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'''洪城郡'''(ホンソングン、홍성군)は忠清南道に位置する地域。本ページでは洪城郡の料理、特産品について解説する。
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'''洪城郡'''(ホンソングン、홍성군)は[[忠清南道の料理|忠清南道]]の西部に位置する地域。本ページでは洪城郡の料理、特産品について解説する。
  
[[ファイル:14112001.JPG|thumb|400px|浮石寺]]
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[[ファイル:15011801.JPG|thumb|400px|金佐鎮将軍像]]
  
 
== 地域概要 ==
 
== 地域概要 ==
洪城郡は忠清南道の西部に位置し、忠清南道の瑞山市、礼山郡、青陽郡、保寧市と接する。道庁所在地であり、人口は9万1692人(2014年11月)<ref>[http://www.gcplib.org/move.do?mc=05010400&tpl_num=1&menu_gubun=CTS 인구/세대] 、洪城郡ウェブサイト、2015年1月17日閲覧</ref>。郡の西部は西海岸に面する一方で、内陸部は山岳や丘陵地域が多く、車嶺山脈の支脈に当たる標高791mの烏棲山(オソサン、오서산)がある。代表的な観光地に西海岸の重要な拠点として機能した洪州城(ホンジュソン、홍주성)と、それに付帯する朝陽門(チョヤンムン、조양문)、洪州衙門(ホンジュアムン、홍주아문)、安懐堂(アヌェダン、안회당)、余何亭(ヨハジョン、여하정)といった建築物がある。また、烏棲山、龍鳳山(ヨンボンサン、용봉산)は登山客を集め、浅水湾の南塘港(ナムダンハン、남당항)は海産物を楽しめるグルメスポットとして人気がある。ソウル(ソウル高速バスターミナル、南部ターミナル)からは高速バスで約1時間50分の距離。
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[[ファイル:15011802.JPG|thumb|300px|南塘港]]
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洪城郡は[[忠清南道の料理|忠清南道]]の道庁所在地。道の西部に位置し、北部から東部にかけては[[忠清南道の料理|忠清南道]]の[[礼山郡の料理|礼山郡]]、南東部は[[忠清南道の料理|忠清南道]]の[[青陽郡の料理|青陽郡]]、南部は[[忠清南道の料理|忠清南道]]の[[保寧市の料理|保寧市]]、北西部は[[忠清南道の料理|忠清南道]]の[[瑞山市の料理|瑞山市]]と接する。西部は浅水湾(チョンスマン、천수만)に面し、[[忠清南道の料理|忠清南道]][[泰安郡の料理|泰安郡]]の安眠島(アンミョンド、안면도)と向かい合う。人口は9万8272人(2024年5月)<ref>[https://jumin.mois.go.kr/ 주민등록 인구 및 세대현황] 、行政安全部ウェブサイト、2024年6月17日閲覧</ref>。郡の西部は西海岸に面する一方で、内陸部は山岳や丘陵地域が多く、車嶺山脈(チャリョンサンメク、차령산맥)の支脈に当たる標高791mの烏棲山(オソサン、오서산)がある。
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代表的な観光地に西海岸の重要な拠点として機能した洪州城(ホンジュソン、홍주성)と、それに付帯する朝陽門(チョヤンムン、조양문)、洪州衙門(ホンジュアムン、홍주아문)、安懐堂(アヌェダン、안회당)、余何亭(ヨハジョン、여하정)といった建築物がある。また、烏棲山、龍鳳山(ヨンボンサン、용봉산)は登山客を集め、浅水湾の南塘港(ナムダンハン、남당항)は海産物を楽しめるグルメスポットとして人気がある。代表的な人物には高麗時代の名将である崔瑩(チェ・ヨン、최영)や、朝鮮時代の学者である成三問(ソン・サムムン、성삼문)、詩人の韓龍雲(ハン・ヨンウン、한용운)、独立運動家の金佐鎮(キム・ジャジン、김좌진)らがいる。[[ソウル市の料理|ソウル市]]からのアクセスは、ソウル高速バスターミナルから洪城総合ターミナルまで高速バスで約2時間の距離。
  
 
== 食文化の背景 ==
 
== 食文化の背景 ==
西海岸に面した浅水湾はコウライエビ(대하)や、トリガイ(새조게)の名産地として知られる。郡南部の広川(クァンチョン、광천)地区は海苔の産地であり、広川海苔(광천김)の名前は全国に轟いている。また、山の中腹にある洞窟でセウジョッ(アミの塩辛、새우젓)を貯蔵発酵させた広川洞窟セウジョッも名産品のひとつである。内陸部では古くから畜産業が栄えており、中でも牛肉の評価が高く、洪城韓牛(ホンソンハヌ、홍성한우)として名高い。
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[[ファイル:24071022.JPG|thumb|300px|トリガイ]]
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西海岸に面した浅水湾はコウライエビ([[대하]])や、トリガイ([[새조개]])の名産地として知られる。中でも南塘港にはコウライエビやトリガイ料理を提供する海鮮料理の専門店が集まっており、旬の時期には大勢の観光客を集める。郡南部の広川(クァンチョン、광천)地区は海苔の産地であり、広川海苔([[광천김]])の名前は全国に轟いている。また、山の中腹にある洞窟内でアミの塩辛([[새우젓]])を貯蔵発酵させた「広川トグルセウジョッ([[광천토굴새우젓]])」も名産品のひとつである。内陸部では古くから畜産業が栄えており、中でも牛肉の評価が高く、「洪城韓牛(ホンソンハヌ、[[홍성한우]])」として名高い。
  
