京畿道の料理
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京畿道(キョンギド、경기도)は韓国の北西部に位置する地域。本ページでは京畿道の料理、特産品について解説する。
地域概要
京畿道(キョンギド、경기도)は韓国の北西部に位置する地域。京畿道とは都、および都の近郊を意味し、首都のソウル市を囲むような形になっている。北部は北朝鮮との軍事分界線に面し、東部は江原道、南部は忠清北道と忠清南道、西部は仁川市と接し、また西海岸に臨む。人口は1278万3741人(2017年6月)で、広域地方自治団体(特別市、広域市、道、特別自治道、特別自治市)の中ではもっとも多い[1]。28市3郡で構成されており、道庁所在地は水原市に位置する。ソウルの外郭都市という側面が強く、郊外の高級住宅地、新都市としての発展が目覚ましい。韓国では人口100万人を超えると広域市に昇格する要件を満たすが、水原市(119万8056人)、高陽市(104万1375人)はすでに超過しており、龍仁市(99万6894人)、城南市(97万3199人)も肉薄している[1]。行政上の問題から広域市としての独立には慎重な議論も多いが、周辺地域との合併も含めて話題になることも少なくない。主要な観光地としてはユネスコの世界文化遺産にも指定される水原市の水原華城(수원화성)や、広州市の南漢山城(남한산성)、または京畿道の各地に朝鮮時代の王陵も多数存在する。北朝鮮との軍事分界線に接する坡州市では、朝鮮戦争の休戦協議が行われた板門店や、DMZ(非武装地帯)を見学するツアーが行われている。大型遊園地のエバーランドや、韓国民俗村のある龍仁市、陶磁器の名産地として知られる利川市などを訪れる観光客も多い。ソウルから京畿道までのアクセスは、地下鉄1号線だけでも東豆川市、楊州市、議政府市、安養市、軍浦市、義王市、水原市、華城市、烏山市、平沢市、富川市といった各地域まで接続しており、ほかにも新盆唐線や、京畿・中央線などの路線がそれぞれ京畿道の各地域まで伸びている。また、ソウル内の各バスターミナルや、停留所から出ている市外バスも多い。
- 京畿道の名称
- 京畿道という名称は高麗時代の1018年に誕生し、当時の都は開京(개경、現在の開城)であった。京畿道という名称が示す都、都の近郊という意味は、現在のソウルではなく、本来は開京を表すものであった。朝鮮時代に入って都はソウルへと移ったが、地域的に近かったため範囲を調整しながら京畿道という名称はそのまま使われた。なお、2018年は京畿道という名称が誕生して1000年記念の年となる。
- 京畿道の未修復地域
- 南北の分断により、かつて京畿道に含まれた開城市、開豊郡、長湍郡と、漣川郡の一部は軍事分界線以北に位置する。北朝鮮ではこれらの地域を黄海北道に含めており、これらの地域については北朝鮮の料理にてまとめる。
食文化の背景
京畿道の食文化はソウルの近郊としての役割が大きい。朝鮮時代の宮中には、各地域から特産品を進上品として送ったが、距離の近い京畿道は生鮮食品が多く割り振られていた。1776年に編纂された『貢膳定例(공선정례)』には進上品の規定が細かくまとめられており、京畿道からは毎日新鮮な魚やキジを進上する決まりとなっていた[2]。そのほか、月ごとに米、野菜、山菜、穀物、魚介などの分担もあり、これらは現在の各地域における郷土料理や特産品と関係する部分も多い。例えば、利川市の米(쌀)や、加平郡の松の実(잣)、坡州市の長湍豆(장단콩)などは、かつての進上品であることを宣伝として効果的にアピールしている。北部、東部、南部を中心に農業、畜産業を中心とする地域が多いが、西海岸に面した金浦市、始興市、安山市、華城市、平沢市では漁業、水産業も行われている。畜産業も盛んであり、中でも肉牛(육우)、乳牛(젖소)の飼育頭数は京畿道が全国1位。豚の飼育頭数は忠清南道に次ぐ第2位である(いずれも2017年1~3月期)[3]。
- 軍事的要衝として
- 首都近郊であり北部が軍事分界線にも面する京畿道は軍事的な要衝であり、軍事施設や駐韓米軍の基地も多く点在していることから、こうした環境が食に与えた影響も少なくない。議政府市や、平沢市の郷土料理であるプデチゲ(ソーセージ鍋/부대찌개)は米軍基地から流出した缶詰の加工肉を韓国風に調理して食べたのが広まったものである。また、平沢市の烏山空軍基地前では、米軍関係者に向けて作られた韓国式のハンバーガー(햄버거)が地元のB級グルメとして人気を集める。抱川市はマッコリ(막걸리)の名産地として有名だが、基地への慰問として届けられたマッコリの味を軍人ら飲み、それぞれが地元に帰ってその味を語ったことから全国的な知名度を得たとされる。
- 多文化社会として
- 安山市の元谷洞(원곡동)地区には外国人が多く居住しており、2009年5月には安山多文化村特区(안산다문화마을특구)として指定された。多文化都市のモデルとして注目されており、食文化の面では世界各国の料理が味わえる町として知られる。
各地域の料理
詳細ページのある地域
