光州市の料理

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この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。

光州市(クァンジュシ、광주시)は韓国の南西部に位置する地域。本ページでは光州市の料理、特産品について解説する。

無等山国立公園の入口

地域概要

光州市立美術館

光州市(クァンジュシ、광주시)は韓国の南西部に位置する広域市(韓国に6ヶ所ある上級地方自治体)。正式には光州広域市(クァンジュクァンヨクシ、광주광역시)と呼ぶ。京畿道に読み方の共通する広州市(クァンジュシ、광주시)があって混同しやすいので注意。1896年に十三道制で施行されて以降、全羅南道の道庁所在地であったが、1986年に直轄市として独立し、1995年に広域市となった。地域全体が全羅南道に囲まれており、2005年10月まではそのまま道庁が置かれていたことから、地域全体の中心的な役割をも担っている。人口は145万6121人(2020年2月)で、韓国の市としてはソウル市釜山市などに次いで6番目に多い[1]。市の中央部から西部にかけては広く平坦な地域が続いて全南平野(チョンナムピョンヤ、전남평야)の一角を成し、市東部から南東部にかけては無等山(ムドゥンサン、무등산)をはじめとした山地となっている。市の中央を韓国4大河川のひとつである栄山江(ヨンサンガン、영산강)が南北に流れ、黄龍江(ファンリョンガン、황룡강)や光州川(クァンジュチョン、광주천)が支流として注ぐ。主要な観光地としては、市の東部に位置する無等山が有名であり国立公園にも指定されている。2年に1度開催される現代美術の祭典「光州ビエンナーレ」が世界的に有名であることから、国立アジア文化殿堂(クンニプ アシア ムヌァ チョンダン、국립아시아문화전당)、光州市立美術館(クァンジュシリプ ミスルグァン、광주시립미술관)、毅斎美術館(ウィジェミスルグァン、의재미술관)といった芸術関連の施設が充実している。市中心部には錦南路(クムナムノ、금남로)、忠壮路(チュンジャンノ、충장로)といった繁華街があって大勢の人で賑わうほか、近年は楊林歴史文化村(ヤンニム ヨクサムヌァマウル、양림역사문화마을)一帯が歴史散策の場として注目を集める。ソウルからのアクセスは、金浦空港から光州空港まで国内線で50分程度。鉄道の玄関口となる光州松汀駅まではソウル駅、龍山駅から高速鉄道で1時間30分~40分程度。あるいはソウル高速バスターミナル、東ソウル総合ターミナル、ソウル南部ターミナルから高速バスで3時間20~45分程度の距離である。

  • 光州松汀駅
光州松汀駅(クァンジュソンジョンヨク、광주송정역)は、光山区松汀洞(クァンサング ソンジョンドン、광산구 송정동)に位置する鉄道駅。現在はKTXの停車駅として光州市の玄関口となっている。1911年の湖南線開業に伴って1913年に松汀里駅(ソンジョンニヨク、송정리역)として開業し、交通や物流の中心的役割を担うに至った。2009年に現在の名称へと変更。空の玄関口である光州空港(クァンジュゴンハン、광주공항)からも近く、車で約10分、地下鉄1号線で2駅の距離にある。市の中心部である錦南路(クムナムノ、금남로)、忠壮路(チュンジャンノ、충장로)エリアまでは地下鉄1号線で約30分の距離。駅の周辺には松汀毎日市場(ソンジョンメイルシジャン、송정매일시장)、松汀5日市場(ソンジョンオイルシジャン、송정5일시장)、1913松汀駅市場(イルグイルサム ソンジョンヨクシジャン、1913송정역시장)といった伝統市場が集まっており、中でも2016年に大規模なリニューアルをした1913松汀駅市場はB級グルメを中心とした食べ歩きスポットとして人気が高い。松汀5日市場からは地域の名物料理であるソンジョントッカルビ(松汀式の叩いたカルビ焼き/송정떡갈비)が生まれるなど、駅を中心として発達した食文化が見られる。

