コリアうめーや!!第228号

コリアうめーや!!第228号

<ごあいさつ>
9月になりました。
カレンダーを1枚めくったものの、
いまだ猛烈な暑さが続いています。
実は先週、人並みに夏季休暇を取り、
涼しい北海道を旅行してきました。
北海道も記録的な猛暑ではあるようですが、
それでも東京に比べれば充分快適な気温。
爽快な涼しさとともに、地元料理の数々を、
胸いっぱい、腹いっぱいに満喫してきました。
いやあ、本当に幸せな日々でしたね。
ただ、1度幸せを味わったがゆえに、
戻ってきてからの猛暑は倍ほどに地獄。
暑さにあえぎつつ、休暇で倍に膨れた仕事を、
青息吐息で片づけてゆく毎日です。
さて、そんな中、身近な話題からひとつ報告。
先週のメルマガで慶尚南道の話題をしばし続ける、
なんて書きましたが、早くも気が変わりました。
慶尚南道の料理もいずれまた書きますが、
直近の発見をひとつ報告したいと思います。
コリアうめーや!!第228号。
波に揉まれる、スタートです。

<新大久保にまた新たなウェーブが!!>

何やら、また大きな波が来ている。

コリアンタウンとして名高い東京、新大久保の話。
8月の新大久保はずいぶんな活況を呈していた。

新大久保はここ数年、韓流の町として栄え、
韓国料理店や韓流グッズ店が路地ごとに増殖。
半径500メートル程度という狭いエリアに、
300軒以上も韓国系の店が密集している。

道を歩けば周囲に韓国語が飛び交い、
ハングルで書かれた看板があちこちに見える。
そのリトルコリアな感覚から、

「山手線で行ける韓国!」
「JRのスイカがパスポート替わり!」
「0泊1日で大満足!」

とのキャッチコピーでも語られる。

韓流ファンからは「聖地」と呼ばれ、
週末には地方からはるばる足を運ぶ人も多い。
新大久保駅前の韓流ショップが密集したエリアは、
すれ違うのも難しいぐらいの大混雑だ。

以前から人通りの多い地域ではあったが、
ここ数ヶ月は、それがさらにエスカレート。

「いったい何が起こったのか!?」

と唐突に声を荒げるまでもなく、
新大久保には新たな波が来ているのだ。

一部マスコミでも、

「第2次韓流ブーム!」
「韓流第2波到来!」

などと表現されて久しいが、
新たな担い手はK-POPである。
ドラマ一辺倒であった時代から変化が生じ
音楽を入口にして韓国に関心を持つ人が増えた。

・東方神起
・BIGBANG
・SS501
・SUPERJUNIOR
・CNBLUE
・SHINee
・FTIsland
・sg WANNA BE+
・2AM
・2PM
・超新星
・U-KISS
・ZE:A
・BEAST
・T-max
・KARA
・少女時代
・ワンダーガールズ
・2NE1
・T-ara

と、ずらり派手に並べてみたが、
これらのアイドルグループがその最前線。

とはいえ、並べてみたところで僕としても、
メンバーの顔と名前が一致するグループはごくわずかだ。
いろいろ調べて、並べてみたはいいものの、

「この面子であのグループはなんで入ってないの?」

と聞かれたらぐうの音も出ない。
正直、名前の読み方すらわからないグループもある。
韓国に留学していた10年前ならいざ知れず、
30代半ばを迎えた今は、メンバーもみな同じ顔に見える。

そんな現状に、

「こんなことではいけない!」
「腹まわりはオジサンでも、気持ちはもっと若く!」
「せめてひとグループは覚えよう!」

と先日、一念発起。

ドラマの韓流にはうまく馴染めなかったが、
音楽であれば、まだ関心が持てそうな気がする。

「どうせならかわいい女の子のグループを……」

ということで、あれこれ見渡したところ、
折りよく、KARAと少女時代が日本デビューしていた。
KARAが5人、少女時代が9人という人数比から、
より覚えやすそうな、KARAに照準を絞る。

早速、ネットで動画などを検索してみると、
意外にも、耳に馴染んだ曲がいくつかあった。
新大久保界隈をふらふらしているだけでも、
無意識のうちに曲を聴いているのだろう。

「えーっと、KARAは全部で5人組で……」
「キュリ、スンヨン、ニコル、ハラ、ジヨン……」
「リーダーがキュリで……、あ、この子かわいいな!」
「名前がク・ハラで、ほほう光州市出身か!」

公式サイトのプロフィールなども見つつ、
顔と名前、立ち位置などを一致させてゆく。

「よし、カンペキだ!」

と叫んだのもつかの間。

曲の途中で立ち位置が変わってくると、
途端に誰が誰だか、わからなくなってしまう。
自分でかわいいと思った子さえ見分けられない。

ガックリと力を落とし、

「韓流第2波もカヤの外か……」

と半ばあきらめている状態である。

ただ、こうした新たなブームのおかげで、
新大久保がらみの仕事は少しずつ増えている。
ここ1ヵ月の間に単発ながら新規の雑誌取材と、
ニュース番組からアテンドの依頼があった。

