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'''青松郡'''(チョンソングン、청송군)は慶尚北道に位置する地域。本ページでは青松郡の料理、特産品について解説する。
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'''青松郡'''(チョンソングン、청송군)は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]に位置する地域。本ページでは青松郡の料理、特産品について解説する。
  
[[ファイル:14112001.JPG|thumb|400px|浮石寺]]
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[[ファイル:14112301.JPG|thumb|400px|注山池]]
  
 
== 地域概要 ==
 
== 地域概要 ==
青松郡は慶尚北道の中東部に位置し、慶尚北道の安東市、英陽郡、盈徳郡、浦項市、永川市、軍威郡、義城郡と接する。人口は2万6697人(2012年)<ref>[http://www.cs.go.kr/01cs/04_05.asp 인구추세] 、青松郡ウェブサイト、2014年11月23日閲覧</ref>。郡の北部から東部、南部にかけては太白山脈の一角をなし、周王山(チュワンサン、주왕산)、太行山(テヘンサン、태행산)といった山々に囲まれる。周王山一帯は1976年に周王山国立公園として指定されており、また2011年6月には韓国で9ヶ所目のスローシティに指定される<ref>[http://japanese.visitkorea.or.kr/jpn/TE/TE_JA_7_3_8_10_9.jsp スローシティ青松の魅力に迫る!] 、青松郡ウェブサイト、2014年11月23日閲覧</ref>など、自然の景観が美しい地域である。代表的な観光地に18世紀初頭に作られた貯水池の注山池(チュサンジ、주산지)や、新羅時代の672年に創建された大典寺(テジョンサ、대전사)、1880年に建てられた伝統家屋の松韶古宅(ソンソゴテク、송소고택)などがある。ソウル(東ソウルバスターミナル)からは高速バスで4時間の距離だが、2016年に予定されている唐津盈徳高速道路が開通すると3時間以内に短縮される見込みである。
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青松郡は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の中東部に位置する地域。郡の北部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[英陽郡の料理|英陽郡]]、東部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[盈徳郡の料理|盈徳郡]]、南東部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[浦項市の料理|浦項市]]、南部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[永川市の料理|永川市]]、南西部は広域市の[[大邱市の料理|大邱市]]、西部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[義城郡の料理|義城郡]]、北西部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[安東市の料理|安東市]]と接する。人口は2万5821人(2018年7月)<ref>[http://www.mois.go.kr/frt/sub/a05/totStat/screen.do 주민등록 인구통계] 、行政安全部ウェブサイト、2018年8月16日閲覧</ref>。郡の北部から東部、南部にかけては太白山脈の一角をなし、周王山(チュワンサン、주왕산)、太行山(テヘンサン、태행산)といった山々に囲まれる。周王山一帯は1976年に周王山国立公園(チュワンサンクンニプコンウォン、주왕산국립공원)として指定されており、また2011年6月には韓国で9ヶ所目のスローシティにも指定されるなど<ref>[http://japanese.visitkorea.or.kr/jpn/TE/TE_JA_7_3_8_10_9.jsp スローシティ青松の魅力に迫る!] 、青松郡ウェブサイト、2014年11月23日閲覧</ref>、自然の景観が美しい地域である。代表的な観光地に18世紀初頭に作られた貯水池の注山池(チュサンジ、주산지)や、新羅時代の672年に創建された大典寺(テジョンサ、대전사)、1880年に建てられた伝統家屋の松韶古宅(ソンソゴテク、송소고택)などがある。[[ソウル市の料理|ソウル市]]から青松郡までは、東ソウル総合バスターミナルから青松バスターミナルまで高速バスで約4時間10分の距離、周王山市外バスターミナルまで約4時間30分の距離である。
  
 
== 食文化の背景 ==
 
== 食文化の背景 ==
栄州市は「ソンビの里」とのキャッチコピーを掲げており、ソンビとは朝鮮時代の儒学者を指す。韓国初の書院(私塾)である紹修書院が置かれたように、地域の教育熱は高く中央へと多くの官僚を輩出した。中央との距離が近かったこともあってか、栄州市の郷土料理であるテピョンチョは宮中料理の[[タンピョンチェ(宮中式の和え物/탕평채)]]に由来するとされる。産業としては農業、畜産業が盛んに行われており、中でも昼夜の寒暖差が大きい小白山麓では良質の果物がとれる。市内の豊基(プンギ、풍기)地区は高麗人参の産地として全国的に有名であり、また韓方材としては長芋、何首烏(ツルドクダミ)も産する。食品以外では人絹(インギョン、인경)と呼ばれる再生繊維(レーヨン)の生産が盛んで、それを用いた衣類や寝具などが名産とされる。
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山岳地域だけあって料理や特産品には山のものが多く、山菜料理、キノコ料理、地鶏料理などが発達している。また、郡内には達基薬水湯(タルギヤクスタン、달기약수탕)、新村薬水湯(シンチョンヤクスタン、신촌약수탕)といった炭酸泉の湧出する地域があり、その炭酸泉で煮込んだ地鶏料理や鶏粥が名物となっている。農業も盛んに行われており、リンゴ、ナツメ、唐辛子、シイタケなどが特産品にあげられる。中でもリンゴは毎年秋にリンゴ祭りが開かれており、青松を代表する作物と言える。食品以外ではコットル(꽃돌)と呼ばれる花模様の天然石や、韓紙(한지)、白磁(백자)なども有名である。
  
