「チョッパル(豚足の煮物/족발)」の版間の差分

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== 歴史 ==
 
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チョッパルの歴史ははっきりしておらず、いつの時代かはわからないが、中国から伝わってきたと推測されている。中国から近い黄海道(ファンヘド、황해도)や平安道(ピョンアンド、평안도)の郷土料理として根付き、朝鮮戦争(1950~53年)時にこれらの地域から[[ソウル市の料理|ソウル市]]へと避難した人たちが、生計のために飲食店を始めて広まったとされる。黄海道料理とされるカンヨッテジジョク(豚足の黒飴煮、[[강엿돼지족]])や、宮中料理のチョクピョン(牛足の煮こごり、[[족편]])、中国料理のオヒャンジャンユク(五香醤肉、[[오향장육]])をルーツと考える説もある。
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=== ルーツとされる料理 ===
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==== カンヨッテジジョク(豚足の黒飴煮/강엿돼지족) ====
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:チョッパルのルーツを黄海道料理に求める場合、料理研究家の姜仁姫が1989年に出版した『韓国の味(한국의 맛)』(大韓教科書)が多く引用される。同書には、黄海道の郷土料理としてカンヨッテジジョク([[강엿돼지족]])が収録されている<ref>강인희, 1989, 『한국의 맛』, 대한교과서, P463-464</ref>。カンヨッ([[강엿]])の標準語はケンヨッ([[갱엿]])で、米と麦芽を原料として作る伝統的な黒飴を指す。テジジョク([[돼지족]])は豚足の意。同書の調理法では、豚足とショウガ、黒飴、塩、醤油、水を大釜に入れて煮込み、ヤンニョムジャン(薬味ダレ、[[양념장]])やアミの塩辛([[새우젓]])につけて食べると説明している。黒飴の使用については、「豚肉のくさみを減らし甘味を加える」との補足がある。
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==== オヒャンジャンユク(五香醤肉/오향장육) ====
 
[[ファイル:26070603.jpg|300px|thumb|オヒャンジャンユク]]
 
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チョッパルの歴史ははっきりしておらず、いつの時代かはわからないが、中国から伝わってきたと推測されている。中国から近い黄海道(ファンヘド/황해도)や平安道(ピョンアンド/평안도)の郷土料理として根付き、朝鮮戦争(1950~53年)時にこれらの地域から[[ソウル市の料理|ソウル市]]へと避難した人たちが、生計のために飲食店を始めて広まったとされる。黄海道料理とされるケンヨッテジジョクチョリム(豚足の飴煮、[[갱엿돼지족조림]])や、宮中料理のチョクピョン(牛足の煮こごり、[[족편]])、中国料理のオヒャンジャンユク(五香醤肉、[[오향장육]])をルーツと考える説もある。
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:オヒャンジャンユク([[오향장육]])は、五香醤肉(中国式の茹で豚)。かたまりの豚肉を、醤油、五香粉、香味野菜などと煮込んで作る。食べやすく薄切りにしたものを、生野菜、ニラ醤油、生ニンニク、チャンスル(ゼリー状のタレ、[[짠슬]])と一緒に味わう。チャンスルは肉を煮たときのタレを固めたもので、肉のゼラチン質によって自然に固まるが、ゼラチンや寒天などを加える場合もある。中国料理店、チョッパル専門店のメニューに載る。同様のタレで豚足を煮たものは、オヒャンチョッパル([[오향족발]])と呼ぶ。
  
 
=== 朝鮮時代 ===
 
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=== スモノ(肉と野菜の酢の物/스모노) ===
 
=== スモノ(肉と野菜の酢の物/스모노) ===
 
:スモノ([[스모노]])は、肉と野菜の酢の物。チョッパル、または[[スユク(牛茹で肉の薄切り/수육)]]を生野菜と和え、酢、カラシなどで味付けをする。スモノは日本語の「酢の物」に由来すると見られる。[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]や[[大邱市の料理|大邱市]]を中心として、チョッパルや[[スユク(牛茹で肉の薄切り/수육)|スユク]]のバリエーションメニューとして提供される。
 
:スモノ([[스모노]])は、肉と野菜の酢の物。チョッパル、または[[スユク(牛茹で肉の薄切り/수육)]]を生野菜と和え、酢、カラシなどで味付けをする。スモノは日本語の「酢の物」に由来すると見られる。[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]や[[大邱市の料理|大邱市]]を中心として、チョッパルや[[スユク(牛茹で肉の薄切り/수육)|スユク]]のバリエーションメニューとして提供される。
 