『新大久保コリアンタウンガイド』
http://www.amazon.co.jp/dp/489188343X/

などという本を書いたのもあるだろう。

大変ありがたいことではあるのだが、
韓流に疎いのもあって、少しばかり心苦しい。
一念発起してK-POP事情を学び始めたのも、
そのあたりの理由がいちばん大きい。

とはいえ、新大久保を改めて取材したところ、
ずいぶん大きな発見がいくつかあった。

まず、年齢層がかなり広がっている。

これまで韓流というと4~50代から、
それ以上の女性というのがコアターゲット。
だが、K-POPブームを支えているのは、
それらの世代に加え、若い世代が多い。

ちょうど夏休みだったことも手伝って、
新大久保は親子連れや、高校生、大学生同士。
あるいは中学生同士もいたかもしれない。

とにかく若い女の子たちが闊歩している。

しかも聞いた限りでは、男性アイドルのみならず、
同世代のガールズグループが目当ての子も多い。
KARAや少女時代にひかれて新大久保を訪れる、
新たな世代が、新大久保の主役になりつつある。

そんな変化を象徴する体験がひとつ。

新大久保を訪れる韓流ファンには有名な、
「テーハンミング」という飲食店を取材で訪れた。
この店はオーナーが芸能界にパイプを持ち、
数多くの韓流スターが足を運ぶことで知られる。

店の壁には来店したスターの写真が貼られ、
座った席には、

「○○が座った席だよ!」

との貼り紙もある。

実際にスターが食べて気に入った料理は、
そのスターの名前をつけて定食にもしている。
ファンにとってはスターと同じ席に座って、
同じ料理を味わえる、という二重の喜びだ。

そんな店の様子を取材していると、
まだ10代とおぼしき、女性2人組がやってきた。
場合によっては高校生かとも思う年齢だ。

店に入ってくるなり、

「FTIslandの席をお願いします!」

と元気な声で店員にリクエスト。

FTIslandが食事をした席に座り、
当然のごとく「FTIsland定食」を注文する。
実際はオジンオボックム(イカ炒め)を石の器に盛り、
チーズを散らしたオジンオトッパプである。

これをFTIslandのメンバーが食べて、
絶賛したことから、FTIsland定食となった。

2人組は来店時からハイテンションで、

「ちょっと箸が金属だよ!」
「え、てことはFTIslandが使ったかも!」
「きゃー、間接キスしちゃう!?」

などと盛り上がっている。

確かにこの店の箸は韓流スターも使っていようが、
僕にとっては、なんとも新鮮な反応であった。

おそらくFTIslandのことは知っていても、
箸のことも含め、韓国文化には接して日が浅いのだろう。
そんな子たちが、続々と新大久保にやってくる。

「すごい時代になったなぁ……」

としみじみ思った。

また、その後、取材先を変えて行ったのが、
「コーヒープリンス2号店」という名前のカフェ。
近隣に1号店もあり、同名の韓国ドラマから、
店名を取って、店の雰囲気も似せている。

こちらの売りは、

「イケメン韓国男子の接客!」

というから、これもスゴイ。
芸能人を目指して修業中の若い韓国人が、
活動の傍ら、店に出てアルバイトをしている。

当然のごとく、店は女性客で常に満員。

イケメンを愛でながらパッピンスをつつき、
韓国の伝統茶も飲める、といった趣向だ。

そのほかにも、ずいぶんいろいろな店が出来た。

僕が『新大久保コリアンタウンガイド』を出したのは、
まだ1年半前だが、すでに情報はだいぶ古い。
今年になって閉店店舗を削除し、新規店を加えたが、
それでも町の変貌について行けている状態ではない。

また、僕は韓国料理を中心に町を見ていたが、
時代はすでに、別の視点を中心に動いている。

「さて、どうしたものか……」

韓流に疎いコリアン・フード・コラムニストは、
またもや正念場に立たされているようだ。
ここ1、2年、マッコリにばかりかまけていたが、
別の視点もきちんと意識せねばならないだろう。

というあたりで呻吟していたところ、
ふとしたことから、少しばかりの巧妙が見えた。

FTIsland定食について記事を書きながら、
ネットで動画を検索したところ、

「あれ、このグループの歌はけっこう知ってる!」

という事実に気付いた。
しかも、新大久保で聴き流しながら、

「お、なかなかいい歌だな」

と思っていたものが、みなFTIslandの歌だった。
もちろん、メンバーの顔は見分けがつかないが、
これまでにない、親近感のようなものがわいている。
いずれカラオケで歌えるぐらいにはなるかもしれない。

韓流第2波に身悶える日々。

第1波よりは成長したいと思いつつ、
先行きはいまだ険しく、そして厳しい。

<店舗情報>
テーハンミング
東京都新宿区大久保1-12-27SCビル1階
03-5292-4448

コーヒープリンス1号店
新宿区百人町2-2-3TRN新大久保ビル3階
03-5285-8797

コーヒープリンス2号店
東京都新宿区百人町2-2-1REMAXビル2階
03-5272-2097

<お知らせ>
仕事が忙しくHPの更新ができません。
落ち着いたら、まとめて更新したいと思います。
http://www.koparis.com/~hatta/

<八田氏の独り言>
新大久保の小僧、習わぬK-POPを歌う。
馴染めるかどうかは今後の努力次第です。

コリアうめーや!!第228号
2010年9月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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