 
== 代表的な料理 ==
 
== 代表的な料理 ==
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[[ファイル:24071023.JPG|thumb|300px|[[セジョゲシャブシャブ(トリガイのしゃぶしゃぶ/새조개샤브샤브)|セジョゲシャブシャブ]]]]
 
=== セジョゲシャブシャブ(トリガイのしゃぶしゃぶ/새조개샤브샤브) ===
 
=== セジョゲシャブシャブ(トリガイのしゃぶしゃぶ/새조개샤브샤브) ===
[[ファイル:14112002.JPG|thumb|300px|テピョンチョ]]
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:セジョゲシャブシャブ([[새조개샤브샤브]])は、トリガイのしゃぶしゃぶ(「[[セジョゲシャブシャブ(トリガイのしゃぶしゃぶ/새조개샤브샤브)]]」の項目も参照)。セジョゲ([[새조개]])はトリガイ、シャブシャブ([[샤브샤브]])は日本料理のしゃぶしゃぶに由来する。生のトリガイを野菜とともに海鮮ダシでさっとゆがき、醤油ダレや、チョコチュジャン(唐辛子酢味噌、[[초고추장]])などで味わう。西海岸に面した浅水湾、特に南塘港の名物として知られ、韓国でトリガイといえばこの地域がもっとも有名である。旬は真冬であり、12~3月頃まで提供されるが、その中でも1~2月を最盛期とする。また、春に旬を迎えるイイダコ([[주꾸미]])をトリガイと一緒にゆがいて味わうことも多い。最後残ったスープにインスタントの袋ラーメンを入れて食べるのも定番である。毎年1~3月には南塘港、浅水湾一帯で「洪城南塘港トリガイ祭り(홍성남당항새조개축제)」が開催される<ref>[https://www.hongseong.go.kr/prog/tursmCn/tour/sub03_04/view.do?cntNo=44 홍성남당항새조개축제] 、洪城郡ウェブサイト、2024年6月17日閲覧</ref>。
:セジョゲシャブシャブはトリガイのしゃぶしゃぶ。生のトリガイを野菜とともに海鮮ダシでさっとゆがき、醤油ダレや、チョコチュジャン(唐辛子酢味噌、초고추장)などで味わう。西海岸に面した浅水湾、特に南塘港の名物として知られ、韓国でトリガイといえばこの地域がもっとも有名である。旬は真冬であり、12~3月頃まで提供されるが、その中でも1~2月を最盛期とする。また、春に旬を迎えるイイダコ(주꾸미)をトリガイと一緒にゆがいて味わうことも多い。最後残ったスープにインスタントの袋ラーメンを入れて食べるのも定番である。毎年1~3月には南塘港、浅水湾一帯で「洪城南塘港トリガイ祭り」が開催される。
 
  
=== センガンドノッ(ショウガドーナツ/생강도넛) ===
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*韓国観光公社の記述
:センガンドノッはもち米で作った揚げ菓子にショウガやピーナッツをまぶしたもの。栄州市豊基邑山法里に本店を置く「情ドーナツ(정도너츠)」の看板商品で、原材料のもち米やショウガは栄州産のものを使用している。同店はもともと1982年に「チョンア粉食(정아분식)」として創業し、一般的な食堂として営業をしていたが、メニューのひとつであったセンガンドノッが評判を集め、2008年に現在の「情ドーナツ」へと店名を変更した<ref>[http://www.jungdonuts.com/intro/comp_history.html 회사연역] 、情ドーナツウェブサイト、2014年11月20日閲覧</ref>。現在はフランチャイズ化し、ソウルや、釜山などにも店舗を構える。なお、ドーナツの正式な韓国語表記は「도넛」であるが、「情ドーナツ」では「도너츠」を採用している。店舗におけるメニュー名も、正しくは「センガンドノチュ(생강도너츠)」である。
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:韓国観光公社が配布する『韓国の味紀行』という冊子(WEBでも閲覧可)では以下のように紹介されている。
  
=== カルビサル(牛カルビ焼き/갈비살) ===
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:「1980年代初盤には浅水湾にトリガイはいませんでした。トリガイは、沿岸5~30メートルの深さの泥底に生息していますが、1984年の干拓事業で浅水湾北端に砂が生じ、自然とトリガイが生息できる環境ができました。浅水湾の防潮堤工事が終わり、ある漁夫が干潟で偶然にトリガイを見つけましたが、初めは何か分からずに全て捨ててしまいました。しかしそれが日本で最高の寿司の材料として使われるという噂が立ってからは、ほとんどが日本に輸出されるようになりました。韓国でこの珍しい貝を食べ始めたのは、1990年代後半に一部の美食家によりその味が知られるようになってからのことです。さっと煮て食べると、やわらかい身はほのかに甘く、初めて味わう人も感嘆せざるをえないほどでした。その後、毎年12月になるとトリガイを味わうために南塘港を訪ねる人が増え始め、最近ではトリガイが無くなり販売できなくなるほどになりました。 」<ref>[http://japanese.visitkorea.or.kr/jpn/taste/taste_index.jsp?cid=998474&regionCode=34,15 忠清南道の味紀行] 、韓国観光公社ウェブサイト、2015年1月17日閲覧</ref>
:小白山で飼育された牛肉は、栄州韓牛(ヨンジュハヌ、영주한우)と呼ばれ地元の名産品となっている。市の中心部である栄州洞には焼肉店が集まっており、そこでは他の部位よりも圧倒的にカルビサルが人気を集める。カルビサルとは牛カルビを焼いたものだが、骨から外した肉を食べやすい大きさに切って焼くスタイルを指す。
 
