サムギョプサル(豚バラ肉の焼肉/삼겹살)

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サムギョプサル삼겹살)は、豚バラ肉の焼肉。もともとサムギョプサルとは豚バラ肉を表す部位名だが、それを焼いて食べる料理としてもサムギョプサルと呼ぶ。韓国ではもっともポピュラーな豚焼肉のひとつである。

名称

サムギョプサルは豚バラ肉の焼肉。サムギョプサルとは豚バラ肉のことで、サム(삼)は数字の3、ギョプ(겹)は層、サル(살)は肉を表す。直訳をすると「三層の肉」という意味である。赤身と脂身と層状になった豚バラ肉の見た目に由来する。日本語においては「サムギョッサル」「サンギョッサル」「サンギョプサル」「サムギョップサル」など多様な表記が使われている。また日本語で豚バラ肉のことを「三枚肉」「三枚バラ」とも称することから、「三段バラ」「三段バラ肉」との表記も散見される。本辞典ではサムギョプサルと表記する。発音表記は[삼겹쌀]。

概要

サムギョプサルは豚バラ肉を鉄板や網などで焼いて調理をする。焼けた豚バラ肉はサンチュ(상추)、エゴマの葉(깻잎)などの葉野菜で包み、サムジャン(쌈장)と呼ばれる合わせ味噌や、パジョリ(파절이、白髪ネギの和え物)、スライスしたニンニク、刻んだ青唐辛子などを薬味として加えて味わう。キルムジャン(기름장)と呼ばれるゴマ油と塩を混ぜたタレにつけてもよい。豚焼肉店のメニューに並ぶほか、サムギョプサル専門の店も数多く存在し、店ごとに食べ方、焼き方、肉の切り方などに個性が見られ、そのバリエーションもたいへん豊富である(種類参照)。類似の料理として、牛バラ肉を焼いて食べるウサムギョプ(牛バラ肉(焼肉)/우삼겹)がある。

食べ方

  • 焼き方
サムギョプサルは脂の多い部位であり、焼いていると大量の溶けた脂が流れ出る。焼き板を傾斜させたり、最初からカーブのある焼き板を用いるなど、余分な脂を除く工夫が必要になる。また食パンを一緒に並べて吸わせるといった方法もある。脂の流れる先にキムチや大豆モヤシなどを置き、豚の脂で炒めるようにしても美味しい。焼けた肉は焼き板のへりに寄せ、火が通りすぎないようにする。焼き板の上にサンチュ(상추)を置き、焦げないよう避難場所にするといった裏技もある。
  • ハサミ
韓国の飲食店では店員が肉を焼いてくれる店と、自分で焼く店に分かれる。自分で焼く場合は肉の提供方法によって、自らハサミとトングで食べやすい大きさにカットする必要がある。生肉の状態だと切りにくいので、肉の両面に焼き目をつけてから切るのが望ましい。慣れた手さばきで食べやすい大きさにカットできるとカッコいい反面、ひと口が大きすぎる、小さすぎる場合は同席の仲間からおおいに苦情が出る。日本の飲食店ではほとんどの場合、店員が焼いてくれる。また、韓国であっても観光客慣れした店や、こちらが外国人だとわかると焼いてくれることが多い。
  • 包み方
焼けた肉はサンチュ(상추)、エゴマの葉(깻잎)などに包んで食べる。このとき卓上に用意されたサムジャン(包み味噌、쌈장)、スライスしたニンニク、小口切りにした青唐辛子、パジョリ(白髪ネギの和え物、파절이)などを好みに応じて一緒に包む。こうして包んだものはそれを噛みちぎることなく、大きな口を開けてひと口に食べることが推奨される。従って、ひと口で食べられるようなサイズに包むという技術を伴わねばならず、外国人にとっては多少の慣れとコツが必要となる。
  • キルムジャン
キルムジャン(기름장)はゴマ油と塩を混ぜたつけダレ。焼けた肉をこれにつけて食べる。
  • ニンニク
飲食店でサムギョプサルを注文するとスライスをしたニンニクがついてくる。葉野菜で包む際に生で加えてもよいが、サムギョプサルと一緒に焼いてもよい。また、店によっては小さなアルミカップ、またはアルミホイル(은박지)にニンニクとゴマ油を入れ、揚げるように焼く場合もある。最初から出てこない場合でも、注文をすれば対応してくれる。
  • 青唐辛子
サムギョプサルに青唐辛子(풋고추)は定番である。小口切りにしたものを葉野菜と一緒に包んでも食べるが、丸ごとをサムジャン(包み味噌、쌈장)につけて食べたりもする。青唐辛子によってその辛さは異なるが、チョンヤンコチュ(激辛品種の青唐辛子、청양고추)のように激辛なものに当たったときは、しばらく話もできないほどの苦痛を味わう。
サムギョプサルには焼酎(소주)が定番である。ただし、2000年代中盤頃まではそれが不動の常識だったが、2009年のマッコリブームや、2010年頃からのクラフトビールブームによって多様化が進み、現在では好みに応じた酒を合わせるようになっている。
  • ポックムパプ
店によっては肉を焼いた後の鉄板で、ごはん、キムチ、海苔、ゴマ油などを入れポックムパプ(チャーハン/볶음밥)を作ってくれる。できあがったポックムパプをハート模様に形作るといった細かなサービスもあったりする。
  • テンジャンチゲ
韓国において焼肉の後は、テンジャンチゲ(味噌鍋/된장찌개)か、ネンミョン(冷麺/냉면)でシメるのが定番である。テンジャンチゲの場合は、鍋を焼き板に載せ、温めながら食べることも多い。また最初から焼き板の中央に、テンジャンチゲを置くスペースを用意しているものもある。