 
== 代表的な料理 ==
 
== 代表的な料理 ==
=== テピョンチョ(そば寒天入りキムチ鍋/태평초) ===
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=== サンチェジョンシク(山菜定食/산채정식) ===
[[ファイル:14112002.JPG|thumb|300px|テピョンチョ]]
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[[ファイル:14112302.JPG|thumb|300px|サンチェジョンシク]]
:テピョンチョはそば粉のでんぷんを固めて作るメミルムク([[매밀묵]])を入れたキムチ鍋。ほかに豚肉や刻んだ白菜キムチなどが具として入り、海苔や錦糸卵を飾りとして散らす。栄州市順興面では古くからそばの栽培が盛んで、とれたそば粉をメミルムクにして、[[ムッパプ(そば寒天の冷製スープ、묵밥)]]や、テピョンチョを作って食べたという。栄州市下望洞に位置する「伝統ムッチプ食堂(전통묵집식당)」の朴勝昌社長によれば、このテピョンチョという料理は「宮中料理のタンピョンチェに由来し、それを庶民的に解釈したもの」だという。また70代の朴社長にとって「テピョンチョは子どもの頃のご馳走料理であり、家に来客があった際に母や祖母が作ってくれた」と語る(八田靖史の取材記録より、2014年5月4日)。市内にテピョンチョを出す飲食店は「伝統ムッチプ食堂」のほか、「元祖順興ムッチプ(원조순흥묵집)」「順興伝統ムッチプ(순흥전통묵집)」などがある。
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:周王山国立公園の入口には山菜料理を専門とする飲食店が並んでおり、サンチェジョンシクが名物となっている。提供される山菜料理はキムチ、ナムル、ムチム(和え物、무침)、チャンアチ(漬け物、[[장아찌]])などが代表的で、これらに[[テンジャンチゲ(味噌鍋/된장찌개)]]や、[[チョン(チヂミ/전)]]などを加えて提供する方式が一般的である。一例として、右の写真(2014年9月22日「周王山チョンソル食堂」にて撮影)にある料理の一部を抜粋すると、オスリナムルジョン(ハナウドのチヂミ、어수리나물전)、ススブチム(キビのチヂミ)、[[トドックイ(ツルニンジン焼き/더덕구이)]]、ペンイジョン(エノキダケのチヂミ、팽이전)、などがある。ナムルの盛り合わせは、シラヤマギク([[취나물]])、シイタケ([[표고버섯]])、ワラビ([[고사리]])、ハナウド([[어수리나물]])、サルナシ([[다래]])の若芽の5種、キムチとチャンアチ(漬け物)の盛り合わせは、ハナウドのキムチ、青梅([[매실]])のチャンアチ、トウキ([[당귀]])のキムチ、ケカラスザンショウ([[제피]])のチャンアチ、桑の葉([[뽕잎]])のチャンアチ、五加皮(ウコギの根の皮、[[오가피]])のチャンアチの6種類が並んでいる。このほか、地元名産のリンゴを使ったキムチもあった。
  
