楊平郡の料理

2023年5月31日 (水) 23:53時点におけるHatta (トーク | 投稿記録)による版 (→‎代表的な料理)
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楊平郡(ヤンピョングン、양평군)は京畿道の東部に位置する地域。本ページでは楊平郡の料理、特産品について解説する。

地域概要

楊平郡は京畿道の東部に位置する地域。郡の北部は京畿道加平郡江原道洪川郡、東部は江原道横城郡、南東部は江原道原州市、南部は京畿道驪州市、南西部は京畿道広州市、北西部は京畿道南楊州市と接する。人口は12万2323人。(2022年12月)[1]

食文化の背景

楊平郡はソウル市の中心部を流れる漢江(ハンガン、한강)の上流域にあたり、北漢江(プカンガン、북한강)と南漢江(ナマンガン、남한강)が出合う水運の要衝地として、江原道忠清道一帯から文物の集まる場所として古くから栄えた。その象徴的な存在が五日市場の「葛山場(カルサンジャン、갈산장)」で、1770年に編纂された『東国文献備考(동국문헌비고)』に記録が残ることから[2]、その歴史は少なくともそれ以前までさかのぼる。葛山場は現在の「楊平ムルマルグン市場(ヤンピョンムルマルグンシジャン、양평물맑은시장)」にあたり、常設市場ながら、3と8のつく日には五日市も開かれて大勢の人で賑わう。楊平ムルマルグン市場内の名物料理には、トレチャン(豚の腸間膜焼き/도래창)がある。そのほかの郷土料理として、玉泉面(オクチョンミョン、옥천면)地区には朝鮮戦争時に黄海道海州市から避難してきた人たちが広めたオクチョンミョン(玉泉冷麺/옥천냉면)があり、郡南部の介軍面貢税里(ケグンミョン コンセリ、개군면 공세리)地区にはヘジャンクッ(酔い覚ましのスープ/해장국)の専門店が集まっている。楊平郡のヘジャンクッは全国的に有名で、「楊平ヘジャンクッ(양평해장국)」の名前で広く知られている。

代表的な料理

オクチョンネンミョン(玉泉冷麺/옥천냉면)

オクチョンネンミョン(옥천냉면)は、楊平郡の玉泉面(オクチョンミョン、옥천면)で名物となっている冷麺(「ネンミョン(冷麺/냉면)」の項目も参照)。朝鮮戦争時に黄海道海州市(ファンヘド ヘジュシ、황해도 해주시)から避難してきた人たちが広めたもので、その製法は黄海道式をルーツとし、太めのそば麺と、豚肉でとったスープを特徴とする。玉泉面玉泉里(オクチョンミョン オクチョンニ、옥천면 옥천리)に位置する1952年創業の「玉泉冷麺 黄海食堂(옥천냉면 황해식당)」が元祖店として知られる。
  • ワンジャ(ひき肉のチヂミ)
ワンジャ(완자)は、ひき肉のチヂミ。一般にワンジャは肉団子を意味するが、オクチョンネンミョンの専門店では、ハンバーグほどの大きな塊に溶き卵の衣をつけて焼いて提供する。トングランテン(ひき肉のチヂミ/동그랑땡)にも近い。オクチョンネンミョンとともに注文されることが多いが、大皿に載って7~8個も出てくるため、かなりのボリュームがある。ハーフサイズ(반접시)での注文も可能。

トレチャン(豚の腸間膜焼き/도래창)

トレチャン(도래창)は、豚の腸間膜焼き。希少部位のひとつであり、野菜、キノコとともに鉄板で炒めて味わう。脂の多い部位であり、香ばしく焼きあげると表面はカリッとしながらも、内側はクニッとして独特の食感を楽しめる。楊平ムルマルグン市場内に位置する「モンシル食堂(몽실식당)」の看板料理として有名。

ヘジャンクッ(酔い覚ましのスープ/해장국)

ヘジャンクッ(해장국)は、酔い覚ましのスープ(「ヘジャンクッ(酔い覚ましのスープ/해장국)」の項目も参照)。郡南部の介軍面貢税里(ケグンミョン コンセリ、개군면 공세리)一帯はシンネ村(シンネマウル、신내마을)と呼ばれ、この地域で作られた牛肉、牛の内臓、牛血(선지)などを煮込んだヘジャンクッが人気を集めて広まったとされる。現在も同地域をはじめ、楊平郡にはヘジャンクッの専門店が多い。

代表的な特産品

代表的な酒類・飲料

飲食店情報

エピソード

脚注

  1. 주민등록 인구 및 세대현황 、行政安全部ウェブサイト、2023年1月29日閲覧
  2. 東國文獻備考巻七十二(郷市/京畿/楊根) 、デジタル蔵書閣(韓国中央研究院)、2023年5月18日閲覧

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目