歴史

1980年代

豚バラ肉を焼いて食べるというシンプルな料理だけに、その発祥は明確になっていない。ただし、かつての韓国では豚バラ肉は人気のある部位ではなく、サムギョプサルが豚焼肉として広く普及したのは1980年代前半ではないかとの見解が多い。

  • キム・チャンビョルの報告
キム・チャンビョルは著書『韓国料理、その美味しい誕生(한국음식 그 맛있는 탄생)』の中でサムギョプサルの発祥年代を考察し、「70年代後半であってもサムギョプサルは人気のある部位ではなかった。当時の外食、または家庭における焼肉の主要メニューは大部分がプルコギか、または豚ロースに塩を振って焼いたソグムグイ(別名ロースグイ)だった。サムギョプサルを初めて食べた時期について何人かにアンケートをしてみた。大部分の人はサムギョプサルを初めて食べたのは80年代前半であると回答した。この頃に家で、または食堂でサムギョプサルを焼いて食べたというのが彼らに共通する記憶だ」(原文1)と述べている。
【原文1】「70년대 후반까지도 삼겹살은 인기 있는 부위 아니었다. 당시의 외식 또는 가정식 고기구이의 주요 메뉴는 대부분 육수 불고기 아니면 돼지 등심에 소금을 뿌려 굽는 소금구이(일명 로스구이)였다. 삼겹살을 처음 먹어본 시점에 대해 여러 사람들에게 설문을 해 보았다. 대부분의 사람들이 삼겹살을 처음 먹어본 것은 80년대 초반이라고 응답했다. 이맘때 집에서 또는 식당에서 삼겹살을 구워먹었다는 것이 여러 사람들의 공통된 기억이다.」[1]
  • 『B級グルメが見た韓国』の記述
1989年に発行された文藝春秋編『B級グルメが見た韓国』にはサムギョプサルに関する記述がある。本書ではソウルの忠武路にある「忠武路テジチプ(충무로돼지집)」という豚焼肉店を取材したうえで、テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)とともにサムギョプサルを紹介し、「大衆焼き肉のもうひとつの代表格ともいえる人気メニューとなっている」と述べている。本書のデータは1988年12月現在となっており、当時の価格でテジカルビが1人前3000ウォン、サムギョプサルは1人前2500ウォンであった[2]

1990年代

外食の普及によってサムギョプサルは庶民的な焼肉として定番の座を獲得する。冷凍肉を使った安い焼肉とのイメージも強く、90年代前半にはそれを極薄切りにしたテペサムギョプサル(薄切り豚バラ肉の焼肉/대패삼겹살)が登場する。テペとはかんな(鉋)のことで、かんなで削ったように薄いことから名付けられた。1997年にアジア通貨危機が起こると、韓国では企業の倒産が相次ぎ、IMFの管理下に入って経済支援を受けるに至った。この時期以降、不景気な情勢を象徴するかのように「IMF価格」を掲げた激安のサムギョプサルが台頭した。

