高敞郡の料理

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高敞郡(コチャングン、고창군)は全羅北道の南西部に位置する地域。本ページでは高敞郡の料理、特産品について解説する。なお、慶尚南道に名前のよく似た居昌郡(コチャングン、거창군)があって混同しやすいので注意。

高敞の支石墓群

地域概要

高敞郡は全羅北道の南西部に位置する地域。郡の北部は全羅北道扶安郡、南東部は全羅南道長城郡、南西部は全羅南道霊光郡と接し、西部から北西部は西海岸に面する。人口は5万2338人(2022年12月)[1]

食文化の背景

 
チャンオグイ

韓国を代表するウナギ(뱀장어)の名産地として知られ、プンチョンジャンオ(風川ウナギ/풍천장어)の名でブランド化している。海岸部には広大な干潟を有し、シオフキ(동죽물총조개)、アサリ(바지락)、ハマグリ(백합)などの貝類が多くとれる。

代表的な料理

プンチョンジャンオグイ(風川ウナギ焼き/풍천장어구이)

プンチョンジャンオグイ([[풍천장어구이)、風川ウナギ焼き(「チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)」の項目も参照)。プンチョン([[풍천)は漢字で「風川」と書いて西海岸に注ぐ仁川江(インチョンガン、인천강)の俗称。特に海水と淡水が入り混じる河口部の汽水域を指し、満ち潮で海水が入ってくる際に風を伴うのが由来である。ジャンオ(=チャンオ、장어)はウナギ、グイ(=クイ、구이)は焼き物の総称。仁川江の河口部は古くからウナギの名産地であり、この地域でとれたものをプンチョンジャンオ(風川ウナギ、풍천장어)と呼んだ。現在は天然物が激減して養殖が主流となっているため、高敞郡で養殖されるウナギのブランドとなっている。なお、仁川江は旧称であり、正式には舟津川(チュジンチョン、주진천)と呼ばれる。
仁川江と支流の禅雲川(ソヌンチョン、선운천)が合流する一帯は、577年に創建された禅雲寺(ソヌンサ、선운사)へと向かう入口に当たり、1960~70年代からウナギ料理の専門店が集まっている。1964年創業の「新徳食堂(신덕식당)」や、1972年創業の「元祖ヨンギ食堂(원조연기식당)」が古株店として知られる。
専門店では、ソグムグイ(塩焼き、소금구이)、ヤンニョムグイ(薬味ダレ焼き、양념구이)を主なメニューとする。店によって、チャンオティギム(ウナギの天ぷら、장어튀김)、チャンオタン(ウナギのスープ、장어탕)といった料理も提供する。高敞郡の地酒で、ウナギと相性のよい覆盆子酒(ポップンジャジュ/복분자주)も必須であり、自家製を自慢とする店もある。
  • ケッポルジャンオ(갯벌장어)
ケッポルジャンオ(갯벌장어)は、稚魚を天然環境で育てたウナギ。ケッポル(갯벌)は干潟を意味する。養鰻場で育てるよりも、天然ウナギに近いとして高く評価される。こうした飼育方法を「天然化(チャヨンサヌァ、자연산화)」とも呼ぶ。

貝料理

高敞郡の海岸部は広大な干潟が続いており、たくさんの貝がとれる。シオフキ(동죽물총조개)、アサリ(바지락)、ハマグリ(백합)が代表的であり、これらを利用したスープ料理、和え物料理が豊富である。
  • シオフキ
トンジュクムチム(シオフキの和え物、동죽무침)、トンジュクタン(シオフキのスープ、동죽탕)などの料理がある。近年、全国的にムルチョンカルグクス(シオフキうどん、물총칼국수)が有名になり、名産地として高敞郡産のシオフキが評価を高めている。

チャムチャミョン(合い盛り麺/짬짜면)

