大邱市の料理

提供: 韓食ペディア
2017年8月8日 (火) 07:36時点におけるHatta (トーク | 投稿記録)による版 (→‎代表的な料理)
ナビゲーションに移動 検索に移動
この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。

大邱市(テグシ、대구시)は韓国の中東部に位置する地域。本ページでは大邱市の料理、特産品について解説する。

地域概要

大邱市(テグシ、대구시)は韓国の中東部に位置する広域市(韓国に6ヶ所ある上級地方自治体)。北部、東部、西部は慶尚北道と接し、南部は慶尚南道と接する。人口は248万1489人(2017年7月)で、韓国の都市としてはソウル市釜山市仁川市に次いで4番目に多い[1]。1981年に直轄市(その後、1995年に広域市)として独立するまでは慶尚北道に属し、慶尚北道庁も2016年2月までは大邱市に置かれていた(現在は安東市に位置)。慶尚道の中間的な位置にあって交通の利便性に富むことから、1601年に慶尚監営(当時の道庁)が置かれたように、朝鮮半島南東部の要衝として発展した。20世紀初頭からは繊維産業を中心に栄え、1905年に京釜線が全線開通したことでソウル市釜山市と結ばれると、経済や物流の中心としても大きな役割を果たした。人口こそ1999年7月以降、仁川市へ抜かれて4番手ではあるものの、大邱市を指して「韓国第3の都市」と表現することは一般的である。主要な観光地には、韓方市場の大邱薬令市(대구약령시)、繊維製品の販売で大きく発展した西門市場(서문시장)、20世紀初頭の歴史を現代に残す大邱近代通り(대구근대골목)、代表的な繁華街の東城路(동성로)、北部にそびえる八公山(팔공산)などがある。ソウルから大邱市までのアクセスは、ソウル駅から高速鉄道のKTXで東大邱駅まで1時間40分前後。ソウル高速バスターミナル、東ソウル総合ターミナルから高速バスで東大邱まで3時間30分程度。また、大邱国際空港(대구국제공항)までは、東京(成田)、大阪、福岡、沖縄、札幌から直行便が出ている。大邱国際空港から中心部の東大邱駅までは4kmほどの距離と近く、また東大邱駅に隣接する東大邱複合乗換センターからは慶尚道地域まで向かう市外バスが集まるため、南部への玄関口といった役割も注目されている。

  • 大邱薬令市
大邱薬令市(대구약령시)は大邱市中区南城路一帯に位置する韓方市場。ヤクチョンコルモク(薬廛通り、약전골목)とも呼ぶ。市場の開設は朝鮮時代中期の1658年頃。全国から集められた韓方材を効率的に流通させるため、春と秋に1ヶ月ずつ大邱城の北門近くに市を立てた。その後、1908年に城壁が撤去されると現在の南城路一帯へと中心が移り、全長715mの道路に沿ってたくさんの韓方材店や韓医院が集まる[2]

食文化の背景

内陸部にあって山に囲まれた盆地地形であり、夏は気温が高く、冬は寒いのが特徴である。気候の影響もあってか、全体的に辛く、塩気の強い料理が多いと説明されることが多い。牛肉を煮込んだ辛口スープのユッケジャン(牛肉の辛いスープ/육개장)や、タロクッパプ(別盛のスープごはん/따로국밥)、唐辛子とニンニクを大量に使って味付けをするチムカルビ(辛口の牛カルビ煮、찜갈비)などはその典型といえよう。また、大邱は麺類の消費が盛んなことでも有名であり、チャンチグクス(宴会用の温麺/잔치국수)や、ヌルングクス(누른국수)と呼ばれるカルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)の人気が高い。

代表的な料理

大邱地域を代表する料理は「大邱10味(대구십미)」として選定されている。2006年に大邱市が専門家らの意見を総合して作成したもので、ユッケジャン(牛肉の辛いスープ/육개장)、マクチャングイ(豚の直腸焼き、막창구이)、ムンティギ(牛刺身、뭉티기)、チムカルビ(辛口の牛カルビ煮、찜갈비)、ノンメギメウンタン(ナマズの辛口鍋、논메기매운탕)、ポゴプルコギ(フグの炒め焼き、복어불고기)、ヌルングクス(韓国式の手打ちうどん、누른국수)、ムチムフェ(刺身和え、무침회)、ヤキウドン(辛口焼きうどん、야끼우동)、ナプチャクマンドゥ(薄焼餃子、납작만두)の10種類である[3]

