「トッポッキ(餅炒め/떡볶이)」の版間の差分

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:2020年の上半期以降、新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の世界的な流行により、外食を控えて自宅で食事をする機会が増え、デリバリー、テイクアウト料理の需要が高まった。そのひとつとして韓国ではトッポッキが注目され、専門店が増えてメニューの多様化が進んだ。中でも2020年下半期から2021年にかけて大きく話題になったのがロゼトッポッキ([[로제떡볶이]])で、もともとパスタソースとして親しまれていたロゼソース(トマトクリームソース、[[로제소스]])を応用したものである。あるいはトマトソースをコチュジャンに置き換えて用いる場合もあり、これを韓国式のロゼソースとして「K-ロゼソース」と呼ぶこともある。ロゼトッポッキの流行は他の料理にも波及し、ロゼテイストのフライドチキンや、[[タッカルビ(鶏肉の鉄板焼き/닭갈비)]]、[[チムタク(鶏と野菜の醤油煮/찜닭)]]などが登場した。
 
:2020年の上半期以降、新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の世界的な流行により、外食を控えて自宅で食事をする機会が増え、デリバリー、テイクアウト料理の需要が高まった。そのひとつとして韓国ではトッポッキが注目され、専門店が増えてメニューの多様化が進んだ。中でも2020年下半期から2021年にかけて大きく話題になったのがロゼトッポッキ([[로제떡볶이]])で、もともとパスタソースとして親しまれていたロゼソース(トマトクリームソース、[[로제소스]])を応用したものである。あるいはトマトソースをコチュジャンに置き換えて用いる場合もあり、これを韓国式のロゼソースとして「K-ロゼソース」と呼ぶこともある。ロゼトッポッキの流行は他の料理にも波及し、ロゼテイストのフライドチキンや、[[タッカルビ(鶏肉の鉄板焼き/닭갈비)]]、[[チムタク(鶏と野菜の醤油煮/찜닭)]]などが登場した。
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ロゼトッポッキというメニュー自体は2010年代の前半から散見され、2020年からのブームを牽引した専門店の「ペットク(배떡)」では2019年に発売を開始している。
  
 
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2024年2月18日 (日) 00:31時点における版

この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。

トッポッキ떡볶이)は、甘辛の餅炒め。

トッポッキ

名称

棒状に切ったトッポッキ用の餅と(写真左と右手前)、小判型にスライスしたトックッ(雑煮)用の餅(右奥)

トッポッキのトッ()は餅を意味し、ポッキ(볶이)は「ポクタ(炒める、볶다)」の名詞形。日本語では「トッポギ」「トッポキ」との表記も多く、中でも「トッポギ」は日本での使用状況としてもっとも優勢と見られるが、韓国語の発音からすると「ギ」と濁る理由がなく違和感を覚える人は少なくない。本辞典においては「トッポッキ」を使用する。発音表記は[떡뽀끼]。

  • 日本における「トッポギ」と「トック」
近年の日本ではトッポッキ用の棒状に切った餅を「トッポギ」と呼び、トックッ(韓国式の雑煮/떡국)用の小判型にスライスした餅を「トック」と呼び分けるケースがまま見られる。この分類は日本独自のもので韓国語とは異なる。韓国語では棒状の餅をカレトク(가래떡、棒状の餅の意)、またはヒントク(흰떡、白い餅の意)、トッポッキトク(トッポッキの餅、떡볶이떡)などと呼び、小判型にスライスしたものはトックットク(トックッの餅、떡국떡)と呼ぶ。

概要

屋台での調理風景

トッポッキ(떡볶이)は、甘辛の餅炒め。うるち米で作った棒状の餅を、コチュジャン(唐辛子味噌、고추장)、水飴などを混ぜた甘辛いソースで炒めて作る。具にはオムク(魚肉練り製品、어묵)や、ゆで卵、マンドゥ(餃子/만두)なども用いられる。韓国では屋台料理の定番として人気があるほか、粉食店(분식점)で提供されることも多く、また専門店も多い。老若男女に好まれるが、特に女性や子どもからの人気が高い料理である。主に間食、または軽めの食事として利用されるが、後述するチュクソクトッポッキ(鍋料理風の餅炒め、즉석떡볶이)は食事としても充分なボリュームがある(本項目「種類/チュクソクトッポッキ」参照)。

