鬱陵郡の料理

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鬱陵島の遠景

鬱陵郡(ウルルングン、울릉군)は慶尚北道の東部に位置する島嶼地域。本ページでは鬱陵郡の料理、特産品について解説する。離島の独島(トクト、독도)は、日本で竹島と呼ばれ領有権を巡る紛争地域[1]とされるが、鬱陵郡の食文化を語るうえで固有名詞としても多く登場するため、基本的に独島と表記する(ただし領土に関する主張の意思は含まない)。

地域概要

道洞と苧洞を結ぶ散策路「ヘダムキル(해담길)」の1コースにあるスルメイカを模した橋

鬱陵郡は慶尚北道の東部に位置する島嶼地域。主要島である鬱陵島(ウルルンド、울릉도)とその周辺の島々で構成される。鬱陵島人口は9017人(2025年4月)で全国の市郡でもっとも少ない。[2]

東海岸の中でもっとも近い慶尚北道蔚珍郡の竹辺面(チュクピョンミョン、죽변면)から130.3km離れた位置にあり、慶尚北道浦項市蔚珍郡江原道江陵市東海市と航路で結ばれている。主要島の鬱陵島は中央部に標高984mの聖人峰(ソンインボン、성인봉)がそびえ、島の三方向に山脈が伸びる山の多い地形である。

代表的な観光地としては、前述の聖人峰や、3段になった滝の蓬莱瀑布(ポンネポクポ、봉래폭포)、杏南海岸散策路(ヘンナンヘアン サンチェンノ、행남해안산책로)、羅里盆地(ナリブンジ、나리분지)といった自然を活かした観光スポットが多数ある。韓国人観光客の多くはパッケージツアーで訪れることから、運転手がガイドを兼ねる観光車(マイクロバス)での島巡りや、遊覧船での周遊、周辺の離島訪問といった観光プランが充実している。本土とは離れた火山島ゆえに、島の随所において地形的にも生態系的にも特徴的な姿を見ることができる。

ソウル市から鬱陵郡までのアクセスは、まず船の出ている東海岸の町まで移動したうえで、各港から3時間~4時間30分前後の距離である。ただし、悪天候や高波による欠航、遅延が多く、年間で100日前後は欠航になることから、日程には充分な余裕を持ってスケジュールを立てる必要がある。

鬱陵島

鬱陵島(ウルルンド、울릉도)は、鬱陵郡を構成する主要島。面積は72.86平方キロメートルで、韓国の島としては9番目に大きい[3](かつては7番目だったが西海岸の干拓によって順位を下げた)。南東部の道洞里(トドンニ、도동리)が中心地域で、鬱陵郡庁や港湾などの主要施設が集まっている。

主要施設

  • 港湾
観光客が主として利用する港に、沙洞港(サドンハン、사동항)、道洞港(トドンハン、도동항)、苧洞港(チョドンハン、저동항)があり、いずれも鬱陵島の南東部に位置する。港の周辺は飲食店や宿泊施設が多く、いずれも観光の中心地となっている。
  • 鬱陵空港
鬱陵空港(ウルルンゴンハン、울릉공항)は、鬱陵邑沙洞里(ウルルンウプ サドンニ、울릉읍 사동리)に建設途中の空港。2028年の開業を目指している。