2000年代

2000年代に入るとサムギョプサルは劇的な進化を遂げる。それまでの庶民的な安い焼肉というイメージから脱却し、店ごとに工夫を凝らした高級志向のサムギョプサルがどんどん登場した。その端緒は2000年頃からブームとして火が付いたワインサムギョプサル(ワインに漬けた豚バラ肉の焼肉/와인삼겹살)の成功にあり、この流れからハーブやチーズと組み合わせたサムギョプサルなど、さまざまなアレンジが生まれていった。背景にはアジア通貨危機からの経済的な回復と、2002年のFIFAワールドカップ(日本と韓国で共催)を目前に海外からの食文化が多く流入したことで、フュージョン料理の人気が高まっていたことなどがあげられる。2000年代の前半にさまざまなサムギョプサルが登場してブームとなったことで、当時韓流の訪れによって韓国への関心が高まっていた日本へも波及し、日本でもサムギョプサルが最先端の韓国料理として人気を集めるに至った(日本における定着参照)。

2010年代

2008年に牛焼肉のブームが起こり、高級な韓牛(한우)の等級にこだわったり、希少部位を専門に提供する焼肉店が増加した。2010年に入ってそれが豚焼肉にも波及し、カルメギサル(豚ハラミ(焼肉)/갈매기살)モクサル(豚の首肉(焼肉)/목살)ハンジョンサル(豚トロの焼肉/항정살)といった部位が台頭し、サムギョプサルと肩を並べるに至った。サムギョプサルも済州産の黒豚や、オギョプサル(皮付き豚バラ肉の焼肉/오겹살)にこだわる店など、食べ方よりも肉の品質にこだわる店が増えていった。2015年には世界的な熟成肉のブームから、乾燥熟成(ドライエイジング)させた豚焼肉も登場し話題を集めた。

種類

韓食ペディアの執筆者である八田靖史は著書『韓国料理にはご用心!』にてサムギョプサルの種類を9つの要素に分類している[3]

素材の要素

生肉、銘柄豚、熟成肉など素材自体に特徴を持つもの。

  • センサムギョプサル(생삼겹살)
冷凍肉に対して生肉を使用したサムギョプサル。セン()は生を意味する。
  • ネンドンサムギョプサル(냉동삼겹살)
生肉に対して冷凍肉を使用したサムギョプサル。ネンドン(냉동)は冷凍を意味する。ただしあえてメニューとして記載されることはない。
  • フッテジサムギョプサル(흑돼지삼겹살)
黒豚(흑돼지)を使用したサムギョプサル。済州道の特産品でもある。
  • ファントサムギョプサル(황토삼겹살)
飼料に黄土(ファント、황토)を配合して飼育した豚を使用したサムギョプサル。
  • スクソンサムギョプサル(숙성삼겹살)
熟成肉を使用したサムギョプサル。スクソン(숙성)は熟成を意味する。

肉の切り方の要素

厚さ、形状、包丁目の入れ方など肉の切り方に特徴を持つもの。

  • ○○mmサムギョプサル(~mm삼겹살)
主に厚さを売りとしたサムギョプサル。12mm、20mmなど店ごとの数字が入る。一概に厚ければよいというだけでなく、食べてもっとも美味しいのが〇〇mmといった具合にほどよい厚さをアピールする場合もある。
  • オギョプサル(오겹살)
皮付きの状態で提供するサムギョプサル。オギョプサルの、オ(오)は数字の5、ギョプ(겹)は層、サル(살)は肉を表す。済州道の郷土料理としても有名。オギョプサル(皮付き豚バラ肉の焼肉/오겹살)の項目も参照。
  • トンサムギョプサル(통삼겹살)
ブロックの状態で焼くサムギョプサル。トン()は丸ごとを意味する。
  • ポルチプサムギョプサル(벌집삼겹살)
表面に無数の包丁目を入れて焼くサムギョプサル。ポルチプ(벌집)は牛の第2胃(ハチノス)を意味し、包丁目を入れた見た目がよく似ることから名付けられた。日本ではハチノスサムギョプサルとも呼ばれる。
  • テペサムギョプサル(대패삼겹살)
肉を極薄切りにしたサムギョプサル。テペとは大工道具のかんなを意味し、かんなで削ったように薄く仕上げることから名付けられた。