トッポッキの餅は、うるち米だけでなく小麦粉を用いる場合もある。うるち米で作った餅をサルトク(쌀떡)、小麦粉で作った餅をミルトク(밀떡)と呼び分け、食感や風味が異なることから人によって好みが分かれる。ミルトクは1960~70年代に米の生産量不足を補うため、雑穀や小麦粉の利用が奨励された時期に大きく普及した。

トッポッキの具には、主としてオムク(魚肉練り製品、어묵)、ゆで卵、マンドゥ(餃子/만두)などが用いられる。ニンジンや長ネギなどの野菜を入れることも多い。インスタントラーメンを加えたラポッキ(ラーメン入り餅炒め/라볶이)のように、トッピングのバリエーションもさまざまである(本項目「種類/具のバリエーション」参照)。

味付け

コチュジャンや水飴を混ぜて作る甘辛いソースが定番だが、醤油味、クリームソース味、カレー味などさまざまなバリエーションがある(本項目「種類/味付けのバリエーション」参照)。

食べ方

キムトクスン
トッポッキのソースは、さまざまな料理のつけダレとしても活躍する。屋台料理のキムパプ(海苔巻き/김밥)スンデ(韓国式の腸詰/순대)ティギム(天ぷら/튀김)などは、トッポッキと定番の組み合わせである。これらをまとめたセットメニューを提供する店も多い。
  • キムトクスン
キムトクスン(김떡순)は、キムチジョン(キムチ入りのチヂミ/김치전)、トッポッキ、スンデの頭文字を取ったセットメニュー。安価でボリュームがあることや、人名のような語感から親しまれ、ソウル市鍾路区の屋台通り名物として人気を集める。

歴史

トッポッキの歴史にはさまざまな説がある。トッポッキのルーツとされる「餅炙(병자)」や「熬餅(오병)」の記録を含めるのであれば、それぞれ文献上の記述が見える時期まで歴史をさかのぼることができる。また、もともとは坡平尹氏(パピョンユンシ、파평윤씨)の家門に伝わる料理であり、宮中料理として親しまれていたとの説もある。明確にトッポッキの名称で記録が残るのは19世紀後半からであり、この時代には広く浸透していたと見られるが、当時は醤油で味付けをするカンジャントッポッキ(간장떡볶이)が一般的であった。現在のようなコチュジャン(고추장)味のトッポッキが広まるのは1950年代以降である。

餅炙の記録

トッポッキという名称は19世紀後半から文献上に見られるが、1896年に書かれた『閨壺要覧(규곤요람)』(延世大本)には、ハングルでトッポッキと書かれているのに加えて漢字で「餅炙法」と記述がある[1]。これをもとに「餅炙(ピョンジャ、またはピョンジョク、병자병적)」をトッポッキの漢字語表記と考え、それよりも古い「餅炙」の記録を含めてトッポッキのルーツと考える見解がある[2][3]。以下は代表的な「餅炙」の掲載例である。
『食療纂要』(1460年)の記述
朝鮮時代前期の医官、全循義(チョン・スニ、전순의)によって1460年に書かれた食餌療法書『食療纂要(신이찬요)』には「餅」と「炙」の字が並んでいる箇所がある。「餅炙」をトッポッキのルーツと考える場合、この記録を最古とする見解が多く見られる。同書では痔病治療の一環として、下血が止まらない場合の食事として、「キジ1羽を細切りにし、小麦粉をまぶして、塩、山椒、長ネギと和え、餅を作って焼き、酢につけて食べる(野雞一隻 治如食法 細切 着小麪 并鹽椒葱白調和 溲作餠 炙熟 和醋食之)」[4]としている。この記述は9世紀頃に中国で書かれた『食医心鑑』の内容をもとにしている。
『承政院日記』(1751年)の記録
朝鮮時代の宮中にて王命による出納などをまとめた『承政院日記(승정원일기)』(英祖27年閏5月2日)には、第21代王の英祖(영조)が「母は截片(チョルピョン、절편?)や餅炙を好む(慈聖截片餅炙者嗜之)」[5]と語った記録が残っている。英祖の母とは、第19代王の粛宗(숙종)の側室であり、英祖の生母である淑嬪崔氏(トンイ)である。ドラマ『トンイ(동이)』をはじめ数多くの芸能作品にも登場する有名な人物であることから、「トンイが好んだトッポッキ」として紹介されることも多い[6][7]