民主化の聖地

5.18民主化運動記録館
韓国では光州市を指して「民主化の聖地(민주화의 성지)」と表現することがある。これは日本統治時代の1929年に起こった「光州学生独立運動(クァンジュ ハクセン トンニプ ウンドン、광주학생독립운동)」や、1980年の「5.18民主化運動(オイルパル ミンジュファウンドン、5.18민주화운동)」において、光州市や近隣に住む民衆らが独立や民主化を求めて立ち上がったことに由来する。
  • 光州学生独立運動
日本統治時代の1929年に光州市を中心とする学生らが行った独立運動。日本では「光州学生事件」とも呼ばれるが、韓国では光州学生独立運動、または「光州学生抗日運動(クァンジュ ハクセン ハンイル ウンドン、광주학생항일운동)」と呼ぶ。1929年10月30日、光州市から羅州へと通学していた列車内で日本人学生が朝鮮人女学生を侮蔑したことにより、朝鮮人学生との間で衝突が起こった。これを火種として同11月3日には大規模な学生による独立運動が勃発。1919年の三・一運動以来の大きな独立運動として全国へと拡大していった[2]
  • 5.18民主化運動
1980年5月18日から27日にかけて、光州市の市民らが軍部の弾圧に対して蜂起した事件。日本では光州事件とも呼ばれるが、韓国では5.18民主化運動と呼ぶ。1979年10月26日に朴正煕大統領が暗殺された後、同12月12日に全斗煥、盧泰愚らがクーデターで軍部を掌握すると、高まった民主化への期待(ソウルの春)からの反動で学生らのデモが頻発した。これを受けて新軍部は1980年5月17日に戒厳令の拡大措置を実施。翌5月18日には金大中、金泳三といった野党側の政治家を逮捕、軟禁したたことから、民主化を求める勢力からの反発はさらに高まった。同日、光州市の全南大学では登校を禁止した戒厳軍が抗議する学生らに暴行。反発した市民、学生らと激しく衝突するに至り、10日間で200名を超える死者、行方不明者が発生するなど凄惨な事件となった。

食文化の背景

ペンギン村のジャンクアート

光州市は全羅南道の中心都市であり、物流の要衝として各地からさまざまな特産品が集まってくる。地域の名物を総称する光州5味に、周辺地域の特産品を集めたハンジョンシク(韓定食/한정식)や、ナムドキムチ(南道キムチ/남도김치)が含まれているのは象徴的な例と言える。市西部の光州松汀駅(クァンジュソンジョンヨク、광주송정역)周辺や、市東部の無等山(ムドゥンサン、무등산)一帯では独立した名物料理が発達しており、観光客の多い中心部ではカフェやベーカリーが増えているほか、B級グルメの流行も見える。代表的な料理としては光州5味に加えて、ユッチョン(牛肉のチヂミ/육전)エホバクチゲ(韓国カボチャの鍋/애호박찌개)サンチュティギム(天ぷらのサンチュ包み/상추튀김)などがある。

  • 無等山国立公園
無等山国立公園(ムドゥンサン クンニプコンウォン、무등산국립공원)は、光州市の南東部に位置する標高1,187mの無等山を中心とする国立公園。2013年3月に韓国で21番目の国立公園として登録された。光州市だけでなく、全羅南道潭陽郡和順郡にもまたがっている。周辺の山々を巡る登山コースが整備されているほか、統一新羅時代の860年に創建された証心寺(チュンシムサ、증심사)や、南宋画の大家である許百練(ホ・ベンニョン、허백련、号は毅齋)氏の作品を展示した「毅齋美術館」といった見どころがある。ふもと地域の東区芝山洞(トング チサンドン、동구 지산동)一帯では無等山ポリパプ(無等山の麦飯定食/무등산보리밥)が名物となっているほか、自然の景観を活かしたカフェも多くある。巨大なスイカ(スバク、수박)を名産としており、山の名前を取って「無等山スイカ」と呼ばれる。
  • 楊林歴史文化村
李章雨家屋
楊林歴史文化村(ヤンニム ヨクサムヌァマウル、양림역사문화마을)は、南区楊林洞(ナムグ ヤンニムドン、남구 양림동)一帯に広がる歴史的な地域。光州市の民俗文化財第1号に指定される李章雨家屋(イジャンウ カオク、이장우가옥、1899年築)や、同2号に指定される崔昇孝家屋(チェスンヒョ カオク、최승효가옥、1920年頃築)といった近代に建てられた伝統家屋が多く残る。またこの地域は日本統治時代に外国からの宣教師が多く住んだことから、1904年に設立された光州楊林教会(クァンジュヤンニムギョフェ、광주양림교회)や、1908年に創設された光州スフィア女子高等学校(クァンジュ スピア ヨジャ コドゥンハッキョ、광주수피아여자고등학교)、1920年頃にアメリカ出身のロバート・M・ウィルソン(Robert M. Willson)宣教師が建てた西洋建築の私邸などが残る。光州における近代の歴史や貴重な建築物に触れられる場所として観光整備が進められており、近年はカフェやベーカリーなどが増えて流行のスポットとなった。地域内のペンギン村(ペングィンマウル、펭귄마을)と呼ばれる一画は、住人らが古い時計や電化製品を狭い路地に飾ったジャンクアートで有名になった。この地域ではペンギンをモチーフとした焼き菓子も販売されている。