=== センガンドノッ(ショウガドーナツ/생강도넛) ===
+
=== タッペクスク(丸鶏の水炊き/닭백숙) ===
:センガンドノッはもち米で作った揚げ菓子にショウガやピーナッツをまぶしたもの。栄州市豊基邑山法里に本店を置く「情ドーナツ(정도너츠)」の看板商品で、原材料のもち米やショウガは栄州産のものを使用している。同店はもともと1982年に「チョンア粉食(정아분식)」として創業し、一般的な食堂として営業をしていたが、メニューのひとつであったセンガンドノッが評判を集め、2008年に現在の「情ドーナツ」へと店名を変更した<ref>[http://www.jungdonuts.com/intro/comp_history.html 회사연역] 、情ドーナツウェブサイト、2014年11月20日閲覧</ref>。現在はフランチャイズ化し、ソウルや、釜山などにも店舗を構える。なお、ドーナツの正式な韓国語表記は「도넛」であるが、「情ドーナツ」では「도너츠」を採用している。店舗におけるメニュー名も、正しくは「センガンドノチュ(생강도너츠)」である。
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[[ファイル:14112303.JPG|thumb|300px|達基薬水湯のタッペクスク]]
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:青松は天然の炭酸泉で煮込んだ[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)]]が名物であり、達基薬水湯、新村薬水湯の2ヶ所に専門店が集まっている。炭酸泉は鉄分などのミネラルを含み、胃腸病や皮膚病に効果があるとされている。[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)|タッペクスク]]を提供する飲食店は「旅館食堂(여관식당)」の看板を掲げているところが多く、もともとは温泉の湯治客に対して振る舞ったのが始まりだとされる。炭酸泉で煮込んだ丸鶏は、食べやすい大きさに手で裂き、粗塩につけて味わう。また、鶏を煮込んだスープで粥を作り、一緒に提供するのも定番である。店によってはメニューが細分化され、地鶏を用いたトジョンタッペクスク(토종닭백숙)、ウルシの木を一緒に煮込んだオッタッペクスク(옻닭백숙)、アヒルを使った[[オリペクスク(アヒルの水炊き/오리백숙)]]といったバリエーションがある。一方、鶏肉を叩いてコチュジャンなどで味付けをし、炭火で網焼きにしたタップルコギ(닭불고기)はほぼすべての飲食店に用意があり、[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)|タッペクスク]]と並んで地域の名物となっている。[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)|タッペクスク]]は煮込むのに時間がかかるため、タップルコギを食べながら待つというのが定番となっている。[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)|タッペクスク]]とタップルコギのセット(または、丸鶏でなく鶏肉の一部をタップルコギとして使用し、残りの部位を[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)|タッペクスク]]にしたもの)をタップルペクスク(닭불백숙)とも呼ぶ。
  
=== カルビサル(牛カルビ焼き/갈비살) ===
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*達基薬水湯(タルギヤクスタン)
:小白山で飼育された牛肉は、栄州韓牛(ヨンジュハヌ、영주한우)と呼ばれ地元の名産品となっている。市の中心部である栄州洞には焼肉店が集まっており、そこでは他の部位よりも圧倒的にカルビサルが人気を集める。カルビサルとは牛カルビを焼いたものだが、骨から外した肉を食べやすい大きさに切って焼くスタイルを指す。
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:達基薬水湯と新村薬水湯では[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)|タッペクスク]]の提供方法に若干の違いがある。達基薬水湯では煮込んだ丸鶏を大皿に盛り付けて提供する店が多い。煮込んだスープにはもち米の粥を入れて提供するか、店によっては別の器に盛り付けることもある。地鶏やアヒルを使用したり、ウルシの木を一緒に煮込むなど[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)|タッペクスク]]のバリエーションが豊富である。
  
=== コグマパン(サツマイモ饅頭/고구마빵) ===
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*新村薬水湯(シンチョンヤクスタン)
:コグマパンはサツマイモあんを中に詰めた焼き菓子。栄州市鳳峴面大村里に本店を置く「ミソモグムゴ(미소머금고)」が2006年に開発し、栄州の新たな名物として広まった。栄州産のサツマイモを使ったパイや、ガレットなどの商品も販売している。
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[[ファイル:14112304.JPG|thumb|300px|新村薬水湯のタッペクスク]]
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:新村薬水湯の[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)|タッペクスク]]は丸鶏ではなく、鶏のモモ肉だけを緑豆粥と一緒に提供する方式が一般的である。他の部位はタップルコギ(胸肉を使用)や、オッケボン(手羽元焼き、어깨봉)、タンナルゲ(手羽先焼き、닭날개)といった料理に使用し、これらは新村薬水湯の名物となっている。
  
=== サグァマルレンイ(リンゴチップ/사과말랭이) ===
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*薬水飴(ヤクスヨッ)
[[ファイル:14112003.JPG|thumb|300px|サグァマルレンイ]]
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:達基薬水湯、新村薬水湯では源泉の水を飲むことができる。そこでは[[センガンヨッ(ショウガ飴/생강엿)]]や、[[ホバクヨッ(カボチャ飴/호박엿)]]を販売しており、飴を舐めることで源泉の味がよくわかるとされる。源泉の味は微炭酸で鉄分を多く含んでおり、[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)|タッペクスク]]の専門店では水がわりにも提供される。
:サグァマルレンイは栄州市の特産品であるリンゴをスライスしてスナック風に乾燥させたもの。浮石寺の参道に露店がたくさん出ている。露店ごとに味がずいぶんと異なり、甘味の強いもの、酸味の強いもの、食感のサクサクしたものとそうでないものがあるため、できれば試食をしたうえで、自分の好みに合ったものを探すのが肝要である。
 
  
 
== 代表的な特産品 ==
 
== 代表的な特産品 ==
北部の小白山麓では農業、畜産業が盛んに行われている。リンゴ、ブドウ、モモなどの果物が有名であるほか、豊基の高麗人参や、栄州韓牛、浮石面でとれる大豆の評価も高い。
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青松郡ではリンゴの栽培が特に盛んであり、ほかにナツメ、唐辛子、シイタケなども名産とされる周王山地域では秋のシーズンになるとマツタケもとれる。
 