熬餅の記録

古文献に見られる「熬餅(オビョン、오병)」をトッポッキのルーツと考える見解がある。漢字の「熬」は「炒める(볶을 오)」との意味である。国立国語院が運営するユーザー参加型の韓国語辞典「ウリマルセム(우리말샘)」には「오병(熬餅)」の項目があり、関連語彙(類語)にトッポッキが掲載されている[8]

『西行録』(1828年)の記述
1828年に金芝叟(김지수)が記した紀行文『西行録(서행록)』には、「紫熬餅(자오병)」との記述がある(原文未確認)[9][10]

トッポッキの記録

トッポッキに関する文献上の記録は19世紀後半から見られる。

『是議全書』(1800年代後半)の記述
1800年代後半に書かれた『是議全書(시의전서)』(原著者不詳)にはトッポッキという項目があり、「他の蒸し煮料理と同じく、上等な餅をサトウダイコンのように切り、少し炒めて作る。蒸し煮料理の材料はすべて入るが、とろみはつけない」(原文1)と記述されている。現代語訳された原文は以下の通りである。
【原文1】
다른 찜과 같이 하되 잘 된 흰떡을 탕무처럼 썰어 잠깐 볶아서 한다. 찜 재료가 모두 들어가나 가루즙만 넣지 않는다.[11]
『酒食方文』(1907年)の記述
1907年(1847年の可能性もある)に書かれた『酒食方文(주식방문)』(原著者不詳)には、トッポッキ(表記は떡복기)という項目があり、以下のように調理法が記述されている。
「醤油味のスープを美味しく作っておき、餅はやや分厚く、細長く切っておく。牛肉と豚肉は血が残らないように洗って細かく刻む。セリと緑豆モヤシを肉とともに味付けをし、全体を和えて炒める。さらに餅とともに炒め、醤油味のスープを注ぐ。シイタケ、イワタケ、卵焼き、干したユウガオ、干したカボチャを入れてもよい」(原文2)
【原文2】(韓国伝統知識ポータルによる現代語訳)
장국을 맛있게 끓여 놓고 흰떡은 도톰하고 길쭉하게 썰어 놓는다. 소고기와 돼지고기는 붉은 핏물이 없도록 씻어서 부드럽게 다진다. 미나리와 숙주를 넣고 고기와 함께 양념하여 무친 다음 볶아 놓는다. 다시 떡과 함께 볶되 장국을 부어 볶고 표고, 석이, 달걀 부친 것, 박우거지, 호박고지도 넣으면 좋다.[12]
『婦人必知』(1915年)の記述
憑虚閣李氏(ピンホガクイシ、빙허각 이씨)によって1915年に書かれた『婦人必知(부인필지)』にはトッポッキの調理法が以下のように紹介されている。
「白い餅を切り、茹で肉や牛の胃袋、ロース肉を草の葉のように薄切りする。油醤(油を混ぜた薬味醤油)を作り、ネギ、シイタケ、イワタケを細切りにし熱した鍋で炒め、熱が通ったら、餅とヤンニョム(薬味ダレ)を入れる。油醤を加えてさらに炒め、じっくり火を通した後、器によそい、松の実、塩、コショウなどすべてのものを多めに入れる」(原文3)
【原文3】
흰떡을 썰어 숙육과 양깃머리, 등심살을 풀잎같이 저민다. 유장을 맞추고, 파, 표고버섯, 석이버섯을 가늘게 썰어 달군 솥에 볶다가 익을 만하거든 떡과 양념을 넣는다. 유장을 더 넣어 다시 볶아 흠씬 익힌 후 퍼서 잣, 소금, 후춧가루 등 온갖 것을 많이 넣는다.[13]
『朝鮮料理製法』(1917年)の記述
方信栄(パン・シニョン、방신영)によって1917年に初めて書かれ、その後も増補を重ねた『朝鮮料理製法(조선요리제법)』にはトッポッキという項目があり、3人分の調理法が詳細に紹介されている。具には薄切りにした牛肉、長ネギ、シイタケ、イワタケ、セリなどが入り、調味料には油、醤油、コショウが使われる。トッピングには錦糸卵と松の実を用いる。[14]