焼き板の要素

鉄板、石板、水晶板、釜のフタなど焼き板の種類に特徴を持つもの。

  • トルパンサムギョプサル(돌판삼겹살)
石板で焼くサムギョプサル。トルパン(돌판)は石板を意味する。済州道の溶岩(화산석)や、全羅北道長水郡の特産品である蝋石(コプトル、곱돌)で作った石板など、さらに細分化されることもある。
  • ソクセサムギョプサル(석쇠삼겹살)
網で焼くサムギョプサル。ソクセ(석쇠)は網を意味する。練炭や炭火の香りをまとわせるのに適しているが、網目から脂が落ちるため、燃え広がらない工夫が必要になる。
  • チョルパンサムギョプサル(철판삼겹살)
鉄板で焼くサムギョプサル。チョルパン(철판)は鉄板を意味する。
  • スジョンパンサムギョプサル(수정판삼겹살)
透明な水晶の板で焼くサムギョプサル。スジョンパン(수정판)は水晶板を意味する。
  • ソットゥッコンサムギョプサル(솥뚜껑삼겹살)
釜のフタで焼くサムギョプサル。ソッ()は釜、トゥッコン(뚜껑)はフタを表す。かまどで用いる伝統的な大釜のフタを焼き板に見立てたもので、中央が盛り上がっているため余分な脂がへりに落ちるとのメリットがある。1993年に釜のフタを模した専用の焼き板が発売され一躍ブームになった[4]
  • サプサムギョプサル(삽삼겹살)
スコップで焼くサムギョプサル。サプ()とはスコップを意味する。もともとは炭焼き窯の火を利用して、職人らがスコップに豚肉を載せて焼いたことに由来する。炭焼き窯の中は高温であるため3秒も焼けば火が通るため、3秒サムギョプサル(삼초삼겹살)とも呼ばれる。
  • ピョルサムギョプサル(벼루삼겹살)
大きなすずり(硯)で焼くサムギョプサル。ピョル(벼루)はすずりを意味する。すずりの墨がたまる部分に余分な脂が落ちるとのメリットがある。

熱源の要素

炭火、練炭、藁火、窯焼きなど熱源の種類に特徴を持つもの。

  • スップルサムギョプサル(숯불삼겹살)
炭火で焼くサムギョプサル。スップル(숯불)は炭火を意味する。最高級のチャムスッ(クヌギ炭、참숯불)を使用する場合は、チャムスッサムギョプサル(참숯삼겹살)と呼ぶこともある。
  • ヨンタンサムギョプサル(연탄삼겹살)
練炭で焼くサムギョプサル。ヨンタン(숯불)は練炭を意味する。
  • チップルサムギョプサル(짚불삼겹살)
藁で焼くサムギョプサル。チップル(짚불)藁火を意味する。最初に藁の火で焼いて香りをつけ、その後に石板などで焼く方法もある。
  • カマサムギョプサル(가마삼겹살)
窯焼きにするサムギョプサル。カマ(가마)は窯を意味する。火の入った窯という意味でプルガマサムギョプサル(불가마삼겹살)とも呼ぶ。黄土(ファント、황토)で作った窯の場合はファントガマサムギョプサル(황토가마삼겹살)と呼ぶ。