=== オヒャンジャンユク(五香醤肉/오향장육) ===
 
:オヒャンジャンユク([[오향장육]])は、五香醤肉(中国式の茹で豚)。かたまりの豚肉を、醤油、五香粉、香味野菜などと煮込んで作る。食べやすく薄切りにしたものを、生野菜、ニラ醤油、生ニンニク、チャンスル(ゼリー状のタレ、[[짠슬]])と一緒に味わう。チャンスルは肉を煮たときのタレを固めたもので、肉のゼラチン質によって自然に固まるが、ゼラチンや寒天などを加える場合もある。中国料理店、チョッパル専門店のメニューに載る。同様のタレで豚足を煮たものは、オヒャンチョッパル([[오향족발]])と呼ぶ。
 
  
 
== 地域 ==
 
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*ソウル市
 
*ソウル市
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:[[ソウル市の料理|ソウル市]]の中区奨忠洞(チュング チャンチュンドン、중구 장충동)にはチョッパルの専門店が立ち並び、一帯は「奨忠洞チョッパル通り(장충동 족발거리)」と呼ばれる。チョッパルはもともと[[北朝鮮の料理|朝鮮半島北部]]の平安道や黄海道の郷土料理であり、朝鮮戦争以降にこれらの地域から避難して来た人たちが奨忠洞に移り住んだことから専門店が増えたとされる。界隈ではもっとも老舗とされる1960年創業の「平安道チョッパルチプ(평안도 족발집)」に代表されるように、出身の地域名を屋号としている店も見られる。
 
:[[ソウル市の料理|ソウル市]]の中区奨忠洞(チュング チャンチュンドン、중구 장충동)にはチョッパルの専門店が立ち並び、一帯は「奨忠洞チョッパル通り(장충동 족발거리)」と呼ばれる。チョッパルはもともと[[北朝鮮の料理|朝鮮半島北部]]の平安道や黄海道の郷土料理であり、朝鮮戦争以降にこれらの地域から避難して来た人たちが奨忠洞に移り住んだことから専門店が増えたとされる。界隈ではもっとも老舗とされる1960年創業の「平安道チョッパルチプ(평안도 족발집)」に代表されるように、出身の地域名を屋号としている店も見られる。
  
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*全羅北道全州市
 
*全羅北道全州市
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:[[全羅北道の料理|全羅北道]][[全州市の料理|全州市]]の徳津区八福洞(トクチング パルボクトン、덕진구 팔복동)にはチョッパルの専門店が集まっており、ヤンニョムチョッパル(豚足の辛味ダレ焼き、[[양념족발]])が地域の名物になっている。下茹でした豚足にヤンニョム(辛味ダレ、양념)を絡めて炭火で焼いて作るもので、1968年創業の「カウンデチプ(가운데집)」が老舗店として有名である。同店によれば、もともとは[[テジプルコギ(豚肉の味付け焼肉/돼지불고기)]]の味付けをベースにしている(八田靖史の取材記録より、2010年11月15日)。
 
:[[全羅北道の料理|全羅北道]][[全州市の料理|全州市]]の徳津区八福洞(トクチング パルボクトン、덕진구 팔복동)にはチョッパルの専門店が集まっており、ヤンニョムチョッパル(豚足の辛味ダレ焼き、[[양념족발]])が地域の名物になっている。下茹でした豚足にヤンニョム(辛味ダレ、양념)を絡めて炭火で焼いて作るもので、1968年創業の「カウンデチプ(가운데집)」が老舗店として有名である。同店によれば、もともとは[[テジプルコギ(豚肉の味付け焼肉/돼지불고기)]]の味付けをベースにしている(八田靖史の取材記録より、2010年11月15日)。
  

2026年7月16日 (木) 00:07時点における最新版

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チョッパル

チョッパル족발)は、豚足の煮物。

概要

チョッパルを煮ているところ

チョッ()は漢字で「足」と書いて足のこと。パル()は固有語で足を意味するので、「チョッ」、「パル」ともに足を意味する。下茹でした豚足を、醤油、砂糖、酒、香辛野菜、韓方材などとともに長時間煮込んで作り、食べやすい大きさにスライスしたものを、アミの塩辛(새우젓)、味噌(된장)などにつけて食べる。焼肉のように、サンチュ(상추)などの葉野菜に包んで食べてもよい。骨まわりの部位はかぶりついても味わう。主に専門店で食べるメニューであり、また市場で販売されることも多い。同じ豚肉料理のスンデ(韓国式の腸詰/순대)や、ポッサム(茹で豚の葉野菜包み/보쌈)の専門店でメニューに載ることも多く、これらを盛り合わせにして提供することもある。足を食べる料理としては、ほかに鶏の足を焼いたタッパル(鶏足焼き/닭발)や、牛の足をスープに仕立てたウジョクタン(牛の足のスープ/우족탕)がある。