 
=== 高麗人参 ===
 
[[ファイル:14112004.JPG|thumb|300px|豊基高麗人参市場]]
 
:栄州市の豊基地区は高麗人参の栽培地、集散地として全国的に有名である。豊基駅前には高麗人参市場が広がり、全国各地から高麗人参を仕入れにくる人たちで賑わう。一帯では水参(生の高麗人参)のほか、紅参(燻蒸した高麗人参)、茶や菓子などの加工品を販売する店が並ぶほか、高麗人参を使った料理を提供する飲食店もある。高麗人参を使った料理は市場のみならず、栄州市内の各地域で名物となっており、同じく栄州の名産である牛肉と組み合わせた、インサムカルビタン(高麗人参と牛カルビのスープ、인삼갈비탕)や、インサムソルロンタン(高麗人参と牛肉のスープ、인삼설렁탕)、そのほかインサムマンドゥ(高麗人参餃子、인삼만두)といった料理を味わえる。また、2014年には豊基高麗人参を使ったビールが開発され、新たな名物として注目を集めている。
 
 
 
*豊基高麗人参の歴史
 
:三国史記(新羅本紀第八)を見ると、734年に新羅の聖徳王(第33代)が唐へと賀正使を派遣した際、高麗人参200本を送ったという記録がある<ref>[http://db.history.go.kr/item/oldBookViewer.do?levelId=sg_008&page=25 三國史記 > 新羅本紀 第八] 、韓国史データベース、2014年11月20日閲覧</ref>。小白山一帯は新羅における代表的な山参(天然の高麗人参)の産地であり、栄州市では豊基高麗人参のもっとも古い記録と位置付けている。また、朝鮮時代の1541年に豊基郡守として赴任した周世鵬は、豊基地区が高麗人参の栽培に適していることを見出し、山参の種をまいて高麗人参栽培に力を注いだ<ref>[http://tour.yeongju.go.kr/open_content/festival_culture_event/festival_event/ginseng_festival/introduce 영주풍기인삼축제] 、栄州市文化観光、2014年11月20日閲覧</ref>。
 
 
 
*豊基高麗人参祭り
 
:毎年10月に豊基邑の南院川沿いで催される<ref>[http://www.ginsengfestival.com/ 豊基高麗人参祭り] 、豊基高麗人参祭り公式ウェブサイト、2014年11月20日閲覧</ref>。
 
  
 
=== リンゴ ===
 
=== リンゴ ===
:小白山の山麓地域で主に栽培される。一帯は昼夜の寒暖差が大きく、香りと糖度の高いリンゴが生産される。主な品種は日本由来の富士であり、韓国語ではプサ(부사)と呼ばれる。観光客が多く訪れる浮石寺の参道ではリンゴや、乾燥リンゴのチップが露店で販売されている。
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[[ファイル:14112305.JPG|thumb|300px|青松郡のリンゴ畑]]
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:青松郡ではリンゴの栽培が盛んであり、約3000戸のリンゴ農家があって至るところに畑を見かける。品種は日本の富士が主流だが、低農薬で皮ごと食べられるのを売りにしたハイクリーン(하이크린)、アップルソング(애플송)という銘柄でブランド化している。毎年11月にはリンゴ祭りも開催される。
  
=== 韓牛 ===
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=== マツタケ ===
:小白山の清涼な自然の中で飼育されており全国的にも評価が高い。栄州市内では焼肉のカルビサルが地元人気を集める。
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:周王山地域では9~10月になるとマツタケがとれる。専門店では[[ソンイジョンゴル(マツタケ鍋/송이전골)]]、ソンイバプ(マツタケごはん、[[송이밥]])といった料理が提供される。
  
=== 大豆 ===
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=== 味噌 ===
[[ファイル:14112005.jpg|thumb|300px|浮石太を用いたチョングッチャン]]
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:青松郡巴川面中坪里のパランネ食品が造る味噌は「脈テンジャン(メクテンジャン、맥된장)」という名前でブランド化されている。家に代々続く伝統製法で造られており「脈々と続いてきた」との意味がある。
:北部の浮石面でとれる大豆は地名から浮石太(プソクテ、부석태)の名前でブランド化されている。標準的な大豆の百粒重(百粒の重さ)が25~30gであるのに対し、浮石太は40gほどと大粒である。この大豆を用いた[[チョングッチャン(韓国式の納豆汁/청국장)]]なども名物料理のひとつに数えられる。
 
  
 
== 代表的な酒類・飲料 ==
 
== 代表的な酒類・飲料 ==
=== 小白山五精酒 ===
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=== 青松郡のマッコリ ===
:小白山五精酒は米と麦麹で造られた蒸留酒。黄精(ナルコユリの根茎)、蒼朮(ホソバオケラの根)、松葉、地骨皮(クコの木の根皮)、天門冬(クサスギカズラの根)という5種類の韓方材を用いることから五精酒との名前がついた。現在は栄州市古峴洞で生産されている。
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:主要な銘柄には青松醸造場の「注山池(주산지)」と、周王山濁酒の「周王山(주왕산)」がある。
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*亀岩ナツメマッコリ
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:亀岩ナツメマッコリ(구암대추막걸리)は青松産のナツメを加えて造る[[マッコリ(韓国式の濁酒/막걸리)|マッコリ]]。府南面花場里の亀岩農産で生産されている。
  
