楊口郡の料理

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この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。
すり鉢状になったパンチボウル地区

楊口郡(ヤンググン、양구군)は江原道の北部に位置する地域。本ページでは楊口郡の料理、特産品について解説する。

地域概要

楊口郡は江原道の北部に位置する地域。市の北部は北朝鮮との軍事分界線に面し、東部から南東部にかけては江原道麟蹄郡、南西部は春川市、西部は華川郡、北西部は鉄原郡とそれぞれ接する。人口は2万1651人(2022年2月)[1]で、江原道ではもっとも少ない。郡の東部は太白山脈(テベクサンメク)の一角を成し、そこから南西方向に伸びる山々が地域全体にまたがる山岳地形である。地域の中心部は中央部にあって、その周囲を楊口西川(ヤングソチョン、양구서천)が流れ、隣接する華川郡にまたがる人工湖の破虜湖(パロホ、파로호)へと注ぐ。北朝鮮も含めた国土の中心点が南面桃村里山48(ナムミョン トチョンニ サン サシプパル、남면 도촌리 산 48)の位置にあり、一帯は人体のへそに例えてペコプマウル(배꼽마을、直訳はへその村)と呼ばれる。周辺には天文台やキャンプ場があって観光地として賑わうほか、夏にはペコプ祭り(배꼽축제、直訳はへそ祭り)が開かれる。そのほか代表的な観光地として、民間人統制線区域内に位置する美しい渓谷の頭陀淵(トゥタヨン、두타연)や、朝鮮戦争において激しい戦闘があったことでも知られるパンチボウル (펀치볼)地区などがある。ソウル市から楊口郡までのアクセスは、高速バスで東ソウル総合ターミナルから楊口市外バスターミナルまで約1時間50分の距離である。

食文化の背景

シレギ定食

山間部の地域であり、オタカラコウ(곰취)などの山菜料理や、アスパラガス(아스파라거스)などの高原野菜、果樹栽培が盛んである。パンチボウル (펀치볼)地区で生産されるシレギ(干した大根の葉、시래기)が特産品として有名であり、これをシレギナムル(干した大根の葉のナムル、시래기나물)や、シレギタッチム(干した大根の葉と鶏の煮込み、시래기닭찜)、テンジャンチゲ(味噌鍋/된장찌개)などに加えたシレギ定食としても提供される。一般的にシレギといえば、カクトゥギ(大根の角切りキムチ/깍두기)などの大根キムチを作る際、残った葉を有効活用するものだが、パンチボウル地区では大根が大きく育つ手前の段階で収穫し、葉の柔らかさを活かしているのが特徴である。また、楊口郡は江原道の道庁所在地である春川市から東海岸の束草市や襄陽郡に抜ける中間にあり、現在のように高速道路が整備される以前は、移動途中の食事需要が多かった。そこで人気を集めた料理のひとつに郷土料理のオゴルゲスップルグイ(烏骨鶏の炭火焼き、오골계숯불구이)がある。

代表的な料理

  • コムチィチンパン(オタカラコウの蒸しパン/곰취찐빵)
  • オゴルゲスップルグイ(烏骨鶏の炭火焼き/오골계숯불구이)

代表的な特産品

パンチボウルシレギ
  • シレギ(干した大根の葉/시래기)亥安面
  • アスパラゴス(アスパラガス/아스파라거스)亥安面

代表的な酒類・飲料

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • シレウォン(시래원)
住所:江原道楊口郡南面烽火山路457(桃村里192-13)
住所:강원도 양구군 남면 봉화산로 457(도촌리 192-13)
電話:033-481-4200
料理:シレギジョンシク(干した大根の葉の定食)

エピソード

韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2016年4月に初めて楊口郡を訪れた。パンチボウル地区を訪れ、名産であるシレギ(干した大根の葉、시래기)の柔らかくも滋味深い味わいに感激した。また、そのパンチボウル地区を一望できる乙支展望台(ウルチチョンマンデ、을지전망대)においては、すり鉢状になった独特の地形と、その背後すぐのところに軍事分界線が迫る光景が、まさしく朝鮮戦争と分断の象徴に見えて圧倒された。

脚注

  1. 주민등록 인구 및 세대현황 、行政安全部ウェブサイト、2022年3月16日閲覧

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目