代表的な料理

ソンジョントッカルビ

光州5味

光州5味は、光州市を代表する5つの料理。光州市によって2005年5月に、地域の象徴的な風景である「光州8景」とともに「光州8景5味」として選定された。ソンジョントッカルビ(松汀式の叩いたカルビ焼き/송정떡갈비)オリタン(アヒル鍋/오리탕)ナムドハンジョンシク(南道韓定食/남도한정식)ナムドキムチ(南道キムチ/남도김치)ムドゥンサンポリパプ(無等山の麦飯定食/무등산보리밥)の5種類を指す。

ソンジョントッカルビ(松汀式の叩いたカルビ焼き/송정떡갈비)

ソンジョントッカルビ(송정떡갈비)は、光山区松汀洞(クァンサング ソンジョンドン、광산구 송정동)の名物として知られる叩いたカルビ焼き(「トッカルビ(叩いた牛カルビ焼き/떡갈비)」の項目も参照)。鉄道での玄関口にあたる松汀洞にトッカルビの専門店が集まっており、一帯は地域の旧称から「松汀里郷土トッカルビ通り(ソンジョンニ ヒャント トッカルビゴリ、송정리 향토 떡갈비거리)」と呼ばれる。その歴史は1950年代までさかのぼるとされ、1970年代後半から専門店が増えていった。この地域のトッカルビは牛カルビだけを使用するのではなく、豚肉と混ぜて柔らかい味わいに仕上げているのが特徴である。これはIMF危機を迎えた1990年代後半に、景気の悪化から価格を抑えるために生まれた工夫であったが、豚肉を混ぜたトッカルビは味わいが柔らかいとして評判がよく、そのまま松汀式として定着している。また他地域と比べて薄く、四角く成型するのも特徴的だとされる。店舗によっては韓牛(ハヌ、한우)やアヒル肉を用いたトッカルビをメニューに載せているところもある。
  • 由来
1950年代に松汀5日市場の近くで食堂を営んでいたチェ・チョジャ(최처자)さんが松汀トッカルビの創始者として知られる[3][4]。チェ・チョジャさんは1975年に店舗を移してトッカルビの提供を本格的に始め、これを学んだ人たちが周囲に専門店を出したことで現在の「松汀里郷土トッカルビ通り」が形成された。チェ・チョジャさんの店は1990年代後半に閉店したが、1976年創業の「松汀トッカルビ(ソンジョントッカルビ、송정떡갈비)」や、1978年創業の「ファジョン食堂(ファジョンシクタン、화정식당)」などが代表的な老舗として知られる。
  • ピョクッ
松汀トッカルビには、ピョクッ(豚の背骨のスープ、뼈국)が添えられる。

オリタン(アヒル鍋/오리탕)