- 以下の地域は詳細ページがある。現在、28市3郡のうち1市郡を収録。作成中。
加平郡(가평군)
- メギメウンタン(ナマズの辛い鍋/메기매운탕)
- チャッククス(松の実のスープ麺/잣국수)
高陽市(고양시)
- ミクラジトルレギ(ドジョウ鍋/미꾸라지털레기)
- ペダリマッコルリ(ペダリマッコリ/배다리막갈리)徳陽区星沙洞
- カルグクス(鶏とアサリのウドン/칼국수)一山東区
果川市(과천시)
- ユファンオリチヌックイ(アヒルの泥釜焼き/유황오리진흙구이)
光明市(광명시)
- ヌルンジペクスク(オコゲ入り丸鶏の水炊き/누룽지백숙)
- トゥルチギ(豚肉と野菜のピリ辛炒め/두루치기)
- カルグクス(手打ちウドン/칼국수)光明洞
広州市(광주시)
- プンオチム(フナの蒸し煮/붕어찜)南終面分院里
- ソモリクッパプ(牛頭肉のスープごはん/소머리국밥)実村邑昆池岩里
九里市(구리시)
- ヤチェコプチャン(野菜とホルモンの炒め物/야채곱창)水沢洞
- チュオタン(ドジョウ鍋/추어탕)
軍浦市(군포시)
- ヤンジタン(牛肩バラ肉のスープ/양지탕)
金浦市(김포시)
- サムシギメウンタン(ケムシカジカの鍋/삼식이매운탕)大串面大明里
- ヨンニプパプ(蓮の葉蒸しごはん/연잎밥)
- ヘムルカルグクス(海鮮ウドン/해물칼국수)大串面大明里
- フェ(刺身/회)大串面大明里
南楊州市(남양주시)
- トトリチェンバン(ドングリ定食/도토리쟁반)
- トンチミグクス(水キムチ素麺/동치미국수)鳥安面松村里
- モッコルベ(モッコル梨/먹골배)
- チャボメウンタン(川魚の鍋/잡어매운탕)
東豆川市(동두천시)
- トッカルビ(叩いたカルビ焼き/떡갈비)
富川市(부천시)
- ピョタグィヘジャンクク(豚の背骨のスープ/뼈다귀해장국)
城南市(성남시)
- カルメギサル(豚ハラミ焼き/갈매기살)
- タットガニ(丸鶏の水炊き/닭도가니)寿井区丹垈洞
水原市(수원시)
- カルビグイ(牛カルビ焼き/갈비구이)八達区
- ポリパプ(麦飯定食/보리밥)長安区上光教洞
- プリ(漢方薬酒/불휘)勧善区梧木川洞
- トンダク(フライドチキン/통닭)八達区行宮洞
始興市(시흥시)
- ヨンニプパプ(蓮の葉蒸しごはん/연잎밥)
- ウォルゴットジョンハヌ(月串土種韓牛/월곶토종한우)月串洞
安山市(안산시)
- タムヌァウムシク(多文化料理/다문화음식)檀園区元谷洞
- パジラッカルグクス(アサリウドン/바지락칼국수)
- チョゲグイ(貝焼き/조개구이)
安城市(안성시)
- ハヌモドゥムグイ(韓牛の焼肉/한우모듬구이)
安養市(안양시)
- ケサムタン(ひな鶏のスープ/계삼탕)
楊州市(양주시)
- ヤンジュコルハヌ(楊州コル韓牛/양주골한우)
楊平郡(양평군)
- トレチャン(豚の横隔膜焼き/도래창)楊平邑楊根里
- オクチョンネンミョン(玉泉冷麺/옥천냉면)玉泉面
- ヘジャンクク(酔い覚ましのスープ/해장국)
驪州市(여주시)
- マッククス(そば粉の冷やし麺/막국수)大神面川西里
漣川郡(연천군)
- メウンタン(淡水魚の辛い鍋/매운탕)
烏山市(오산시)
- ソンドゥブジョンゴル(手作り豆腐の鍋/손두부전골)
龍仁市(용인시)
- ペガムスンデ(白岩式の腸詰/백암순대)処仁区白岩面
義王市(의왕시)
- ソンイハンジョンシク(マツタケ韓定食/송이한정식)
議政府市(의정부시)
- プデボックム(ソーセージ炒め/부대볶음)
- プデチゲ(ソーセージ鍋/부대찌개)
利川市(이천시)
詳細は利川市の料理を参照。
- ポクスンア(桃/복숭아)長湖院邑
- サルバプチョンシク(利川米の韓定食/쌀밥정식)
坡州市(파주시)
- マヌルパン(ガーリックパン/마늘빵)炭県面城洞里
- メギメウンタン(ナマズの辛い鍋/매기매운탕)
- ポリパプ(麦飯定食/보리밥)広灘面霊場里
- チャンダンコン(長湍豆/장단콩)郡内面
- チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)
- チャムゲジャン(チュウゴクモクズガニの薬味醤油漬け/참게장)
- ファンボクフェ(メフグの刺身/황복회)
平沢市(평택시)
- カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)
- プデチゲ(ソーセージ鍋/부대찌개)
- チャンポン(チャンポン/짬뽕)
- ヘムボゴ(ハンバーガー/햄버거)
抱川市(포천시)
- イドンカルビ(牛カルビ焼き/이동갈비)二東面
- イドンマッコルリ(二東マッコルリ/이동막걸리)二東面
河南市(하남시)
- ユファンオリグイ(アヒル焼き/유황오리구이)
華城市(화성시)
- パジラッカルグクス(アサリウドン/바지락칼국수)
脚注
外部リンク
- 関連サイト
- 制作者関連サイト
- 韓食生活(韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
- 八田靖史プロフィール(八田靖史のプロフィール)
- 韓国語食の大辞典アプリ版(八田靖史制作の韓国料理専門辞典)