『朝鮮無双新式料理製法』(1924年)の記述
李用基(イ・ヨンギ、이용기)によって1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法(조선무쌍신식요리제법)』にはトッポッキという項目があり、牛肉、牛の胃袋、シイタケ、イワタケ、マツタケ、長ネギ、セリ、黄花菜(乾燥させたノカンゾウやヤブカンゾウの花、황화채)を具とし、醤油、砂糖、コショウで味付けをし、糸唐辛子、錦糸卵、松の実をトッピングするレシピが紹介されている。また、アレンジとして緑豆モヤシや、エホバク(カボチャの未熟果、애호박)、乾燥エホバクを具としてもよいとある。[15]
『李朝宮廷料理通考』(1957年)の記述
1957年に書かれた『李朝宮廷料理通考(이조궁정요리통고)』は、宮中にて最末期の厨房尚宮(厨房女官)として勤め、初代の朝鮮王朝宮中料理技能保有者(人間国宝に相当)と指定された韓煕順(ハン・ヒスン、한희순)が宮中料理の調理法をまとめた著書である(共著者に黄慧性、李惠卿)。本書には宮中料理としてトッポッキが紹介されており、その調理法が以下のように紹介されている。
「牛肉を細かく刻んで、醤油、砂糖、胡椒、すりゴマ、ゴマ油、ネギ、ニンニクと合わせる。 緑豆モヤシとセリはさっとゆがき、シイタケ、ニンジン、タマネギ、エホバク(カボチャの未熟果、애호박)、オガリ(干し野菜、오가리)などは細切りにして、ゴマ油でそれぞれ別に炒めておく。餅(うるち米で作る棒状のもの)は4cmの長さに切って、再び4等分して熱湯でゆでる。薬味ダレに漬け込んだ牛肉を炒めたところ、茹でた餅を加えて混ぜ合わせる。餅に牛肉の味が染みたら、油で炒めておいた野菜を足し、塩加減を見て、汁が少なくなるように炒める。これを器に盛り、錦糸卵を飾る」(原文4)
【原文4】
소고기를 보드랍게 다저서 양념(간장, 설탕, 후추가루, 깨소금, 참기름, 파, 마늘)에 잰다. 숙주와 미나리는 살작 디쳐놓고 표고, 당근, 옥총, 애호박, 오가리 등은 채로 썰어서 참기름에 따로따로 볶아 놓는다. 흰떡은 4cm기리로 짜르고 다시 사절(四切)하여 끓는물에 삶는다. 소고기 잰것을 볶다가 흰떡 삶은것을 한데넣고 소고기와 함께 버무린다. 흰떡에 고기간이 완전히 배게되면 기름에 볶아놓은 채소들을 함께넣고 간을 맞추고 국물기를 적게하여 볶는다. 이것을 그릇에 담고 알지단을 채로 썰어서 뿌린다.[16]

コチュジャントッポッキの誕生

シンダンドントッポッキ
コチュジャン味のトッポッキは朝鮮戦争後に作られ始めたとする説が主流である。ソウル市の中区新堂洞(チュング シンダンドン、중구 신당동)に位置する「マボンニムハルモニトッポッキ(마복림할머니떡볶이)」は1953年創業を掲げており、コチュジャン味のトッポッキを普及させた象徴的な店舗として語られる。創業者であるマ・ボンニム(마복림)さんがコチュジャンとチャジャン(炒めた黒味噌、짜장)を混ぜたソースを開発し、これで味付けをしたトッポッキがおおいに人気を呼んだ。90年代にはコチュジャンのCMにも出演し「고추장 비밀은 며느리도 몰라, 아무도 몰라(コチュジャンの秘密は嫁も知らない、誰も知らない)」というセリフで話題となっている[17]。「マボンニムハルモニトッポッキ」のトッポッキは鍋料理風に仕立てたチュクソクトッポッキ(즉석떡볶이)であり、そのスタイルを地名からシンダンドントッポッキ(新堂洞式の餅炒め/신당동떡볶이)とも呼ぶ。