オリタン
オリタン(오리탕)は、アヒル鍋(「オリタン(アヒル鍋/오리탕)」の項目も参照)。光州駅近くの北区柳洞(プック ユドン、북구 유동)に専門店が集まっており、一帯は「アヒル料理の通り(オリヨリエ ゴリ、오리요리의 거리)」と呼ばれている。この通りにオリタンの専門店ができ始めたのは1970年代からで、羅州市でアヒル農家を経営していた人物が、柳洞の食堂に卸し始めたのがきっかけとされる[5]。柳洞の専門店ではオリタンとともに生のセリが用意されるので、これを追加で煮込みながら味わう。アヒルの肉はチョコチュジャン(唐辛子酢味噌、초고추장)とエゴマの粉を混ぜたタレにつけて味わう。なお、光州市を囲む全羅南道はアヒルの飼育が盛んであり、飼育数は全国1位(2019年7~9月期)を誇る[6]

ナムドハンジョンシク(南道韓定食/남도한정식)

ナムドハンジョンシク(남도한정식)は、全羅南道の特産品や郷土料理を集めて作る韓定食(「ハンジョンシク(韓定食/한정식)」の項目も参照)。ナムド(남도)は漢字で「南道」と書いて全羅南道のこと。霊光郡の名産であるクルビグイ(イシモチの干物/굴비구이)や、木浦市新安郡一帯で祝いの料理として親しまれるホンオフェ(ガンギエイの刺身/홍어회)など、周辺地域の代表的な料理がコース形式、あるいは大きなテーブルに載せられて登場する。

ナムドキムチ(南道キムチ/남도김치)

ナムドキムチ(남도김치)は、全羅南道式のキムチ。ナムド(남도)は漢字で「南道」と書いて全羅南道のこと。光州市を含む全羅南道地域のキムチを総称している。名産である新安郡の天日塩や、西海岸、南海岸でとれる魚介の塩辛をふんだんに用い、濃厚な味付けに仕上げるのが特徴である。1994年より毎年11~12月頃に「光州世界キムチ祭り(クァンジュ セゲ キムチ チュクチェ、광주세계김치축제)」が開催されている[7]

ムドゥンサンポリパプ(無等山の麦飯定食/무등산보리밥)

ムドゥンサンポリパプ(무등산보리밥)は、無等山(ムドゥンサン、무등산)地域で親しまれている麦飯の定食(「ポリパプ(麦飯の定食/보리밥)」)。無等山のふもとで芝山遊園地(チサンユウォンジ、지산유원지)にも近い東区芝山洞(トング チサンドン、동구 지산동)一帯に専門店が集まっている。もともとは無等山に出かけるハイキング客らが立ち寄ったことから有名になった。大きな器に盛られた麦飯とともに、季節ごとの山菜、野草料理を中心とする10数種類の副菜が添えられて出てくる。定食として食べるほか、ピビムパプ(ビビンバ/비빔밥)として食べてもよい。ごはんを包んで食べる葉野菜として、ヨルム(大根の間引き菜、열무)の葉が添えられており、これもひとつの特徴となっている。

ユッチョン(牛肉のチヂミ/육전)

ユッチョンの調理風景

ユッチョン(육전)は、牛肉のチヂミ。ユッ()は漢字で「肉」と書いて牛肉のこと。チョン()は漢字では「煎」と書いて、野菜、魚介、肉などに、小麦粉や溶き卵の衣をつけて鉄板で焼いたものを表す(「チョン(チヂミ/전)」の項目も参照)。高級部位であるアロンサテ(牛の後足のモモ肉、아롱사태)などを薄切りにし、小麦粉、溶き卵の衣をつけて鉄板で焼く。好みで醤油ダレにつけて食べるか、パジョリ(白髪ネギの和え物、파절이)を包んで食べてもよい。専門店では卓上に鉄板を置いて、その場で店員が焼いてくれる店もある。市場では焼いたものが販売されている。

エホバクチゲ(韓国カボチャの鍋/애호박찌개)

エホバクチゲ

エホバクチゲ(애호박찌개)は、韓国カボチャの鍋。エホバク(애호박)はカボチャの未熟果。チゲ(찌개)は野菜や肉、魚などを煮た鍋料理の総称である。拍子木切りにしたエホバクを、細切りの豚肉などとともに辛く煮込んで作る。ステンレスの大きな器にたっぷりと盛られて出てくることが多く、そのボリュームも特徴とされる。

サンチュティギム(天ぷらのサンチュ包み/상추튀김)

