光州市の料理

2018年8月5日 (日) 23:10時点におけるHatta (トーク | 投稿記録)による版 (→‎代表的な特産品)
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光州市(クァンジュシ、광주시)は韓国の南西部に位置する地域。本ページでは光州市の料理、特産品について解説する。

地域概要

光州市(クァンジュシ、광주시)は韓国の南西部に位置する広域市(韓国に6ヶ所ある上級地方自治体)。正式には光州広域市(クァンジュクァンヨクシ、광주광역시)と呼ぶ。地域全体が全羅南道に囲まれており、かつては全羅南道の一部であり道庁もあったことから、地域全体の中心的な役割をも担っている。人口は146万0972人(2018年4月)で、韓国の市としてはソウル市釜山市などに次いで6番目に多い[1]。主要な観光地としては、市の東部に位置する無等山(ムドゥンサン、무등산)が有名であり国立公園にも指定されている。また、2年に1度開催される現代美術の祭典「光州ビエンナーレ」が世界的に有名であることから、国立アジア文化殿堂(국립아시아문화전당)、光州市立美術館(광주시립미술관)、毅斎美術館(의재미술관)といった芸術関連のスポットが充実しているのも特徴である。市の中心部には錦南路(クムナムノ、금남로)、忠壮路(チュンジャンノ、충장로)といった繁華街があって大勢の人で賑わう。ソウルからのアクセスは、金浦空港から光州空港まで国内線で50分程度。また、ソウル駅、龍山駅からは高速鉄道で1時間30分~40分程度。あるいはソウル高速バスターミナル、東ソウル総合ターミナル、ソウル南部ターミナルから高速バスで3時間20~45分程度の距離である。

民主化の聖地

韓国では光州を指して「民主化の聖地(민주화의 성지)」と表現することがある。これは日本統治時代の1929年に起こった光州学生事件や、1980年に起きた光州事件において、光州や近隣に住む民衆らが民主化を求めて立ち上がったことに由来する。
  • 光州学生事件
日本統治時代の1929年に光州を中心とする学生らが行った独立運動。韓国では「光州学生独立運動(광주학생독립운동)」、「光州学生抗日運動(광주학생항일운동)」と呼ぶ。1929年10月30日、光州から羅州へと通学していた列車内で日本人学生が朝鮮人女学生を侮蔑したことにより、朝鮮人学生との間で衝突が起こった。これを火種として同11月3日には大規模な学生による独立運動が勃発。1919年の三・一運動以来の大きな独立運動として全国へと拡大していった[2]
  • 光州事件
1980年5月18日から27日にかけて、光州の市民らが軍部の弾圧に対して蜂起した事件。韓国では「5.18民主化運動(5.18민주화운동)」と呼ばれる。1979年10月26日に朴正煕大統領が暗殺された後、同12月12日に全斗煥、盧泰愚らがクーデターで軍部を掌握すると、高まった民主化への期待(ソウルの春)からの反動で学生らのデモが頻発した。これを受けて新軍部は1980年5月17日に戒厳令の拡大措置を実施。翌5月18日には金大中、金泳三といった野党側の政治家を逮捕、軟禁したたことから、民主化を求める勢力からの反発はさらに高まった。同日、光州の全南大学では登校を禁止した戒厳軍が抗議する学生らに暴行。反発した市民、学生らと激しく衝突するに至り、10日間で200名を超える死者、行方不明者が発生するなど凄惨な事件となった。

食文化の背景

光州市は全羅南道の中心都市であり、物流の要衝として各地からさまざまな特産品が集まってくる。これらを用いて作った品数豊富なハンジョンシク(韓定食/한정식)をはじめ、全羅南道式のキムチや、光山区松汀洞(クァンサング ソンジョンドン、광산구 송정동)地区に専門店の集まるトッカルビ(叩いた牛カルビ焼き/떡갈비)、北区柳洞(プック ユドン、북구 유동)地区のオリタン(アヒル鍋/오리탕)、無等山(ムドゥンサン、무등산)地区のポリパプ(麦飯の定食/보리밥)という5料理を「光州5味(クァンジュオミ、광주오미)と呼んで地域の象徴的な料理としている。そのほかユッチョン(牛薄切り肉の衣焼き、육전)、サンチュティギム(天ぷらのサンチュ包み、상추튀김)といった郷土料理があるほか、無等山地区でとれる巨大なスイカはムドゥンサンスバク(無等山スイカ、무등산수박)という名前でブランド化している。

代表的な料理

  • ナムドハンジョンシク(南道韓定食/남도한정식)
  • タッペクスク(丸鶏の水炊き/닭백숙)雲林洞
  • タッポックム(鶏肉の鉄板焼き/닭볶음)雲林洞
  • トッカルビ(叩いたカルビ焼き/떡갈비)松汀洞
  • ムドゥンサンポリパプ(麦飯の定食/무등산보리밥)
  • ピョクッ(豚背骨のスープ/뼈국)松汀洞
  • サンチュティギム(天ぷらのサンチュ包み/상추튀김)
  • エジョタン(子豚の丸ごと鍋/애저탕)
  • オリトッカルビ(アヒル肉の叩き焼肉/오리떡갈비)松汀洞
  • オリタン(アヒル鍋/오리탕)柳洞
  • ユッチョン(牛薄切り肉の衣焼き/육전)不老洞