韓食の世界化とトッポッキ

2008年に発足した李明博(イ・ミョンバク、이명박)政権は「韓食の世界化(한식세계화)」を掲げ、韓国料理のグローバルな普及を目指した。このとき世界の人々に受け入れられる韓国料理としてプルコギ(牛焼肉/불고기)キムパプ(海苔巻き/김밥)とともにトッポッキの名前もあがり、街中にトッポッキの専門店が増えていく一因となった。韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、2011年6月にソウルで1日5軒のトッポッキ専門店を取材した際、多くの店で店員が「韓食の世界化」の象徴としてトッポッキを語っている姿にたいへん驚いた。そのエピソードは著書『韓国料理には、ご用心!』でも触れられている。[18]

コロナ禍とロゼトッポッキの流行

ロゼトッポッキ
2020年の上半期以降、新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の世界的な流行により、外食を控えて自宅で食事をする機会が増え、デリバリー、テイクアウト料理の需要が高まった。そのひとつとして韓国ではトッポッキが注目され、専門店が増えてメニューの多様化が進んだ。中でも2020年下半期から2021年にかけて大きく話題になったのがロゼトッポッキ(로제떡볶이)で、もともとパスタソースとして親しまれていたロゼソース(トマトクリームソース、로제소스)を応用したものである。あるいはトマトソースをコチュジャンに置き換えて用いる場合もあり、これを韓国式のロゼソースとして「K-ロゼソース」と呼ぶこともある。ロゼトッポッキの流行は他の料理にも波及し、ロゼテイストのフライドチキンや、タッカルビ(鶏肉の鉄板焼き/닭갈비)チムタク(鶏と野菜の醤油煮/찜닭)などが登場した。

ロゼトッポッキというメニュー自体は2010年代の前半から散見され、2020年からのブームを牽引した専門店の「ペットク(배떡)」では2019年に発売を開始している。

種類

トッポッキには次のような種類がある。

チュクソクトッポッキ

チュクソクトッポッキ
チュクソクトッポッキ(즉석떡볶이)は、鍋料理風の餅炒め。チュクソク(즉석)は「即席」を意味する。一般的なトッポッキが調理済のものを販売するのに対し、チュクソクトッポッキは客の注文ごとに、テーブル上に置いたコンロに鍋を置いて即席で調理することから名付けられた。餅や、オムク(魚肉練り製品、어묵)、茹で卵、野菜といった定番の具に加えて、トッピングとしてインスタントラーメン、タンミョン(春雨、당면)、チョルミョン(でんぷん麺、쫄면)、マンドゥ(餃子/만두)などを追加し、鍋料理のように調理する。このスタイルはソウル市の新堂洞(シンダンドン、신당동)の名物として有名であり、シンダンドントッポッキ(新堂洞式の餅炒め/신당동떡볶이)とも呼ばれる。新堂洞にはチュクソクトッポッキの専門店が並んだ一画があり、新堂洞トッポッキタウンと呼ばれる。

クンジュントッポッキ

クンジュントッポッキ
クンジュントッポッキ(궁중떡볶이)は、かつて宮中で食べられていたとされる醤油味のトッポッキ。クンジュン(궁중)は「宮中」を意味する。牛肉を具として用いることが多い。味付けからカンジャントッポッキ(간장떡볶이)とも呼ばれる。2003年に韓国で放映されたドラマ『宮廷女官チャングムの誓い(대장금)』に登場して話題となった。詳細は「クンジュントッポッキ(醤油味の餅炒め/궁중떡볶이)」の項目を参照。

ラポッキ

ラポッキ
ラポッキ(라볶이)は、ラーメン入り餅炒め。トッポッキにインスタントラーメンの麺をトッピングしたもので、ラミョン(ラーメン/라면)の「ラ(라)」と、トッポッキの「ポッキ(볶이)」を合成した料理名である。詳細は「ラポッキ(ラーメン入り餅炒め/라볶이)」の項目を参照。