サンチュティギム

サンチュティギム(상추튀김)は、天ぷらのサンチュ包み。サンチュ(상추)は葉野菜のひとつ。ティギムは天ぷらを意味する(ティギム(天ぷら/튀김)の項目も参照)。料理名を見るとサンチュを天ぷらにした料理と誤解されがちであるが、実際はイカなどのティギムをサンチュの上に載せ、醤油ダレに漬けたタマネギや青唐辛子とともに包んで味わう料理である。

  • 由来
1978年春に、東区忠壮路2街(トング チュンジャンノイガ、동구 충장로 2가)の旧光州郵便局裏手でティギムの販売をしていたキム・チャンシムさん(김찬심)が開発したとされる。近所の人と昼食を共にしている際、ごはんが足りなくなったため、ある人が持参したサンチュでティギムを包んで食べてみたところ、その場での反応がよく、これをサンチュティギムとして販売することにしたのが始まりという。このエピソードは2012年に光州市が企画したエピソード公募展にて最優秀賞を受賞した[8]

子豚料理

生後1~2ヶ月の子豚を利用した、エジョタン(子豚の丸ごと鍋/애저탕)エジョチム(子豚の丸ごと蒸し/애저찜)といった料理がある。

光州市のB級グルメ

ペンギンパン
ペンギンパン
ペンギンパン(펭귄빵)は、ペンギンを模した焼き菓子。ペンギンの発音は「ペングィン」がより近い。東区楊林洞(トング ヤンニムドン、동구 양림동)にはペンギン村(ペングィンマウル、펭귄마을)と呼ばれる一画があり、それにちなんだものとして2019年1月より発売された。中にはカスタードクリームが入っている。

光州市の市場グルメ

盧武鉉元大統領が食べて話題になったチャントクッパプ

光州良洞市場

光州良洞市場(クァンジュヤンドンシジャン、광주양동시장)は、西区良洞(ソグ ヤンドン、서구 양동)位置する市場。地下鉄1号線の良洞市場駅と隣接している。2002年に大統領選挙を控えた盧武鉉大統領が良洞市場を訪れ、市場内の「ハナ粉食(ハナブンシク、하나분식)」で食事をしたことから、このときに食べたチャントクッパプ(市場式のスープごはん、장터국밥)が名物となっている。豚の各部位をよく煮込んだスープに、豚の頭肉や小腸などの部位を具として入れたもので、エゴマの粉がたっぷり入る。また、良洞市場駅とは反対側になる良洞覆蓋商街(ヤンドンボッケサンガ、양동복개상가)側には、トンダク(丸鶏の素揚げ、통닭)の専門店が集まっており、店頭に鍋を置いて揚げながら販売するスタイルが人気を集める。丸鶏とともにタッパル(鶏足、닭발)を一緒に揚げるのが特徴である。

  • チャントクッパプ(市場式のスープごはん、장터국밥
  • トンダク(丸鶏の素揚げ、통닭

1913松汀駅市場

1913松汀駅市場

1913松汀駅市場(イルグイルサム ソンジョンヨクシジャン、1913송정역시장)は、光山区松汀洞(クァンサング ソンジョンドン、광산구 송정동)に位置する市場。名称に駅名が入っているように、湖南線、地下鉄1号線の光州松汀駅からすぐの距離にある。数字部分は湖南線が開通し、光州松汀駅(当時の名称は松汀里駅)ができた1913年に、毎日松汀駅前市場(メイル ソンジョンヨクチョン シジャン、매일송정역전시장)として開場したことにちなむ。2016年4月に大規模なリニューアルを行い、市場名を現在のものに変更。旧来の雰囲気をレトロさとして残しながら、創作料理店やクラフトビール店など新進の店舗を多く引き入れることで新しい観光スポットとして話題を集めた。リニューアルと同時に創業した食パン専門店の「トア食パン(トアシクパン、또아식빵)」は、焼き上がりの時間に合わせてできたてを販売するシステムや、小ぶりなサイズでフレーバーの選択肢を増やすなどの工夫で人気を集め、全国的な食パンブームの嚆矢となった。