ユッケジャン(육개장)

ユッケジャンは牛肉を煮込んだ辛口のスープ。他地域のユッケジャンとは異なり、大きく切った牛肉と、とろとろになるまで煮込んだ長ネギの2種が具材の大半を占める。少量の芋茎や大根を入れることもあるが、牛肉のうま味と長ネギから出る甘味が味の要となる。ごはんを添えて提供するのが一般的だが、かわりに麺を入れて食べるユッククス(육국수)という派生メニューもある。
  • テグタンバン(大邱湯飯)
大邱式のユッケジャンは20世紀初めにテグタン(大邱湯、대구탕)、またはテグタンバン(大邱湯飯、대구탕반)という名前でも親しまれた。ソウルにもテグタンバンを出す店ができて流行料理となったが、現在はほぼ名称としては残っていない。日本の焼肉店で牛肉の辛いスープをテグタンと呼ぶのはテグタンバンがルーツである(ユッケジャンの項目「1920年代(テグタンバンの流行)」参照)。
  • タロクッパプ
大邱ではユッケジャンから派生した料理としてタロクッパプ(別盛のスープごはん/따로국밥)を位置づけている。牛肉のスープにごはんを入れた状態で提供していたものを、客の要望によってごはんを分けて出したのが始まりとされる。現在の大邱におけるタロクッパプは牛肉や牛骨スープでダシを取り、長ネギ、芋がらなどの野菜と一緒に煮込んだ辛いスープという点で共通するが、多くの店でソンジ(牛の血、선지)を具として加えており、その点でユッケジャンと異なる。

大邱市(대구시)

南区(남구)

  • ヌルングクス(韓国式の手打ちウドン/누른국수)大明洞
  • マクチャングイ(豚の直腸焼き/막창구이)大明洞、寿城区池山洞など

達西区(달서구)

達城郡(달성군)

  • ノンメギメウンタン(ナマズの辛口鍋/논메기매운탕)多斯邑釜谷里

東区(동구)

  • タットンチプ(砂肝揚げ/닭똥집)新岩1洞平和市場内
  • トゥブヨリ(豆腐料理/두부요리)道鶴洞
  • トッポッキ(激辛餅炒め/떡볶이)新川洞

北区(북구)

  • コギグイ(焼肉/고기구이)検丹洞
  • チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)七星洞七星市場内

西区(서구)

  • ムチムフェ(刺身和え/무침회)内唐洞
  • アナゴグイ(アナゴ焼き/아나고구이)飛山洞仁同村市場内

寿城区(수성구)

  • ポップルコギ(フグの炒め焼き/복불고기)上洞

中区(중구)

  • ナプチャクマンドゥ(薄焼餃子/납작만두)南山洞
  • テジプルコギ(豚肉の網焼き/돼지불고기)北城路
  • タロクッパプ(別盛りのスープごはん/따로국밥)
  • ムンティギ(牛刺身/뭉티기)香村洞
  • サムゲタン(ひな鶏のスープ/삼계탕)南城路
  • ヤキウドン(辛口焼きうどん/야끼우동)南一洞
  • ユッケジャン(牛肉の辛口スープ/육개장)
  • チムガルビ(辛口の牛カルビ煮/찜갈비)東仁洞

全域

  • ヤンニョムオデン(辛口オデン/양념오뎅)
  • フッテチム(メロの蒸し煮/흑태찜)

脚注

  1. 주민등록 인구통계 、行政自治部ウェブサイト、2017年8月8日閲覧
  2. 약령시소개 、大邱薬令市韓方文化祭りウェブサイト、2017年8月8日閲覧
  3. 대구가 자랑하는 10가지 별미 、大邱観光案内ウェブサイト、2017年8月8日閲覧

外部リンク

関連項目