  
=== コグマパン(サツマイモ饅頭/고구마빵) ===
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=== テハグイ(コウライエビ焼き/대하구이) ===
:コグマパンはサツマイモあんを中に詰めた焼き菓子。栄州市鳳峴面大村里に本店を置く「ミソモグムゴ(미소머금고)」が2006年に開発し、栄州の新たな名物として広まった。栄州産のサツマイモを使ったパイや、ガレットなどの商品も販売している。
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[[ファイル:15011803.JPG|thumb|300px|[[テハグイ(コウライエビ焼き/대하구이)|テハグイ]]]]
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:テハグイはコウライエビ焼き(「[[テハグイ(コウライエビ焼き/대하구이)]]」の項目も参照)。コウライエビは日本で大正エビとの別名もある。活きたままのコウライエビを塩焼きにし、殻を剥いてそのまま味わう。トリガイと同じく南塘港の名物として知られ、9~10月頃を最盛期とする。界隈の飲食店では[[テハグイ(コウライエビ焼き/대하구이)|テハグイ]]のほか、コウライエビを薬味醤油に漬け込んだ[[カンジャンセウ(エビの醤油漬け/간장새우)|テハジャン(コウライエビの醤油漬け/대하장)]]も提供する。南塘港(ナムダンハン、남당항)ではシーズンになると「洪城南塘港コウライエビ祭り(홍성남당항대하축제)」が開催される<ref>[https://www.hongseong.go.kr/prog/tursmCn/tour/sub03_03/view.do?cntNo=43 홍성남당항대하축제] 、洪城郡ウェブサイト、2024年6月17日閲覧</ref>。
  
=== サグァマルレンイ(リンゴチップ/사과말랭이) ===
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=== ソモリクッパプ(牛頭肉のスープごはん/소머리국밥) ===
[[ファイル:14112003.JPG|thumb|300px|サグァマルレンイ]]
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[[ファイル:15011804.JPG|thumb|300px|ソモリクッパプ]]
:サグァマルレンイは栄州市の特産品であるリンゴをスライスしてスナック風に乾燥させたもの。浮石寺の参道に露店がたくさん出ている。露店ごとに味がずいぶんと異なり、甘味の強いもの、酸味の強いもの、食感のサクサクしたものとそうでないものがあるため、できれば試食をしたうえで、自分の好みに合ったものを探すのが肝要である。
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:ソモリクッパプは牛頭肉のスープごはん(「[[ソモリクッパプ(牛頭部のスープごはん/소머리국밥)]]の項目も参照」)。牛の頭部をじっくり煮込んでスープをとり、ごはんとともに食べやすく切った頭部の肉を具として加える。味付けは薄い塩味で、アミの塩辛を加えてもよい。郡の中心部にある洪城伝統市場(ホンソンチョントンシジャン、홍성전통시장)に専門店が立ち並んでおり、市場の名物としても知られる。
 
 
=== タッパル(鶏足焼き/닭발) ===
 
:タッパルは鶏の足を焼いたもの。栄州市ではピョオムヌンタッパル(骨なしの鶏足焼き、뼈없는 닭발)を主流とし、ピリ辛のタレで味付けをしたものを炭火で網焼きにする。市内にはタッパルの専門店が各地に点在するが、その背景には養鶏業が盛んであることがあげられる。2014年現在、栄州市によれば260万羽の鶏が飼育されており、特産品のひとつである鶏卵の生産量は全国2位を誇る(八田靖史の取材記録より、2014年11月25日)。
 
  
 
== 代表的な特産品 ==
 
== 代表的な特産品 ==
北部の小白山麓では農業、畜産業が盛んに行われている。リンゴ、ブドウ、モモなどの果物が有名であるほか、豊基の高麗人参や、栄州韓牛、浮石面でとれる大豆の評価も高い。
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内陸部では牛肉を中心とした畜産業が盛んで、西部の海岸地域ではトリガイ([[새조개]])、コウライエビ([[대하]])などが名産である。広川地区は海苔の生産や、洞窟を利用したアミの塩辛作りでも有名。
  
=== 高麗人参 ===
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=== 海苔 ===
[[ファイル:14112004.JPG|thumb|300px|豊基高麗人参市場]]
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[[ファイル:15011805.JPG|thumb|300px|広川海苔を使用した日本向けの商品]]
:栄州市の豊基地区は高麗人参の栽培地、集散地として全国的に有名である。豊基駅前には高麗人参市場が広がり、全国各地から高麗人参を仕入れにくる人たちで賑わう。一帯では水参(生の高麗人参)のほか、紅参(燻蒸した高麗人参)、茶や菓子などの加工品を販売する店が並ぶほか、高麗人参を使った料理を提供する飲食店もある。高麗人参を使った料理は市場のみならず、栄州市内の各地域で名物となっており、同じく栄州の名産である牛肉と組み合わせた、インサムカルビタン(高麗人参と牛カルビのスープ、인삼갈비탕)や、インサムソルロンタン(高麗人参と牛肉のスープ、인삼설렁탕)、そのほかインサムマンドゥ(高麗人参餃子、인삼만두)といった料理を味わえる。また、2014年には豊基高麗人参を使ったビールが開発され、新たな名物として注目を集めている。
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:洪城郡の広川地区は忠清南道や全羅北道の沿岸部、島嶼部などで生産する海苔の集散地として名高い。「広川海苔(광천김)」の名はブランドとして広く認知されており、日本をはじめとした諸外国にも輸出されている。一例として、五星コーポレーションが販売する「ソンガネ韓国のり」は、缶のパッケージに「広川(クァンチョン)海苔使用」との説明書きを載せ、「韓国西海岸にある広川は潮の干満の差が大きく良質で味の良い海苔が取れることで有名な地域」と記している。<ref>[http://www.go-sei.co.jp/product08/songanekankokunori ソンガネ韓国海苔(缶)] 、五星コーポレーションウェブサイト、2015年1月18日閲覧</ref>
  