具のバリエーション

スライスチーズやシュレッドチーズをトッピングしたトッポッキ。辛さがマイルドになり、濃厚なコクも加わる。
蒸し煮仕立ての海鮮トッポッキ。エビや、ムール貝などを具とした豪華なトッポッキで鍋料理のように提供される。韓国の飲食店「ヘムルトッチム0410(해물떡찜0410)」が火付け役となって2008年に大流行した。

味付けのバリエーション

いろいろなトッポッキ。手前から時計回りにチーズトッポッキ、チャジャントッポッキ、クリームトッポッキ、カレートッポッキ
カルボナーラ風に仕立てたトッポッキ。韓国の飲食店「SCHOOL FOOD」の人気メニューとしても有名。
クリームソースに絡めたトッポッキ。日本の食品メーカー「モランボン」は2012年7月15日に2種類のチーズとクリームソースを用いた「おうち韓食 チーズクリームトッポギ」を発売した。
ロゼソース(トマトクリームソース、로제소스)を絡めたトッポッキ。トマトソースをコチュジャンや、従来のトッポッキソースに置き換えて用いる場合もある。
直訳をすると「油トッポッキ」。油に絡めながら鉄板で炒めて作るトッポッキを指す。ソウル市の通仁市場名物として有名。
カレールーを絡めたトッポッキ。
チャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺/짜장면)風に黒味噌を絡めたトッポッキ。

提供方法のバリエーション

直訳をすると「スープトッポッキ」。甘辛のソースに汁気を持たせたもので、餅をはじめとした具だけでなくスープも味わうことを目的としている。このスープにティギム(天ぷら/튀김)キムパプ(海苔巻き/김밥)を浸して食べるのも定番。
串に刺した餅にトッポッキのソースをかけたもの。食べやすい新種の屋台料理として登場。

調理済み食品

日本で販売されている電子レンジ調理のトッポッキ
トッポッキは家庭用の商品としても多く販売されている。近年は電子レンジで温めて食べる調理済み食品が人気を集め、海外への輸出も好調である。韓国関税庁の報道資料によれば、トッポッキ(米加工品などを含む)の海外輸出は、2018年の約2500万ドルから、2020年の約5400万ドルへと大幅に増加しており、その理由として「世界的人気のK-POPグループ(BTS)を通じて紹介され」(カッコ内は訳注)たことをあげている[19]

日本における定着

  • ドラマ『冬のソナタ』の影響
ドラマ『冬のソナタ』の第2話にトッポッキが登場する。焼却場のシーンでは、ヒロインのユジン(チェ・ジウ)が主人公であるチュンサン(ペ・ヨンジュン)に、サンヒョク(パク・ヨンハ)とトッポッキを作って食べた話をする。また、同じく第2話には町を歩きながらユジンがチュンサンに、ユジンが好きな食べ物を問いかけるシーンがあり、チュンサンはトッポッキと答えた(一部の日本版ではカットされている)。日本での放送が始まった2000年代前半にトッポッキはまだ馴染みが薄く、一連のシーンは知名度の向上に大きく寄与した。