離島

竹島から見た観音島。鬱陵島との間には橋がかけられている
主要島の鬱陵島(ウルルンド、울릉도)周辺には多くの離島や岩礁があり、観光客向けに遊覧船で周遊したり、島を訪問するオプショナルツアーが組まれている。代表的な離島に、独島(トクト、독도 ※領有権については後述)、竹島(チュクト、죽도 ※日本名の竹島とは異なる)、観音島(クァヌムド、관음도)がある。
  • 独島
独島(トクト、독도)は、鬱陵邑独島里(ウルルンウプ トクトリ、울릉읍 독도리)に属する離島。日本では竹島(たけしま)と呼ばれ、島根県隠岐郡隠岐の島町に属している。日本から見た場合は領有権を巡る紛争地域[1]であり、韓国から見た場合は固有の領土であって領有権を巡る紛争は存在しないとの立場である[4]。鬱陵郡を訪れるうえでの基礎知識として、両国の立場を理解しておく場合、両政府のウェブサイトが参考になる(日本:外務省「竹島問題の概要」内閣官房「竹島 日本の基本的な立場」/韓国:韓国外交部「独島, Dokdo(日本語)」)。
韓国人観光客の場合、独島の訪問は鬱陵郡を訪れる大きな目的のひとつとなっているが、日本人観光客の場合はオプショナルツアーへの参加に制限があり、外務省も自粛を求めていることから渡航しないことが望ましい。鬱陵島内には独島博物館(トクトバンムルグァン、독도박물관)、独島映像館(トクトヨンサングァン、독도영상관)、独島展望台(トクトジョンマンデ、독도전망대)といった施設があり、こちらは日本人観光客も訪問できる。
  • 竹島
トドクジュース
竹島(チュクト、죽도)は、鬱陵邑苧洞里(ウルルンウプ チョドンニ、울릉읍 저동리)に属する離島。日本名の竹島(独島)とは異なる島で、日本では竹嶼の名前でも呼ばれる。竹島にはツルニンジン(더덕)の栽培を行うキム・ユゴン(김유곤)さんがひとりで住んでおり、以前は妻のイ・ユンジョン(이윤정)さんと息子のキム・ミンジュン(김민준)くんが一緒だったが、現在は幼稚園に通うために本土で離れて暮らしている。オプショナルツアーで訪れる観光客に対して、売店で即席のトドクジュース(ツルニンジンジュース、더덕주스)を販売している。島で栽培したツルニンジンを牛乳、乳飲料のアンバサ(암바사)、アーモンドと一緒にミキサーにかけて作るもので、甘味があって飲みやすくほんのり香ばしい。

三無五多

同じ島嶼地域の済州道を「三多三無(石、風、女性が多く、泥棒、物乞い、門がない、삼다삼무)」の島と呼ぶのに対し、鬱陵郡は「三無五多(삼무오다)と表現され、泥棒、公害、ヘビがなく、水、美人、石、風、イブキの木(향나무)が多いことを示す。

食文化の背景

島嶼地域ゆえに、魚介類が豊富だと思われがちだが、周囲の海が深すぎることから魚種の多様さには欠け、飲食店の副菜を見ても魚介類を利用したものは非常に少ない。名産品としてスルメイカ(오징어)が有名だが、近年は漁獲量が大幅に減少しており、身近なものとしてはカサガイ(따개비)や、イガイ(홍합)などの貝類があげられる。近年は高級食材として、観光客を中心にトクトセウ(独島エビ、독도새우)の人気が高い。日常の食事として魚が身近でないため、地元ガイドによれば「鬱陵島民が本土でまず食べるのはセンソングイ(焼き魚/생선구이)」とのことである(八田靖史の取材記録より、2025年3月30日)。

逆に身近であるのは山菜類で、種類が豊富であるうえ食卓にのぼる頻度も高い(「代表的な特産品/山菜」参照)。これらの山菜を飼料に加えて飼育した韓牛(한우)をヤクソ(薬牛、약소)と呼んで、こちらも地元の名産品に数えられる。カボチャ(호박)の生産も盛んであり、ホバクヨッ(カボチャ飴/호박엿)が郷土菓子として有名であるほか、ホバクマッコリ(カボチャマッコリ、호박막걸리)が生産されている。

観光が基幹産業になっていることから、菓子や飲料を中心に名産品や島のモチーフを活かした商品開発が盛んである。象徴的な存在として独島があるほか、アシカ(강치)、スルメイカ(오징어)、トクトセウ(独島エビ、독도새우)などを模した菓子、スイーツを豊富に見かける。

代表的な料理

生のギョウジャニンニクの葉で包んだヤクソグイ

ヤクソグイ(薬牛の焼肉/약소구이)