  • シメの食事メニュー
チョッパルの専門店では、シメの食事メニューとしてマッククス(冷やしそば/막국수)を提供することが多い。大皿にそば麺とたくさんの生野菜を盛り付け、薬味ダレを絡めて食べるチェンバングクス(大皿盛りの和え麺/쟁반국수)を複数名でシェアをして食べるのも一般的である。

歴史

奨忠洞チョッパル通り

チョッパルの歴史ははっきりしておらず、いつの時代かはわからないが、中国から伝わってきたと推測されている。中国から近い黄海道(ファンヘド、황해도)や平安道(ピョンアンド、평안도)の郷土料理として根付き、朝鮮戦争(1950~53年)時にこれらの地域からソウル市へと避難した人たちが、生計のために飲食店を始めて広まったとされる。黄海道料理とされるカンヨッテジジョク(豚足の黒飴煮、강엿돼지족)や、宮中料理のチョクピョン(牛足の煮こごり、족편)、中国料理のオヒャンジャンユク(五香醤肉、오향장육)をルーツと考える説もある。

ルーツとされる料理

カンヨッテジジョク(豚足の黒飴煮/강엿돼지족)

チョッパルのルーツを黄海道料理に求める場合、料理研究家の姜仁姫が1989年に出版した『韓国の味(한국의 맛)』(大韓教科書)が多く引用される。同書には、黄海道の郷土料理としてカンヨッテジジョク(강엿돼지족)が収録されている[1]。カンヨッ(강엿)の標準語はケンヨッ(갱엿)で、米と麦芽を原料として作る伝統的な黒飴を指す。テジジョク(돼지족)は豚足の意。同書の調理法では、豚足とショウガ、黒飴、塩、醤油、水を大釜に入れて煮込み、ヤンニョムジャン(薬味ダレ、양념장)やアミの塩辛(새우젓)につけて食べると説明している。黒飴の使用については、「豚肉のくさみを減らし甘味を加える」との補足がある。

オヒャンジャンユク(五香醤肉/오향장육)

オヒャンジャンユク
オヒャンジャンユク(오향장육)は、五香醤肉(中国式の茹で豚)。かたまりの豚肉を、醤油、五香粉、香味野菜などと煮込んで作る。食べやすく薄切りにしたものを、生野菜、ニラ醤油、生ニンニク、チャンスル(ゼリー状のタレ、짠슬)と一緒に味わう。チャンスルは肉を煮たときのタレを固めたもので、肉のゼラチン質によって自然に固まるが、ゼラチンや寒天などを加える場合もある。中国料理店、チョッパル専門店のメニューに載る。同様のタレで豚足を煮たものは、オヒャンチョッパル(오향족발)と呼ぶ。

朝鮮時代

朝鮮時代(1392~1910年)に、科挙を受けるソンビ(儒学者、선비)が合格のゲン担ぎとしてチョッパルを食べたとの逸話が伝わる。中国から伝わった風習であり、唐の時代から科挙に主席合格すると、長安(現、西安)にある仏塔の大雁塔に赤い墨で名前が刻まれた。これを「朱題(zhǔ tí)」と呼び、「猪蹄(豚足)」の発音と共通するため、合格祈願の縁起物になったとされる[2]

1960年代

ソウル市の中区奨忠洞(チュング チャンチュンドン、중구 장충동)には、チョッパルの専門店が集まっている。朝鮮戦争によって北部から避難してきた人たちが、空き家になっていた日本家屋に身を寄せたのち、生計のためにチョッパルを作って販売したのが広まったとされる。1960年創業の「平安道チョッパルチプ(평안도 족발집)」がもっとも古株とされ、看板には「元祖の元祖(원조의 원조)」を掲げている。

種類

ネンチェチョッパル

ネンチェチョッパル(冷菜豚足/냉채족발)