*豊基高麗人参の歴史
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=== アミの塩辛 ===
:三国史記(新羅本紀第八)を見ると、734年に新羅の聖徳王(第33代)が唐へと賀正使を派遣した際、高麗人参200本を送ったという記録がある<ref>[http://db.history.go.kr/item/oldBookViewer.do?levelId=sg_008&page=25 三國史記 > 新羅本紀 第八] 、韓国史データベース、2014年11月20日閲覧</ref>。小白山一帯は新羅における代表的な山参(天然の高麗人参)の産地であり、栄州市では豊基高麗人参のもっとも古い記録と位置付けている。また、朝鮮時代の1541年に豊基郡守として赴任した周世鵬は、豊基地区が高麗人参の栽培に適していることを見出し、山参の種をまいて高麗人参栽培に力を注いだ<ref>[http://tour.yeongju.go.kr/open_content/festival_culture_event/festival_event/ginseng_festival/introduce 영주풍기인삼축제] 、栄州市文化観光、2014年11月20日閲覧</ref>。
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:広川(クァンチョン、광천)地区では1950年代にアミの塩辛を洞窟内で熟成させる技術を確立した(1960年代半ばとする情報もある)。洞窟内は年間を通して温度が一定であり、品質を保つのにも適している。韓国語で洞窟のことをトグル([[토굴]])と呼び、ここで保存したアミの塩辛は「トグルセウジョッ(洞窟のアミの塩辛、[[토굴새우젓]])」と呼ばれる。アミの塩辛はキムチの材料として欠かせないため、越冬用のキムチを大量に漬け込むキムジャン([[김장]])のシーズンを目前とした、毎年10月に「広川トグルセウジョッ・広川海苔祭り(광천토굴새우젓·광천김축제)」が開催される<ref>[https://www.hongseong.go.kr/prog/tursmCn/tour/sub03_02/view.do?cntNo=42 광천김·토굴새우젓 대축제] 、洪城郡ウェブサイト、2024年6月17日閲覧</ref>。
  
*豊基高麗人参祭り
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*洪城郡の記述
:毎年10月に豊基邑の南院川沿いで催される<ref>[http://www.ginsengfestival.com/ 豊基高麗人参祭り] 、豊基高麗人参祭り公式ウェブサイト、2014年11月20日閲覧</ref>。
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:洪城郡の観光ページではトグルセウジョッの由来について以下のように紹介している。
  
=== リンゴ ===
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:「もともとアミの塩辛はチョレンイと呼ばれる甕に貯蔵したが、夏に腐敗して嫌なにおいの塩辛になる場合が多かった。 このにおいを出さない方法を考えていた故ユン・ビョンウォン氏が実験的に1954年、廃金鉱にアミの塩辛を置き、キムチを漬ける季節に行ってみるとよく熟成しているのを発見した。ユン・ビョンウォン氏が洞窟を堀って以来、洞窟の効果を体験した村の人々は相次いで洞窟を掘り始めた。洞窟は石が多くて水のたくさん落ちるところがよいのだが、このような土壌をよく選んだ後、機械の力を借りず純粋に人の労働力でのみ掘った。この洞窟の中にアミの塩辛の甕を置き始めて以来、広川のアミの塩辛は「トグルセウジョッ(洞窟のアミの塩辛)」として知られるようになり、現在は西海岸と南海岸でとれたアミをここに貯蔵し、「広川トグルセウジョッ」として生まれかわらせ、代表的なアミの塩辛の販売団地として地位を築いた」(原文1)<ref>[https://www.hongseong.go.kr/tour/sub04_040302.do 광천토굴의 역사] 、洪城郡ウェブサイト、2024年6月17日閲覧</ref>
:小白山の山麓地域で主に栽培される。一帯は昼夜の寒暖差が大きく、香りと糖度の高いリンゴが生産される。主な品種は日本由来の富士であり、韓国語ではプサ(부사)と呼ばれる。観光客が多く訪れる浮石寺の参道ではリンゴや、乾燥リンゴのチップが露店で販売されている。
 
  
=== 韓牛 ===
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:【原文1】원래 새우젓은 조랭이 또는 조쟁이라 불리는 항아리에 저장하는데, 여름에 부패하여 고랑젓이 되는 경우가 많았다. 이 고랑젓이 생기지 않는 방법을 고민하다가 고(故) 윤병원 씨가 실험적으로 1954년 금광 폐광에 새우젓을 넣어 보았다가 김장철에 가보니 잘 숙성되어 있는 것을 발견하게 되었다. 윤병원 씨가 토굴을 판 이후에 토굴의 효험을 체험한 마을 사람들은 연이어 토굴을 파기 시작하였다. 토굴은 돌이 많고 물이 많이 떨어지는 곳이 좋은 곳인데, 이러한 토질을 잘 고른 다음 기계의 힘을 빌리지 않고 순진히 사람의 노동력으로만 팠다. 이 토굴속에 새우젓 독을 넣기 시작한 이래, 광천새우젓은 토굴새우젓으로 소문하게 되었고, 현재는 서해와 남해에서 잡은 새우를 이 곳에 저장해 광천토굴새우젓으로 재탄생하여 대표적인 새우젓 판매단지로 자리 잡았다.
:小白山の清涼な自然の中で飼育されており全国的にも評価が高い。栄州市内では焼肉のカルビサルが地元人気を集める。
 
