聞慶市の料理

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聞慶市(ムンギョンシ、문경시)は慶尚北道の北西部に位置する地域。本ページでは聞慶市の料理、特産品について解説する。

地域概要

聞慶市は慶尚北道の北西部に位置する地域。市の北部は忠清北道堤川市丹陽郡、東部は慶尚北道醴泉郡、南部は慶尚北道尚州市、西部は忠清北道槐山郡、北西部は忠清北道忠州市と接する。人口は7万2475人(2018年7月)[1]。市の北東部から南西部にかけて小白山脈が連なっており、これらが忠清北道との境になっている。全体的に山の多い地形であるが、市内には穎江(ヨンガン、영강)、錦川(クムチョン、금천)、鳥嶺川(チョリョンチョン、조령천)といった河川が流れ、その周辺に平野部が広がっている。市の中心部は南部の店村(チョムチョン、점촌)地区にあり、北部の聞慶邑(ムンギョンウプ、문경읍)地区、西部の加恩(カウン、가은)地区に大きく主要地域が分かれる。聞慶市庁は店村地区に置かれており、アクセスは店村市外バスターミナルからが近い。市の北西部に位置する聞慶セジェ(ムンギョンセジェ、문경새재)は、慶尚道地方からソウルへと向かう際に小白山脈を越える代表的な峠のひとつであり、朝鮮時代の9大路に数えられる嶺南大路(ヨンナムデロ、영남대로)が通る交通と国防の要衝であった。現在は一帯が聞慶セジェ道立公園に指定されているほか、敷地内には時代劇のオープンセット場が置かれ、ドラマや映画のロケ地として観光の目玉になっている。陶磁器作りが盛んな地域でもあり、市内には聞慶陶磁器博物館があるほか、春には聞慶伝統茶碗祭り(문경전통찻사발축제)が開催される。ソウル市から聞慶市までは、ソウル高速バスターミナル、東ソウル総合ターミナルから店村市外バスターミナルまで高速バスで約2時間30分の距離である。

食文化の背景

聞慶市はかつて炭鉱の町として栄え、1990年代に廃鉱となるまでは石炭の採掘が盛んに行われた。鉱夫たちは仕事を終えた後に、サムギョプサル(豚バラ肉の焼肉/삼겹살)チョクサルチゲ(豚ウデ肉の鍋/족살찌개)などの豚焼肉を好んで食べたが、厳しい肉体労働の疲れを癒すとともに、豚の脂が吸い込んだ粉塵を洗い流してくれるとも信じられていた。そのため聞慶市では有害物の排出を想起させる、活性炭(활성탄)や薬石(약돌)を飼料に混ぜて豚を飼育する方法が発達した。ほかにも、テジシャブシャブ(豚しゃぶ、돼지샤브샤브)、テジハンバンチム(豚肉の韓方蒸し、돼지한방찜)などの豚肉料理を提供する店がある。

聞慶5味

地域の代表的な料理として、5種類の料理が「聞慶5味(문경5미)」として選ばれている[2]

代表的な料理

ヤクトルテジグイ(薬石豚焼き/약돌돼지구이)

ヤクトルテジ(약돌돼지)は、薬石を食べさせて育てた豚。聞慶市はマグマが固まってできた巨晶花崗岩(ペグマタイト)の名産地で、希少な薬効成分を含むとして薬石(ヤクトル、약돌)と呼ばれる。地元の畜産農家では薬石を飼料に混ぜ、飼育した豚をヤクトルテジと呼んでブランド化している。ヤクトルテジグイは総称であり、専門店ではサムギョプサル(豚バラ肉の焼肉/삼겹살)モクサル(豚の肩ロース焼き/목살)テジプルコギ(豚肉の味付け焼肉/돼지불고기)、ソクセグイ(豚肉の網焼き、석쇠구이)などのメニュー名で提供される。
  • 薬石韓牛
薬石を韓牛(한우)に与えて飼育したヤクトルハヌ(약돌한우)も生産される。

チョクサルチゲ(豚ウデ肉の鍋/족살찌개)

チョクサルチゲ(족살찌개)は、豚ウデ肉の鍋。チョクサル(족살)は直訳で「足肉」を意味し、豚の前足の肉(ウデ肉、앞다리살)を指す。チゲ(찌개)は野菜や肉、魚などを煮た鍋料理の総称である。豚ウデ肉を皮付きの部分も含めてひと口大に切り、豆腐、野菜とともにコチュジャン味のスープで煮込む。味付けとしてはコチュジャンチゲ(コチュジャン味の鍋/고추장찌개)に近い。市の名産であるヤクトルテジ(薬石豚、약돌돼지)が多く用いられる。炭鉱の町として活況だった時代に鉱夫たちが好んで食べた料理として知られ、当時の弁当をイメージしたイェンナルトシラク(昔風弁当/옛날도시락)を併せて提供する専門店もある。専門店として「スジョン食堂(수정식당)」「ファントソン(황토성)」「メボンサン(매봉산)」などがある。

代表的な特産品

五味子

五味子(オミジャ、오미자)は、チョウセンゴミシの実。聞慶郡は五味子の名産地で、聞慶五味子(문경오미자)は、山林庁が地域の名産品を認証する地理的表示林産物の第19号として登録されている[3]。2023年の生産量は1267.1トン(全国の23.3%)で、全国の市郡で1位である[4]。五味子は乾燥させてオミジャチャ(五味子茶/오미자차)にするほか、焼酎に漬けた五味子酒(오미자주)や、五味子を原料とした五味子ワイン(오미자와인)が生産されている。

代表的な酒類・飲料

湖山春(호산춘)

湖山春(ホサンチュン、호산춘)は、長水黄氏(チャンスファンシ、장수황씨)の一族が継承する伝統酒。うるち米ともち米、小麦麹を原料とする醸造酒で、松葉(솔잎)を加えて発酵させるのを特徴とする。全羅北道益山市の地酒に壺山春(ホサンチュン、호산춘)があり、長水黄氏の家系でも過去には壺山春の字を使ったが、1991年に慶尚北道無形文化財第18号に登録される際に区別する意味から湖山春とした[5]

飲食店情報

エピソード

脚注

  1. 주민등록 인구 및 세대현황 、行政安全部ウェブサイト、2018年8月13日閲覧
  2. 문경 5 미 、聞慶市ウェブサイト、2026年2月2日閲覧
  3. 지리적표시 등록 현황/문경오미자 、韓国地理的表示特産品連合会ウェブサイト、2025年6月6日閲覧
  4. 『2023 임산물생산조사』, 산림청, P31 、山林庁山林統計システム、2025年8月25日閲覧
  5. 문경 호산춘 이야기 、国家遺産庁ウェブサイト、2026年2月3日閲覧

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目