=== ジュネットワイン ===
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*リンゴ入りマッコリ
:丹山面で栽培されたブドウで造るワイン。ジュネット(Junete)はフランス語の「私」と、イタリア語の「純潔、純粋」という意味の言葉を掛け合わせたもの。
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[[ファイル:14112306.JPG|thumb|300px|リンゴ入りマッコリ]]
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:周王山国立公園の入口から大典寺にかけては飲食店や露店が軒を連ねており、店頭ではリンゴやツルニンジン、菊の花などを入れた[[マッコリ(韓国式の濁酒/막걸리)|マッコリ]]を販売している。
  
=== 豊基高麗人参ビール ===
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=== 青松不老酒 ===
[[ファイル:14112006.JPG|thumb|300px|豊基高麗人参ビール]]
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:青松不老酒(청송불로주)は咸安趙氏の家系に伝わる伝統焼酎。もち米、うるち米を原料に岩盤から汲み上げた炭酸泉を用いて造る。真宝面新村里で生産される。
:豊基高麗人参を加えて造ったビール。豊基邑山法里にあるテギョンビール(대경맥주)が2014年に新しく開発し、販売が始まった。
 
  
 
== 飲食店情報 ==
 
== 飲食店情報 ==
 
以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。
 
以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。
  
*東南風(동남풍)
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*不老村食堂(불로촌식당)
:住所:慶尚北道栄州市繁栄路173番キル13(栄州洞330-14)
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:住所:慶尚北道青松郡真宝面キョンドン路5173-5(新村里40-23)
:住所:경상북도 영주시 번영로173번길 13(영주동 330-14)
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:住所:경상북도 청송군 진보면 경동로 5173-5(신촌리 40-23)
:電話:054-635-6842
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:電話:054-872-6335
:料理:カルビサル(牛カルビ焼き)
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:料理:タッペクスク(鶏の水炊き)
 
 
*ミソモグムゴ(미소머금고)
 
:住所:慶尚北道栄州市鳳峴面小白路1727(大村里508)
 
:住所:경상북도 영주시 봉현면 소백로 1727(대촌리 508)
 
:電話:054-636-1599
 
:料理:コグマパン(サツマイモ饅頭)
 
 
 
*梁大監(양대감)
 
:住所:慶尚北道栄州市豊基邑人参路11-1(西部里141-3)
 
:住所:경상북도 영주시 풍기읍 인삼로 11-1(서부리 141-3)
 
:電話:054-633-6335
 
:料理:インサムマンドゥ(高麗人参餃子)
 
 
 
*芸郷(예향)
 
:住所:慶尚北道栄州市コットンサン路40番キル11(可興洞1381-37)
 
:住所:경상북도 영주시 꽃동산로40번길 11(가흥동 1381-37)
 
:電話:054-637-7238
 
:料理:[[トルソッパプ(釜炊きごはんの定食、돌솥밥)]]
 
  
*伝統ムッチプ食堂(전통묵집식당)
+
*ソンイガーデン(송이가든)
:住所:慶尚北道栄州市元塘路163番キル24(下望洞316-33)
+
:住所:慶尚北道青松郡府東面周王山路504(下宜里751)
:住所:경상북도 영주시 원당로163번길 24(하망동 316-33)
+
:住所:경상북도 청송군 부동면 주왕산로 504(하의리 751)
:電話:054-632-9284
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:電話:054-874-0066
:料理:テピョンチョ(そば寒天入りキムチ鍋)
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:料理:ソンイジョンゴル(マツタケ鍋)
  
*情ドーナツ本店(정도너츠 본점)
+
*ヨンチョン食堂(영천식당)
:住所:慶尚北道栄州市豊基邑小白路2000(山法里 342)
+
:住所:慶尚北道青松郡青松邑薬水キル54(釜谷里286-11)
:住所:경상북도 영주시 풍기읍 소백로 2000(산법리 342)
+
:住所:경상북도 청송군 청송읍 약수길 54(부곡리 286-11)
:電話:054-636-0071
+
:電話:054-873-2387
:料理:センガンドノッ(ショウガドーナツ)
+
:料理:タッペクスク(鶏の水炊き)
  