大仁市場

大仁市場(テインシジャン、대인시장)は、東区大仁洞(トング テインドン、동구 대인동)に位置する市場。最寄り駅は地下鉄1号線の錦南路4街駅。1970~80年代まではおおいに賑わったが、1996年に近隣のバスターミナルが移転をすると、流動人口が減少して多くの店が閉店するに至った。転機となったのは2008年頃から美術の祭典「光州ビエンナーレ」との連携によって、芸術家たちが市場のあちこちに手を入れたことにある。市場内の各地に壁画を描いたり、展示会や公演を行うなど、アートと同居する市場として生まれ変わった。2011年10月からは夜市場を開催して話題を集め、のちに全国的な広がりを見せる夜市場ブームの先駆的なモデルケースにもなった。市場の名物としては、スンデクッ(腸詰入りのスープ/순대국)や、テペサムギョプサル(薄切り豚バラ肉の焼肉/대패삼겹살)などがある。

光州市のカフェとベーカリー

宮殿製菓のナビパイ(右)とコンリョンアルパン

光州市では近年、洗練された雰囲気のカフェが増えている。中でも東区東明洞(トング トンミョンドン)一帯と、無等山のふもとにあたる東区芝山洞(トング チサンドン、동구 지산동)一帯に店が多く、それぞれ「東明洞カフェ通り(トンミョンドン カペ ゴリ、동명동 카페거리)」、「無等山カフェ村(ムドゥンサン カペマウル、무등산 카페마을)」と呼ばれる。

宮殿製菓

宮殿製菓(クンジョンジェグァ、궁전제과)は、東区忠壮路1街(トング チュンジャンノイルガ、동구 충장로1가)に本店を構えるベーカリー。1973年4月に創業し、光州市だけで7店舗を展開している。デニッシュ生地をねじって作ったナビパイ(ちょうちょパイ、나비파이)と、バゲットタイプのパンに卵サラダを詰めたコンリョンアルパン(恐竜の卵パン、공룡알빵)が看板商品となっている。

代表的な特産品

百貨店で販売されているムドゥンサンスバク

無等山(ムドゥンサン、무등산)地区でとれる巨大なスイカはムドゥンサンスバク(無等山スイカ/무등산수박)という名前でブランド化している。

ムドゥンサンスバク(無等山スイカ/무등산수박)

ムドゥンサンスバク(무등산수박)は、無等山一帯でとれるスイカ。別名をプレンイ(푸랭이)とも呼ぶ。市西部の北区金谷洞(プック クムゴクトン、북구 금곡동)、忠孝洞(チュンヒョドン、충효동)が主な生産地である。縞模様のない深緑色で、縦に長い楕円形をしており、サイズは一般のスイカに比べてはるかに大きく、10~20kg程度、大きいものでは30kg前後にまで育つ。大きさだけでなく糖度も高く、希少性もあることから、販売価格は高額となり、百貨店などでは贈答用としての扱いが多い。8月中旬頃から出荷が始まり、10月初旬頃まで収穫される。

  • 歴史
朝鮮総督府農事試験場の記録(1931年)
1931年に刊行された『朝鮮総督府農事試験場二拾五周年記念誌. 上巻』(朝鮮総督府農事試験場編)には、ムドゥンサンスバクの栽培について記録がある。「全羅南道光州の無等山附近では古来此の地方特有の栽培法によって美味な西瓜を生産してゐる。其の栽培来歴は甚だ古い」と紹介したうえで、栽培方法についても詳述している[9]

代表的な酒類・飲料

チップルサムギョプサルと自家醸造のトンドンジュとマルグンスル

マッコリ

代表的なマッコリとして「光州無等山濁酒(クァンジュ ムドゥンサン タクチュ、광주무등산탁주)」の「無等山米マッコリ(ムドゥンサン サルマッコルリ、무등산 쌀막걸리)」や、「飛鴉酒造場(ピア チュジョジャン、비아주조장)」の「飛鴉米マッコリ(ピア サルマッコルリ、비아 쌀막걸리)」、「松汀金川酒造場(ソンジョン クムチョン チュジョジャン、송정금천주조장)」の「松汀金川米マッコリ(ソンジョン クムチョン サルマッコルリ、송정금천 쌀막걸리)」などがある。