ヤクソグイ(약소구이)は、薬牛(ヤクソ)の焼肉(「ソゴギグイ(牛焼肉/소고기구이)」の項目も参照)。ヤクソ(약소)は鬱陵郡の山菜や野草を食べさせて飼育した韓牛(한우)。ヤク()は漢字で「薬」と書いて、山菜や野草を薬草(약초)と表現したもの。ソ()は牛を意味する。グイ(=クイ、구이)は焼き物の総称を指す。郡内の牛焼肉店で提供され、薬牛をプルコギ(牛焼肉/불고기)に仕立てたヤクソプルコギ(薬牛の焼肉、약소불고기)も人気のメニューである。鬱陵郡のブランド牛としてはほかに、固有種のチクソ(葛牛、칡소)がある。
  • 葛牛
葛牛(チクソ、칡소)は、鬱陵郡などで飼育される固有種の牛。黄色との毛が縞模様になった見た目が、葛のつるに似ていることから葛牛と呼ばれるようになったとされる。模様が虎にも見えることから、虎斑牛(ホバヌ、호반우)、縞牛(オルルクソ、얼룩소)などとも呼ばれる。

トクトセウ(独島エビ/독도새우)

トクトセウ3種の盛り合わせ
トクトセウ(독도새우)は、独島近海でとれるエビの総称。トクト(독도)は独島、セウ(새우)はエビを意味する。トヤマエビ(도화새우참새우)、イバラモエビ(가시배새우닭새우)、モロトゲアカエビ(シマエビ、물렁가시붉은새우꽃새우)の3種を指す。刺身で食べるほか、チム(蒸し物、)でも味わう。刺身は活きた状態で殻付きのまま提供され、頭はハサミでカットしたうえで、いったん厨房に下げてティギム(天ぷら/튀김)として出てくる。刺身、チムともに身は自分で殻をむき、ワサビ醤油やチョゴチュジャン(唐辛子酢味噌、초고추장)につけて食べる。
  • 韓米首脳会談の晩餐会
2017年11月にアメリカのトランプ大統領が韓国を訪れ、韓米首脳会談を行った際、青瓦台で晩餐会が開かれ、メニューのひとつにトクトセウ(トヤマエビ、도화새우)を載せたチャプチェ(春雨炒め/잡채)が用意された[5]。これに対し、日本政府は独島の名前を冠したエビを提供したことを、韓国政府に対して「受け入れられない」と抗議を伝えた[6]

オジンオネジャンタン(スルメイカの内臓鍋/오징어내장탕)

オジンオネジャンタン
オジンオネジャンタン(오징어내장탕)は、スルメイカの内臓鍋。オジンオ(오징어)はスルメイカ、ネジャン(내장)は内臓、タン()は漢字で「湯」と書いて鍋、スープ料理を総称する。スルメイカの漁期は2025年時点で4~5月に限定されており、この時期にはオジンオフェ(スルメイカの刺身、오징어회)を味わえるほか、新鮮な内臓と卵を急速冷凍しておいて通年でオジンオネジャンタンに用いる。大根、長ネギ、豆モヤシなどの野菜を一緒に加え、澄まし仕立てのスープに仕立てる。近年の鬱陵郡ではスルメイカの漁獲量が減り、漁期も短くなっていることから、旬の一時期にしか味わえないオジンオフェは貴重であり、飲食店ではオジンオネジャンタンや、オサムプルコギ(イカと豚バラ肉の炒め物/오삼불고기)をレギュラーメニューとして提供するところが多い。
  • 内臓の部位
内臓の部位は、ヒンチャン(白い腸、흰창)と呼ばれる精巣、卵巣、纏卵腺といった生殖器が中心で、ヌロンチャン(黄色い腸、누런창)と呼ばれる肝臓や墨袋は別途塩辛などに利用する。ゲソ(足)も一緒に加える。

タゲビカルグクス(カサガイうどん/따개비칼국수)

タゲビカルグクス
タゲビカルグクス(따개비칼국수)は、カサガイうどん。タゲビ(따개비)は標準語でフジツボを指すが、鬱陵郡においてはカサガイ(삿갓조개)類の地方名として用いられる。カルグクス(칼국수)は手打ちうどん(「カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)」の項目も参照)。カサガイを煮込んだスープでカルグクスを煮込んで作る。カサガイの身は具としても用い、その形状から小さなアワビ(전복)とも表現される。島内の郷土料理店で広く提供されるほか、専門店もある。カサガイを用いた料理としてはほかに、タゲビバプ(カサガイごはん、따개비밥)、ホンタバプ(イガイとカサガイごはん、홍따밥)などがある。