*ハンギョルチョングッチャン(한결청국장)
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*周王山チョンソル食堂(주왕산 청솔식당)
:住所:慶尚北道栄州市豊基邑人参路1-1(西部里138-10)
+
:住所:慶尚北道青松郡府東面公園キル164(上宜里319)
:住所:경상북도 영주시 풍기읍 인삼로 1-1(서부리 138-10)
+
:住所:경상북도 청송군 부동면 공원길 164(상의리 319)
:電話:054-636-3224
+
:電話:054-874-5358
:料理:チョングッチャン(韓国式の納豆汁)
+
:料理:サンチェジョンシク(山菜定食)
  
 
== エピソード ==
 
== エピソード ==
*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2014年5月に初めて栄州市を訪れた。きっかけとなったのは栄州市出身の韓国語教師が生徒向けに企画した故郷を訪ねる旅行であり、その韓国語教室に通っている友人からの誘いで部外者ながら同行をすることになった。その旅行を通じて市の観光担当を紹介され、短時間で地域の食文化を理解することができた。関係諸氏には特別に謝意を表したい。
+
*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2014年9月に初めて青松郡を訪れた。その際、東京、三河島の韓国料理店「ママチキン」と、湯島の「周王山」を経営する姉弟が青松郡の出身であることから、知人の郡庁関係者を紹介してもらうなど多大なる協力を得た。関係諸氏には特別に謝意を表すとともに、三河島の「ママチキン」では青松郡から直送された山菜料理やマツタケ料理が季節の特別メニューとして稀に提供されることを付記しておく。また、「ママチキン」に併設された「周王山醸造場」では自家製のマッコリを造っているが、その製法は青松郡にある「周王山濁酒」と同様である。
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*BYC
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:[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[奉化郡の料理|奉化郡(Bonghwa-gun)]]、[[英陽郡の料理|英陽郡(Yeongyang-gun)]]、青松郡(Cheongsong-gun)の頭文字を取って「BYC」と総称することがある。隣接する3地域を韓国の有名な下着メーカーにちなんでまとめた語呂合わせだが、韓国を代表する「奥地」のまとめとして揶揄を含むことが多い。韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、その「奥地」度を認めたうえで、それでも「わざわざ目掛けて行くべき美味しい3地域」と勝手な再定義を提唱している<ref>八田靖史, 2022, 『ラジオ まいにちハングル講座 2022年9月号(韓国おいしい町めぐり)』, NHK出版, P96</ref>。
  
 
== 脚注 ==
 
== 脚注 ==
115行目: 93行目:
  
 
== 外部リンク ==
 
== 外部リンク ==
*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活]
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;関連サイト
*[http://tour.yeongju.go.kr/ 栄州市文化観光ページ(韓国語)]
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*[http://tour.cs.go.kr/ 青松郡観光ページ(韓国語)]
*[http://www.ginsengfestival.com/ 豊基高麗人参祭り公式ウェブサイト(韓国語)]
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;制作者関連サイト
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*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
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*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール)
  
 
== 関連項目 ==
 
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*[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)]]
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*[[トドックイ(ツルニンジン焼き/더덕구이)]]
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*[[テンジャンチゲ(味噌鍋/된장찌개)]]
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*[[マッコリ(韓国式の濁酒/막걸리)]]
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*[[センガンヨッ(ショウガ飴/생강엿)]]
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*[[ソンイジョンゴル(マツタケ鍋/송이전골)]]
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*[[オリペクスク(アヒルの水炊き/오리백숙)]]
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*[[チョン(チヂミ/전)]]
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*[[ホバクヨッ(カボチャ飴/호박엿)]]

2023年8月25日 (金) 13:00時点における最新版

この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。

青松郡(チョンソングン、청송군)は慶尚北道に位置する地域。本ページでは青松郡の料理、特産品について解説する。

注山池

地域概要

青松郡は慶尚北道の中東部に位置する地域。郡の北部は慶尚北道英陽郡、東部は慶尚北道盈徳郡、南東部は慶尚北道浦項市、南部は慶尚北道永川市、南西部は広域市の大邱市、西部は慶尚北道義城郡、北西部は慶尚北道安東市と接する。人口は2万5821人(2018年7月)[1]。郡の北部から東部、南部にかけては太白山脈の一角をなし、周王山(チュワンサン、주왕산)、太行山(テヘンサン、태행산)といった山々に囲まれる。周王山一帯は1976年に周王山国立公園(チュワンサンクンニプコンウォン、주왕산국립공원)として指定されており、また2011年6月には韓国で9ヶ所目のスローシティにも指定されるなど[2]、自然の景観が美しい地域である。代表的な観光地に18世紀初頭に作られた貯水池の注山池(チュサンジ、주산지)や、新羅時代の672年に創建された大典寺(テジョンサ、대전사)、1880年に建てられた伝統家屋の松韶古宅(ソンソゴテク、송소고택)などがある。ソウル市から青松郡までは、東ソウル総合バスターミナルから青松バスターミナルまで高速バスで約4時間10分の距離、周王山市外バスターミナルまで約4時間30分の距離である。

