韓国から生の高麗人参を持ち帰る方法(個人消費用)。

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※2019年6月19日追記
2018年10月1日より植物検疫の規制が厳しくなり、日本で下記の検疫手続きをする前に、韓国の空港で検査証明書を受け取らねばならなくなりました。韓国で出国手続きをする前に空港内の検疫所を訪れ、購入した商品の現物を見せたうえで検査証明書を発行してもらってください。それを日本の空港に着いてから植物検疫カウンターに提出すると、以下の記事通りに持ち込みが可能になります。なお、本記事では生の高麗人参について書いていますが、他の野菜、果物などについても同様です。より詳しくは最寄りの植物防疫所に直接連絡のうえご確認ください。

先日のツアーで、忠清南道の錦山(クムサン)を訪れました。

錦山といえば、韓国でもよく知られた高麗人参の産地。
また周辺地域からも、生の高麗人参がたくさん集まってくるため、
全国で流通する約7割の量が、錦山から出荷されるそうです。

僕らはここでインサムティギム(高麗人参の天ぷら)をオヤツに食べ、
その後、高麗人参市場や漢方食材店などをウロウロ見学しました。

そこで出てきた質問。

「生の高麗人参って日本に持ち帰れるんですか?」

ええ、そりゃそうですよね。
これだけ目の前で見れば、それは欲しくなるというもの。
でも、これがちょっと難問なのです。

一般に外国から生の食材を持ち込む場合、検疫を通す必要があります。

ただ、空港などで面倒な手続きが必要となりますし、
うまく検疫を通せなかった場合は、没収の可能性もあります。
お土産としては到底オススメできず……。

「生は検疫で引っ掛かる可能性があるんですよ」
「市場の人たちは土だけ落とせば大丈夫っていいますが」
「ダメだったときのことを考えるとリスクが……」

としか答えられません。
このときも最初はそのように答えたと思います。

でも、これって裏を返せば……。

「検疫さえ通れば持ち込めるってことですよね!」

ということでもあったり。

じゃあ、実際に通してみよう! と決意した方がいらして、
しかも、その一部始終を詳細なレポートにまとめてくれました。

もともとはコチラの記事へのコメントでしたが、
あまりに素晴らしい内容だったので転載をお願いしました。
快く了解をいただいたので、改めてここでまとめます。

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以下、シルトクレーテさんのレポート。
また、冒頭の1枚を除き、写真もシルトクレーテさんの提供です。

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マッコルリ紀行..またの名満腹中枢ONしっ放しの極上の時間をご一緒させていただいた「魚ほぐし大魔王」シルトクレーテです。 八田さん、長年蓄積されたKnow-How、培ってこられた人脈を惜しげもなく次々と繰り出して楽しませて下さり、ありがとうございました。

さて錦山市場で食材としての高麗人参に目覚め、ここで買わなきゃいつ買うでしょ!! のノリで生人参4年もの750g(これが売買の単位)を購入いたしましたが、果たしてこれを日本に無事に持ち込めるのか?の課題、その後羽田でどうなったかのご報告をかねて書き込み致します。

タイトル「合法的正攻法正面突破を試みる」
長文につき、問題あれば削除いただいてOKです。

課題の「土」をクリアするため、柔らかめの歯ブラシをわざわざ買い、ホテルで常備がなかった(ちぇっ)新聞をコンビニで買い(新聞紙をゲットするためですね)、まず人参さまをホテル洗面所で二度ぐらい優しく下洗いし、その後本格的に一個ずつ歯ブラシでこすりながら流水の下でゴシゴシと。「股」の部分もちょっとこじ開けながらゴシゴシです。
写真でもちょっとお見せしましたが、自分でもほれぼれとする、お風呂上がりの人参さま12本がずらっと完成。
丁寧に拭き、ちょっと乾かして新聞紙にくるむ。入っていた錦山市場のビニール袋も完璧に洗浄処理いたしました。

これを今回はハンドキャリーし、まず韓国からの出国(手荷物検査)ですが、理屈からしても文句を言われるはずもなく、なんなく通過。

羽田に到着し..まず検疫コーナーがありますが、こちらはヒトの検疫で「熱のある方はお申し出ください」的なものなので当然のごとくスルー。
入国審査も、当然ながら(関係ないですからね)スルー。

さて、Baggage Claimのターンテーブルエリアに来るわけですが、なにしろ今回は「風呂上がり人参」を手持ちしてますのですぐに検疫カウンターを探す! お~広いエリアの端っこの壁を背に二体の地蔵尊が?という形で係員お二人、各自のブースに不動姿勢で鎮座しておられます。
お一人が動物検疫、もう一人が植物検疫。 誰ひとり寄り付かないガラガラ状態でガマン大会モード。

で植物検疫の検疫官の方に「植物検疫の手続きをお願い致します」と申し出ると、「どこから何を持ち込まれるのですか?」と当然のご質問で、「韓国から高麗人参を」と回答。
「それでは見せていただきますね~」(と新聞紙をあけ、人参さま達をちょい持ち上げ)
10秒経過後
官「はい、よろしいです♪」
私「えっ、合格ですか?」
官「これだけ綺麗になっているものは全然問題ありません」
私「1時間かけて綺麗に洗いましたんで..(プチ自慢)」
私「要はポイントは土ですね?」
官「はい、土は検疫の基本ですので。このカウンターでもっと土を落としてもらう、というケースもあるんですよ」
以上で検疫終了で、勝利の「検疫合格」シールを新聞紙の上に貼っていただきました。
なんか言われたら…で頭の中で用意していた「ツッコミ系想定応酬いいぐさ」も登場する出番ナシ。