ホンハプパプ(イガイごはん/홍합밥)

ホンタバプ
ホンハプパプ(홍합밥)は、イガイごはん。ホンハプ(홍합)はイガイ(貽貝)、またはムール貝(ムラサキイガイ、지중해담치)など近縁種の総称としても多く使われるが、鬱陵郡においては天然物のイガイを指す。パプ()はごはんの意。殻を外したイガイの身をゴマ油で炒め、これを加えて炊き込みごはんを作る。飲食店では注文ごとに人数分を炊き、汁物や副菜を添えて定食とする。薬味醤油を添えて、好みで加えて食べる。同様の調理法でカサガイ(따개비)を用いたものをタゲビバプ(カサガイごはん、따개비밥)と呼び、イガイとカサガイの両方を用いたものをホンタバプ(イガイとカサガイごはん、홍따밥)と呼ぶ。

コンチムルフェ(サンマの水刺身/꽁치물회)

コンチムルフェ
コンチムルフェ(꽁치물회)は、サンマの水刺身。コンチ(꽁치)はサンマ、ムルフェは水刺身(冷や汁風の刺身)を意味する(「ムルフェ(水刺身/물회)」の項目も参照)。サンマの刺身を生野菜とともに器に盛り、シャーベット状になったスープと辛味ダレを加える。ムルフェは地域によって調理法が異なるが、スープを注がず和え物のように作る慶尚道式が多く、全体をかき混ぜているうちにスープが溶けて野菜からも水分が出る。途中でごはんを加えて混ぜて食べてもよい。サンマがとれる時期には生サンマを用いるが、ほとんどの場合は急速冷凍したものを、半解凍の状態で用いる。島内でも提供店舗はさほど多くはなく、一部の郷土料理店で提供される。
  • ソンコンチ(手サンマ)
かつての鬱陵郡では、ソンコンチ(手サンマ、손꽁치)と呼ばれるサンマの手づかみ漁が盛んであった。サンマが産卵期を迎える5~6月に小舟で海に出て、周囲に持参した海藻を浮かべておくと、たくさん寄ってくるので、素手でつかんで引き上げる現在はサンマの漁獲量が減ったことから、こうした漁法も見られなくなった。

ホバクヨッ(カボチャ飴/호박엿)

土産物店の売場に並ぶホバクヨッ
ホバクヨッ(호박엿)は、カボチャ飴(「ホバクヨッ(カボチャ飴/호박엿)」の項目も参照)。伝統的な製法では、名産であるカボチャ(늙은호박)と麦芽(엿기름)を混ぜて煮詰め、トウモロコシの水飴(옥수수엿)を加えて作る。島内の直売店や、土産物店で販売され、カボチャゼリー(호박젤리)、カボチャ饅頭(호박빵)などの商品もある。
  • 発祥
鬱陵郡におけるホバクヨッの発祥ははっきりせず、口伝として残る説がいくつかある[7]。代表的なものとしては、島に自生するフバクナム(タブノキ、후박나무)の皮を飴に加えたものをフバクヨッ(후박엿)と呼び、ホバク(カボチャ、호박)と語感が似ていることから次第にカボチャを用いるようになったとされるものと、19世紀後半に島を開拓した際、カボチャの種をまいて栽培を始めたところ、たくさんとれるようになったのでこれを利用して作るようになったとのものである。タブノキは郡の木に指定される身近なものであるが、実際にそのような製法があったかは資料がなく、少なくとも現在はその皮を使って飴を作ることはない。