ムドル酒幕
ムドル酒幕(ムドルジュマク、무돌주막)は、北区清風洞(プック チョンプンドン、북구 청풍동)に位置する飲食店。マッコリの醸造場を兼ねており、自家醸造の濁酒「トンドンジュ(동동주)」と、清酒「マルグンスル(맑은술)」の2銘柄を提供している。料理としては、藁で下焼きをするチップルサムギョプサル(豚バラ肉の藁焼き、짚불삼겹살)を自慢としている。

焼酎

イプセジュ
イプセジュ(잎새주)は、全羅南道木浦市に本社を置く宝海醸造(ポヘヤンジョ、보해양조)が製造する希釈式焼酎。光州市においても主力銘柄として広く流通している。

ビール

OBビール光州工場
北区日谷洞(プック イルゴクトン、북구 일곡동)に大手酒造メーカーである「OBビール(オービーメクチュ、OB맥주)」の工場がある。

伝統茶

春雪茶と茶葉入りの焼き菓子
春雪茶
南宋画の大家である許百練(号は毅齋)は創作活動とともに茶葉の生産など農業技術指導にも力を注いだ。許百練の功績を記念した「毅齋美術館」隣の「聞香亭」では地域の特産品となった春雪茶と、茶葉入りの焼き菓子を味わえる。

老舗

  • 永発園(ヨンバルォン、영발원)
1955年創業の中国料理店。北区林洞(プック イムドン、북구 임동)に位置する。チャンポン(激辛スープの海鮮麺/짬뽕)のスープをあんかけ状にした、コンチャンポン(激辛のあんかけ海鮮麺、건짬뽕)が有名。

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • クムタプソモリクッパプ尚武店(금탑소머리국밥 상무점)
住所:光州市西区尚武繁栄路30(治坪洞1240-8)
住所:광주시 서구 상무번영로 30(치평동 1240-8)
電話:062-383-9009
料理:ソモリクッパプ(牛頭部のスープごはん)
  • 宮殿製菓忠壮店(궁전제과 충장점)
住所:光州市東区忠壮路1街1-9(忠壮路93-6)
住所:광주시 동구 충장로1가 1-9(충장로 93-6)
電話:062-222-3477
料理:ベーカリー(ちょうちょパイ、恐竜の卵パン)
  • 大光(대광)
住所:光州市東区瑞石路7番キル5(不老洞90-5)
住所:광주시 동구 서석로7번길 5(불로동 90-5)
電話:062-226-3939
料理:ユッチョン(牛肉チヂミ)
  • トア食パン(또아식빵)
住所:光州市光山区松汀路8番キル11(松汀洞990-10)
住所:광주시 광산구 송정로8번길 11(송정동 990-10)
電話:062-955-6945
料理:ベーカリー(食パン)
  • ムドル酒幕(무돌주막)
住所:光州市北区新村セッカンキル120-3(清風洞856-9)
住所:광주시 북구 신촌샛강길 120-3(청풍동 856-9)
電話:062-266-6086
料理:サムギョプサル(豚バラ肉の焼肉)
  • 松汀トッカルビ(송정떡갈비)
住所:光州市光山区光山路29番キル1(松汀洞826-3)
住所:광주시 광산구 광산로29번길 1(송정동 826-3)
電話:032-882-4646
料理:トッカルビ(叩いた牛カルビ焼き)
  • ヨンミオリタン(영미오리탕)
住所:光州市北区景陽路126(柳洞102-31)
住所:광주시 북구 경양로 126(유동 102-31)
電話:062-527-0248
料理:オリタン(アヒル鍋)
  • 珍島会館(진도회관)
住所:光州市東区錦南路169番キル8-3(錦南路5街78)
住所:광주시 동구 금남로169번길 8-3(금남로5가 78)
電話:062-224-6430
料理:ペッパン(定食)
  • ペンギンパン(펭귄빵)
住所:光州市南区川辺左路450番キル8-9(楊林洞22-4)
住所:광주시 남구 천변좌로450번길 8-9(양림동 22-4)
電話:062-676-0007
料理:ペンギンパン(ペンギン饅頭)
  • ハナ粉食(하나분식)
住所:光州市西区良洞市場2キル2(良洞263-64)
住所:광주시 서구 양동시장2길 2(양동 263-64)
電話:062-364-1778
料理:チャントクッパプ(市場式のスープごはん)
  • 河南水産(하남수산)
住所:光州市光山区思庵路300(月谷洞687-3)
住所:광주시 광산구 사암로 300(월곡동 687-3)
電話:062-956-5468
料理:センソンフェ(刺身)
  • ホンアネ(홍아네)
住所:光州市西区馬勒覆蓋路150番キル7(治坪洞245-4)
住所:광주시 서구 마륵복개로150번길 7(치평동 245-4)
電話:062-384-9400
料理:クルビグイ(イシモチの干物)
  • ファンソルチョン忠壮店(황솔촌 충장점)
住所:光州市東区中央路160番キル16-36(湖南洞73-2)
住所:광주시 동구 중앙로160번길 16-36(호남동 73-2)
電話:062-222-4815
料理:テジカルビ(豚カルビ焼き)、プルサリ(焼き冷麺)

