「テンジャンチゲ(味噌鍋/된장찌개)」の版間の差分

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*カンテンジャン
 
*カンテンジャン
 
:カンテンジャン([[강된장]])は、味噌に牛肉、キノコ、魚介、豆腐などの具を入れてどろどろに濃く煮詰めたもの。汁気の少ないテンジャンチゲのような見た目で、ごはんや麦飯と混ぜて[[テンジャンピビムパプ(味噌ビビンバ/된장비빔밥)]]として食べたり、[[サムパプ(葉野菜の包みごはん/쌈밥)]]の包み味噌として用いる。
 
:カンテンジャン([[강된장]])は、味噌に牛肉、キノコ、魚介、豆腐などの具を入れてどろどろに濃く煮詰めたもの。汁気の少ないテンジャンチゲのような見た目で、ごはんや麦飯と混ぜて[[テンジャンピビムパプ(味噌ビビンバ/된장비빔밥)]]として食べたり、[[サムパプ(葉野菜の包みごはん/쌈밥)]]の包み味噌として用いる。
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*テンジャンの製法
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:伝統的なテンジャン([[된장]])の製法では、まずメジュ(味噌玉麹、[[메주]])を作る。蒸煮(蒸す、または煮る)した大豆をつぶしてレンガ状の直方体に固め、藁で結んだものを軒先に吊るして乾燥、発酵させる。このメジュに塩と水を加えてハンアリ(甕、[[항아리]])で熟成させたのち、上澄みをカンジャン([[간장]])、沈殿部分をテンジャンとして用いる。
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*日本の味噌との違い
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:テンジャンが大豆でメジュ(味噌玉麹、[[메주]])を作るのに対し、日本の味噌は多くの場合、蒸煮した大豆に麹を加えて発酵させる。米麹を加えたものは米味噌、麦麹を加えたものは麦味噌と呼ぶ。東海地方を中心に造られている豆味噌の場合は、蒸煮した大豆に豆麹を加える製法と、豆麹を味噌玉にして造る製法に分かれ、後者はテンジャンの製法によく似る。ただし、味噌玉で作る豆味噌が枯草菌の繁殖を抑えて造るのに対し、テンジャンはメジュを藁で結んで発酵させることから枯草菌が重要な役割を果たす。枯草菌の一種として納豆菌があるように、特有の風味を帯びるのが特徴と言える。
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*煮立たせる調理法
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:日本の味噌汁は沸騰させずに作るが、テンジャンチゲはぐつぐつに煮立てて作る。日本の米味噌や麦味噌にはアルコール由来の香り成分が含まれており、熱を加えることで揮発して飛んでしまう。米や麦はでんぷんを多く含むことから、麹菌が分解して糖を作り、糖は酵母菌の働きでアルコールとして生成される。これに対し、テンジャンはでんぷんの少ない大豆だけを原料とするため、アルコールが生成されにくく、香りが飛ぶことをさほど気にする必要がない。日本の愛知県などで豆味噌を用いて、味噌煮込みうどんや、味噌おでんを作るように、むしろ煮込むことで深みのあるコクが生まれると考えられる。
  
 
== 歴史 ==
 
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