チャムチャミョン(짬짜면)は、合い盛り麺。チャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺/짜장면)チャンポン(激辛スープの海鮮麺/짬뽕)の合い盛り麺。全国的にチャムチャミョン(짬짜면)といえば、器の中央に仕切りを設け、両者を半分ずつ盛り付けたものを指す。対して高敞郡では、仕切りのない器に中華麺を盛り、チャジャンミョンの黒味噌と、汁なしチャンポン(辛口の海鮮炒め)の具を合いがけにして、全体を混ぜて食べる。
郡内には、「ナレグン(나래궁)」「北京飯店(북경반점)」「第一飯店(제일반점)」「ホンヘル(홍해루)」などの有名店があり、ほかにもチャムチャミョンを提供する中国料理店は数多い。
同様のチャムチャミョンは光州市にも見られ、高敞式チャムチャミョン(고창식 짬짜면)、光州式チャムチャミョン(광주식 짬짜면)とも呼ぶ。どちらが発祥かは定説がなく、広まった経緯も不明だが、高敞郡は全羅北道の中でも南部にあって光州市とも近いため、なんらかの関連性はあるのだろうと推測されている。

代表的な特産品

覆盆子

覆盆子(ポップンジャ、복분자)は、ラズベリーの一種で、在来種のトックリイチゴ(복분자딸기)や、外来種のクロミキイチゴ(ブラックラズベリー、서양복분자딸기)、またはその近縁種を指す。高敞郡は覆盆子の主産地で、1960年代からクロミキイチゴを導入して主に栽培してきた[2]。覆盆子を焼酎に漬け込んだ覆盆子酒(ポップンジャジュ、복분자주)の生産も盛んで、覆盆子酒と覆盆子はそれぞれ農林畜産食品部が地域の名産品を認証する地理的表示農産物の第3号、第35号に指定されている[3][4]。高敞郡における覆盆子の生産量は、2024年の場合1759.0トン(全国の37.6%)で、全国の市郡で1位である[5]

代表的な酒類・飲料

覆盆子酒

覆盆子酒(ポップンジャジュ、복분자주)は、ラズベリー酒。高敞郡の名産品である覆盆子(복분자)を焼酎に漬け込んで作る。赤ワインのような色合いと濃厚な甘味が特徴で、男性の精力増強によいとされることから、同じくスタミナ料理のチャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)とは定番の組み合わせである。高敞郡のウナギ料理店では自家製の覆盆子酒を提供するところもある。

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • ウジン(우진)
高敞郡名物のチャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)専門店。ソグムグイ(塩焼き、소금구이)を専門としている。チャンオティギム(ウナギの天ぷら、장어튀김)や、チャンオタン(ウナギのスープ、장어탕)も用意。自家製の覆盆子酒(ポップンジャジュ/복분자주)も人気が高い。
住所:全羅北道高敞郡高敞邑上月1キル7(月谷里283-1)
住所:전라북도 고창군 고창읍 상월1길 7(월곡리 283-1)
電話:063-564-0101
最終訪問日:2010年11月21日
  • 元祖ヨンギ食堂(ウォンジョ ヨンギシクタン、원조연기식당)
禅雲寺(ソヌンサ、선운사)の近くにあって、界隈では古株のチャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)専門店。天然環境で育てたケッポルジャンオ(干潟ウナギ、갯벌장어)と、養鰻場で育てたプンチョンジャンオ(風川ウナギ、풍천장어)を選べる。ソグムグイ(塩焼き、소금구이)、ヤンニョムグイ(薬味ダレ焼き、양념구이)のほか、チャンオタン(ウナギのスープ、장어탕)も用意。1972年創業。
住所:全羅北道高敞郡雅山面禅雲大路2727(三仁里29-29)
住所:전라북도 고창군 아산면 선운대로 2727(삼인리 29-29)
電話:063-561-3815
最終訪問日:2008年10月13日

エピソード

韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、著書『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品! ぶっちぎり108料理』において、高敞郡のプンチョンチャンオグイを厳選したベスト8の7位として紹介した[6]

脚注

  1. 주민등록 인구 및 세대현황 、行政安全部ウェブサイト、2023年1月14日閲覧
  2. 임산물표준재배지침(수실류, 버섯류, 산나물류) 、山林庁ウェブサイト、2025年6月6日閲覧
  3. 고창복분자주 、韓国地理的表示特産品連合会ウェブサイト、2025年6月6日閲覧
  4. 고창복분자 、韓国地理的表示特産品連合会ウェブサイト、2025年6月6日閲覧
  5. 『2023 임산물생산조사』, 산림청, P30 、山林庁山林統計システム、2026年7月24日閲覧
  6. 八田靖史, 2014, 『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品! ぶっちぎり108料理』, 三五館, P20-21

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目