下味の要素

ワイン、ハーブ、コチュジャンなど下味の種類に特徴を持つもの。

  • ワインサムギョプサル(와인삼겹살)
ブロック肉をワインに漬けて熟成させたサムギョプサル。2000年頃にブームとなって、高級志向のサムギョプサルや、新しいアレンジの草分けとなった。
  • テナムトンサムギョプサル(대나무통삼겹살)
竹筒に入れて熟成させたサムギョプサル。テナムトン(대나무통)は竹筒を意味する。
  • ハーブサムギョプサル(허브삼겹살)
さまざまなハーブで香りをつけて熟成させたサムギョプサル。特定のハーブを主として使うことで、ローズマリーサムギョプサル(로즈마리삼겹살)、バジルサムギョプサル(바질삼겹살)といった形に細分化されていくこともある。
  • ソルリプサムギョプサル(솔잎삼겹살)
松葉とともに熟成させる、または松葉とともに焼いたサムギョプサル。ソルリプ(솔잎)は松葉を意味する。韓国では秋夕(旧暦の8月15日、추석)にソンピョン(松葉蒸し餅/송편)という松葉とともに蒸して作る餅を食べる習慣があり、松葉には香りづけとともに厄除けの意味が含まれる。
  • マヌルサムギョプサル(마늘삼겹살)
ニンニクで下味をつける、または一緒に焼いたサムギョプサル。マヌル(마늘)はニンニクを意味する。
  • ノクチャサムギョプサル(녹차삼겹살)
緑茶粉末を振り掛けて焼くサムギョプサル。ノクチャ(녹차)は緑茶を意味する。
  • カレーサムギョプサル(카레삼겹살)
カレー粉を振り掛けて焼くサムギョプサル。
  • コチュジャンサムギョプサル(고추장삼겹살)
コチュジャンソースで下味をつけて焼くサムギョプサル。
  • テンジャンサムギョプサル(된장삼겹살)
味噌ダレで下味をつけて焼くサムギョプサル。テンジャン(된장)は味噌を意味する。
  • ケイジュンサムギョプサル(케이준삼겹살)
ケイジャンソースで下味をつけて焼くサムギョプサル。ケイジャンは韓国語の発音ではケイジュンは(케이준)となる。
  • インサムサムギョプサル(인삼삼겹살)
高麗人参や高麗人参パウダーなどで下味をつけて焼くサムギョプサル。インサム(인삼)は高麗人参を意味する。
  • フンジェサムギョプサル(훈제삼겹살)
木材のチップで燻煙し香りをつけて焼くサムギョプサル。フンジェ(훈제)は燻製を意味する。

タレの要素

チーズ、きな粉、塩辛汁などつけて食べるタレの種類に特徴を持つもの。

  • コンカルサムギョプサル(콩가루삼겹살)
焼けた肉をきな粉につけて食べるサムギョプサル。コンカル(콩가루)はきな粉を意味する。
  • チーズサムギョプサル(치즈삼겹살)
焼けた肉を溶けたチーズに絡めて食べるサムギョプサル。
  • 済州道式サムギョプサル(제주도식 삼겹살)
済州道ではイワシやスズメダイの塩辛に焼酎、ニンニク、青唐辛子などを混ぜたタレを作り、これに焼けた肉をつけて味わう。タレは小さな容器に入れ、鉄板の上で熱しながらつけダレとするのが一般的である。

パートナー素材の要素

キムチ、大豆モヤシ、海鮮など一緒に焼く、または一緒に食べる素材に特徴を持つもの。

  • キムチサムギョプサル(김치삼겹살)
熟成した白菜キムチと一緒に焼くサムギョプサル。
  • コンナムルサムギョプサル(콩나물삼겹살)
和えた大豆モヤシと一緒に焼くサムギョプサル。コンナムル(콩나물)は大豆モヤシを意味する。
  • トドクサムギョプサル(더덕삼겹살)
味付けをしたツルニンジンと一緒に焼くサムギョプサル。トドク(더덕)はツルニンジンを意味する。
  • チュクミサムギョプサル(주꾸미삼겹살)
味付けをしたイイダコと一緒に焼くサムギョプサル。チュクミ(주꾸미)はイイダコを意味する。
  • ナクチサムギョプサル(낙지삼겹살)
味付けをしたテナガダコと一緒に焼くサムギョプサル。ナクチ(낙지)はテナガダコを意味する。

包み素材の要素

野菜、薄切りの餅など包んで食べる素材に特徴を持つもの。たくさんの葉野菜を用意し、ごはんとともに焼肉を包んで食べるサムパプ(葉野菜の包みごはん/쌈밥)もこの範疇に加わることがある。