各地域の料理

光山区(광산구)

  • トッカルビ(叩いたカルビ焼き/떡갈비)松汀洞
  • ピョクッ(豚背骨のスープ/뼈국)松汀洞
  • オリトッカルビ(アヒル肉の叩き焼肉/오리떡갈비)松汀洞

南区(남구)

東区(동구)

  • コンリョンアルパン(恐竜の卵パン/공룡알빵)忠壮路1街
  • ナビパイ(ちょうちょパイ/나비파이)忠壮路1街
  • タッペクスク(丸鶏の水炊き/닭백숙)雲林洞
  • タッポックム(鶏肉の鉄板焼き/닭볶음)雲林洞
  • ユッチョン(牛薄切り肉の衣焼き/육전)不老洞
  • ペンギンパン(ペンギン饅頭/펭귄빵)楊林洞

北区(북구)

  • オリタン(アヒル鍋/오리탕)柳洞

西区(서구)

全域

  • ナムドハンジョンシク(南道韓定食/남도한정식)
  • ムドゥンサンポリパプ(麦飯の定食/무등산보리밥)
  • ムドゥンサンスバク(無等山スイカ/무등산수박)
  • サンチュティギム(天ぷらのサンチュ包み/상추튀김)
  • エジョタン(子豚の丸ごと鍋/애저탕)
  • エホバクチゲ(韓国カボチャの鍋/애호박찌개)

エピソード

韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2003年1月に初めて光州市を訪れた。食の本場で食べるハンジョンシク(韓定食/한정식)が目当てであり、当時1泊2万5000ウォンの宿に泊まりながらも、1人前W6万の大盤振る舞いをした。次から次へと出てくる郷土料理に舌鼓を打ち、満腹を通り過ぎるほど食べに食べたいい思い出が残っている。

脚注

  1. 주민등록 인구통계 、行政安全部ウェブサイト、2020年3月22日閲覧
  2. 歴史的な意義 どのように闘争を行ったのか? 、光州学生独立運動記念館ウェブサイト、2018年5月12日閲覧
  3. 옛 우시장의 기억이 담긴 송정동 향토떡갈비거리 、光州光山区公式ブログ、2020年1月13日閲覧
  4. 송정떡갈비거리 、光州歴史文化資源ストーリーテリング、2020年1月13日閲覧
  5. 오리탕거리 、光州歴史文化資源ストーリーテリング、2020年1月13日閲覧
  6. 오리 시도/사육규모별 가구수 및 마리수 、統計庁、畜産物品質評価院「家畜動向調査」、2020年1月13日閲覧
  7. 광주세계김치축제 、光州世界キムチ祭りウェブサイト、2020年1月14日閲覧
  8. ‘상추튀김 에피소드 공모전’ 수상자 선정 、光州広域市ウェブサイト、2020年1月31日閲覧
  9. 朝鮮総督府農事試験場二拾五周年記念誌. 上巻 、国立国会図書館デジタルコレクション(コマ番号169、259ページ)、2020年3月20日閲覧

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目