楊口郡の料理

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楊口郡(ヤンググン、양구군)は江原道の北部に位置する地域。本ページでは楊口郡の料理、特産品について解説する。

すり鉢状になったパンチボウル地区

地域概要

楊口郡は江原道の北部に位置する地域。市の北部は北朝鮮との軍事分界線に面し、東部から南東部にかけては江原道麟蹄郡、南西部は春川市、西部は華川郡、北西部は鉄原郡とそれぞれ接する。人口は2万1651人(2022年2月)[1]で、江原道ではもっとも少ない。郡の東部は太白山脈(テベクサンメク)の一角を成し、そこから南西方向に伸びる山々が地域全体にまたがる山岳地形である。地域の中心部は中央部にあって、その周囲を楊口西川(ヤングソチョン、양구서천)が流れ、隣接する華川郡にまたがる人工湖の破虜湖(パロホ、파로호)へと注ぐ。北朝鮮も含めた国土の中心点が南面桃村里山48(ナムミョン トチョンニ サン サシプパル、남면 도촌리 산 48)の位置にあり、一帯は人体のへそに例えてペコプマウル(배꼽마을、直訳はへその村)と呼ばれる。周辺には天文台やキャンプ場があって観光地として賑わうほか、夏にはペコプ祭り(배꼽축제、直訳はへそ祭り)が開かれる。そのほか代表的な観光地として、民間人統制線区域内に位置する美しい渓谷の頭陀淵(トゥタヨン、두타연)や、朝鮮戦争において激しい戦闘があったことでも知られるパンチボウル (펀치볼)地区などがある。ソウル市から楊口郡までのアクセスは、高速バスで東ソウル総合ターミナルから楊口市外バスターミナルまで約1時間50分の距離である。

食文化の背景

 
シレギ定食

山間部の地域であり、オタカラコウ(곰취)などの山菜料理や、アスパラガス(아스파라거스)などの高原野菜、果樹栽培が盛んである。パンチボウル (펀치볼)地区で生産されるシレギ(干した大根の葉、시래기)が特産品として有名であり、これをシレギナムル(干した大根の葉のナムル、시래기나물)や、シレギタッチム(干した大根の葉と鶏の煮込み、시래기닭찜)、テンジャンチゲ(味噌鍋/된장찌개)などに加えたシレギ定食としても提供される。一般的にシレギといえば、カクトゥギ(大根の角切りキムチ/깍두기)などの大根キムチを作る際、残った葉を有効活用するものだが、パンチボウル地区では大根が大きく育つ手前の段階で収穫し、葉の柔らかさを活かしているのが特徴である。また、楊口郡は江原道の道庁所在地である春川市から東海岸の束草市や襄陽郡に抜ける中間にあり、現在のように高速道路が整備される以前は、移動途中の食事需要が多かった。そこで人気を集めた料理のひとつに郷土料理のオゴルゲスップルグイ(烏骨鶏の炭火焼き、오골계숯불구이)がある。

代表的な料理

  • コムチィチンパン(オタカラコウの蒸しパン/곰취찐빵)
  • オゴルゲスップルグイ(烏骨鶏の炭火焼き/오골계숯불구이)

代表的な特産品

 
パンチボウルシレギ

パンチボウルシレギ

パンチボウルシレギ(펀치볼시래기)は、郡北東部の亥安面(ヘアンミョン、해안면)で生産される干した大根の葉。韓国語の発音は「ポンチボルシレギ」が近い。パンチボウル(=ポンチボル、펀치볼)は、亥安盆地(ヘアンブンジ、해안분지)を調理器具のパンチボウル(punch bowl)に見立てた表現。シレギ(시래기)は干した大根の葉を意味する。亥安盆地は朝鮮戦争時に激しい戦闘があった地域で、すり鉢状の地形から従軍記者がパンチボウルに例えたとされる。一帯をパンチボウル村(ポンチボルマウル、펀치볼마을)とも呼ぶ。
亥安面では、8月頃に大根の種をまき、10月から11月にかけて収穫、乾燥作業を行う。風通しのよいビニールハウスに遮光ネットをかけて天日を避け、凍ったり溶けたりを繰り返しながら40~60日程度かけて乾燥させる。一般にシレギは下茹でをしてから干すこともあるが、パンチボウルシレギは生のまま乾燥作業を行う。
シレギに用いる大根は、2007年に楊口郡が農村振興庁、国立食糧科学院とともに開発した専用品種で、この頃から本格的に栽培が始まった[2]。本来は副産物であるシレギを、シレギとして美味しく味わえるよう、身の部分が育つ前に柔らかな状態で収穫するのが特徴である(身の部分は食用としない)。
調理時は水で戻したのち、下茹でをして利用する。シレギクッ(菜っ葉のスープ/시래기국)や、シレギナムル(炒め物、시래기나물)、シレギバプ(炊き込みごはん、시래기밥)のほか、テンジャンチゲ(味噌鍋/된장찌개)や、蒸し煮()料理の具材としても用いる。郡内の専門店があり、さまざまなシレギ料理を組み合わせた定食を味わえる。
楊口郡のシレギは、農林畜産食品部が地域の名産品を認証する地理的表示農産物の第109号指定されている[3]

その他の特産品

  • アスパラゴス(アスパラガス/아스파라거스)亥安面

代表的な酒類・飲料

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • シレウォン(시래원)
住所:江原道楊口郡南面烽火山路457(桃村里192-13)
住所:강원도 양구군 남면 봉화산로 457(도촌리 192-13)
電話:033-481-4200
料理:シレギジョンシク(干した大根の葉の定食)

エピソード

韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2016年4月に初めて楊口郡を訪れた。パンチボウル地区を訪れ、名産であるシレギ(干した大根の葉、시래기)の柔らかくも滋味深い味わいに感激した。また、そのパンチボウル地区を一望できる乙支展望台(ウルチチョンマンデ、을지전망대)においては、すり鉢状になった独特の地形と、その背後すぐのところに軍事分界線が迫る光景が、まさしく朝鮮戦争と分断の象徴に見えて圧倒された。

脚注

  1. 주민등록 인구 및 세대현황 、行政安全部ウェブサイト、2022年3月16日閲覧
  2. 양구 칼바람이 빚었다… 구수한 시래기 물결 、朝鮮日報(2020年12月18日記事)、2026年1月26日閲覧
  3. 양구시래기 、韓国地理的表示特産品連合会ウェブサイト、2026年1月26日閲覧

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目