代表的な特産品

サムナムルムチム(ヤマブキショウマの和え物)とトドクムチム(ツルニンジンの和え物)の盛り合わせ

山菜

鬱陵郡は山菜の豊富な地域であり、栽培も盛んに行われている。ギョウジャニンニク(명이나물산마늘)、ヤマブキショウマ(삼나물눈개승마)、ゴマナ(부지깽이섬쑥부쟁이)、シャク(전호나물)、ゼンマイ(참고비섬고사리)、シラヤマギク(참나물)、ツルニンジン(더덕)、キタカミアザミ(물엉겅퀴)、オオアキノキリンソウ(울릉미역취)などが代表的で、ナムル(ナムル/나물)や、ムチム(和え物、무침)、チャンアチ(漬物、장아찌)として利用するほか、テンジャンチゲ(味噌鍋/된장찌개)サンチェピビムパプ(山菜ビビンバ/산채비빔밥)チョン(チヂミ/전)などの具材としても用いる。
  • 地理的表示
鬱陵郡では、山林庁が地域の名産品を認証する地理的表示林産物として、ヤマブキショウマ(삼나물눈개승마、第5号)、オオアキノキリンソウ(울릉미역취、第6号)、ゼンマイ([[참고비、第7号)、ゴマナ(부지깽이섬쑥부쟁이第8号)、イタヤカエデの樹液(고로쇠수액、第40号)の5種類が登録されている[8]

ミョンイナムル(ギョウジャニンニク/명이나물)

ミョンイナムル(명이나물)は、ギョウジャニンニク。鬱陵郡の名産品であり、標準語ではサンマヌル(산마늘)とも呼ぶ。ミョンイは漢字で「茗荑」と書き、どちらの字も植物の芽を意味するが、雪解けの季節にこれを食べて「생명을 이었다(命をつないだ)」の「명」と「이」から取ったとも語られる。醤油、酢、砂糖などに漬け込んでチャンアチ(漬け物、장아찌)で食べることが多く、焼肉を包んで食べると後味がさっぱりすることから、近年は全国的に人気が高まっている。

代表的な酒類・飲料

シコプテギスル

シコプテギスル(韓方酒/씨껍데기술)

シコプテギスル(씨껍데기술)は、鬱陵郡で生産される韓方酒。シ()は植物の種や実、コプテギ(껍데기)は皮、スル()は酒を意味し、さまざまな韓方材を加えて造る。マッコリの一種であり、かつてはトウモロコシの水飴(옥수수엿)を原料としたが、現在はもち米やうるち米を用いて造ることが多い。郡内の酒造「ムルレバンア酒家(물레방아주가)」で造っているシコプテギスルの場合、もち米、うるち米、小麦麹に加え、川芎(センキュウの根、천궁)、ナナカマド(마가목)の実、ヤマアジサイ(수국)の葉、ケンポナシ(헛개나무)の実、クコの実(구기자)、ナツメ(대추)、甘草(감초)、牛膝(ヒナタイノコズチの根、우슬)が加えられている。

マッコリ

郡内の名産品を活かした、ホバクマッコリ(カボチャマッコリ、호박막걸리)や、マガモクマッコリ(ナナカマドマッコリ、마가목막걸리)が生産されている。

独島焼酎

独島焼酎(トクトソジュ、독도소주)は、独島をモチーフとした焼酎江原道平昌郡のKRカンパニー(케이알컴퍼니)」が生産する「40240独島(40240 독도)」や、大邱市の金福酒(금복주)が生産する「チャムアイランド独島(참 아일랜드 독도)」などがある。

飲食店情報

カフェ「クルリム(글림)」のホバクノティシュペナー(カボチャとナッツのクリームコーヒー)