代表的な特産品

  • ムドゥンサンスバク(無等山スイカ/무등산수박)

代表的な酒類・飲料

老舗

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • クムタプソモリクッパプ尚武店(금탑소머리국밥 상무점)
住所:光州市西区尚武繁栄路30(治坪洞1240-8)
住所:광주시 서구 상무번영로 30(치평동 1240-8)
電話:062-383-9009
料理:ソモリクッパプ(牛頭部のスープごはん)
  • 宮殿製菓忠壮店(궁전제과 충장점)
住所:光州市東区忠壮路1街1-9(忠壮路93-6)
住所:광주시 동구 충장로1가 1-9(충장로 93-6)
電話:062-222-3477
料理:ベーカリー(蝶々パイ、恐竜の卵パン)
  • 大光(대광)
住所:光州市東区瑞石路7番キル5(不老洞90-5)
住所:광주시 동구 서석로7번길 5(불로동 90-5)
電話:062-226-3939
料理:ユッチョン(牛肉チヂミ)
  • トア食パン(또아식빵)
住所:光州市光山区松汀路8番キル11(松汀洞990-10)
住所:광주시 광산구 송정로8번길 11(송정동 990-10)
電話:062-955-6945
料理:ベーカリー(食パン)
  • ムドル酒幕(무돌주막)
住所:光州市北区新村セッカンキル120-3(清風洞856-9)
住所:광주시 북구 신촌샛강길 120-3(청풍동 856-9)
電話:062-266-6086
料理:サムギョプサル(豚バラ肉の焼肉)
  • 松汀トッカルビ(송정떡갈비)
住所:光州市光山区光山路29番キル1(松汀洞826-3)
住所:광주시 광산구 광산로29번길 1(송정동 826-3)
電話:032-882-4646
料理:トッカルビ(叩いた牛カルビ焼き)
  • ヨンミオリタン(영미오리탕)
住所:光州市北区景陽路126(柳洞102-31)
住所:광주시 북구 경양로 126(유동 102-31)
電話:062-527-0248
料理:オリタン(アヒル鍋)
  • ハナ粉食(하나분식)
住所:光州市西区良洞市場2キル2(良洞263-64)
住所:광주시 서구 양동시장2길 2(양동 263-64)
電話:062-364-1778
料理:チャントクッパプ(市場式のスープごはん)
  • 河南水産(하남수산)
住所:光州市光山区思庵路300(月谷洞687-3)
住所:광주시 광산구 사암로 300(월곡동 687-3)
電話:062-956-5468
料理:センソンフェ(刺身)
  • ホンアネ(홍아네)
住所:光州市西区馬勒覆蓋路150番キル7(治坪洞245-4)
住所:광주시 서구 마륵복개로150번길 7(치평동 245-4)
電話:062-384-9400
料理:クルビグイ(イシモチの干物)
  • ファンソルチョン忠壮店(황솔촌 충장점)
住所:光州市東区中央路160番キル16-36(湖南洞73-2)
住所:광주시 동구 중앙로160번길 16-36(호남동 73-2)
電話:062-222-4815
料理:テジカルビ(豚カルビ焼き)、プルサリ(焼き冷麺)

各地域の料理

光山区(광산구)

  • トッカルビ(叩いたカルビ焼き/떡갈비)松汀洞
  • ピョクッ(豚背骨のスープ/뼈국)松汀洞
  • オリトッカルビ(アヒル肉の叩き焼肉/오리떡갈비)松汀洞

南区(남구)

東区(동구)

  • タッペクスク(丸鶏の水炊き/닭백숙)雲林洞
  • タッポックム(鶏肉の鉄板焼き/닭볶음)雲林洞
  • ユッチョン(牛薄切り肉の衣焼き/육전)不老洞

北区(북구)

  • オリタン(アヒル鍋/오리탕)柳洞

西区(서구)

全域

  • ナムドハンジョンシク(南道韓定食/남도한정식)
  • ムドゥンサンポリパプ(麦飯の定食/무등산보리밥)
  • ムドゥンサンスバク(無等山スイカ/무등산수박)
  • サンチュティギム(天ぷらのサンチュ包み/상추튀김)
  • エジョタン(子豚の丸ごと鍋/애저탕)

エピソード

韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2003年1月に初めて光州市を訪れた。食の本場で食べるハンジョンシク(韓定食/한정식)が目当てであり、当時1泊2万5000ウォンの宿に泊まりながらも、1人前W6万の大盤振る舞いをした。次から次へと出てくる郷土料理に舌鼓を打ち、満腹を通り過ぎるほど食べに食べたいい思い出が残っている。

脚注

  1. 주민등록 인구통계 、行政安全部ウェブサイト、2018年5月12日閲覧
  2. 歴史的な意義 どのように闘争を行ったのか? 、光州学生独立運動記念館ウェブサイト、2018年5月12日閲覧

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目