  
=== 大豆 ===
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=== 洪城韓牛 ===
[[ファイル:14112005.jpg|thumb|300px|浮石太を用いたチョングッチャン]]
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:洪城韓牛(ホンソンハヌ、[[홍성한우]])はブランド牛のひとつとして名高い。多く内陸部の丘陵地において、ワラや穀物などをエサに昔ながらの方法で飼育している。洪城韓牛は2012年に大韓民国代表ブランド大賞を受賞し、2014年には大韓民国地域ブランド特産物部門優秀賞を受賞した<ref>[https://www.hongseong.go.kr/tour/sub04_040101.do 홍성군 특산품 한우] 、洪城郡ウェブサイト、2024年6月17日閲覧</ref>。
:北部の浮石面でとれる大豆は地名から浮石太(プソクテ、부석태)の名前でブランド化されている。標準的な大豆の百粒重(百粒の重さ)が25~30gであるのに対し、浮石太は40gほどと大粒である。この大豆を用いた[[チョングッチャン(韓国式の納豆汁/청국장)]]なども名物料理のひとつに数えられる。
 
  
 
== 代表的な酒類・飲料 ==
 
== 代表的な酒類・飲料 ==
=== 小白山五精酒 ===
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=== 洪城郡のマッコリ ===
:小白山五精酒は米と麦麹で造られた蒸留酒。黄精(ナルコユリの根茎)、蒼朮(ホソバオケラの根)、松葉、地骨皮(クコの木の根皮)、天門冬(クサスギカズラの根)という5種類の韓方材を用いることから五精酒との名前がついた。現在は栄州市古峴洞で生産されている。
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:主要な銘柄に結城醸造場の「結城マッコリ(결성막걸리)」、ホンドン酒造の「内浦マッコリ(내포막걸리)」がある。
 
 
=== ジュネットワイン ===
 
:丹山面で栽培されたブドウで造るワイン。ジュネット(Junete)はフランス語の「私」と、イタリア語の「純潔、純粋」という意味の言葉を掛け合わせたもの。
 
 
 
=== 豊基高麗人参ビール ===
 
[[ファイル:14112006.JPG|thumb|300px|豊基高麗人参ビール]]
 
:豊基高麗人参を加えて造ったビール。豊基邑山法里にあるテギョンビール(대경맥주)が2014年に新しく開発し、販売が始まった。
 
 
 
=== 栄州市のマッコリ ===
 
:主要な銘柄に栄州醸造場の「栄州小白酒(영주 소백주)」がある。
 
  
 
== 飲食店情報 ==
 
== 飲食店情報 ==
 
以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。
 
以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。
  
*東南風(동남풍)
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*内浦フェッチプ(내포횟집)
:住所:慶尚北道栄州市繁栄路173番キル13(栄州洞330-14)
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:住所:忠清南道洪城郡西部面南塘港路210-1(南塘里452-1)
:住所:경상북도 영주시 번영로173번길 13(영주동 330-14)
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:住所:충청남도 홍성군 서부면 남당항로 210-1(남당리 452-1)
:電話:054-635-6842
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:電話:041-633-9480
:料理:カルビサル(牛カルビ焼き)
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:料理:[[セジョゲシャブシャブ(トリガイのしゃぶしゃぶ/새조개샤브샤브)|セジョゲシャブシャブ(トリガイのしゃぶしゃぶ)]]、[[テハグイ(コウライエビ焼き/대하구이)|テハグイ(コウライエビ焼き)]]
  
*ミソモグムゴ(미소머금고)
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*ソボクカルビ洪城店(소복갈비 홍성점)
:住所:慶尚北道栄州市鳳峴面小白路1727(大村里508)
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:住所:忠清南道洪城郡洪城邑月渓2キル5-6(月山里860-3)
:住所:경상북도 영주시 봉현면 소백로 1727(대촌리 508)
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:住所:충청남도 홍성군 홍성읍 월계2길 5-6(월산리 860-3)
:電話:054-636-1599
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:電話:041-631-2343
:料理:コグマパン(サツマイモ饅頭)
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:料理:カルビグイ、カルビタン(洪城韓牛を使用)
  
*梁大監(양대감)
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*スンドゥネワンマンドゥ(순두네 왕만두)
:住所:慶尚北道栄州市豊基邑人参路11-1(西部里141-3)
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:住所:忠清南道洪城郡洪城邑朝陽路188(古厳里532-3)
:住所:경상북도 영주시 풍기읍 인삼로 11-1(서부리 141-3)
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:住所:충청남도 홍성군 홍성읍 조양로 188(고암리 532-3)
:電話:054-633-6335
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:電話:041-631-1333
:料理:インサムマンドゥ(高麗人参餃子)
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:料理:ワンマンドゥ
  
*芸郷(예향)
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*ホンソンチプ(홍성집)
:住所:慶尚北道栄州市コットンサン路40番キル11(可興洞1381-37)
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:住所:忠清南道洪城郡洪城邑義士路43番キル27-3(大校里400-14)
:住所:경상북도 영주시 꽃동산로40번길 11(가흥동 1381-37)
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:住所:충청남도 홍성군 홍성읍 의사로43번길 27-3(대교리 400-14)
:電話:054-637-7238
+
:電話:041-632-0723
:料理:[[トルソッパプ(釜炊きごはんの定食、돌솥밥)]]
+
:料理:ソモリクッパプ
 
 
*伝統ムッチプ食堂(전통묵집식당)
 
:住所:慶尚北道栄州市元塘路163番キル24(下望洞316-33)
 