エピソード

  • 韓国ではダッフルコートのことをトッポッキコート(떡볶이 코트)と呼ぶ。ボタンの形がトッポッキの餅に似ていることから。

地域

  • ソウル市中区新堂洞
ソウル市中区新堂洞には、コチュジャントッポッキの元祖として知られる「マボンニムハルモニトッポッキ(마복림할머니떡볶이)」をはじめとしたチュクソクトッポッキ(鍋料理風の餅炒め、즉석떡볶이)の専門店が集まっており、「新堂洞トッポッキタウン(신당동 떡볶이타운)」と呼ばれる。
  • ソウル市鍾路区通仁洞
キルムトッポッキ
ソウル市鍾路区通仁洞の、通仁市場は油で炒めて作るキルムトッポッキ(기름떡볶이)が名物となっている。醤油味のカンジャントッポッキ(간장떡볶이)と、唐辛子味のパルガントッポッキ(빨간떡볶이)の2種類がある。1956年創業の「元祖ハルモニトッポッキ(원조할머니떡볶이)が元祖店として知られる。
  • ソウル市鍾路区通仁洞
ソウル市鍾路区貫鉄洞の、若者通り(젊음의 거리)一帯には屋台が立ち並び、キムチジョン(キムチ入りのチヂミ/김치전)、トッポッキ、スンデをセットにしたキムトクスン(김떡순)が名物となっている。2009年までは鍾路の大通り沿いに屋台が集まっていたが、ソウル市と鍾路区による「歩きやすい鍾路通り作り(걷기편한 종로거리 만들기)」プロジェクトにより、多くの屋台が近隣地域へと移転した。
  • 釜山市水営区
釜山式のトッポッキ
釜山市水営区の広安里(クァンアルリ、광안리)一帯では、極太の餅を使用したトッポッキが名物となっている。サイドメニューのオジンオティギム(イカの天ぷら、오징어튀김)をトッポッキのソースにつけて食べるのも定番である。水営区南川洞の「タリチプ(다리집)」が元祖店として知られる。
  • 済州道西帰浦市
モダッチギ
済州道西帰浦市ではモダッチギ(屋台料理の盛り合わせ、모닥치기)と呼ばれる屋台料理の盛り合わせが地元のB級グルメとして定着している。モダッチギとは済州道の方言で、「みんなで力を合わせる」(모두 합치기)との意味がある。大皿にキムパプ(海苔巻き/김밥)キムチジョン(キムチ入りのチヂミ/김치전)マンドゥ(餃子/만두)、ゆで卵、オデンの魚肉練り製品などを盛り付け、上からトッポッキをかけ回して作る。西帰浦市の西帰浦毎日オルレ市場(ソグィポ メイル オルレシジャン、서귀포 매일 올레시장)内にある「セロナ粉食(새로나분식)」が元祖として知られ、店では「もともとは客からのキムチジョンにトッポッキをかけて欲しいとのリクエストに応えた形で生まれ、それが段々とエスカレートして現在のような形に至った」と説明している(八田靖史の取材記録より、2011年4月1日)。それが他店にも広まって現在は西帰浦市の名物として定着している。

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

<ソウル>

  • マボンニムハルモニトッポッキ(마복림할머니떡볶이)
住所:ソウル市中区茶山路35キル5(新堂洞292-112)
住所:서울시 중구 다산로35길 5(신당동 292-112)
電話:02-2232-8930
料理:シンダンドントッポッキ(新堂洞式の餅炒め)
  • モクシドンナ三清洞本店(먹쉬돈나 삼청동본점)
住所:ソウル市鍾路区栗谷路3キル74-7(花洞137-4)
住所:서울시 종로구 율곡로3길 74-7(화동 137-4)
電話:02-723-8089
料理:チュクソクトッポッキ(鍋料理風の餅炒め)
  • 弘大組暴トッポッキ(홍대조폭떡볶이)
住所:ソウル市麻浦区オウルマダン路60(西橋洞407-21)
住所:서울시 마포구 어울마당로 60(서교동 407-21)
電話:02-337-9933
料理:トッポッキ

<釜山>

  • タリチプ本店(다리집 본점)
住所:釜山市水営区南川バダ路10番キル70(南川洞29-4)
住所:부산시 수영구 남천바다로10번길 70(남천동 29-4)
電話:051-625-0130
料理:トッポッキ

<済州道>

  • セロナ粉食(새로나분식)
住所:済州道西帰浦市中央路42番キル24(中央洞273-5)
住所:제주도 서귀포시 중앙로42번길 24(중앙동 273-5)
電話:064-762-3657
料理:モダッチギ(屋台料理盛り合わせ)

脚注

  1. 규곤요람 : 음식해여먹난방법 、연세대학교 학술문화처 도서관、2023年3月11日閲覧
  2. 한국식품연구원, 2013, 『한맛한얼 Vol.6』「한국의 전통음식 떡볶이 - 궁중음식.양반음식.서민음식.글로벌음식」, 궁중음식연구원, P110-158
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