さて飛行機機内で配布される、旅行者の通関用のフォーマットですが、
1.下記に揚げるものをもっていますか?
①日本への持ち込みが禁止又は制限されているもの
(はい、か いいえ のどちらかにチェック)
 詳細のB面の方に「事前に検疫確認が必要な生きた動植物、肉製品、野菜、果物、米など」と書いてありますので、今回正面突破を試みる根性の入っていた私は あえて「はい」にチェックをつけておきました。
「これでいいのしょうか? 」と検疫官に聞いたところ
官「これはあくまで税関の方でして…(要は検疫と税関は管轄の役所が違うといいたげ) ちなみに韓国からの高麗人参の持ち込みは制限の対象にはなっておりません。 また、税関を通られる時にも、すでにこの検疫シールを貼りましたので、何の問題もございません!」
なんっと明確なお答え。 というわけで通関フォーマットの方は二重線で堂々と「いいえ」の方に修正。

実は入国審査を済ませ、トイレに行き、ちょっと一服の後植物検疫手続きを済ませ、ターンテーブルに戻ると..案の定預けた荷物はまだ出てきていなかった! すなわち検疫によるロスタイムは実質ゼロカウント。

韓国でお会いしたベテランガイドさんさえ「いや~生の松茸を持ち帰る人はいましたけど、生の人参を持ち帰る人は今までいないので…」「何もいわずに通っちゃったらどうでしょ」
彼女にしてはなんと弱気な!発言でしたが、以上のとおり「合法的正攻法正面突破」は可能である、との成功体験を実例としてここに掲載致します。
勝利の検疫OKシール写真をアップしたいところですが、そういうブログ構成にはなっていないようなので残念…

ちなみに風呂上がり人参さまたちは現在ジップロックに入り冷凍庫行きしたものと冷蔵庫に寝ているものと分かれてますがスライスして蜂蜜につける、近々自宅でやるパーティーで高麗人参のテンプラと参鶏湯にして..残りは牛乳と蜂蜜と
人参をミキサーでガーッとやってちびちび使う予定です。

最後に、あまりに暇していた植物検疫官の方は、とっても嬉しそうでいらしたことを付け加えます。「仕事した」っていう自己実現感ですよね。
以上にあまりに長くて…失礼いたしました。
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以上がシルトクレーテさんのレポート。

僕自身、検疫を通す手間から避けておりましたが、
きちんと手続きを踏めば、意外に容易であるのがわかります。
中でも大きなポイントとなったのが、

「土をしっかりと落とす!」

という点ではないかと思います。
それをまず、シルトクレーテさんはしっかりやった。

ひとつ上の写真、そしてこの下のアップ写真を見ていただければ、
その念入り具合が伝わってくるのではないでしょうか。

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ここまでやると、ほぼスルー同然でOK。

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文中にある「勝利の検疫OKシール」がもらえます。

思っていたよりもずっと簡単で、しかも手間いらず。
自分自身の不勉強を、おおいに反省した事例となりました。
ぜひたくさんの方の参考になればと思います。

そして、ここからは一応のウラ取り。

実は僕も以前、高麗人参については問い合わせたことがあり、
コメントの返信にも書いたのですが、そのときは、

・野菜、果物、種など植物は基本的に現地での申請が必要
・現地の検疫所で証明書をもらい、それを日本で届ける
・高麗人参についても土壌を払ったとしても同様

という回答を得ていました。

なので、基本的にはダメ、または面倒という認識だったのですが、
じゃあ、この実際の対応というのはなんだったのかと。

この事例を踏まえ、改めて問い合わせをしました。

羽田空港を含む、東日本(神奈川から北海道まで)の管轄は、
横浜植物防疫所になります……が基本的に全国どこでも同じです。

以下、横浜植物防疫所に確認をした内容。

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生の高麗人参を韓国から個人が自家消費用に持ち込む場合は、
以下の点に注意をしつつ検査を受ける必要がある。

1、韓国が発行する検査証明書を用意する
 →ただし原則としては必要だが「可能ならば」でよい
2、空港の検疫カウンターで検査を受ける
3、高麗人参に付着する土はしっかり除去しておく
4、ルーペで目視をする場合もあるので開封しやすいようにしておく

※生の高麗人参だけでなく乾燥させたものも同様
※加工品はその限りでない
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僕が前回問い合わせたときは、1の部分における、
「可能ならば」という情報がなかったことになります。

ただ、いま思うと、

・個人が自家消費用に持ち込む

という部分が明確でなかったかもしれません。
観光客レベルでの話なら必要ないということであり、
輸入業者などの場合は、話がまた違うのでしょう。

ともあれ、この内容ならシルトクレーテさんの結果とも合致。

事前にしっかり土を落とす作業は必要になりますが、
合法的かつ、さほどの時間ロスもなしに持ち込みが可能です。

うーん、素晴らしい!

なお、他の野菜、果物については下記のページが参考になるようです。

韓国から野菜や果物を持ち込む際の規制
http://www.pps.go.jp/travelerss/view/imp/list.html?id=9

ここにも「薬用にんじん[その他]」という項目があり、
しっかり「入国時に検査が必要です」と記載されています。

一方で、すぐ上のマツタケは検査なしで持ち込めるんですねぇ。
改めて調べることで、いろいろ勉強になりました。
いいきっかけをいただいたシルトクレーテさんに感謝です。

韓国で生の高麗人参を買いたい方は、ぜひご参考ください。

ただし、あくまでも個人的に調べてまとめた結果なので、
この通りに持ち込めなかった場合も、責任を負うことはできません。
当然ですが、肉や魚などの場合は話がまた異なります。
必要な場合は、公的な機関へお問い合わせください。

植物防疫所
http://www.maff.go.jp/pps/



6 Responses to 韓国から生の高麗人参を持ち帰る方法(個人消費用)。

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