:住所:경상북도 영주시 원당로163번길 24(하망동 316-33)
 
:電話:054-632-9284
 
:料理:テピョンチョ(そば寒天入りキムチ鍋)
 
 
 
*情ドーナツ本店(정도너츠 본점)
 
:住所:慶尚北道栄州市豊基邑小白路2000(山法里 342)
 
:住所:경상북도 영주시 풍기읍 소백로 2000(산법리 342)
 
:電話:054-636-0071
 
:料理:センガンドノッ(ショウガドーナツ)
 
 
 
*ハンギョルチョングッチャン(한결청국장)
 
:住所:慶尚北道栄州市豊基邑人参路1-1(西部里138-10)
 
:住所:경상북도 영주시 풍기읍 인삼로 1-1(서부리 138-10)
 
:電話:054-636-3224
 
:料理:チョングッチャン(韓国式の納豆汁)
 
  
 
== エピソード ==
 
== エピソード ==
*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2014年5月に初めて栄州市を訪れた。きっかけとなったのは栄州市出身の韓国語教師が生徒向けに企画した故郷を訪ねる旅行であり、その韓国語教室に通っている友人からの誘いで部外者ながら同行をすることになった。その旅行を通じて市の観光担当を紹介され、短時間で地域の食文化を理解することができた。関係諸氏には特別に謝意を表したい。
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*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2014年11月に初めて洪城郡を訪れた。
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*2014年11月の初訪問時、八田靖史は郡中心部の古厳里において、路線バスの運転手が[[マンドゥ(餃子/만두)|ワンマンドゥ(肉まん/왕만두)]]店の前で突如停止し、運転席から大声でテイクアウトを注文する姿を見て衝撃を受けた。思わず自分も購入してみたところ、1個W1000のワンマンドゥは刻んだキャベツなどの野菜がたっぷりで確かに美味しかった。
  
 
== 脚注 ==
 
== 脚注 ==
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== 外部リンク ==
 
== 外部リンク ==
*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活]
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;関連サイト
*[http://tour.yeongju.go.kr/ 栄州市文化観光ページ(韓国語)]
+
*[http://tour.hongseong.go.kr/tour.do 洪城文化観光(韓国語)]
*[http://www.ginsengfestival.com/ 豊基高麗人参祭り公式ウェブサイト(韓国語)]
+
*[http://japanese.hongseong.go.kr/jpa.do 洪城文化観光(日本語)]
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;制作者関連サイト
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*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
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*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール)
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
[[カルビサル(骨なしの牛カルビ(焼肉)/갈비살)]]
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{{DEFAULTSORT:ほんそんくんのりようり}}
 
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*[[カンジャンセウ(エビの醤油漬け/간장새우)]]
{{DEFAULTSORT:よんしゆしのりようり}}
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*[[テハグイ(コウライエビ焼き/대하구이)]]
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*[[セジョゲシャブシャブ(トリガイのしゃぶしゃぶ/새조개샤브샤브)]]
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*[[ソモリクッパプ(牛頭部のスープごはん/소머리국밥)]]
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*[[ワンマンドゥ(肉まん/왕만두)]]
 
[[Category:韓食ペディア]]
 
[[Category:韓食ペディア]]
[[Category:慶尚北道・大邱市の料理]]
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[[Category:忠清南道・大田市・世宗市の料理]]

2024年7月20日 (土) 07:01時点における最新版

この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。

洪城郡(ホンソングン、홍성군)は忠清南道の西部に位置する地域。本ページでは洪城郡の料理、特産品について解説する。

金佐鎮将軍像

地域概要

南塘港

洪城郡は忠清南道の道庁所在地。道の西部に位置し、北部から東部にかけては忠清南道礼山郡、南東部は忠清南道青陽郡、南部は忠清南道保寧市、北西部は忠清南道瑞山市と接する。西部は浅水湾(チョンスマン、천수만)に面し、忠清南道泰安郡の安眠島(アンミョンド、안면도)と向かい合う。人口は9万8272人(2024年5月)[1]。郡の西部は西海岸に面する一方で、内陸部は山岳や丘陵地域が多く、車嶺山脈(チャリョンサンメク、차령산맥)の支脈に当たる標高791mの烏棲山(オソサン、오서산)がある。

代表的な観光地に西海岸の重要な拠点として機能した洪州城(ホンジュソン、홍주성)と、それに付帯する朝陽門(チョヤンムン、조양문)、洪州衙門(ホンジュアムン、홍주아문)、安懐堂(アヌェダン、안회당)、余何亭(ヨハジョン、여하정)といった建築物がある。また、烏棲山、龍鳳山(ヨンボンサン、용봉산)は登山客を集め、浅水湾の南塘港(ナムダンハン、남당항)は海産物を楽しめるグルメスポットとして人気がある。代表的な人物には高麗時代の名将である崔瑩(チェ・ヨン、최영)や、朝鮮時代の学者である成三問(ソン・サムムン、성삼문)、詩人の韓龍雲(ハン・ヨンウン、한용운)、独立運動家の金佐鎮(キム・ジャジン、김좌진)らがいる。ソウル市からのアクセスは、ソウル高速バスターミナルから洪城総合ターミナルまで高速バスで約2時間の距離。

食文化の背景

トリガイ

西海岸に面した浅水湾はコウライエビ(대하)や、トリガイ(새조개)の名産地として知られる。中でも南塘港にはコウライエビやトリガイ料理を提供する海鮮料理の専門店が集まっており、旬の時期には大勢の観光客を集める。郡南部の広川(クァンチョン、광천)地区は海苔の産地であり、広川海苔(광천김)の名前は全国に轟いている。また、山の中腹にある洞窟内でアミの塩辛(새우젓)を貯蔵発酵させた「広川トグルセウジョッ(광천토굴새우젓)」も名産品のひとつである。内陸部では古くから畜産業が栄えており、中でも牛肉の評価が高く、「洪城韓牛(ホンソンハヌ、홍성한우)」として名高い。