ネンチェチョッパル(냉채족발)は、冷菜豚足。ネンチェ(냉채)は漢字で「冷菜」と書いて中華料理の前菜料理のひとつ。チョッパル(족발)は豚足を表す。釜山市の中区富平洞(チュング プピョンドン、중구 부평동)で、チョッパル専門店のアレンジメニューとして発達した。薄切りにしたチョッパルをキュウリ、ニンジン、クラゲ、カニカマなどの具とともに和えて作る。タレにはカラシ、酢などが入ってさっぱりと仕上げる。1990年代後半に「五六島チョッパル(오륙도족발)」が考案したとされるが、近隣の他店でも同様の主張が見られる。

スモノ(肉と野菜の酢の物/스모노)

スモノ(스모노)は、肉と野菜の酢の物。チョッパル、またはスユク(牛茹で肉の薄切り/수육)を生野菜と和え、酢、カラシなどで味付けをする。スモノは日本語の「酢の物」に由来すると見られる。慶尚北道大邱市を中心として、チョッパルやスユクのバリエーションメニューとして提供される。

地域

全羅北道全州市のヤンニョムチョッパル
  • ソウル市
ソウル市の中区奨忠洞(チュング チャンチュンドン、중구 장충동)にはチョッパルの専門店が立ち並び、一帯は「奨忠洞チョッパル通り(장충동 족발거리)」と呼ばれる。チョッパルはもともと朝鮮半島北部の平安道や黄海道の郷土料理であり、朝鮮戦争以降にこれらの地域から避難して来た人たちが奨忠洞に移り住んだことから専門店が増えたとされる。界隈ではもっとも老舗とされる1960年創業の「平安道チョッパルチプ(평안도 족발집)」に代表されるように、出身の地域名を屋号としている店も見られる。
  • 慶尚北道亀尾市
慶尚北道亀尾市の元坪洞(ウォンピョンドン、원평동)に位置する「亀尾セマウル中央市場(구미새마을중앙시장)」には、「豚足通り(족발골목)」と呼ばれる一角があり、ムチムチョッパル(豚足の和え物、무침족발)が名物となっている。煮付けた豚足をスライスし、刻みネギや辛味ダレと和えて提供するもので、店によっては激辛に味付けをしたプルチョッパル(豚足の激辛和え、불족발)もメニューに載せる。
  • 釜山市
釜山市の中区富平洞(チュング プピョンドン、중구 부평동)にはチョッパルの専門店が多く、一帯を「富平チョッパル通り(부평족발골목)」と呼ぶ。1959年創業の「ソウルチョッパル(서울족발)」が元祖とされるが、「奨忠チョッパル(장충족발)」「汝矣島チョッパル(여의도족발)」と改称ののち現在は閉店している。1980年代に入ると徐々に店舗が増え始め、1983年創業の「漢陽チョッパル(한양족발)」(現在は閉店)などの有名店が生まれた。チョッパルを生野菜と和えてマスタードソースで味付けをしたものはネンチェチョッパル(冷菜豚足、냉채족발)の発祥地としても有名である。
  • 全羅北道全州市
全羅北道全州市の徳津区八福洞(トクチング パルボクトン、덕진구 팔복동)にはチョッパルの専門店が集まっており、ヤンニョムチョッパル(豚足の辛味ダレ焼き、양념족발)が地域の名物になっている。下茹でした豚足にヤンニョム(辛味ダレ、양념)を絡めて炭火で焼いて作るもので、1968年創業の「カウンデチプ(가운데집)」が老舗店として有名である。同店によれば、もともとはテジプルコギ(豚肉の味付け焼肉/돼지불고기)の味付けをベースにしている(八田靖史の取材記録より、2010年11月15日)。
  • 済州道
済州道では豚肉をハレの日に食べる習慣があり、他地域と比べても各部位を細かく利用した多彩な豚肉料理がある。一般的にチョッパルというと足の付け根から足先の部分までを指すが、済州道においては足先の部分だけをアガンバル(아강발)と呼んで区別し、チョッパルとは別途提供される。現地ではチョッパル専門店のほか、郷土料理店、あるいは同じく郷土料理であるコギグクス(豚スープ麺/고기국수)の専門店で提供される。

脚注

  1. 강인희, 1989, 『한국의 맛』, 대한교과서, P463-464
  2. 윤덕노, 2011, 『붕어빵에도 족보가 있다』「돼지족발 - 돼지족발에 담은 장원급제의 끔」, 청보리미디어, P165-167

外部リンク

制作者関連サイト

関連項目