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • カゴシプンシプ(가고싶은집)
タゲビカルグクス(カサガイうどん/따개비칼국수)の専門店。ギョウジャニンニクの葉(명이나물)を生地に練り込んで、緑がかった色合いの麺を作っている。
住所:慶尚北道鬱陵郡鬱陵邑道洞1キル16(道洞里118)
住所:경상북도 울릉군 울릉읍 도동1길 16(도동리 118)
電話:054-791-2007
最終訪問日:2025年3月31日
  • クルリム(글림)
芋洞港近くのカフェ。ホバクノティシュペナー(カボチャとナッツのクリームコーヒー、호박 너티 슈페너)と、3人前相当のトクトピンス(独島を模したミルク味の糸カキ氷/독도빙수)が代表的なメニュー。
住所:慶尚北道鬱陵郡鬱陵邑鬱陵循環路213-1(道洞里297-3)
住所:경상북도 울릉군 울릉읍 울릉순환로 213-1(도동리 297-3)
電話:054-791-1114
最終訪問日:2025年4月1日
  • ヌルプルン山荘食堂(늘푸른 산장식당)
羅里盆地に位置する山菜料理店。サムナムルムチム(ヤマブキショウマの和え物、삼나물무침)と、トドクムチム(ツルニンジンの和え物、더덕무침)が看板メニューで、両者のハーフ&ハーフ(반반)も注文できる。山菜のチョン(チヂミ/전)サンチェピビムパプ(山菜ビビンバ/산채비빔밥)のほか、地酒のシコプテギスル(韓方酒/씨껍데기술)や、ホバクマッコリ(カボチャマッコリ、호박막걸리)も用意する。
住所:慶尚北道鬱陵郡北面羅里1キル63-2(羅里49)
住所:경상북도 울릉군 북면 나리1길 63-2(나리 49)
電話:054-791-8181
最終訪問日:2025年3月30日
  • 独島展望台スカイラウンジ(독도전망대 스카이라운지)
独島展望台のスカイラウンジに位置する売店。軽食としてカンチハットグ(アシカを模したアメリカンドッグ/강치핫도그)や、ゴマナ(부지깽이)を生地に練り込んだタンコンパン(ピーナッツ饅頭、땅콩빵)、ホバクシッケ(カボチャ入りの甘酒/호박식혜)などを提供する。
住所:慶尚北道鬱陵郡鬱陵邑薬水トキル93(道洞里山12-9)
住所:경상북도 울릉군 울릉읍 약수터길 93(도동리 산 12-9)
電話:なし
最終訪問日:2025年3月31日
  • ピモク食堂(비목식당)
創業から35年の老舗食堂。オジンオネジャンタン(スルメイカの内臓鍋/오징어내장탕)ホンハプパプ(イガイごはん/홍합밥)タゲビカルグクス(カサガイうどん/따개비칼국수)などの郷土料理を提供する。2階に宴会席がある。
住所:慶尚北道鬱陵郡鬱陵邑道洞2キル14(道洞里43-11)
住所:경상북도 울릉군 울릉읍 도동2길 14(도동리 43-11)
電話:054-791-2660
最終訪問日:2025年4月1日
  • 鬱陵フェタウン(울릉회타운)
センソンフェ(刺身/생선회)トクトセウ(独島エビ/독도새우)を提供する海鮮料理店。ホンハプパプ(イガイごはん/홍합밥)ムルフェ(水刺身/물회)オサムプルコギ(イカと豚バラ肉の炒め物/오삼불고기)などのメニューも揃える。
住所:慶尚北道鬱陵郡鬱陵邑道洞69(道洞里131-1)
住所:경상북도 울릉군 울릉읍 도동길 69(도동리 131-1)
電話:054-791-4054
最終訪問日:2025年3月30日
  • 異斯夫ホテル食堂(이사부호텔식당)
道洞に位置する観光ホテル内の食堂。一般客にも対応しているとのこと。パッケージツアー内の食事として利用したため、普段のメニューは不明だが、サンチェピビムパプ(山菜ビビンバ/산채비빔밥)が提供された。
住所:慶尚北道鬱陵郡鬱陵邑道洞1キル21(道洞里126-3)
住所:경상북도 울릉군 울릉읍 도동1길 21(도동리 126-3)
電話:054-791-8253
最終訪問日:2025年3月30日
  • 153独島カンチコーヒー(일오삼독도강치커피)
芋洞港近くのカフェ。独島を構成するふたつの山をモチーフとした大韓峰パン(대한봉빵)と于山峰パン(우산봉빵)を自慢とする。大韓峰パンはイカスミを混ぜた生地にカボチャあん、于山峰パンはあんこ入り。どちらもソボロ状のクッキー生地をかぶせている。
住所:慶尚北道鬱陵郡鬱陵邑鬱陵循環路212-31(道洞里313-1)
住所:경상북도 울릉군 울릉읍 울릉순환로 212-31(도동리 313-1)
電話:054-791-0153
最終訪問日:2025年4月1日
  • チョンエ食堂(정애식당)
苧洞にあるコンチムルフェ(サンマの水刺身/꽁치물회)が有名な郷土料理店。ホンハプパプ(イガイごはん/홍합밥)オジンオネジャンタン(スルメイカの内臓鍋/오징어내장탕)なども提供する。
住所:慶尚北道鬱陵郡鬱陵邑鬱陵循環路212-10(道洞里310-1)
住所:경상북도 울릉군 울릉읍 울릉순환로 212-10(도동리 310-1)
電話:054-791-7488
最終訪問日:2025年3月31日
  • 竹島湖水山荘(죽도호수산장)★
離島の竹島にひとりで住む、キム・ユゴン(김유곤)氏が即席で作るトドクジュース(ツルニンジンジュース、더덕주스)を販売している。
住所:慶尚北道鬱陵郡鬱陵邑竹島キル59-9(芋洞里山1-1)
住所:경상북도 울릉군 울릉읍 죽도길 59-9(저동리 산 1-1)
電話:なし
最終訪問日:2025年4月1日
  • チョンポグ食堂(청포구식당)
道洞港近くで早朝から営業する郷土料理店。チョンシク(定食/백반)のほか、タゲビカルグクス(カサガイうどん/따개비칼국수)ホンハプパプ(イガイごはん/홍합밥)などを提供する。
住所:慶尚北道鬱陵郡鬱陵邑道洞キル44、2階(道洞里41-14)
住所:경상북도 울릉군 울릉읍 도동길 44, 2층(도동리 41-14)
電話:054-791-7942
最終訪問日:2025年3月31日
  • CAFE1025(카페1025)
道洞に位置するカフェ。店名の1025は独島の日(10月25日)を指す。シグニチャーメニューの独島クリームラテ(독도크림라떼)はイカスミのクリーム入り。ホバクチーズケーキ(호박치즈케이크)などのスイーツも用意する。
住所:慶尚北道鬱陵郡鬱陵邑道洞2キル30(道洞里46-1)
住所:경상북도 울릉군 울릉읍 도동2길 30(도동리 46-1)
電話:0507-1386-4341
最終訪問日:2025年4月1日
  • 郷牛村(향우촌)
名産の薬牛(약소)を自前で飼育する焼肉店。ヤクソグイ(薬牛の焼肉/약소구이)は4人前からの注文が基本で部位はおまかせ。生のギョウジャニンニクの葉(명이나물)で包んで食べる。ヤクソプルコギ(薬牛の焼肉/약소불고기)や、ヤクソコプチャンジョンゴル(薬牛のホルモン鍋/약소곱창전골)ヤクソソルロンタン(薬牛のスープ/약소설렁탕)といったメニューも用意する。
住所:慶尚北道鬱陵郡鬱陵邑道洞キル186(道洞里226-3)
住所:경상북도 울릉군 울릉읍 도동길 186(도동리 226-3)
電話:054-791-8383
最終訪問日:2025年3月31日