  • トッサムギョプサル(떡삼겹살)
薄切りの餅で包んで食べるサムギョプサル。トッ()は餅を意味する。トッサムギョプサル(餅で包む豚バラ肉の焼肉/떡삼겹살)の項目も参照。
  • ミナリサムギョプサル(미나리삼겹살)
生のセリで巻いて食べるサムギョプサル。ミナリ(미나리)はセリを意味する。セリの産地である慶尚北道清道郡の名物料理である。
  • アップルサムギョプサル(애플삼겹살)
薄くスライスしたリンゴを鉄板の上で熱し、焼けた豚肉を包んで食べるサムギョプサル。

その他

イケメン店員が接客するなど料理とは無関係な特徴を持つこともある。

日本における定着

日本にサムギョプサルが入ってきた時代は明確ではないが、本格的に広まっていったのは1990年代後半頃からと推測される。韓食ペディアの執筆者である八田靖史の個人的な体験では、2001年には東京の新大久保や三河島などでサムギョプサルを食べていた。この時期のサムギョプサルは薄切りの豚バラ肉を焼いて食べるだけのシンプルなものであった。

2002年

  • 「とんちゃん」の開店
2002年6月に東京、歌舞伎町でサムギョプサル専門店の「とんちゃん」がオープンした。とんちゃんでは「元祖日本初サムギョプサル専門店」を掲げており、2017年8月現在他業態も含めて16店舗を展開する[5]

2003年

  • ドラマ『冬のソナタ』の影響
2003年にドラマ『冬のソナタ』が日本で放映されると、日本でも韓国料理への関心が高まっていった。『冬のソナタ』の第6話にはミニョン(ペ・ヨンジュン)とユジン(チェ・ジウ)が会食をするシーンがあり、そのときのメニューがサムギョプサルであった。

2004年

東京、新大久保では韓流の影響により爆発的に韓国料理店が増えていった。新大久保では2004年末頃から、当時韓国で流行していた新しいサムギョプサルを導入する店が増えていった。

  • 「オムニ食堂大久保店」の事例
2004年10月にスコップで焼く「3秒炭窯焼きサムギョプサル」の提供を開始。店舗前に掲げられた横断幕には、江原道の炭焼き場で作業が終わった後の職人らが食べていたものと説明されている。「ついに日本上陸」とも大きく書かれており、韓国から本場の流行を持ち込んだことをアピールしている。
  • 「鐘路本家」の開店
2004年12月にスコップで焼くサプサムギョプサルの専門店としてオープン。店頭にはスコップに載せた豚肉を窯に入れて焼く、巨大な豚のオブジェを設置して目を引いた。

2005年

東京、新大久保では2005年に入ってバラエティに富んだサムギョプサルの専門店が乱立。韓食ペディアの執筆者である八田靖史は著書『韓国料理にはご用心!』にて、主要なサムギョプサル専門店の開店年月をまとめたうえで、「2005年というのは新大久保でサムギョプサルが定番料理となる決定的な年だった」と結論づけている[6]。また、新大久保のみならず全国的にサムギョプサルという料理が知名度を得て、日本で広まっていったのがこの時期である。

  • 「カントンの思い出」の開店
2005年1月にオープン。1960~70年代をイメージしたレトロな雰囲気の店内がコンセプト。ハーブ豚を使ったサムギョプサルや、分厚い極サムギョプサルを提供。
  • 「ヘラン」の開店
2005年4月にオープン。水晶板で焼くスジョンパンサムギョプサルを提供。
  • 「とん豚テジ」の開店
2005年5月にオープン。極薄切りのテペサムギョプサルを提供。
  • 「Teji Tokyo」の開店
2005年8月にオープン。スペイン産のイベリコ豚など、世界のブランド豚をサムギョプサルとして提供。
  • 「コリアンキッチン味ちゃん」
2005年9月にオープン。厚切りサムギョプサルの草分けとして人気を集める。

2006年

  • 「ベジテジや」の開店
2006年8月に京都市伏見区深草にてオープン。「包まぬ豚は、ただの豚」というキャッチコピーを掲げ、自家栽培のサンチュに加え、玄米クレープ、あぶりトルティーヤ、京風包みもちなど個性的な包み素材を種類豊富に提供。