代表的な料理

セジョゲシャブシャブ(トリガイのしゃぶしゃぶ/새조개샤브샤브)

セジョゲシャブシャブ(새조개샤브샤브)は、トリガイのしゃぶしゃぶ(「セジョゲシャブシャブ(トリガイのしゃぶしゃぶ/새조개샤브샤브)」の項目も参照)。セジョゲ(새조개)はトリガイ、シャブシャブ(샤브샤브)は日本料理のしゃぶしゃぶに由来する。生のトリガイを野菜とともに海鮮ダシでさっとゆがき、醤油ダレや、チョコチュジャン(唐辛子酢味噌、초고추장)などで味わう。西海岸に面した浅水湾、特に南塘港の名物として知られ、韓国でトリガイといえばこの地域がもっとも有名である。旬は真冬であり、12~3月頃まで提供されるが、その中でも1~2月を最盛期とする。また、春に旬を迎えるイイダコ(주꾸미)をトリガイと一緒にゆがいて味わうことも多い。最後残ったスープにインスタントの袋ラーメンを入れて食べるのも定番である。毎年1~3月には南塘港、浅水湾一帯で「洪城南塘港トリガイ祭り(홍성남당항새조개축제)」が開催される[2]
  • 韓国観光公社の記述
韓国観光公社が配布する『韓国の味紀行』という冊子(WEBでも閲覧可)では以下のように紹介されている。
「1980年代初盤には浅水湾にトリガイはいませんでした。トリガイは、沿岸5~30メートルの深さの泥底に生息していますが、1984年の干拓事業で浅水湾北端に砂が生じ、自然とトリガイが生息できる環境ができました。浅水湾の防潮堤工事が終わり、ある漁夫が干潟で偶然にトリガイを見つけましたが、初めは何か分からずに全て捨ててしまいました。しかしそれが日本で最高の寿司の材料として使われるという噂が立ってからは、ほとんどが日本に輸出されるようになりました。韓国でこの珍しい貝を食べ始めたのは、1990年代後半に一部の美食家によりその味が知られるようになってからのことです。さっと煮て食べると、やわらかい身はほのかに甘く、初めて味わう人も感嘆せざるをえないほどでした。その後、毎年12月になるとトリガイを味わうために南塘港を訪ねる人が増え始め、最近ではトリガイが無くなり販売できなくなるほどになりました。 」[3]

テハグイ(コウライエビ焼き/대하구이)

テハグイはコウライエビ焼き(「テハグイ(コウライエビ焼き/대하구이)」の項目も参照)。コウライエビは日本で大正エビとの別名もある。活きたままのコウライエビを塩焼きにし、殻を剥いてそのまま味わう。トリガイと同じく南塘港の名物として知られ、9~10月頃を最盛期とする。界隈の飲食店ではテハグイのほか、コウライエビを薬味醤油に漬け込んだテハジャン(コウライエビの醤油漬け/대하장)も提供する。南塘港(ナムダンハン、남당항)ではシーズンになると「洪城南塘港コウライエビ祭り(홍성남당항대하축제)」が開催される[4]

ソモリクッパプ(牛頭肉のスープごはん/소머리국밥)

ソモリクッパプ
ソモリクッパプは牛頭肉のスープごはん(「ソモリクッパプ(牛頭部のスープごはん/소머리국밥)の項目も参照」)。牛の頭部をじっくり煮込んでスープをとり、ごはんとともに食べやすく切った頭部の肉を具として加える。味付けは薄い塩味で、アミの塩辛を加えてもよい。郡の中心部にある洪城伝統市場(ホンソンチョントンシジャン、홍성전통시장)に専門店が立ち並んでおり、市場の名物としても知られる。

代表的な特産品

内陸部では牛肉を中心とした畜産業が盛んで、西部の海岸地域ではトリガイ(새조개)、コウライエビ(대하)などが名産である。広川地区は海苔の生産や、洞窟を利用したアミの塩辛作りでも有名。

海苔

広川海苔を使用した日本向けの商品
洪城郡の広川地区は忠清南道や全羅北道の沿岸部、島嶼部などで生産する海苔の集散地として名高い。「広川海苔(광천김)」の名はブランドとして広く認知されており、日本をはじめとした諸外国にも輸出されている。一例として、五星コーポレーションが販売する「ソンガネ韓国のり」は、缶のパッケージに「広川(クァンチョン)海苔使用」との説明書きを載せ、「韓国西海岸にある広川は潮の干満の差が大きく良質で味の良い海苔が取れることで有名な地域」と記している。[5]