食文化の背景

山岳地域だけあって料理や特産品には山のものが多く、山菜料理、キノコ料理、地鶏料理などが発達している。また、郡内には達基薬水湯(タルギヤクスタン、달기약수탕)、新村薬水湯(シンチョンヤクスタン、신촌약수탕)といった炭酸泉の湧出する地域があり、その炭酸泉で煮込んだ地鶏料理や鶏粥が名物となっている。農業も盛んに行われており、リンゴ、ナツメ、唐辛子、シイタケなどが特産品にあげられる。中でもリンゴは毎年秋にリンゴ祭りが開かれており、青松を代表する作物と言える。食品以外ではコットル(꽃돌)と呼ばれる花模様の天然石や、韓紙(한지)、白磁(백자)なども有名である。

代表的な料理

サンチェジョンシク(山菜定食/산채정식)

サンチェジョンシク
周王山国立公園の入口には山菜料理を専門とする飲食店が並んでおり、サンチェジョンシクが名物となっている。提供される山菜料理はキムチ、ナムル、ムチム(和え物、무침)、チャンアチ(漬け物、장아찌)などが代表的で、これらにテンジャンチゲ(味噌鍋/된장찌개)や、チョン(チヂミ/전)などを加えて提供する方式が一般的である。一例として、右の写真(2014年9月22日「周王山チョンソル食堂」にて撮影)にある料理の一部を抜粋すると、オスリナムルジョン(ハナウドのチヂミ、어수리나물전)、ススブチム(キビのチヂミ)、トドックイ(ツルニンジン焼き/더덕구이)、ペンイジョン(エノキダケのチヂミ、팽이전)、などがある。ナムルの盛り合わせは、シラヤマギク(취나물)、シイタケ(표고버섯)、ワラビ(고사리)、ハナウド(어수리나물)、サルナシ(다래)の若芽の5種、キムチとチャンアチ(漬け物)の盛り合わせは、ハナウドのキムチ、青梅(매실)のチャンアチ、トウキ(당귀)のキムチ、ケカラスザンショウ(제피)のチャンアチ、桑の葉(뽕잎)のチャンアチ、五加皮(ウコギの根の皮、오가피)のチャンアチの6種類が並んでいる。このほか、地元名産のリンゴを使ったキムチもあった。

タッペクスク(丸鶏の水炊き/닭백숙)

達基薬水湯のタッペクスク
青松は天然の炭酸泉で煮込んだタッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)が名物であり、達基薬水湯、新村薬水湯の2ヶ所に専門店が集まっている。炭酸泉は鉄分などのミネラルを含み、胃腸病や皮膚病に効果があるとされている。タッペクスクを提供する飲食店は「旅館食堂(여관식당)」の看板を掲げているところが多く、もともとは温泉の湯治客に対して振る舞ったのが始まりだとされる。炭酸泉で煮込んだ丸鶏は、食べやすい大きさに手で裂き、粗塩につけて味わう。また、鶏を煮込んだスープで粥を作り、一緒に提供するのも定番である。店によってはメニューが細分化され、地鶏を用いたトジョンタッペクスク(토종닭백숙)、ウルシの木を一緒に煮込んだオッタッペクスク(옻닭백숙)、アヒルを使ったオリペクスク(アヒルの水炊き/오리백숙)といったバリエーションがある。一方、鶏肉を叩いてコチュジャンなどで味付けをし、炭火で網焼きにしたタップルコギ(닭불고기)はほぼすべての飲食店に用意があり、タッペクスクと並んで地域の名物となっている。タッペクスクは煮込むのに時間がかかるため、タップルコギを食べながら待つというのが定番となっている。タッペクスクとタップルコギのセット(または、丸鶏でなく鶏肉の一部をタップルコギとして使用し、残りの部位をタッペクスクにしたもの)をタップルペクスク(닭불백숙)とも呼ぶ。
  • 達基薬水湯(タルギヤクスタン)
達基薬水湯と新村薬水湯ではタッペクスクの提供方法に若干の違いがある。達基薬水湯では煮込んだ丸鶏を大皿に盛り付けて提供する店が多い。煮込んだスープにはもち米の粥を入れて提供するか、店によっては別の器に盛り付けることもある。地鶏やアヒルを使用したり、ウルシの木を一緒に煮込むなどタッペクスクのバリエーションが豊富である。
  • 新村薬水湯(シンチョンヤクスタン)
新村薬水湯のタッペクスク
新村薬水湯のタッペクスクは丸鶏ではなく、鶏のモモ肉だけを緑豆粥と一緒に提供する方式が一般的である。他の部位はタップルコギ(胸肉を使用)や、オッケボン(手羽元焼き、어깨봉)、タンナルゲ(手羽先焼き、닭날개)といった料理に使用し、これらは新村薬水湯の名物となっている。
  • 薬水飴(ヤクスヨッ)
達基薬水湯、新村薬水湯では源泉の水を飲むことができる。そこではセンガンヨッ(ショウガ飴/생강엿)や、ホバクヨッ(カボチャ飴/호박엿)を販売しており、飴を舐めることで源泉の味がよくわかるとされる。源泉の味は微炭酸で鉄分を多く含んでおり、タッペクスクの専門店では水がわりにも提供される。