エピソード

  • 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は1999年9月22日に初めてサムギョプサルを食べた。当時の日記によれば留学生として韓国に渡って3日目のことであり、その日に入った寄宿舎での夜の宴会がサムギョプサルであった。しかし、当時はサムギョプサルという料理のことを知らず、豚焼肉というだけで当時の日記にはテジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)を食べたと記されている。

地域

  • 慶尚北道清道郡
慶尚北道清道郡はセリの名産地であり、生のセリでサムギョプサルを包んで食べるミナリサムギョプサル(미나리삼겹살)が有名。
  • 済州道
済州道は黒豚の名産地であり、黒豚のサムギョプサルや、皮付きで提供するオギョプサル(豚バラ肉の焼肉/오겹살)が有名。

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

<ソウル・平壌冷麺>

  • コルグネ(걸구네)
住所:ソウル市龍山区梨泰院路26キル6(梨泰院洞128-12)
住所:서울시 용산구 이태원로26길 6(이태원동 128)
電話:02-795-3992
備考:巨大な串に刺したバーベキューサムギョプサルが自慢。
  • テジチョグムトン(돼지저금통)
住所:ソウル市麻浦区オウルマダン路146-1(西橋洞331-1)
住所:서울시 마포구 어울마당로 146-1(서교동 331-1)
電話:02-323-6292
備考:熱した石の上で豚肉を焼くのが特徴。
  • マッチャンドゥルワンソグムグイ江南店(맛찬들 왕소금구이 강남점)
住所:ソウル市江南区道谷路2キル13(道谷洞945-4)
住所:서울시 강남구 도곡로2길 13(도곡동 945-4)
電話:02-577-3592
備考:熟成豚焼肉の草分け。2008年に大邱でオープンし全国、海外にも展開。
  • ソグルロンタン(서글렁탕)
住所:ソウル市永登浦区汝矣大方路394(汝矣島洞53)
住所:서울시 영등포구 여의대방로 394(여의도동 53)
電話:02-780-8858
備考:醤油ダレにつけて浸し焼きにするサムギョプサルが自慢。
  • アップルサムギョプサル弘大店(애플삼겹살 홍대점)
住所:ソウル市麻浦区臥牛山路21キル31-10(西橋洞364-22)
住所:서울시 마포구 와우산로21길 31-10(서교동 364-22)
電話:02-332-6092
備考:熱を通したスライスリンゴで包んで食べる。
  • ジンジャーピッグ(진저피그)
住所:ソウル市麻浦区楊花路128(西橋洞354-6)
住所:서울시 마포구 양화로 128(서교동 354-6)
電話:02-326-3392
備考:熟成豚専門店。店名の通りショウガを味付けに使用。
  • ファポ食堂(화포식당)
住所:ソウル市麻浦区麻浦大路1キル16(龍江洞50-16)
住所:서울시 마포구 마포대로1길 16(용강동 50-16)
電話:02-702-0708
備考:熟成豚とクラフトビールが自慢。アンデス産の塩やワサビ、タチウオの塩辛で賞味。

<地方>

  • トンサトン(돈사돈)
住所:済州道済州市広坪東路15(老衡洞2470)
住所:제주도 제주시 광평동로 15(노형동 2470)
電話:064-746-8989
備考:サムギョプサルと肩ロースをセットで提供。塩辛ソースで味わう。
  • ムドル酒幕(무돌주막)
住所:光州市北区新村セッカンキル120-3(清風洞856-9)
住所:광주시 북구 신촌샛강길 120-3(청풍동 856-9)
電話:062-266-6086
備考:マッコリの酒造が運営。藁で下焼きをしたサムギョプサルを提供。

脚注

  1. 김찬별, 2008, 『한국음식 그 맛있는 탄생』, 로크미디어, P87
  2. 文藝春秋編, 1989, 『B級グルメが見た韓国』, 文藝春秋, P158
  3. 八田靖史, 2013, 『韓国料理にはご用心!』, 三五館, P55
  4. 솥뚜껑 불판, 1990년대 、NAVER知識百科、2017年8月18日閲覧
  5. ご挨拶 、とんちゃんウェブサイト、2017年8月19日閲覧
  6. 八田靖史, 2013, 『韓国料理にはご用心!』, 三五館, P59

外部リンク

関連項目