなので島の人口もつけてみた。
2010年末の島嶼現況からの抜粋である。
http://www.jeju.go.kr/contents/?mid=0109010303

済州道全体の人口は57万人を超えているので、
離島に住む人がいかに少ないかよくわかる。

この中で僕がこれまで足を運んだのは、
牛島、飛揚島、加波島、馬羅島という4つの島。
これらは済州島からも近く、連絡船で簡単に行ける。

逆に上楸子島、下楸子島、橫看島、秋浦島の4島は、
全羅南道との中間地点にあって、距離的にずいぶん遠い。
周囲の無人島とともに、楸子群島と呼ばれており、
この地域には熱心な釣り客が多く訪れるという。

楸子群島はサワラの刺身が名物らしいので、
行くのは大変でも、いずれは足を運んでみたい地域。
特に人が5人しか住んでいない秋浦島は、
いったいどんな島か非常に気になるではないか。

というところまでを踏まえていよいよ本題。

思考をぐんぐんと飛ばして離島の魅力、
そして離島グルメの魅力を語りたい。

牛島についてはプサンナビの記事が詳しいので、
ここでは割愛し、飛揚島、加波島、馬羅島の3島に絞る。
その中でもまず特異な存在として馬羅島をあげよう。

馬羅島の魅力は至ってわかりやすく、

「大韓民国最南端の島」

というフレーズが常について回る。

島の南端には「大韓民国最南端の碑」が立ち、
そこから眺める海の先には、波しぶき以外何も見えない。
最南端のロマンを求めて大勢の人が訪れる島だ。

かつては漁船をチャーターしての釣り客が多かったが、
連絡船が就航してからは、観光客もぐっと増えた。

北側の港につくと、移動用のカートがレンタルでき、
飲食店はおろか、コンビニまでもが営業している。
ひなびた離島というよりレジャーランドのような風情で、
人口100名ちょっとの島とは思えない姿だ。

しかも、この島の名物というのがふるっており、
なんと中華料理のチャジャンミョン(ジャージャー麺)。

もともと釣り客へのサービスとした始めたものが、
いつの間にか、話題を呼んで地元名物となったらしい。
現在は麺に海草を練り込んだり、海産物の具を加えたり、
離島らしさを含んだチャジャンミョンに進化している。

だが、である。

そんなチャジャンミョンを専門に出す店が、
この小さな島に、7軒もあるというのは異常な話。

何かひとつの料理が当たると、周囲の店が即座にマネをし、
それ一色の名物通りと化すのは韓国の常である。
最南端の島でまで、それをやらなくてもとは思うのだが、
これもまた、たいへん韓国らしい姿なのであろう。

なので馬羅島に行ったら、韓国最南端の碑を目指し、
チャジャンミョンを食べることで韓国を満喫して欲しい。

続いて、加波島。

加波島は済州島と馬羅島の間にあり、
いうなれば大韓民国最南端ひとつ手前の島である。

そのひとつ手前というのが本当に大違いで、
馬羅島が観光島として栄える一方、加波島にはなにもない。
これぞ離島といった趣の、しみじみと素朴な島で、
見どころといえば島一面を覆う麦畑ぐらいである。

ただ最近はオルレと呼ばれるウォーキングコースに指定され、
以前に比べれば、観光客が来るようになっている。
僕も麦畑に囲まれたオルレのコースを歩いてみたが、
建物が少なく、空が広いので気持ちがよかった。

そして、この加波島の名物は地元食堂の手料理。

島でとれたものを、その場で調理して出すだけだが、
これが驚くほどに新鮮で、そして美味しい。

海に入れて保管していたサザエを店先で割り、
ごはんと一緒に煮込んでお粥に仕立てたソラジュク。
ウニをどっさり入れた手打ちのカルグクス(韓国ウドン)。
赤ナマコとサザエ、茹でたタコの刺身盛り合わせ。

どれも技巧を凝らした料理ではないが、
そのぶん島らしさを心ゆくまで満喫できる。
馬羅島とは本当に対照的な魅力だ。

離島の素朴な暮らしを体感したいのなら、
まずいちばんに加波島をすすめたい。

最後は飛揚島を紹介する。

馬羅島と加波島とはやや離れた位置にあり、
済州島の北西部から連絡船で15分ほどの距離だ。
島の中央が飛揚峰(ピヤンボン)という小山になっており、
その頂上に立つ、灯台がいちばんのみどころである。

港から灯台まで1時間程度で往復できるので、
ちょっとしたハイキングコースだと思えばいい感じ。

そして、この灯台がまた素晴らしいスポットで、
海に囲まれた島の姿を、360度ぐるりと見渡せる。
天気がよければ済州島の北側もくっきり見えるし、
中央にそびえる漢拏山も拝むことができる。

数ある済州島の絶景スポットの中でも、
相当上位に食い込むだろう眺めであった。

この島を満喫するコツとしては、灯台を目指す前に、
港近くの食堂で、事前に料理を注文しておくこと。
戻ってくる時間をだいたいで指定しておけば、
絶景を楽しんだ後に、すぐ食事を楽しむことができる。

そして、この飛揚島で味わうべきは、
ポマルジュクと呼ばれる小さな巻貝のお粥。

ひとつひとつ手作業で身を取り出した巻貝は、
コリコリとした食感と、内臓の豊かな苦味を持ち合わせる。
済州島といえばアワビ粥が有名であるが、
個人的には、ポマルジュクのほうが味は上だと感じた。

また、ポマルジュク自体は済州島内でも食べられるが、
鮮度の問題なのか、調理法の問題なのか。
飛揚島の港近くでおばあちゃんが手作りする、
シンプルなポマルジュクがいちばん美味しかった。

絶景の灯台と、絶品のポマルジュクが待つ島。
この飛揚島に渡らずして済州島の離島は語れない。

以上が僕のすすめる離島3ヶ所である。

まとまった時間がないと行くのも難しいが、
機会があるなら、ぜひ足を運んで欲しい場所だ。
苦労して行くだけの価値は絶対にある。

ちなみに離島への詳細なアクセス情報などは、
今年7月末に出た「るるぶ済州島」が便利。

るるぶ済州島
http://www.amazon.co.jp/dp/4533083064

済州島だけを取り上げたガイドブックは稀で、
離島以外も、そうとう詳しい情報がまとまっている。
特に食の部分は僕が入念に取材をしてきたので、
マニアックな郷土料理までをも完全網羅だ。

「え、それって宣伝!?」

とみんなが目を丸くしたところで大団円。
離島の魅力、少しでも心に響けば幸いである。

<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
Twitter
http://twitter.com/kansyoku_nikki
FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki

<八田氏の独り言>
ちなみに牛島はピーナッツが有名。
まんまるでコロンとしたかわいい形です。

コリアうめーや!!第253号
2011年9月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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