エピソード

韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、2025年3月に初めて鬱陵郡を訪れた。仁川市発のパッケージツアーに参加し、深夜1時40分出発のバスに乗って慶尚北道盈徳郡まで向かい、厚浦港(フポハン、후포항)から船に乗って鬱陵島に到着した。2泊3日のスケジュールだったが、行き帰りの移動がすべて深夜だったため、出発から解散までほぼ丸3日、約70時間の濃密な時間を過ごした。

脚注

  1. 1.0 1.1 竹島の領有権に関する日本の一貫した立場 、外務省ウェブサイト、2025年5月30日閲覧
  2. 행정동별 주민등록 인구 및 세대현황 、行政安全部ウェブサイト、2025年5月30日閲覧
  3. 행정안전부_유인도서현황 、公共データポータルウェブサイト、2025年5月31日閲覧
  4. 独島に対する大韓民国政府の基本的立場 、韓国外交部ウェブサイト、2025年5月30日閲覧
  5. 트럼프 미 대통령 국빈만찬 메뉴 、大韓民国政策ブリーフィング、2025年5月25日閲覧
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  7. 울릉도의 과거와 현재가 담긴 간식, 울릉도 호박엿 、地域N文化ウェブサイト、2025年5月29日閲覧
  8. 지리적표시 등록 현황 、韓国地理的表示特産品連合会ウェブサイト、2025年5月29日閲覧

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