アミの塩辛

広川(クァンチョン、광천)地区では1950年代にアミの塩辛を洞窟内で熟成させる技術を確立した(1960年代半ばとする情報もある)。洞窟内は年間を通して温度が一定であり、品質を保つのにも適している。韓国語で洞窟のことをトグル(토굴)と呼び、ここで保存したアミの塩辛は「トグルセウジョッ(洞窟のアミの塩辛、토굴새우젓)」と呼ばれる。アミの塩辛はキムチの材料として欠かせないため、越冬用のキムチを大量に漬け込むキムジャン(김장)のシーズンを目前とした、毎年10月に「広川トグルセウジョッ・広川海苔祭り(광천토굴새우젓·광천김축제)」が開催される[6]
  • 洪城郡の記述
洪城郡の観光ページではトグルセウジョッの由来について以下のように紹介している。
「もともとアミの塩辛はチョレンイと呼ばれる甕に貯蔵したが、夏に腐敗して嫌なにおいの塩辛になる場合が多かった。 このにおいを出さない方法を考えていた故ユン・ビョンウォン氏が実験的に1954年、廃金鉱にアミの塩辛を置き、キムチを漬ける季節に行ってみるとよく熟成しているのを発見した。ユン・ビョンウォン氏が洞窟を堀って以来、洞窟の効果を体験した村の人々は相次いで洞窟を掘り始めた。洞窟は石が多くて水のたくさん落ちるところがよいのだが、このような土壌をよく選んだ後、機械の力を借りず純粋に人の労働力でのみ掘った。この洞窟の中にアミの塩辛の甕を置き始めて以来、広川のアミの塩辛は「トグルセウジョッ(洞窟のアミの塩辛)」として知られるようになり、現在は西海岸と南海岸でとれたアミをここに貯蔵し、「広川トグルセウジョッ」として生まれかわらせ、代表的なアミの塩辛の販売団地として地位を築いた」(原文1)[7]
【原文1】원래 새우젓은 조랭이 또는 조쟁이라 불리는 항아리에 저장하는데, 여름에 부패하여 고랑젓이 되는 경우가 많았다. 이 고랑젓이 생기지 않는 방법을 고민하다가 고(故) 윤병원 씨가 실험적으로 1954년 금광 폐광에 새우젓을 넣어 보았다가 김장철에 가보니 잘 숙성되어 있는 것을 발견하게 되었다. 윤병원 씨가 토굴을 판 이후에 토굴의 효험을 체험한 마을 사람들은 연이어 토굴을 파기 시작하였다. 토굴은 돌이 많고 물이 많이 떨어지는 곳이 좋은 곳인데, 이러한 토질을 잘 고른 다음 기계의 힘을 빌리지 않고 순진히 사람의 노동력으로만 팠다. 이 토굴속에 새우젓 독을 넣기 시작한 이래, 광천새우젓은 토굴새우젓으로 소문하게 되었고, 현재는 서해와 남해에서 잡은 새우를 이 곳에 저장해 광천토굴새우젓으로 재탄생하여 대표적인 새우젓 판매단지로 자리 잡았다.

洪城韓牛

洪城韓牛(ホンソンハヌ、홍성한우)はブランド牛のひとつとして名高い。多く内陸部の丘陵地において、ワラや穀物などをエサに昔ながらの方法で飼育している。洪城韓牛は2012年に大韓民国代表ブランド大賞を受賞し、2014年には大韓民国地域ブランド特産物部門優秀賞を受賞した[8]

代表的な酒類・飲料

洪城郡のマッコリ

主要な銘柄に結城醸造場の「結城マッコリ(결성막걸리)」、ホンドン酒造の「内浦マッコリ(내포막걸리)」がある。

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • 内浦フェッチプ(내포횟집)
住所:忠清南道洪城郡西部面南塘港路210-1(南塘里452-1)
住所:충청남도 홍성군 서부면 남당항로 210-1(남당리 452-1)
電話:041-633-9480
料理:セジョゲシャブシャブ(トリガイのしゃぶしゃぶ)テハグイ(コウライエビ焼き)
  • ソボクカルビ洪城店(소복갈비 홍성점)
住所:忠清南道洪城郡洪城邑月渓2キル5-6(月山里860-3)
住所:충청남도 홍성군 홍성읍 월계2길 5-6(월산리 860-3)
電話:041-631-2343
料理:カルビグイ、カルビタン(洪城韓牛を使用)
  • スンドゥネワンマンドゥ(순두네 왕만두)
住所:忠清南道洪城郡洪城邑朝陽路188(古厳里532-3)
住所:충청남도 홍성군 홍성읍 조양로 188(고암리 532-3)
電話:041-631-1333
料理:ワンマンドゥ
  • ホンソンチプ(홍성집)
住所:忠清南道洪城郡洪城邑義士路43番キル27-3(大校里400-14)
住所:충청남도 홍성군 홍성읍 의사로43번길 27-3(대교리 400-14)
電話:041-632-0723
料理:ソモリクッパプ

エピソード

  • 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2014年11月に初めて洪城郡を訪れた。
  • 2014年11月の初訪問時、八田靖史は郡中心部の古厳里において、路線バスの運転手がワンマンドゥ(肉まん/왕만두)店の前で突如停止し、運転席から大声でテイクアウトを注文する姿を見て衝撃を受けた。思わず自分も購入してみたところ、1個W1000のワンマンドゥは刻んだキャベツなどの野菜がたっぷりで確かに美味しかった。

脚注

  1. 주민등록 인구 및 세대현황 、行政安全部ウェブサイト、2024年6月17日閲覧
  2. 홍성남당항새조개축제 、洪城郡ウェブサイト、2024年6月17日閲覧
  3. 忠清南道の味紀行 、韓国観光公社ウェブサイト、2015年1月17日閲覧
  4. 홍성남당항대하축제 、洪城郡ウェブサイト、2024年6月17日閲覧
  5. ソンガネ韓国海苔(缶) 、五星コーポレーションウェブサイト、2015年1月18日閲覧
  6. 광천김·토굴새우젓 대축제 、洪城郡ウェブサイト、2024年6月17日閲覧
  7. 광천토굴의 역사 、洪城郡ウェブサイト、2024年6月17日閲覧
  8. 홍성군 특산품 한우 、洪城郡ウェブサイト、2024年6月17日閲覧

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目