代表的な特産品

青松郡ではリンゴの栽培が特に盛んであり、ほかにナツメ、唐辛子、シイタケなども名産とされる周王山地域では秋のシーズンになるとマツタケもとれる。

リンゴ

青松郡のリンゴ畑
青松郡ではリンゴの栽培が盛んであり、約3000戸のリンゴ農家があって至るところに畑を見かける。品種は日本の富士が主流だが、低農薬で皮ごと食べられるのを売りにしたハイクリーン(하이크린)、アップルソング(애플송)という銘柄でブランド化している。毎年11月にはリンゴ祭りも開催される。

マツタケ

周王山地域では9~10月になるとマツタケがとれる。専門店ではソンイジョンゴル(マツタケ鍋/송이전골)、ソンイバプ(マツタケごはん、송이밥)といった料理が提供される。

味噌

青松郡巴川面中坪里のパランネ食品が造る味噌は「脈テンジャン(メクテンジャン、맥된장)」という名前でブランド化されている。家に代々続く伝統製法で造られており「脈々と続いてきた」との意味がある。

代表的な酒類・飲料

青松郡のマッコリ

主要な銘柄には青松醸造場の「注山池(주산지)」と、周王山濁酒の「周王山(주왕산)」がある。
  • 亀岩ナツメマッコリ
亀岩ナツメマッコリ(구암대추막걸리)は青松産のナツメを加えて造るマッコリ。府南面花場里の亀岩農産で生産されている。
  • リンゴ入りマッコリ
リンゴ入りマッコリ
周王山国立公園の入口から大典寺にかけては飲食店や露店が軒を連ねており、店頭ではリンゴやツルニンジン、菊の花などを入れたマッコリを販売している。

青松不老酒

青松不老酒(청송불로주)は咸安趙氏の家系に伝わる伝統焼酎。もち米、うるち米を原料に岩盤から汲み上げた炭酸泉を用いて造る。真宝面新村里で生産される。

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • 不老村食堂(불로촌식당)
住所:慶尚北道青松郡真宝面キョンドン路5173-5(新村里40-23)
住所:경상북도 청송군 진보면 경동로 5173-5(신촌리 40-23)
電話:054-872-6335
料理:タッペクスク(鶏の水炊き)
  • ソンイガーデン(송이가든)
住所:慶尚北道青松郡府東面周王山路504(下宜里751)
住所:경상북도 청송군 부동면 주왕산로 504(하의리 751)
電話:054-874-0066
料理:ソンイジョンゴル(マツタケ鍋)
  • ヨンチョン食堂(영천식당)
住所:慶尚北道青松郡青松邑薬水キル54(釜谷里286-11)
住所:경상북도 청송군 청송읍 약수길 54(부곡리 286-11)
電話:054-873-2387
料理:タッペクスク(鶏の水炊き)
  • 周王山チョンソル食堂(주왕산 청솔식당)
住所:慶尚北道青松郡府東面公園キル164(上宜里319)
住所:경상북도 청송군 부동면 공원길 164(상의리 319)
電話:054-874-5358
料理:サンチェジョンシク(山菜定食)

エピソード

  • 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2014年9月に初めて青松郡を訪れた。その際、東京、三河島の韓国料理店「ママチキン」と、湯島の「周王山」を経営する姉弟が青松郡の出身であることから、知人の郡庁関係者を紹介してもらうなど多大なる協力を得た。関係諸氏には特別に謝意を表すとともに、三河島の「ママチキン」では青松郡から直送された山菜料理やマツタケ料理が季節の特別メニューとして稀に提供されることを付記しておく。また、「ママチキン」に併設された「周王山醸造場」では自家製のマッコリを造っているが、その製法は青松郡にある「周王山濁酒」と同様である。
  • BYC
慶尚北道奉化郡(Bonghwa-gun)英陽郡(Yeongyang-gun)、青松郡(Cheongsong-gun)の頭文字を取って「BYC」と総称することがある。隣接する3地域を韓国の有名な下着メーカーにちなんでまとめた語呂合わせだが、韓国を代表する「奥地」のまとめとして揶揄を含むことが多い。韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、その「奥地」度を認めたうえで、それでも「わざわざ目掛けて行くべき美味しい3地域」と勝手な再定義を提唱している[3]

脚注

  1. 주민등록 인구통계 、行政安全部ウェブサイト、2018年8月16日閲覧
  2. スローシティ青松の魅力に迫る! 、青松郡ウェブサイト、2014年11月23日閲覧
  3. 八田靖史, 2022, 『ラジオ まいにちハングル講座 2022年9月号(韓国おいしい町めぐり)』, NHK出版, P96

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目